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SONY MDR-CD900STのドライバーユニットは振動板を保護するように孔のあいた金属で囲まれています。この穴は振動板で発生した空気振動を放出するために必要です。同様に背面も発生した音圧を逃がすために孔が開いていますが、サウンドチューニングのために紙素材のシールで一部を残して塞がれています。以前にこの孔を塞いだり空ける数を増やしたり実験をしてみた事がありますが結果はどれもイマイチ、オリジナルの2個空いた状態がやはりベストだと辿りつきました。その時も気になっていたのですがこの孔の位置、ドライバーユニットが収まる向きと言うべきか、その角度、今あらためて気になって仕方ありません。ドライバーユニットは前面板と呼ばれる部品にスポッと嵌まりますが円形なためどんな向きでも嵌まってしまいます。この向きによってどんな変化があるのか、ないのか確かめてみました。

赤マルを付けた所に孔が空いている

赤マルを付けた所に孔が空いている

まず新品のSONY MDR-CD900ST、最近はいくつも見る機会ありますので調べてみると、真上を0度とするとL側は後方に90度、R側は0度にセットされていました。音を聴いてみるといつも聴いている聴きなれた900STの音です、当たり前です。この孔をセットする角度は出音には関係ないのでしょうか?でも、気になるので検証は続行です。

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この角度を何パターンか確認してみます。まず両方とも後方に90度の角度にして聴いてみます。オリジナルの状態より低域が減りました、量感が明らかに違います。しかし音像のフォーカスは良いようです。ハイハットの打点の位置がくっきりしてきました。オリジナルの状態では孔の位置のずれから背面への音の抜け方の条件が異なるため、L/R二つの振動板から結ばれる音像に捻じれが生じていたかのように、同じ角度でセットした音を聴くとその差を感じられました。ピンポイントに音像が決まり定位も明確、サウンドイメージが立体的になりました。LR孔の向きは合わせた方が良いようですが、低域が減ってしまった理由はどこにあるのか、角度の問題か?角度をずらした方が低域は出るからなのか?

次の検証では両方とも0度の位置つまり真上を向くように合わせてみました、そうすると低域がばっちり出てきました、少し出すぎ?ブーミーな感じもあります。音像の印象は先ほどと同じようにばっちり揃っています。さらに条件を変えて試してみると両方とも真下に合わせた場合は低域が軽い、予想通りの変化です。前方に90度だと低域は少し戻りましたがオリジナルより低域は薄い印象です高域も少し低下落ちています、程よいかまぼこ。後方に90度では、高域は強めでくっきりしてシャープ、低域は中程度。だんだん傾向がつかめてきました。前方に上向き45度ではバランスが良くなってきましたが中域が強く聞こえます。後方上向き45度では低域・高域ともにバランスも良い感じに出ていると思います。

この事から孔をセットする角度で周波数特性が変化する事が分かりました。下にすると低域は少なく、上に向ける程出てくる。高域は前方より後方に向けた方が強く出る。傾向がつかめてきましたのでベストな向きを探してみます。ベストと言っても音の好み、つまり主観的な評価も入りますので、ここでは個人的なベストを目指します、ご参考までに。
私個人としてはオリジナル900STのサウンドはとても好きですが、もう少しだけ低域に量感がある方がバランスが良く気持ちいいだろうと思っていましたので、今回つかめた傾向から高域とのバランスも考慮すると、前方上向き45度から後方上向き45度の範囲に目指すところはあるのではないかと絞り込む事ができます。この範囲でさらに細かく確認していきます。個人的には低域の量感はたっぷり感じつつもブーミーな感じが取れる角度で、それは前方にも後方にも現れると思うので高域とのバランスが良い方を聴いて決めたいと思います。まず低域の出方から絞っていきますと前も後ろも孔1個分、15度の範囲に答えはありそうです。

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図B

 

このポジションでピークの無い量感たっぷりな鳴り方をしてきます。全体のバランスを聴くと、前方に15度回した図Bのポジションは少々柔らかい印象があるものの澄んだ中高域で気持ちいい、音場が横方向に広くワイドです。

 

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図C

 

図Cの後方に15度回したパターンだと、中高域はシャキッと冴えわたり明瞭、サウンドイメージが縦方向に拡張され見通しが良いサウンドです、中高域が明瞭なだけに低域の量感がもう少しだけ欲しいところです。しかしながら、横の広がりが若干狭く感じます。澄んだ高域、周波数バランスの良さ、ワイドな音場で図Bのポジションが有力ですが、Cの立体感も捨てがたい。この段階ではまだ「ぷすっ(詳細はこちら)」としていませんので、これをやるとまた変化するはずです。

Bのパターンで「ぷすっ」をしますと低域が出すぎな印象がありました。失敗したかと少々焦りましたが、孔を後方に持っていく事でそれは調整できました。そしてゴールが見えましたアンブレラチューニングには「Cパターンの角度+ぷすっと」を採用いたします。ぷすっとした事で低域も丁度良い量感で芯もありリッチな鳴りになりました。中高域もバランスが良くなり低域~中域~高域までフラットにつながります。横方向にも広がりが出てきました、その影響か縦方向の拡張は少し落ち着いた感じもあるが、立体感は失っていません。ヴォーカル、ベース、キックと言ったセンター定位のモノラルパートの音像はエネルギー密度が高まり締まった。サイドに置かれた音は位置や距離の違いも正しく見える。

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アンブレラ社長にも聴いてもらいました。最初は「またかね」的な態度だったがヘッドホンを耳に当てるやいなや 、「ややっ。何だこれは!オリジナルの900STと比較すると絶対的に明確な定位で楽器の位置が正確だ。オリジナルはとっ散らかった印象・・・自分の900STもやって貰わないと・・・」などと高評価。

個人的なベストチューニングからアンブレラカンパニー的なベストチューニングに昇格しました。

今回の廻すチューニングのゴールは見つかりましたが、ここで最後に疑問が残ります。オリジナルで採用されている向き、L側後方90度、R側真上。このセッティングに何か意図はあるのか?もう一度オリジナル角のセッティングで試聴してみると、広がりが良くパンチもあって悪くないのかと一瞬よぎりましたがハイハットの打点がつぶれて広がっています。アンブレラチューニングと比較すると音像の捻じれ感を感じます。そのため定位があいまいで音像が大きくなり全体的に広がりがあるように聞こえているのが分かります。今回検証した私個人的な見解だと音的に狙って合わせた向きだとはどうしても思えません。はんだ付けがし易いとかそういった理由ではないだろうかと推測。
なので900STのドライバーユニットは廻すに限る!本当はネジをはずして前面板をはずした状態で行うのが振動板を突いてしまうトラブルも起こりませんし、裏側の配線の居座り状態を整えるためにも望ましいのですが、注意深く行えばイヤーパッドを外すだけでできるモディファイです。

さあ、くるっとしてみましょう。

最後に、今回はデータでお見せできないだけに主観的な考察となりました。正解の向きはそれぞれの好みも影響しますのでどの角度にするかは自由です。両方の角度は合わせた方がモニターヘッドホンとしては絶対に良い結果になると思います。

今後、SONY MDR-CD900ST Mod.をお申込みいただいた場合は「セパレート配線」「ぷすっと」「くるっと」を施したアンブレラカンパニーが考えるベストなチューニングプランにて作業を行いご納品させていただきます。

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SONY MDR-CD900ST改造に関する過去の記事へのリンクを、以下のアドレスにタグでまとめてありますので合わせてご覧ください。

https://umbrella-company.jp/contents/tag/900st/

 

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