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導入事例
サウンドエンジニア / プロデューサー 柏井 日向 様

Chandler Limited TG12345 Curve Bender
Chandler Limited TG12413 Zener Limiter
Chandler Limited RS124
Samar Audio Design VL37

柏井 日向
株式会社Bigfish 代表取締役社長
サウンドエンジニア / プロデューサー
https://bigfish-sound.net/

1997年 MAGNET STUDIOにてエンジニア人生をスタートさせる。

ハウスエンジニアとして腕を磨き、わずか2年でフリーランスになる。
以後、インディーズ・メジャー問わず数々の作品に参加。

2006年 プライベートスタジオ「ENDOR」を設立。
2013年 株式会社Bigfishを設立。
2018年 レコーディングスタジオ「Bigfish Sounds」を設立

アナログな質感を生かした音作りを得意とする反面、ポップスからクラブミュージックまでジャンルに縛られず幅広く参加。

the HIATUS、KIRINJI、SHISHAMO、iri、THE BAWDIES、YOGEE NEW WAVESなど、ジャンル問わず数多くの作品を手掛けるサウンドエンジニアの柏井日向さん。2018年にご自身のスタジオ「Bigfish Sounds」を造られた際に、Chandler Limited TGシリーズ、REDDシリーズのアウトボードを導入していただき、ご自身のサウンドメイキングに欠かせない重要なアイテムとしてお使いいただいています。今回はこの「Bigfish Sounds」にお邪魔して、スタジオをご紹介いただきながら、導入していただいたChandler Limited製品やギターの収録用に使われるというSamar Audio Designのリボンマイクの導入理由や使い方についてお話を伺いました。


★柏井さんのスタジオを初めて拝見した時に、音響的にとても拘りを持って作られているように感じました。特に壁や天井は他のスタジオではあまり見たことの無い造りですね。

ルームアコースティックについては、エンジニアの大先輩taskmasterの村瀬さんに監修していただきました。壁面や天井面の反射板を可動式にする事で、スピーカーの機種を変更した時にも調整に柔軟に対応できて、とてもよかったです。


★こちらのスタジオを作られる前は、どのように作業をされていたのでしょうか?

以前は防音マンションの一室を借りてミックスなどの作業をしていまして、ミックスチェックをする時は外のスタジオを借りて、機材一式を車で運んで、スピーカーもその度に持ち込んで聴きながらセッティングをしていましたね。

その翌日に別のスタジオでリズム録りがある場合には、ミックスで使った機材からレコーディング機材に載せ替えたりしていたので、移動をするだけでも時間と体力を使ってしまい大変でした。

幸せなことに、このスタジオを造ることができたので、移動の負担は少なくなりましたし、クライアントの方には音響面でも自分の理想的な環境に来ていただけることで、作業の効率も良くなりましたね。


★それまで時間と体力を使ってきたと思いますが、ご自身のスタジオを造られて、気持ちの面でも変わりましたか?

もちろんです(笑)やっぱり外のスタジオで作業することは準備も大変で、使い慣れていても機材を持ち運ぶ度にリファレンスCDを何度も聴きながらスピーカーのセッティングを詰めたり、聴感のサバを読んだりするための時間も必要だったのですが、自分の理想的なスタジオを造ることができて、着いたらすぐに作業を進められますし、気持ちの面でも違いは大きいですね。


★隣にはもう一つ部屋がありますが、どのように使われているのでしょうか。

ブースとしてギターや唄を録ることもありますが、基本的にはうちに所属してる田中章義がミックスルームとして使っています。レコーディングセッションの編成が多い時には、全ての部屋を使うこともありますし、フレキシブルに対応できるように作りました。


★以前に一度お伺いした時から、スピーカーをATCに替えられたのですね。

そうなんです。ATCはもともと好きなスピーカーでした。2018年にSTERLING SOUNDが移転した先の全部屋でATCのスピーカーを使うようになって、自分がミックスした作品のマスタリングでニュージャージーのSTERLING SOUNDに同行した時に聴かせてもらったのですが、移転する前のB&Wのスピーカーよりも自分は好きな音で、自分も改めてATCを使いたいと思いました。

サブウーファーと合わせて使っていますが、ATCを使うようになってから、ニアフィールドスピーカーを使うことが無くなりました。 サブを切って音量を下げることでニアフィールドの感覚で作業出来る為です。


★スピーカーだけでなく、壁の素材なども変わったことで、スタジオの印象がだいぶ変わったように感じました。

少し前まで使っていたスピーカーは指向性が狭かった分、部屋の壁や天井で拡散を多めにしてコントロールする必要があったのですが、ATCのスピーカーに替えてからは以前よりも指向性が広くなったので、以前よりも拡散を抑える方向に調整しました。だいぶ満足できるところまで近づいてきていますが、あとはデスクを退かなさい限り良くならないところまでわかったので、次はデスク周りを変更する予定です。


★スタジオが完成してからも壁の拡散や吸音などかなり変更されているのに、そう感じさせないほど環境が整っているところが素晴らしく、とても居心地良く感じました。スタジオのレイアウトやお使いのアウトボードから、マスタリングスタジオのような雰囲気を感じましたが、ご自身でマスタリングをされることはあるのでしょうか?

ミックスから纏めて仕上げてほしいという理由で、時々依頼されることがありますが、お断りしています。自分の好きなマスタリングエンジニアと同じクォリティにできるなら自分でもやるのかもしれないですが、それはできないと理解しているので。自分の中で良いミックスが出来たとしても、その後のマスタリングで理想的にブラッシュアップされないと自分も満足できません。

国内のマスタリングエンジニアではよくお世話になっているZETTONさんにお願いする時には、事前にeMasteringで作っておいてもらって、それをミックスを完成させたこのスタジオでクライアントにチェックしてもらって、手直しがあればその場でZETTONさんに電話してすぐに修正してもらい確認しています。この流れで作業するとミックスチェックした環境でマスタリングチェックもできるので、クライアントにとってもとても確認がしやすいと思うんです。

海外でもミックスエンジニアとマスタリングエンジニアの綿密なコミュニケーションを取りながらそれぞれの作業を進めていて、そうすることでかなり完成度の高いものができると話に聞きました。


★Chandler Limitedをはじめ、厳選されたアウトボードをお使いですが、普段の作業では持っている実機のプラグインも使うようなことはありますか?

あります。ミックスの作業で、マスターには実機を通して、ドラムのバスなどにはプラグインを掛けたりすることなどもありますね。


★実機とプラグインを使っていて、どのような違いを感じますか?

例えばChandler Limited Curve Benderの実機は、通しただけでトーンが付くというか質感が加わります。プラグインはブーストした時の持ち上がり方については似ていますが、実機を使う理由はその実機が持つ質感を求めることが大きいですね。繊細なマスタリングのイコライザーみたいに細かい部分をピンセットで摘むようなタイプのようなものではなくて、エネルギーが加わってしっかりブーストしたくなるようなイコライザーです。

普段の使い方はだいたい決まっていて、高域をシェルビングで持ち上げてちょっと明るくすることと、ミッドをほんの少し下げることもありますが、器に収めてくれるような引き締まるパンチ感があるので、ちょっと溢れすぎたバランスの時に使うことで、タイトにしながら纏めることもできますね。


★(TG12345)Curve Benderはどのような理由で導入を決められたのでしょうか?

マスタリングEQを導入しようと検討していた当時、幾つかの製品を試したのですが、Curve Benderが一番好きだったんです。マスタリングではなくミックス用に使う目的で、マスタリング用の繊細さというよりも、明らかに音色が濃くなるようなものを求めていたのですが、Curve Benderはそのエネルギーが備わっていてとても好きなんですよね。


★(TG12413)Zener Limiterはどのように使われていますか?

TG1と比べても選択できるモードが多いので、設定によってナチュラルに掛けることもできますし、TG1のようなアグレッシブな感じにもなります。ワイルドなブリティッシュサウンドから、繊細にトーン付けに使うこともできますね。マスターミックスはもちろん、ドラムマスターやヴォーカルマスター、ピアノトラックなど幅広く使えます。


★RS124の印象はいかがでしょうか?

Altec 436は昔から好きで使っていたのですが、設定も少なくて、歪みやすくて使いにくかったんですね。RS124は設定幅も広くなって、ヒューズスイッチを加えたり使いやすくした印象でいいですよね。通すと音像が大きくなる機材って沢山ありますけど、RS124はミッドのエネルギーがガツンとくるのですが、あの感じが出せる機材は他にないですね。通すだけでニンマリします(笑)


★普段はどのような楽器に使われていますか?

曲によりますが、The Beatles的な質感が欲しいベースやボーカルにはやはりバッチリです(笑)。ものすごくコンプレッションを掛けても、線が太く残るので、素晴らしいと思います。録りでもミックスでも、ボーカル、ベースやアコースティックギターによく使っています。

自分にとっては、わかりやすいというか音作りのイメージがはっきりしていて、この曲にはこれしかないだろうと思えるような場合には必ず使います。ヒューズモードは常にONにして使っています。キャラクターが完璧に決まっている時に、しっかりコンプレッションさせるような使い方をしています。

ロックなどの熱量がある曲には、アコギのストロークにも良いです。ちょっとギターのボディーが小さくて物足りないように感じる時にも、RS124を使うことでゲージが変わったような、一音一音の粒立ちが良くなる感じになりますね。


★Samar Audio DesignのパッシブリボンマイクのVL37もお使いいただいていますね。こちらの印象はいかがでしょうか。

今まではAEAのリボンマイクを使っていましたが、VL37の方がナチュラルな印象です。いままでのリボンマイクのようなピークもなくナチュラルな感じなので、生の音を聴いてるような感覚で録ることができます。

高域はリボンマイクの割には伸びていますが、リボンマイクらしい優しい質感はちゃんと残っていますし、マイクプリアンプとEQにはAEA RPQ500を使っていて、ハイエンドをシェルビングで少しだけ持ち上げるとバッチリになりますね。アコースティックギターやギターアンプに使うことが多いですがギターアンプには今ではほとんどVL37しか使わなくなりましたね。

マイクが持っている色気みたいなものは抑えられている分、ギターアンプから鳴っている音をそのまま録れるんですよね。、自分が好きな音がギターアンプからちゃんと出ていればその音が録れます。微調整が必要な場合はマイク側はそのままでアンプ側を調整しています。

VL37は2本持っていますが、ギターアンプには必ず1本使ってしまうので、なかなかステレオで使うことはないんですよね。ピアノやドラムのトップなどに使ってみたいですね。


★最近は多くのマイクロホンメーカーでリボンマイクが作られるようになりましたが、その中でVL37はどのように感じていますか?

RCA,AEA系のリボンマイクと比べて中域のピークが少なく高域も伸びを持っています、現代のニーズにマッチングされたような、使いやすいリボンマイクだと思っています。アコギは本当に良い音で録れます。定番のコンデンサーマイクで録った音がシャキシャキしてうるさい時などは特にハマりが良いです。


★お話を伺って、数多くの機材の中から柏井さんの求める音としてChandler Limited、Samar Audio Design製品を厳選し愛用していただいているように感じました。これからも多くの作品にお使いいただけましたら嬉しいです。お忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました。


製品リンク

・Chandler Limited TG12345 Curve Bender
https://umbrella-company.jp/chandlerlimited-CurveBender.html

・Chandler Limited TG12413 Zener Limiter
https://umbrella-company.jp/chandlerlimited-ZenerLimiter.html

・Chandler Limited RS124
https://umbrella-company.jp/chandlerlimited-rs124.html

・Samar Audio Design VL37
https://umbrella-company.jp/samaraudiodesign-vl37.html

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