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Recording プロオーディオ

リボンマイク技術解説 「ナチュラルな音質の秘密」

リボンマイクとは?

リボンマイクは電磁誘導の原理をそのまま形にしたようなシンプルな原理のマイクロホンです。電磁誘導とは磁界中にある導体が動くと導体に電位差が発生し電流が流れる。そうですフレミング右手の法則です。この導体を帯状(リボン)にすると空気振動を受けることができ、導体の振動から電気信号を得る事が可能になります。リボンは空気粒子の変位に逆らうことなく振動しなければならないので、極々薄く作られ軽量化を図っています。導体の材質には一般的にアルミニウムの薄く延ばした物(アルミ箔)が使用されます。

導体に発生する電位差は磁力と変位速度と導体の長さに比例します。この事から導体であるリボンを蛇腹状にし長さを稼ぎ出力を上げています。しかし、大きな出力を得ようとリボンを長くすると今度は周波数が高い振動についていけなくなります(高域のレスポンスの低下)、また重量が増し空気粒子の振動の妨げになってしまいます。出力レベルと周波数特性は常にトレードオフです。この部分の解釈の仕方に各リボンマイクメーカーの特色が一番現れているのではないでしょうか。

コンデンサ型、リボン型の違い

コンデンサーマイクロホン

  • 振動板がバックプレートに接触しないよう振幅制限される。
  • コンデンサーマイクは振動板とその直後に配置されるバックプレートで形成されている。その距離僅か10μm、接触を避けるため振動板はピンと張られ、可動範囲が制限される。

リボンマイクロホン

  • 振動帯がブラブラ吊るされていて制限なく自由に動く。
  • リボンマイクロホンの振動帯は蛇腹に折られ磁界の中に吊るされた状態で、空気粒子の振動にリニアに追従できる

コンデンサーマイクの場合は、瞬間的な音圧に対して振動板の可動範囲の制限があるためコンプレッション感があるが、リボンマイクロホンにはそれがないため、アタックのスピード感に追従できる。リボンマイクのナチュラルなサウンドの秘密だ。

音波の検出方式

コンデンサマイクは音を、振動板を押す力(または引く力)、圧力=音圧として検出します。振動板にかかる音圧が動かした振動板の位置情報の連続データを音声信号として取り出します。

リボンマイクは音を空気粒子の移動速度の変化により検出します。音(空気粒子の振動の伝搬波)が到達すると振動帯は空気粒子の振動と一緒に振動します。リボンは磁界の中に置かれていますので電磁誘導により、導体であるリボンの移動(振動)速度に比例した起電力が得られるのです。振動そのものを電気信号として取り出ているのです。

エレメントの反応

コンデンサマイクの振動板は固く張られていますので外部からの力には“耐える”動作となります。同時に振動板と固定電極がショートしないように可動範囲を制限するためにも重要な構造となっています。このことから音圧の高い音に対しては振動板の動きが制限されてしまい、圧縮感を伴ったサウンドと感じられる事も少なくありません。

リボンマイクの振動帯は吊るされている状態ですので外部からの力に対しては“逆らわない”動作をします。リボンがダメージを受けない範囲であれば、高い音圧に対しても振れ幅を制限される事なく振動し、電気信号へと変換する事が可能です。

音場に対する振動体の存在

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マイクロホンを音のセンサーとして考えた場合、音場に何も無い時とマイクを置いた時で状況が変わってしまっては正確な収音ができているとは言えません。コンデンサ型は”耐える“動作ですのでコンデンサマイクが置かれたときは音場に対して振動板は邪魔な物となり伝搬する音波を変化させ不要な音圧上昇(回析現象による高域の上昇)などを招いてしまいます。

対してリボン型は”逆らわない”動作となります。リボンの存在は無視できる程度ですので、伝播してきた音波はその後方へと通り貫けていきます。自然の状態を崩さずにセンシングできるため、リボン型のナチュラルな音質に貢献しているのだと考えられます。

マイキング

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一般的に音波は球面波となりますので、音源の近くでは音圧は距離に比例して小さくなるのに対し、空気粒子の移動速度は距離の2乗に比例して小さくなります。そのため、音圧を検出するコンデンサ型に比べ、粒子速度を検出するリボン型は距離が離れると極端に感度が低下してしまうのです。逆に音源に近い部分では近接効果による影響が大きくなります。このようにコンデンサ型とリボン型には音源からの距離による感度の違いがありますので、この特性をよく理解してマイキングを行う必要があります。

Samar Audio Design社製のハイエンド・リボンマイクロホン

https://umbrella-company.jp/brand/samar-audio-design/

Ohma Worldのリボンマイクロホン

https://umbrella-company.jp/brand/ohma-world/

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