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Technotes 技術ノート

「ガリ」に似たノイズ。

「このペダル新品なのにガリ出てるよ」などとご相談をいただくことがあります。しかしながら90%以上はガリではない別の要因で発生しているノイズです。そのメカニズムや判断の方法をご紹介したいと思います。 「ガリ」とはボリュームやスイッチの内部電極・接点が酸化したり汚れたりして接触が安定しない、いわゆる接触不良が原因となって起こるノイズです。ボリュームやスイッチの操作に伴って、接触が一時的に途切れる事で回路インピーダンスが大きく変化しノイズとなって聞こえます。 今回の「ガリに似たノイズ」というのは、「ガリ」とは違うメカニズムで発生しています。可変抵抗器は回転機構があるため、ボディ部とシャフトの間に若干の隙間があります。隙間が無ければ動かないので当然です。普段は接触し導通のある状態ですが、つまみを回した時に導通が不完全になる事が瞬間的に発生します。この時にシャフトがアース電位から浮いた状態となり外部(操作する人)からのノイズを拾いやすい状態となります。これがつまみの回転動作に伴って連続的に起こりますので、これがガリに似た雑音として確認できるのです。全てのつまみで起こり得る現象ですが、そのパーツの電気的な条件(回路インピーダンスや増幅度)によってこの現象が 確認できる/確認できないかは大きく左右されます。さらに つまみの材質でも変わります、金属のつまみでは目立ちやすい傾向にあり、プラスチック製のつまみであれば起こりません。また、使用環境のアース周りの条件でも同様です。操作時に弦アースに触れていればこのノイズは発生しません。

動画の前半部分では、PUが拾ったハムノイズに混じって、つまみを回した時にバリバリというノイズが聞こえてきます。後半、弦に手を置きアースを取ります。すると自分がアース電位となり、その手が可変抵抗器のシャフトに触れればシャフトもアース電位です。シャフトが瞬間的に浮いてしまう事があってもシャフトもアース電位が保たれます。回路インピーダンス の変化もなく、ノイズは発生しないと言う訳です。 弦アースに触れてさえいればこのノイズは発生しませんし、そもそも触らなければ何も起こりません。ギターを演奏中につまみを手で回すことは無いと思いますし、実際に使う事を考えても実用上は問題がない事が多いのではないでしょうか。 回転機構を設けるために避けようのない構造上の制約からの現象であり、部品の仕様と認識され、製品としても、この現象が起こり得ることは仕様によるものと判断されます。 ちなみに、接触不良による「ガリ」は弦アースの状態とは無関係です。接触不良度合いが酷ければ操作に関係なくノイズが出ます。この部分で明確な違いがあるので、トラブルシューティングの際には、この違いをぜひチェックしてみてください。 ペダルエフェクターだけでなくプロオーディオ機器でも条件が当てはまりますので、同様にアース電位の金属筐体部分などに触れながら操作してみると言った方法で原因の切り分けや対策を行う事ができます。 ガリではないと判断できればプラスチック製のつまみにリプレイスする事でも解決できますので、「リアルタイムに操作する必要がある」とか、「何が何でも絶対に出てほしくない」などご要望があれば、モディファイしてしまうのも良い選択だと思います。

   

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