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GRACE design m908はモノラル、ステレオからイマーシブ・フォーマットまで、プロフェッショナルな制作環境を支えるモニターコントローラー。その高い信頼性から2020年の発売以来々な現場への導入実績を持つm908は、それに値するだけの音質、操作性、多くの機能を持っています。
『クローズアップ:m908』ではそんなm908の細かな特徴にフォーカスし、様々なプロフェッショナルの現場でm908が選択されている、その理由に迫ります。第六回の今回は、コントローラーであるRCUユニットの「ディスプレイ表示」にクローズアップ。快適なオペレーションのために最適化されたディスプレイ表示について解説します。
シビアなスケジュールで進行しているプロフェッショナルな現場において、他の情報の確認に手間取ることなく、サウンドのモニタリングに集中できる環境は必要不可欠です。それを実現すべく、m908 RCUユニットのディスプレイ表示は簡潔に、それでいて必要十分な情報が表示されています。
普段のオペレーション時に多く目にするホームスクリーンでは、m908システム全体の状況が分かりやすく表示されている他、常にシステム全体を監視しているACUが障害を検出した場合、その情報もディスプレイに表示されます。このメインディスプレイの表示について、詳しく見ていきましょう。
ディスプレイの上下端にあるのが、モニターに利用可能な入力ソースの表示(画像内1)です。現在選択されている入力はブルーで表示され、入力ソースをサミングできる「インプットサミングモード」時は選択されている入力ソースはグリーンに表示されます。
この表示はディスプレイの上下に配されている【8つの入力選択ボタン】と対応しており、モニターしたい入力ソースの切り替え時や、今モニターしているソースの確認で手間取ることはありません。
次に画面中段、左側に表示されるのは、現在選択されているスピーカーシステムのグラフィック(画像内2)です。ここでは各スピーカーのSOLO/MUTEの状態を確認できるほか、表示の色で入力レベルをチェックすることも可能です。入力されていない状態ではグレー、適正なレベルはグリーン、レベルオーバーしている時にはレッドなど、リアルタイムで直感的にレベルの状態を確認することができます。
画面の右側にはレベルに関する情報がまとめられています。最も大きく表示されている数値はコントロールルームのモニターレベル(画像内4)です。通常では0でミュート、96でユニティーゲイン、100で最大値の表示となりますが、ユーザーが指定したリファレンスレベルを基準(0)に相対的な表示をすることもできます。
その下段では現在のSPLレベルとピーク時のSPLレベルを表示(画像内7)する他、ヘッドホンのモニターレベル(画像内6)、ヘッドホンクロスフィードの表示(画像内5)があります。SPLレベルは、トークバックマイクとして使用されるRCUユニットの内蔵マイクロホンを用いて測定することで、簡易的ながらリスニングポイントに近い位置での数値が表示できます。
以上の内容以外にも、クロックソース(画像内8)や入力から検知されるサンプルレート(画像内9)、スピーカーシステムの名称(画像内3)なども表示されています。このように、細かな情報の確認やトラブルの原因究明などに労力を割くことなく、サウンドに集中するための情報が簡潔に表示されているのです。
ホームスクリーンでは必要な情報を簡潔に表示するのみでしたが、セットアップ画面ではm908の広範にわたる設定全てを確認、編集することができます。
DSPチャンネルの割り当てを含むワークフローの編集やルームEQなど、かなり詳細な項目を持つ設定にもアクセスが可能。視認性の高いシンプルな表示や、プッシュ機能付きのロータリーエンコーダーでの操作によって、効率的に設定やオペレートを行うことができます。
m908はその豊富な機能性によって柔軟さを獲得していますが、その分設定項目は多岐にわたり、通常であれば設定はかなり煩雑なものとなってしまします。しかしm908は、ここまで述べたユーザーフレンドリーなディスプレイ表示によってそれを解決し、柔軟さと快適なオペレーションを両立しているのです。
次回はその柔軟さを象徴するポイントの一つ、既存の環境にm908を導入する際に発生する接続の悩みを解決する「オプションカード」に関しての紹介です。