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株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス様の「汐留サウンドスタジオ」は、4部屋のダビング・ルームに5.1chミキシング対応のコントロールルームを備え、ミックス・ルーム専用の1部屋はDolby Atmos Home Mastering作業にも対応しています。各スタジオには、Avid ProTools|HDXシステム、MTRXやGenelecのモニタースピーカーが設置され、またモニターコントローラーにはGRACE design m908が導入されています。 今回は、m908の導入理由や作業で使われた印象などについて、音響制作グループ課長の遠山正様、ミキシングエンジニアの丸橋亮介様にお話を伺いました。
汐留サウンドスタジオ https://www.imagica-ems.co.jp/service/localization/studio/
- まずは、貴社の業務についてご説明ください。
遠山:2020年2月に「IMAGICA SDI Studio」としてオープンしましたが、2021年6月から新たにIMAGICAエンタテインメントメディアサービスの「汐留サウンドスタジオ」となりました。当スタジオはDolby Atmos Home Mastering(7.1.4ch)対応のミックス・ルームと4部屋あるダビング・ルーム(5.1ch)、および社内仕込み用の音響制作室で構成されています。
サービス内容は、外国語コンテンツの日本語吹替版制作や日本語アニメーション・ゲーム作品の音響制作業務ですが、このスタジオが制作会社となりディレクターや翻訳者、声優をキャスティングし納品までを提供しています。
海外のスタジオと接続し、リモートレコーディングも行っています。
- 以前の作業環境では、どのようなモニターコントローラーをお使いでしたか。
丸橋:5.1ch環境のスタジオで「STUDIO TECHNOLOGIES / Model 76DA&77」、「GRACE DESIGN / m906」の2機種を使用しておりました。
- 新しいモニターコントローラーの導入を検討された理由についてお聞かせください。
丸橋:日本語吹き替えのダビングスタジオを作るにあたって、7.1.4ch対応のモニターコントローラーを探していました。
- 新規導入にあたって重要視していたポイント、また導入を決めた理由は何でしょうか。
丸橋:コントロールインターフェイスの使いやすさを第一に考えていました。また入出力がアナログとAESの両方に対応していることも大事な条件でした。
前のスタジオで使用していたm906がスタッフ間で好評だったため、その後継機なら大丈夫だろうというのが導入の決め手でした。またm908の発売が、スタジオのオープンにギリギリ間に合ったことが大きいです。中々発表が無かったので、直前までは他社のコントローラーで図面を作成していました。
- 出荷開始まで時間を要して大変お待たせいたしましたが、間に合って良かったです。各部屋のm908の主な入出力は、どのように接続されていますか?
丸橋:5.1chの部屋は、ProToolsのI/Oからの音をAESで入力し、m908のアナログ出力からスピーカーに接続しています。他には、ブルーレイプレイヤーの音やPCのオーディオ出力などをアナログインプットしています。
Dolby Atmosの部屋は、DolbyAtmosRendererからのDANTE出力をAvid MTRXで受け、MTRXのAES出力からm908に送っています。
- コントローラーの操作感や使い勝手はいかがでしょうか。
丸橋:とても使いやすいと感じています。リモートコントローラーに大きなカラーLCDディスプレイが搭載されており、モニター系統のコントロールやコントローラーの設定変更など全ての操作がわかりやすく行えるようになっています。取扱説明書を熱心に読み込まなくても、直感的に操作できるところがとても助かっています。
- 音質の印象はいかがですか。
遠山:外部ミキサーの方が使用することがありますが、音質に好評をいただいています。
丸橋:D/Aにクセがなくナチュラルな音質で、とても気に入っております。
- 作業で使うようになって、気が付いた良さはありますか。
丸橋:リモートコントローラーにヘッドホンアンプが付いているのが便利でした。スピーカーのモニターレベルとは別でヘッドホンレベルが操作出来たり、Cueなどの別ソースを選べるところが良いですね。
弊社では使用していませんが、m908単体でベースマネージメントも出来るところは便利だなと思いましたね。
- 以前の環境と比べて、m908を使うことによって作業効率に何か変化は感じましたか。
丸橋:m906の時点でかなり使いやすく優れたコントローラーでしたが、m908になってインプットセレクトが良くなりましたね。m906は「入力端子セレクト」という配置で固定されていましたが、m908はLCDディスプレイ上に自由に配置することが出来るので、とても効率よく作業することが出来ています。 また他社のコントローラーの場合、SETUPに入ると音の出力が止まってしまうものがよくありますが、音を出しながらSETUPに入って設定を変えてもそのまま音が出続けてくれるのは、地味ですが助かっています。
- 気に入っている機能はありますか。
丸橋:3つのスピーカー出力それぞれにレベルオフセットやルームEQ、ディレイが付いていることですね。すべての値がスピーカー単体ごとに設定できるので助かっています。
またリモートコントローラーに備え付けられているトークバックマイクでのSPLメータリングも便利ですね。リモートコントローラーはデスク上に置いてあるので、正確な計測にはなりませんが、今スピーカーから出ている音のSPLをざっくりと簡易的に知ることが出来るので重宝しています。
- 貴社ならではの使い方がありましたら、ご紹介ください。
丸橋:ルームチューニングの一部をMTRXのSPQカードで行っているため、スピーカーに送るソースとメーターに送るソースを別々に入力しています。モニターソース以外の音をメーターアウトに送れるのは便利だなと感じました。
- 最後に、m908を検討している人にアドバイスするとしたら、何と言いますか。
遠山:安定した動作と、コントローラーの操作のしやすさがメリットだと思います。スタジオオープンや機材更新は営業開始まで短期間で行われるため研修時間をとるのが難しいですが、m908は操作のしやすさからスタッフの研修時間が短くてすみます。またメーカーさんの対応が早いので大変助かっています。
丸橋:まずはお店や展示会などで実物を触ってみることをオススメします。LCDディスプレイや各種ボタン、ボリュームエンコーダノブなどが、とても”ユーザーフレンドリー”に作られていることを感じ取れると思います。
またオプションを追加することで様々な入出力に対応できますので、あらゆる構成のスタジオにマッチすると思います。
- ありがとうございました。
協力: ROCK ON PRO / Media Integration inc.