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そもそもLo-Fiとはどういう意味なのか?
”Lo-Fi”はLow Fiedelityの略で、"Hi-Fi"High Fidelityの対義語として生まれた言葉です。High Fidelityは「忠実度が高い」「高い再現度」という意味で、つまり「アーティストが鳴らしている音そのまま」ということです。音楽のレコーディングは、「いかに現場の音を正確に録音し、パッケージできるか」ということが追い求められてきました。その後1980年代にレコーディング技術が飛躍的に進歩したとき、現場での音だけでなく派手なエコー、オーバーダブ、エフェクトをかけたキャッチーな音像が流行しました。このような豪華主義・商業主義に反発し、現実感のあるリアルなサウンドを追い求めていく過程の中で「Lo-Fiな」サウンドも再評価されていくようになったのです。 Lo-Fiとは元々は「録音状態が悪い」「低音質」という状態を指すスラングで、どちらかと言うと否定的な意味で使われることが多かった言葉です。一方でアンダーグラウンドのミュージックシーンでは、ローファイは表現方法のスタイルの一つとして研究され続けてきました。
そんな"Lo-Fi"の世界、近年また目にすることが多くなったのは間違いなく”lo-fi hiphop”の流行のおかげでしょう。ジャズなどをレコードで再生したようなザラッとした質感でサンプリングし、更にピッチダウン&ビブラートでセンチメンタルかつ浮遊感ある揺らぎがあるのが特徴。それをミニマルなビートに載せた、アンビエントミュージックとしても聴ける新しい世代の音楽ジャンルです。
lo-fi hiphopについては以下のページが詳しいので興味があればぜひ。 https://www.beipana.com/entry/what-is-lofi-hip-hop https://goodbyschema.hatenablog.com/entry/lofi-hiphop_tohaさてアンブレラカンパニーで扱う楽器機材にも、"Lo-Fi"と名がつくものがいくつかあります。オーガニックで生々しい揺らぎを感じさせ、どこか切なくセンチメンタルに響くローファイな機材は独特の個性を持っています。この記事ではそんなペダルや楽器たちを紹介します。
・Bondi Effects / Art Van Delay
ボンダイエフェクツ初のディレイペダルの本機は、アナログディレイでありながらコントロールはデジタル回路を採用。リピートが甘く飽和していく本物のアナログトーンを体験できます。
特徴的なモジュレーションが搭載されているのですが、揺れ具合が絶妙でこれがなんとも気持ちよくローファイな雰囲気を演出してくれます。ビーチで陽射しがきらめき陽炎が揺れる様子をそのままサウンドにしたような抜群のセンス!Washed Outのようなチルウェイヴ系にも通じるトーンだと思います。
深くオーガニックなアナログテープによるビンテージエコーサウンドを再現するディレイペダルです。アナログテープの特性を緻密に再現した【tape age】コントロールで、テープのヨレや汚れを演出しセンチメンタルなトーンを楽しめます。特にtape ageを【old】にしたときの、ヘッドの汚れまで再現したダークなディレイはローファイなサウンドスケープにぴったりです。
Empress Reverbのlo-fiモードではリバーブトーンが不自然にフィルタリングされ、かつディストーションがブレンドされます。テールがざらつき、粗い粒子がプラスされていきます。タランティーノ映画のサウンドトラックのようなトーンに最適です。
・50s Radio: 低域がヘビーにフィルタリングされ、テイルにスラッピーなディレイとディストーションが混ざります。AMラジオのようなLo-Fiサウンドになります。
・Warble:歪んだようなローファイなモジュレーションを制御できるサウンドです。
もちろんEchosystemにもlo-fiアルゴリズムが搭載されています!ディストーション、フィルター、モジュレーションなどが渦巻き不思議なサウンドをクリエイト出来ます。
・Old Timer:古めかしく壊れたようなローファイサウンド。
・Digital Death: 8bitライクなデジタルクラッシュトーン。Nintendoサウンド!
ビルダーDougのサイケデリックな頭の中が表現されるMid-Fi Electronicsでは、ローファイというのは重要な要素の一つ。
4トラックのカセットMTRに直接ギターを突っ込んでクリップさせた音を再現するファズペダル"Demo Tape Fuzz"はまさにローファイとしか言えないサウンド。あえてヘッドルームを「低く」することで独特なトーンを達成しています。磁気テープならではの飽和感、ソフトにサチュレーションする雰囲気は流石のサウンドセンス。1990年代、アメリカのハンドメイド・インディーズシーンのような空気感を感じさせるザラツキ加減が印象的です。
プリゲイン・コントロールを使ってリバーブに有機的な倍音や歪みをプラスできる唯一無二のリバーブペダル。真空管の倍音や、ビンテージのスプリング・リバーブなどの再現はもちろん、ハードに歪ませれば聴いたことのない印象的な音響演出が可能です。更にモーメンタリーでフィードバックを混ぜることもできます!
Empressのようなハイクオリティリバーブとしてではなく、あくまでローファイな音質に重きを置いた個性的なペダルです。インディー映画のようなバイブスも感じられます。
ディレイ回路の前段に設けられた+21dBのブースト/ドライブ回路( ATTACK )により、リピート音に美しくオーガニックな倍音を付加することができる独創的なディレイペダル。アナログディレイのような飽和するまろやかなディレイトーンはもちろん、更にATTACKをあげていけば粗くざらついた質感をリピートに足していくことが出来ます。モーメンタリーでフィードバックさせることも可能ですが、同時にハイパスフィルターが作動し美しくも儚いローファイサウンドになります。
デジタル初期の夢を詰め込んだ、リッチで「Lo-Fi」なコーラス/ビブラートペダル。80-90年代のデジタルコーラスエフェクトが持っていた独特なトーン、ローファイな揺らぎに着目したのは流石のセンス。Blendコントロールを使えば、コーラスがビブラートに変化していく中間のセンチメンタルなトーンも楽しめます。
コントロールはシンプルなリバーブペダルですが、ALTITUDEノブで残響のテイルに粗いファズ粒子を混ぜていくのがDBA流。またリバーブレベル(VERB)は最大で125%!まであげられるので、ALTITUDEと組み合わせてノイジーでLo-Fiな質感を演出できます。茫漠と広がる荒野のような景色。最果ての絶頂感が味わえるペダルです。
リバーブ/ディレイから選択できる空間系と、グラニュラーをベースにした独創的なルーパーを組み合わせたアンビエントマシーン。特徴的なのはペダル全体の処理速度を可変するclockコントロールで、空間系エフェクトやループの質感を高音質~ローファイなトーンへ自由に変更できます。リバーブやディレイでは特に高域のロールオフやリピート/残響の滲み方に大きな変化が現れます。更にclockコントロールはハーモナイズして変化するように区切られているので、リピートやループが転調して展開していくように演出もできます。
全てのコントロールが有機的に絡み合う、まるで水彩画を描くようなペダル。
「経年劣化でダメージを受けたオールドレコードの音飛びや音の揺らぎ」からインスパイアされた、かつて無いコンセプトのコーラス/ビブラートエフェクト。偏執的とも言えるほどの波形エディットとLo-Fi感を演出するToneコントロールを組み合わせれば、ノスタルジックなレコードを再生しているかのような、センチメンタルなビブラートを楽しめます。みずみずしくHiFiなサウンドにも対応している懐の広さもあります。
今年の10月に1000台限定で発売された超リミテッドペダル。Cooper FXのGeneration LossをChase Blissのフォーマットに落とし込んで、コントロール幅を拡大しより使いやすくしたのが本機です。本国メーカーの直販のみでアンブレラカンパニーでは販売できなかったのですが(悔しい!)、あまりにも最高なペダルなので紹介させてください。
これはVHSビデオテープの劣化したローファイサウンドをエミュレートする特殊なモジュレーションペダルです。テープの汚れやヨレを再現するビブラート/ワウフラッター、サウンドの解像度を調節するサンプリングレート、独立したハイパスとローパスフィルター、更にはヒスノイズまで混ぜることもでき、これらの要素を自在に組み合わせてありとあらゆるローファイサウンドをクリエイト出来ます。
用意された1000台は即完売したようで入手は難しいかもしれませんが、もし見かけたらぜひ試していただきたい。"Lo-Fi"という概念に初めて真面目に向き合った、究極のマシンだと思います。
・Bastl Instruments / micro Granny2
lo-fi hiphopではRoland SP-404/SP-404 SXをサンプラーとして使うのが定番ですが、micro Granny2もかなりいいんじゃないかなと。
読み込めるサンプルは8bit or 12bit / 22050Hz、モノオンリーという徹底したLo-Fi仕様!ラインまたはオンボードマイクでサンプリングすると8bit 22050Hzになるのでかなりチャーミングな質感になります。またビットクラッシュも付いているのでさらにグズグズの音質にすることも可能です。
そしてグラニュラーエンジンが搭載されているのが最大の特徴。サンプルを細かく切り刻み、順番を入れ替えて独特なサウンドを演出できます!スタート&エンドポイント設定でリピート/インスタントループも可能。
そして何よりハンドメイドならではのキュートなルックス。micro Grannyを2台並べてシンクさせてライブやったりしたらビジュアルも相当かっこいいと思います。
そもそも"Lo-Fi"とは録音機材が発達しないことから生まれたむしろ避けられるべきもののはず。それに魅力を感じ追い求めるコミュニティがあるの不思議な気持ですが、ゴテゴテに派手にエフェクトされたものよりも、素朴ですこしノイズが混じった音像は安心を与えてくれるのも事実。手軽に手に入るサウンドがどんどんHi-Fiになったことに反発し、むしろLo-Fiにエフェクトさせたものが求められているのはなんだか面白いです。
まだまだ広がっていきそうな"Lo-Fi"の世界!みなさんも面白いものを見つけたらぜひ教えて下さい!