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Wes Audio _DIONE& _MIMAS 導入事例 【レコーディングエンジニア・藤原 暢之 様】「できればこれから出る全てのハードウエアがこうなってほしいぐらい!」

Wes Audio _DIONE, _MIMAS 導入事例

プラグインと同じように完璧にリコールできる「ハードウェア」のコンプレッサー!
レコーディングエンジニア 藤原 暢之 様 Wesaudio,API500,コンプレッサー,リコール,プラグイン,ハードウェア1991 年 Baybridge Studio 入社、スタジオアシスタントとしてキャリアスタート。 その後、Keystone Studio 等でエンジニアとして経験を積み、2001 年にフリーランスとなり現在に至る。 これまで、ゆず、米米CLUB、野宮真貴、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、寺地美穂、クミコ・・・等々、世代やジャンルの垣根を越え、多くのアーティストの作品を手掛けている。 また数々のテレビや映画のサウンドトラックも手掛け、大編成の同録はもちろん、プライベートスタジオでのワンマンオペーレート録音、編集、自身所有のPro Tools での自宅での仕込み、データのやり取りも積極的にこなしている。

★本日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。暫くご都合が合わずお会いできませんでしたが、とてもお忙しいそうです。

藤原様(以下F): 今の時期はライブの収録や劇伴も含めて、4か月で3百曲のミックスをしないとならないんです。毎日早起きして作業をする癖を付けないと、終わらせられなくて。マスタリングの日程に合わせて、ミックスの作業からミックスチェックまで終わらせないとならない状況です。

★かなりの曲数ですね、ミックスの作業は大変ではないですか?

F:特にライブミックスに関しては、一度どう作るのか方針が決まってしまえば、あとの作業は比較的早いです。 最近は、ライブ収録用の機材が以前に比べて簡素化されたことによって、収録された音にも変化を感じているんです。PA用として使うには扱いやすくベストに近い音なのかもしれないですが、収録用の音源としてはクリアすぎるように感じています。収録機材だけでなく、演者さんがライブでインイヤーモニターを使うことが増えてきたことで、カブりの影響も少なくなった分、各楽器の音がスタジオ収録みたいに分離が良くなって、よりクリアになってきたんです。

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★機材の構成がシンプルになったことで、ライブ収録用の素材としては、音が余計にクリアになったのですね。

F:そうですね、そもそも大きな会場で大音量で聴く「ライブPA」で求められる音と、自宅で小さな音量で映像作品を楽しむための「ライブ収録」で求められる音は、少し異なると思うんです。特に最近のPAでは、どちらかというと収音も鮮度とかクリアさを更に増したいという傾向のように感じているのですが、ライブ収録用の素材としては、太さや濁りのような質感がもう少し欲しいと感じてしまうんです。 以前、バンドのライブでデジタルのPAコンソールからの回線を直接収録した素材でミックスしたのですが、ミックスチェックでなかなかOKをもらえず、思うように作ることができなかったんです。次のツアーではクライアントにお願いして、ライブ会場にNEVEの卓を用意してもらい、それを通して収録した素材でミックスしたら、一発でOKをもらえたことがありました。

★アナログ回路から作られる質感で収録することは、作品の完成度にとても重要なのですね。

F:そうなんだと思います。先日も同業の方と話していて、アナログのアウトボードを使うことはもちろん大事だし、ミックス時のリコールもやっぱり必要だよね、という話をしていたんです。トータルリコールを先駆的に開発していたコンソールメーカーも、最近ではリコールの機能が無いハードウェアの製品を作るようになりましたが、現場ではリコールできるハードウェアも求められていると思うんです。

★藤原さんはDAWが普及する前から、アナログベースでトータルリコールができるように作業をされていたのでしょうか。

F:実は、以前はトータルリコールには興味を持っていなくて、Pro Tools内部でのミックスが主流になった時代でも、(DAWのように完璧なリコールが行えない)アナログ・コンソールでのミックスをギリギリまでやっていたんです。Pro Toolsでの作業がスタンダードになってから暫くして、アナログのマスターレコーダーの需要もいよいよ無くなってきた頃、ミックスが終わった数日後にクライアントから「曲の一箇所だけスネアを0.5dB上げて聴いてみたい」という注文を受けたんです。その0.5dBは微妙と思えても、適当な注文ではなくて変化が感じられる重要な数値なんですね。 でも、その時はまだアナログ・コンソールでミックスしていたので、別の日にリコールすることがなかなか難しくて。結果的には元のバランスでOKをもらったのですが、そのような注文が今後も出てくると考えた時に、アナログ・コンソールでの作業に限界を感じたんです。それからは自分もPro Toolsでミックスをするようになってきました。 それでも暫くはリバーブだけは自前のハードウェアを使ってとか、ハードウェアを一部でも使おうと粘っていた時期もありましたが、次第に作業効率からPro Tools内部だけでミックスするようになりました。

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★今回導入していただいたWes Audio ng500シリーズの開発の基となっているSSL GコンプやUrei 1176LEは、以前から使われていたのでしょうか?

F:SSLは4000E/Gのコンソールでミックスしていた時代から、コンソールのバスコンプをマスターに使っていましたし、SSL以外のコンソールで作業する場合も、FX-G384のバスコンプを借りて使っていました。1176も自分は昔から必ず使うコンプでしたね。

★1176はUniversal Audioだけでなく、レプリカ製品やプラグインでも多くの製品が作られていますが、それぞれの印象はいかがでしょうか?

F:1176はハードウェアのレプリカからプラグインまで、ほぼ全て試してきましたが、特にプラグインは今でもやはりハードウェアと異なる質感を感じてしまうんですよね。

★どのような違いを感じますか?

F:どんなプラグインのコンプレッサーでも、ゲインリダクションされた時の音は、倍音感が無く音が丸くなる感じがあると思っていたんです。 実機だと倍音が加わったり、ハードウェアの持つ質感がしっかりと感じられるんですね。コンプが掛かっていない状態では、実機に近い良い印象を持ったプラグインもあったのですが、リダクションされるとプラグイン独特の癖が出てくるように感じるので、リダクションさせたくなくなるんです。 例えばSSLのバスコンプの実機を使っていた頃は、4dBくらいゲインリダクションさせることは普通だったのですが、プラグインで同じように振らせても、実機のイメージのように使えていなかったんです。

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★ng500シリーズは「実機と同じ掛かり具合のイメージで使えて、リコールも容易に行えるアナログハードウェア」が決め手となって導入していただいたのでしょうか?

F:そうですね。ハードウェアでも、例えばロータリースイッチがノッチタイプであればリコールできるので、それでも良いと思っていましたが、Wes Audioからプラグインと同じようにソフトウェア上で完璧にリコールできるハードウェアのコンプレッサーということで、音を聴く前からとても興味があって、デモ機を借りて試してすぐに導入を決めました。

★_DIONEはどのような印象でしたか?

F:実機と全く同じようなイメージで使えて、コンプを掛けたいだけ掛けられるようになりました。

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★_MIMASはどのような使い方をされているのでしょうか。印象についてもお聞かせください。

F:ほぼミックス時に、ライブ収録のベースとボーカルなど、一度録った音に対してハードウェア・インサートしています。 例えば、米米クラブのライブミックスでは、メインボーカルが2人なので_MIMASを2台使っています。プラグインのコンプを通すと音が寝てしまうように感じるので、本当にピークを抑えるだけの最小限の使い方をしていましたが、_MIMASは実機の1176と同じように、しっかりリダクションを掛けることができます。_DIONEも同様に実機と同じ感覚で使えます。 _MIMASのレシオは、これまでの1176で使い馴染みのある4:1が多いですね。上手く説明しにくいですが、4:1くらいの方がアバウトにかかるというか、コンプっぽくガッツリ掛かる気がしています。特にベースなど、音が沈んでいるような時に使うと、断然聴こえるようになります。 Carnhillトランスによって明るい感じが出ていて、出音も良いと思います。

★ありがとうございます。ハードウェアをプラグインと同じ感覚でコントロールすることについて、利便性など何か感じたことはありますか?

F:もうこれは利便性しか感じていません。できればこれから出る全てのハードウエアがこうなってほしいぐらいです(笑) まずはどこに何を使ったか一目でわかりますし、プラグインと併用して使うことになりますので、同じ感覚で操作できますし、前を向いたまま設定を変えられるので、設定違いを試す時にわかりやすいです!

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★ミックスの作業で使うハードウェアは他にあるのでしょうか?

F:DIONEとMIMASと、あとはオーディオインターフェースとADコンバーターだけですね。

★かなりシンプルですが、アウトボードは_DIONEと_MIMASだけというところがありがたいです。

F:_MIMASに関しては、もっと導入したいのですが、今のところ持ち運ぶことを考えて機材量を抑えています、API500モジュールも6スロット以内に抑えたいのですが、以前に色んなモジュールを試したことがあって、その時にフレームの重要性に気が付いたんです。まだ6スロットのフレームは選択肢が限られているので、今後増えてきたらまた検討してみたいと思っています。

★その時はどうぞよろしくお願いいたします。これからもご愛用ください。本日はありがとうございました。

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