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以前にもご紹介した吉岡さんによるMDR-CD900STモディファイ。KAGURAの名を冠してアップグレードしたとの事で早速聴かせていただきました。

実は今回の試聴の前に一度聴かせていただいたのですが、低域の量感バランスの件で、少しだけ(完全に私の好みですが・・・)、リクエストさせていただきました。そして数ヶ月経った先日、吉岡さんから「ついに完成した!」とのメールが!普段から弊社のオリジナル・モディファイの900STと、吉岡MODを音源や気分によって使い分けていた私ですので「楽しみっ!」と待っておりました。

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早速オフィスの試聴環境で皆で聴いてみたのですが、第一印象から全く違う。以前のバージョンではものたりなく感じた低域の量感や解像度が改善され、スーパーツイターを装備する高域の伸びにも負けていない、低域のバランス感を感じました。

これは弊社のオリジナル・モディファイとは全く方向性の異なるサウンド・チューニングで、よりHi-Fiライクなリスニング環境に向いていて、抑制の効いたジャズやソフトタッチの繊細な音源では特に心地よさが引き立つように思います。やはりイヤーパッドにMDR-7506のものを採用している点(よりドライバーの位置は遠くなるので空間が広め)、スーパーツイターを装備する点(縦方向の空間に余裕を感じる)でその目指す方向性が全く異なっています。弊社のサウンドチューニングは音像に実体感を持ち、誇張せず、全くフラットに、正確無比な正しい音像をもたらすのに対し、KAGURAのチューニングはより柔らかく、音楽をリラックスして聴くための心地よい音像を追求しているように感じました。スーパーツイターのもたらす高域は決して刺々しくはならず、ふわっとした霧状のシャワーのように音像に柔らかく混じるので違和感がありません。以前のバージョンではその高域が印象的な分、低域の量感不足が全体のバランスを高域にシフトしてしまっていましたが、今回のモディファイでは低域が拡張された分、全体のバランスが良くなったようです。

具体的には(まだ教えていただいていないので・・)どのような仕組みでバランスが改善されたのかはわからないのですが、第一印象がとても良かったので、家でのレコード鑑賞にしばらく使い込んでみました。ヘッドホンアンプは弊社開発のMDR-CD900ST最適化のバランス駆動(BTL駆動)ヘッドホンアンプのBTL-900です。もちろんBTL駆動で試聴します。

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キックドラムやベースライン、ストレートなロックギターなどを聴く場合は、聴きなれた弊社S氏のモディファイがより迫力を伝えてくれます。録音やマスタリングの検聴には、ジャンル全般において、音像や音質、距離や位相を正確に判断できる弊社オリジナル改造が最高の完成度だと再確認。音楽に含まれるサウンドを誇張することなく、まったくのズレやゆがみがなく、パーフェクトなバランスで再生できるBTL-900とUmbrella Company MDR-CD900ST MODの組み合わせは手前味噌ながら素晴らしい。

KAGURAモディファイは、そのような方向性とは真逆ともいえる、本来のサウンドを保ちつつも、音楽そのものを美しく綺麗に、そしてこの上なく丁寧にエンハンスしたような印象です。その優しく、特に縦方向に広い音像は、もはや900STの特徴を越して、完全なオリジナルサウンドにまで変化させています。個人的にはやはりジャズ系の音源に好みの方向性を感じいろいろと聴いてみたのですが、最近ついに入手したカエターノ・ヴェローゾ&ガル・コスタのボサノヴァの名盤「Domingo」で、あまりに繊細な音の優しさに心をうたれました。決して音質が良いといった盤ではないとは思いますが、当時のブラジルの少しサイケデリックな、けだるさを伴ったような空気感、緩めのリラックした空間が、この丁寧に紡がれたKAGURAチューニングの900STのサウンドに見事に調和していました。

マイルスの「Kind of Blue」や、チェット・ベイカーのボーカルアルバムなども、とても気持ち良く聴くことができて、リラックス・ムードで聴けるところは(リラックス・ムードで聴ける900ST!だなんてもう普通は想像できないとは思いますが(笑)・・・)凄いと思いました!すごく気持ちいオーディオ装置と空間で間接照明でソファーに座って聴いている高級なイメージがKAGURA Modで、弊社のUmbrella Modは、実際のライブハウスで目の前でマイルスが吹いてる、少し煙たいシガレットの匂いなんかまでもリアルに感じられるような、リアルな実体感が特徴のように個人的には感じました。

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今回聴いたどちらのヘッドホンも、チューニングを行った2人の個性がでていて、さらに言い方は悪かもしれないが「異常なまでの900ST愛」に満ち溢れていて興味深いです。最近思うのですが、やはり「仕事」という範疇を超えて、個人が熱中して、ひたすら贅沢に時間を費やして(もちろんその才能やセンスこそが一番大きいのですが)、丁寧に丁寧に紡がれたサウンド・チューニングは聴くとすぐに「あっ。これは丁寧だな」とわかるし、その鳴らされる音像も細部まで繊細に整理され、あるべきところにきっちりと置かれているような印象を受けます。あたりまえの理論かもしれませんが、一般に「仕事」としてやる場合は、時間の制限があったり、いつまでにやらないと損失がでるとか、より多く販売するために万人に対してアピール度の高いものにしていくなど、様々な点で苦労・調整することは多いと思います。先日あるアノ方が私のビザールギターを調整してくれたのですが、それはもう細部の細部に渡るまで丁寧に、なんと数ヶ月の間、時間と手間をかけながらパーフェクトに調整してくれたわけです。普通仕事として会社に属したりしているリペアマンの方は、もちろん素晴らしいお仕事をしてくれますが、そこまで、一歩間違うと異常なまでに丁寧な、手間のかかる仕事は、よほどギャラが良くないと実際のところ、時間や経費の問題から「仕事としては」実現が難しいのかもしれません。それがもう利益なんかもちろん度外視で、自分が好きだからやる、好きだからつい情熱を注いで、時間をかけて、納得できるまで、いくらでも集中して取り組んでしまう、みたいな所から生まれるものは、個人の個性が色濃く反映されていて、なおかつやはり素晴らしい作品であることも多い、思わずはまってしまう可能性の高いものに仕上がっていることが多いように思うのです。そのような魂のこもったサウンドを聴かせていただき、一つの音の芸術として楽しませていただくことは、オーディオの大きな楽しみかもしれませんね。

中央部分の異なる素材や3つの穴の秘密が知りたい!

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今回のKAGURAモディファイなどは、もうひたすら個人の好きな音の追求であると思うし、もはや「900ST愛」によってのみ突き動かされているかのような、もう研究熱心な吉岡さんの人柄が滲み出てしまっている「快作」だと思います。

KAGURAチューニングのMDR-CD900ST、末長く聴かせていただきます。
今度サウンドの秘密や具体的な改造についても聞かせてください。ありがとうございました!!

 

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