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“宅録応援計画”:第3回『マイクプリアンプ』

今回は、前回に少しご紹介しましたタイプの異なるマイクプリアンプについて、それぞれもう少し詳しくご紹介いたします。

【GRACE design m101】

https://umbrella-company.jp/gracedesign-m101.html

GRACE designはハイファイ・オーディオブランドのジェフ・ローランドで働いていたマイケル・グレースが90年代半ばに設立したメーカーです。
ハイファイ・オーディオ製品のように不要な要素を削ぎ落とし洗練されたデザインと扱いやすさを備え、妥協の無い回路設計、そしてパーツの選択まで拘り抜き、全ての製品が高いパフォーマンスと信頼性を両立しています。「いつでも芸術的なパフォーマンスを正確に、芸術性を一切損なうことなく伝えられる機器を設計する」メーカーのポリシーによって、唯一無二のプロ・オーディオ製品を作り続けています。

m101は、ハーフラックサイズの1chマイクプリアンプです。

GRACE designのマイクプリアンプは、トランスフォーマーレスの回路設計(※)、そして丁寧にレイアウトされた基板デザインにより、どの製品もオープンでピュアなサウンドを持ち合わせています(※FELiXシリーズを除く)。ダイナミックレンジの広さと色付けのないフラットで広い周波数特性、演奏のニュアンスを正確にキャプチャーする反応速度など、楽器の音色をありのまま捉えるタイプのGRACE designのマイクプリアンプは、特にアコースティック楽器の生の演奏を繊細かつダイナミックに収録したい場合に最適な選択肢となります。また今後どれだけデジタルレコーディングのスペックが進化し高品質になろうと、GRACE designのマイクプリを使い続けることができるでしょう。

m101のパネルはとてもシンプルですが、その中でも便利に使える機能を紹介します。

「リボンマイクモード」

リボンマイクモードは、パッシブタイプのリボンマイクやダイナミックマイクを使う時におすすめのモードで、以下の機能を持っています。

1.ファンタム電源(DC48V)を回路から外すことで、パッシブリボンマイクなどに誤ってファンタム電源を送り、マイクを損傷させてしまうことを防ぎます。

2.入力インピーダンスをパッシブリボンマイクやダイナミックマイクに適した20kオームに切り替え、理想的な信号を受けられることで、中低域の存在感が得られるなど、標準モードより優れたレスポンスでの収録が可能になります。(コンデンサーマイク、アクティブリボン等用の標準モードは8.1kオーム)

3.不必要なファンタム電源用のDCカットのカップリングコンデンサーを回路から外すことにより、音質劣化を抑えて増幅することができます。

「ハイパスフィルター(HPF)」

ハイパスフィルター(カットオフ周波数:75Hz、スロープ:12dB/Oct.)は、楽器の不要な低域をカットして収録ができます。

ハイパスフィルター(HPF)について:例えばボーカルの収録には、吹かれノイズや空調のノイズなど音楽に不必要な低域の処理をHPFで行い収録することが理想的ですが、使い慣れていないうちは、どれだけカットされるのかを事前によく確認してから使用の判断をすることをお勧めします。例えば高価なマイクを使って良いテイクが録れたとしても、使うHPFによっては必要以上に低域をカットしてしまい、マイクのパフォーマンスを損なってしまう可能性もあります。

m101は75Hzの12dB/oct(バターワース)のフィルターになり、位相変化を抑えて信号に与える影響も少なく、75Hzより上の帯域はベストなパフォーマンスが得られます。メーカー、製品によってHPFの特性や値は異なります。楽器や収録の仕方など、使い方に合わせてカットオフ周波数を変更できる便利なマイクプリもあります。どう録るかによってHPFの使い方も変わってきますし、もちろんHPFを使わずに問題なく収録できるのであれば、録った後に処理をする方が安全で詰めた音作りができる場合もありますので、ぜひ音を聴きながらベストな選択をしてください。

「Hi-Z入力(楽器用ハイインピーダンス入力)」

m101は高品位なDI入力も備えています。1Mオーム(アンバランス入力の場合)の理想的な入力インピーダンスによって、フラットな周波数特性、ハイスピードな反応でパッシブ/アクティブのギターやベースなどの繊細なニュアンスもそのまま収録ができますので、プラグインのアンプシミュレーター用の素材収録としても理想的に使いこなすことができます。(Hi-Z入力はバランス入力にも対応しています。バランス入力の場合は2Mオームになります)


「3系統の出力」

m101は同時使用が可能な3系統(バランス2系統、アンバランス1系統)の出力を持っています。出力が複数あっても自宅録音では使い道がないと思う方もいるかもしれないですが、例えばコンプレッサーの掛け録りをする場合にも、バックアップとしてコンプレッサーを通さない素材も同時に録音できるため、録音時の失敗に備えたとても安全で便利な使い方ができます。この3系統は、同時に使用しても干渉して出力が下がることがなく、そのような応用的な使い方も想定した設計になっています。

「スルーアウトオプション」(ライブ用の高品位なプリアンプ内蔵DIボックスとしても使える)

m101は3系統の出力を持っていますが、標準仕様では全てm101で増幅されたラインレベルの信号が出力されます。「スルーアウトオプション」では、3系統の出力のうち、UNBAL OUT(アンバランス出力)をスルーアウト出力に変更いたします。このように変更することで、ヘッドアンプのセクションはパスされ、入力と同じレベルの信号がUNBAL OUTから出力されます。例えばライブパフォーマンス時にギターアンプやベースアンプに接続し、BAL OUTはPAに繋いで使うなど、高品位なDIのような便利な使い方ができます。(※マイク使用時は、スルーアウトからは出力されません)

-m101 弊社技術部の解説-

GRACE design m101の回路構成は、ICを使った超精密級増幅回路。計測器用・医療機器用のフロントエンドアンプとして開発されたICを使うことで、徹底的に高帯域・高増幅率・低歪・低雑音を実現しています。

・ICを使った超精密級増幅回路:計測器用・医療機器用として開発されたICを採用し、徹底的に高帯域・高増幅率・低歪・低雑音を実現
・フライバック方式の電源回路:高調波ノイズやハムノイズの原因を排除し充分なヘッドルーム、ダイナミックレンジを確保
・ポリプロピレンフィルムコンデンサの採用:優れた静特性と、癖がなく低歪で透明感の高いサウンド
・金属皮膜抵抗器の採用:各部回路に誤差0.5%の精密な抵抗器を使い、静的な特性はもちろん、温度変化に対しても安定した性能
・安定した出力アンプセクション:トランス入力でも電子バランス入力でも、接続先へ正しく伝送し長尺ケーブルに対しても高い安定性
https://umbrella-company.jp/contents/grace-design-m101-advantage/

 
 

【FMR AUDIO RNP8380】

https://umbrella-company.jp/fmraudio-rnp8380.html

FMR AUDIOは全ての商品が数万円という低価格ながら「20万円以上の高価な機材に匹敵する」と大絶賛を受け続けるコストパフォーマンスの高い製品を開発しているメーカーです。ベストセラーのステレオコンプレッサー「RNC1773」は価格を超えた完成度の高さで、発売以降モデルチェンジも無く20年以上も爆発的な人気で売れ続けていて、アマチュア、プロ問わず日本国内でも多くの方に愛用されています。(この記事を読んでいる方でもユーザーは多いのではないかと思うほど)

どちらかというとコンプレッサーのメーカーとして評価されているFMR AUDIOが、RNC1773と同じ1/3Uというコンパクトなサイズに2chのマイクプリアンプを盛り込んだRNP8380を発売してから、こちらも15年以上売れ続けています。

RNP8380は、1/3Uサイズの2chマイクプリアンプです。

GRACE design m101とGolden Age ProjectのPRE-73シリーズの良い所を取ったようなハイブリッドの回路構成で、クリアさと適度な太さ、パンチ感を兼ね備えたサウンドは、楽器やボーカルの収録に向いています。Grayhill製ステップゲインを採用した6dBステップのゲインコントロールによって、高いS/Nで音質劣化を抑えたままゲインを稼ぐことができ、またステレオで使う場合にもLRのゲインバランスを崩さずに行えるなど、セッティングの再現がしやすいところも評価されるポイントでもあります。

m101やPRE-73シリーズと同様にDI入力を備えていますが、RNP8380は高めの1Mオームの入力インピーダンスで、パッシブベースではパンチやスピード、存在感を活かしたままラインレベルに持ち上げることができます。

特にステレオで使う場合にはチャンネル単価も割安で、2ch仕様なのにm101やPRE-73シリーズのどちらよりも小さく軽い作りは、自宅でも置き場所に悩むことなくギターペダルを扱うような感覚で手軽に使えるのではないでしょうか。

また、入力回路やリターンライン受けに使われているOPアンプをハイファイオーディオクラスのものに交換して、よりクリアで高解像度なサウンドを狙ったモディファイ「E/EE」バージョンもおすすめです。

※Eバージョンのサウンドに関する資料
http://umbrella-company.jp/fmraudio-E-modify.html

更に、RNP8380には”インサート端子”が用意されており、RNC1773をチャンネルごとにTRSフォンケーブル1本でシステムとして融合し、収録時のコンプレッサーの掛け録りにシンプルな接続で対応することができます。本来RNC1773の入出力はアンバランス接続ですが、このようにRNP8380へインサートすることで、システム全体が+4dBのバランス入出力接続となるのも大きな利点です。
https://umbrella-company.jp/fmraudio-really-nice-tracking-combo.html

-弊社技術部の解説-

RNP8380はクラスAバイアスのかかったディスクリートトランジスタの入力ステージに精密なオペアンプによる増幅を組み合わせたハイブリッド構成のマイクプリアンプです。キャラクターが濃すぎる事もなくマイクや音源を問わず守備範囲が広い。スイッチング式の電源アダプターを使用するが、内部電源回路で生成し直すため、オーディオ回路は+/-15Vという広い電源電圧で動作している。小さいけど侮れない。

 

★”宅録応援計画”記事の一覧は以下のURLにまとめてあります
https://umbrella-company.jp/contents/tag/homerecordingtips/

 

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株式会社アンブレラカンパニー

https://umbrella-company.jp

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