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FluxToneは、真空管アンプを大音量で鳴らした音色に一切手を加えず、文字通り音量だけをコントロールすることが可能なスピーカを製造する、アメリカのスピーカー・ブランドです。今回はそんなFluxToneの製造や開発を一手に担う、代表のSteve Careyにインタビューを実施しました。
その一つ一つ手作業で組み込まれるスピーカーや、ピュアに音量を下げる独自技術のVMT、そしてその開発のストーリなど、FluxToneのプレミアムなモノづくりに迫ったインタビューを、ぜひご覧ください。
Steve Carey(以下Steve):初めて真空管アンプを作ったのは1965年でした…そのアンプは音は出るものの全然だめで、その上危険でした!私は、当時1年間だけ行われた教育実験に参加して、そこで良い評価をもらったのですが、その時たまたま真空管に関するデータを扱うことができたのです。
Steve:70年代前半、私はディスコなどで使われた複雑なサウンドシステムの設計、開発、インストールに携わっていました。その中で、ソリッドステートのプリアンプや、当時は珍しかった5000ワットのPAのパワーアンプなども取り扱いました。また、ショーの照明コントローラーの設計やインストールなども行っていました。それらの仕事と並行して、住宅、商業、工業問わず、電気技師としても働いていました。セキュリティや監視を目的としたCCTV、カードリーダー、動き検出のシステムなどの導入も行っていました。
90年代に、私は2000フィートのレストランを作りました。そこにはステージがあって、地元のアーティスト達がそこで演奏していたのです。そして、これこそがFluxToneをはじめるきっかけだったのですが…いくつかのバンドの音が大きすぎたのです!
私はギタリストたちの音色を無下に扱ったり、彼らを動揺させることなく、彼らの音量を下げる方法を見つける必要がありました。パワーソークや信号処理、その他いくつかの方法を試したのですが、どれも不評で、「俺のトーンを変えただろ」「これのせいでアンプのフィーリングが変わった」などの不満の声を受けました。
そしてついに、「これだ!!」と、誰にも文句を言われないであろうアイデアを思いついたのです。私のシステムで初めて演奏したとき、彼らの表情は、それはもう素晴らしいものでした。「なんで60年間も発明されなかったんだろう…」「これは世界が変わる…」「これこそが俺の求めていた”マスター・ボリューム”だよ」など、たくさんの言葉をもらいました。
この時、FluxToneが誕生したのです。
Steve:VMTは "Variable Magnetic Technology "の略です。 簡単に言うと、スピーカに磁力を変えられるマグネットを取り付けています。 これがFluxToneの真髄です...スピーカーのボイスコイルに与えられる信号の強さがどのようなものであっても、マグネットが大きい、あるいは強力であればあるほど、スピーカーの音量は大きくなります。 その逆もまた同様で、ボイスコイルに同じ信号が送られるとき、マグネットが弱ければ弱いほど、スピーカーの音は小さくなります。
Steve:VMTコントローラーはスピーカーの電磁石へ送られるDC電圧をコントロールしています。電圧と出力DBの比は複雑で、FluxTone独自開発のものです。
Steve:真空管アンプの出力段が限界を超えてドライブすると、出力トランスも本来不可能なレベルのパフォーマンスを求められます。この結果、ギターのピックアップからは発せられていない倍音や歪みが生成されます。この時、抵抗器やその他エネルギーを消費するデバイスをトランスやスピーカーの間に挟んだり、電源供給を減らして真空管のパフォーマンスを調整したりすると、私が”鳴り”と呼んでいる、行ったり来たりするエネルギーの入れ替わりを阻害することになります。こうなると、先述した倍音は生成されなくなってしまうのです。
詳細な解説はさておき、簡潔に言えば以下の通りです。
A)真空管はその限界を超えてプッシュされると、特定の倍音を生成する。
B)出力トランスはその波形をスピーカーへと受け渡す際に、さらに特定の音色のようなものを付け加える。
C)最終的にスピーカーはその複雑なシグナルを音に変換しようとするが、仕組み上変換しきれない。すると、そのエネルギーのいくらかがトランスや出力の真空管へと反射して戻っていき、ギターというよりはオルガンのような、より豊かで複雑な波形になっていく。
こうして出来上がるのが、真空管アンプの”トーン”と呼ばれるものなのです。
Steve:FluxToneのスピーカーは、新しい種類のトーンやサウンドを作り出すためのものではありません。すでに存在する、アーティストが希望しているスピーカーのサウンドで音量を調整するためのものです。これが、FluxToneがオリジナルのスピーカーの可動部品を使用する理由です。だからこそ、例えばCelestion Goldスピーカーのコーン・アセンブリを我々のスピーカー・フレームに使用したものは、Celestion Goldスピーカーと全く同じ音で音量を変えられる、ということが保証できるのです。
Steve:ボイスコイルにとって、磁界を生み出しているものが何であるかは関係がありません。アルニコやセラミック、その他磁界を発生させるものによる音の違いを感じるかもしれませんが、それはギャップの大きさやボイスコイルの重さ、コーンの繊維の長さで説明がつくのです。これらの要素は、何が磁界を生み出しているかよりもよっぽど、スピーカーの音に影響しています。
簡単に言えば、すべての変動する数値を取り除いて、ギャップ内の磁界の強さを同じにすると、スピーカーは同じサウンドになるということです。
Steve:私たちは、特定のスピーカーのためにカスタムスピーカー制作も行っていますが、一度に一つだけ作るのは非常にコストがかかります。現状、私たちは市場において要望が多く、また望ましいとされているスピーカのサウンドを採用することで、あらゆる分野をカバーできていると思っています。
Steve:スピーカーの最終組み立ては私が手作業で行っていて、最終組み立てのための金属パーツの一部は、少し離れた工場で作っています。すべてのパーツを揃えて製造、取り付け、フィニッシュをするのに、一つのスピーカーあたり8時間程度かかります。
今回は特別に、Model 11A ”Big Blue Fiberglass”の製造過程の一部を撮影してもらいました。
FluxToneでは組み込みに必要な一部パーツを、会社から少し離れた工場で自作しています。その後、オリジナルと可能な限り同じパーツを揃え、Steve本人によって組み込みが行われます。組み込みの過程で使われる道具もすべてこだわりのもので、接着剤もSteveが選び抜いたものを使用しています。
Steve:FluxTone Guitar Speakerは、場所に合わせて音量を調整したいが、自分のアンプのフィーリングやタッチ、音色を変えたくないギタリストのためのスピーカーです。 ベッドルームでも、レコーディングスタジオでも、ステージ上でも。FluxToneならアンプは一つだけで、あとは状況に合わせてスピーカーのボリュームを調整するだけ。音量を合わせるために、少しずつ音色の違う複数のアンプを持つ必要はありません。 一番お気に入りのアンプだけを弾き込んで、トーンを変えずに音量だけ変えることができるのです。
FluxTone Guitar Speakerが気になった方は、まずはその真にピュアなボリュームコントロールを体感してみましょう! 以下のリンクから、FluxTone製品を体験できるショップやスペースを確認できます。
https://umbrella-company.jp/contents/fluxtone-demonstration/
FluxTone Guitar Speakerは交換用のスピーカーです。そのため、「どれを選べばいいの?」「普通のスピーカーと取り付けで違う点は?」などの不安もあるでしょう。 アンブレラカンパニーでも取り付けサービスなどのお客様サポートを行っていますが、今回はそんな不安を解決するために、Steveに取り付けに関する注意点も教えてもらいました。
Steve:VMTコントローラーはAC100-250Vで100%のパフォーマンスを発揮します。
Steve:およそ15-20W、AC100Vだと0.17Aです。
Steve:他のギタースピーカーと同様に選べば大丈夫です。8Ωのものが多いですが、16Ωのものもいくつか用意しています。(16Ωのスピーカーは8Ωの同じようなスピーカーに比べて、少しだけハイエンドが強調されます。)
Steve:8Ωのスピーカーに入力する際に、どの出力を選ぶかによって音はわずかに変わります。アンプで歪ませるとわかりやすいでしょう。
Steve:アンプより高いワット数のスピーカーを選んでください。
Steve:FluxToneのスピーカーを取り付けるのに十分なスペースがキャビネットにあるかを確認してください。(寸法は直径がおよそ5インチ、スピーカーのマウンティング面から背面までがおよそ7インチです。)
Steve:スピーカーのメタルパーツの周りを循環するような空気の通り道を、必ず確保するようにしてください。オープン・バックのキャビネットであれば、この空気の通り道が確保されているはずです。もしクローズド・バックのキャビネットを用いる場合は、空気の循環のためのベント・ホールを二つほど開ける必要があります。
適切なモデル選びと取り付けで、FluxToneのスペシャルな体験を100%体感しましょう!