今回は前回に引き続き、GRACE design、Golden Age Project、FMR AUDIOの3ブランドから、自宅で制作作業を行うプロのミュージシャンに評価が高く、音楽制作をこれから始める方にもおすすめの10万円以下の「コンプレッサー」の実力機をそろえて、ボーカル、アコースティックギター、ベースの音源素材を収録し、比較試聴できるようにいたしました。
機種別に各トラックを紹介していますが、楽器などの素材別にオーディションしたい方もいらっしゃると思いますので、
本ページの一番最後に『素材別のプレイリスト』もご用意いたしました。
前回のマイクプリアンプの比較試聴記事の続きです。
https://umbrella-company.jp/contents/micpreamp/
今回も再びレコーディングエンジニアの岡野崇史さんに協力していただき「Cradle Studio」にて収録を行いました。
音源の収録に使われたマイクプリアンプは、ボーカルとアコースティックギターにはGolden Age Project PRE-73DLX、ベースにはVintech Audio X73で収録した素材を使用しました。効果が確認し易いように、通常より深めにコンプレッションを掛けています。
収録中、岡野さんには簡単に各機種の設定や音、掛かり具合などの印象も伺いました。
それでは早速収録した比較音源を聴いてみましょう。
★GRACE design m102
スムーシングフィードバックデザインのオプティカル・コンプレッサー。極めてクリーンでワイドレンジかつニュートラルなコンプレッションサウンドが特長。生楽器の収録やナレーションなど、色付け無くナチュラルにコンプレッションさせたい場合に最適。
http://umbrella-company.jp/gracedesign-m102.html
・Vocal
Attack=150ms位、Release=500ms位、Ratio=5:1、Gain Reduction=ピーク時5dB
・Guitar(Stroke)
Attack=140ms位、Release=700ms位、Ratio=5:1、Gain Reduction=ピーク時6dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=50ms位、Release=30ms、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時7dB
・Bass
Attack=100ms位、Release=30ms、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時7dB
「深く掛けても掛かりすぎた感じがないですね。Hifiオーディオのような質感で原音に忠実で、AVALON designと方向性が似ている印象を持ちました。このHifiな感じは音楽制作では好みが分かれるかもしれないですが、ナレーション録りには使いやすいと思います。楽器に使うとしたら、これでコンプをナチュラルに掛けて、異なるキャラクターのEQなどで色をつけるような使い方も良いかもしれないです」
★Golden Age Project COMP-54
クラシックNEVE 2254コンプレッサーと同じクラスAサーキットを採用しオールディスクリート回路で構成された、ハイコストパフォーマンスのコンプレッサー。
http://www.umbrella-company.jp/goldenageproject_comp-54.html
・Vocal
Attack=3ms位、Release=50ms位、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時10dB
・Guitar(Stroke)
Attack=60ms位、Release=50ms位、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時8dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=30ms位、Release=25ms、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時8dB
・Bass
Attack=60ms位、Release=25ms、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時8dB
「PRE-73DLXと同じような傾向で、音楽的な押し出し感があります。深く掛けてもコンプ臭くならず、個人的には好みの質感です。サイドチェインの機能も便利ですね。」
★FMR AUDIO RNC1773(Normal Mode)
ステレオコンプレッサーの超ロングセラー。設定に忠実に掛かるNORMAL MODEとプロフェッショナルなテクニックを応用したSUPER NICE MODEで積極的に音作りに使える優れた製品。
http://umbrella-company.jp/fmraudio-rnc1773.html
・Vocal
Attack=6.0ms位、Release=80ms位、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時2dB
・Guitar(Stroke)
Attack=10ms位、Release=80ms位、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=1.8ms位、Release=100ms、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時6dB
・Bass
Attack=1.5ms位、Release=80ms、Ratio=7:1、Gain Reduction=ピーク時5dB
「パキっと掛かりますね。コンプ臭さは少し出ますが、ちゃんと整えてくれる印象です。レベル差の大きいボーカルにも使いやすいと思います。」
★FMR AUDIO RNC1773(Super Nice Mode)
・Vocal
Attack=6.0ms位、Release=50ms位、Ratio=4:1、Gain Reduction=ピーク時2dB
・Guitar(Stroke)
Attack=10ms位、Release=80ms位、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=2.0ms位、Release=100ms、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
・Bass
Attack=18ms位、Release=500ms、Ratio=7:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
「ノーマルモードでのコンプ臭さが無くなって、特にベースに掛けている時にはかなりナチュラルに感じました。コンプを掛けた後の波形を見ても、その傾向が感じられました。例えばボーカルでレベル差の大きい人の場合には、Super Niceモードがハマるかもしれないですね。」
★FMR AUDIO RNLA7239(Normal Mode)
RNC1773の使いやすいコンパクト性、ステレオ・オペレーションはそのままに、名機LA2A、LA3A、1176を参考に開発し、フルコントロールで自由度の高い設定を可能にしたステレオレベリングアンプ。芳醇なアナログ・ハーモニクスと中低域のドライブ感と粘りのあるコンプ・カーブが特長。
http://umbrella-company.jp/fmraudio-rnla7239.html
・Vocal
Attack=「3」、Release=「1」、Ratio=2:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
・Guitar(Stroke)
Attack=「3」、Release=「3.5」、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時6dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=「5」、Release=「5」、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時6dB
・Bass
Attack=「7」、Release=「2」、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
★FMR AUDIO RNLA7239(Log Rel Mode)
・Vocal
Attack=「3」、Release=「3.5」、Ratio=4:1、Gain Reduction=ピーク時4dB
・Guitar(Stroke)
Attack=「3」、Release=「3.5」、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時6dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=「5」、Release=「5」、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時6dB
・Bass
Attack=「7」、Release=「2」、Ratio=6:1、Gain Reduction=ピーク時5dB
★FMR AUDIO PBC-6A(Normal Mode)
音楽的なビンテージ・コンプレッサーの贅沢なサウンドを再現したMONOコンプレッサー。XLR入出力を装備したプロ仕様。コンプレッションと倍音をコントロールするDRIVE、無段階にコントロール可能なKnee、サイドチェイン・フィルターなど、追い込んだ音作りに必要な機能を備えたプロフェッショナル仕様。
http://umbrella-company.jp/fmraudio-pbc-6a.html
・Vocal
Attack=「8」、Release=「1」、Knee=11時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
・Guitar(Stroke)
Attack=「3.2」、Release=「1.5」、Knee=11時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=「4.5」、Release=「2.5」、Knee=9時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
・Bass
Attack=「2」、Release=「5」、Knee=9時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
★FMR AUDIO PBC-6A(Thick Mode)
・Vocal
Attack=「8」、Release=「1」、Knee=11時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
・Guitar(Stroke)
Attack=「3.2」、Release=「1.5」、Knee=11時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
・Guitar(Arpeggio)
Attack=「4.5」、Release=「2.5」、Knee=9時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
・Bass
Attack=「2」、Release=「3.5」、Knee=9時の位置、Gain Reduction=ピーク時9-12dB
「出音は中域にパンチがあって、COMP-54寄りの印象です。リリースの設定で粘っこさが出てきて、レベル変化が無く掛かり具合が変化するし、深めに掛けてもすごく良い印象でした。RNC1773やRNLA7239よりもチャンネル単価が数倍するので、その分回路も違いがあるのかな。Driveの設定は、音量の変化無くアタックやリリース、レシオなど調整ができるので、ストレス無くセッティングできます。一般的なコンプだと、スレッショルドを常に調整しながら設定する必要があるので、これは使いやすいと思います。Thickではロー成分のスピード感が速くなったように感じました。時間の無い時には、有効的な機能かもしれないです。」
素材別プレイリスト
Vocal
Guitar Stroke
Guitar Arpeggio
Bass