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1950年代後半に発売後、アナログ・カッティングの時の保護装置として、また放送局のリミッターとして使用され、世界からレベルコントロールのスタンダードと評された、デュアルチャンネル・リミッターのFairchild 670とモノラルモデルの660。 英国の伝説的なレコーディングスタジオ「Abbey Road Studios」では、1964年に660が初めて導入されてから、すぐにボーカル処理に最適なユニットとして使われるようになり、1966年にザ・ビートルズのエンジニア、ジェフ・エメリックがリンゴのドラムに使い始めてからは、ボーカルやドラムのレコーディングでフェアチャイルドが活躍するようになりました。
RS660は、アビーロード・スタジオと米国のChandler Limitedの共同開発によって製作された、世界的名機Fairchild 660スタイルのコンプレッサーです。Chandler Limitedの創設者でありチーフエンジニアであるWade Goekeが、歴史的なコンプレッサーの代表格であるRS124の優れた技術を、the Beatlesの作品の数多くのレコーディングで使われた「Fairchild 660」のビンテージデザインに融合し、現代のユニットとして成り立たせるために3年間を費やして作られました。 これまでにFairchild 670を所有し伝説的名機を数多くのレコーディングで使用されたことのあるレコーディングエンジニアの青野光政さんに、RS660を試用していただきました。
青野光政 プロフィール
I・DE・A Sound主宰のレコーディングエンジニア。 ビンテージ機材への造けいは業界でも有名。アイドルからジャズ、クラシックまで、ジャンルを問わず幅広く活躍している。 1971年 学生時代、ニッポン放送にて技術アルバイトを始める 1974年 ビクター・スタジオにて、アシスタントを始める 1976年 ヤマハ音楽振興会入社。アシスタント、 チーフ・エンジニアを始める。 在籍中、中島みゆき、八神純子、石川優子、山根麻衣 クリスタル・キング等の、レコーディングに参加。 1982年 ヤマハ音楽振興会退社。フリー・エンジニアに。 1992年 有限会社イデア・サウンド設立。 現在に至る。 主なアーティスト; SMAP、嵐、MATCHY with QUESTION?、Kinki Kids、ASUPALGU、TRICERATOPS、KOJIKANATUR、泉谷しげる、ザ・フォーク・クルセダーズ、浜田省吾、井上陽水、中島みゆき、林田健司、真心ブラザーズ、THE COLTS、ツノダ・ヒロ、カルメン・マキ、class、早見優、松本伊代、少女隊、島谷ひとみ、MAX、hitomi、TRF、鈴里真帆、ポケットモンスター、他、多数。
青野光政:最初にRS660を広げて使った時、僕が持っていたFairchild 660レッドロゴに凄くよく似てるなと驚きました。Fairchild 660というのは皆さんもご存知なFairchild 670の1ch MONO COMPの事をなんですが、このFairchildはコンプレッションの掛かり方が2種類有ってシリアル番号が100番以内の個体をレッドロゴ、それ以降をホワイトロゴと聞いています、RS660はそのレッドロゴにとても似ていました。 どんな掛かり方をするかというと、Fairchild 660のレッドロゴは可也スレッシュホールドをいっぱいにかけても音源が破綻をせず自然な掛かり方をします。RS660も同じようにインプットをいっぱい回してスレッシュホールドを掛けてもスムーズで自然なコンプレッションが掛かるのです。こういうコンプレッサーはFairchildシリーズしか有りませんでした。それもレッドロゴ以外では。 ホワイトロゴは、このようにスムーズな自然なコンプレションは掛かりません、ニーが強く破綻してしまうえぐい掛かり方をします。これは凄いです、そしてTHD(回路だけ通す)と言う機能も付いていてとても便利です。こういうハードウエアーを一度は手に入れてみてください。
青野光政:では、チェックをしていきます、モードはCOMPです。まずは歌に掛けてみます。 最初はあまりインプットスレッシュホールドを掛けずに聴いています、変化は余り感じません、一気に全開に掛けてみましょう。オオッ、破綻せず良いです、段々元に、掛りが浅くなるようにしていきます、今チェックしてる音源はキックが4つ打ちの高揚感ある曲なのですが、RS660を掛けなかった時はキックがグルーブを引っ張っていってるように聴こえてました。それが、唄が中心で引っ張っていくグルーブ感に変わりました。ここがRS660の凄いところです。 TIME CONSTANTは、僕の持っていたFairchild 660では2か3で唄に掛けていたのですが、RS660では1に設定しました。EMI RS124の技術的アドバンテージと融合して完成したとも取説に書いてあったので、そこで少し違いが出ているのかもしれませんね。EMI RS124はアルテックの436CompをCHANDLERとEMIが改造した名機です。
青野光政:次に。E.Bassに掛けてみました。音源は結構ポジションの高低差が有ります、これを一定の音量にしたいのでそれをやってみました。Fairchild 660はこれが得意なので、RS660にも遣らせてみました。セットはインプットを7目盛にしてます。音源のアウトプット音量はVUメーターでちょうど赤目盛+3でちょっと振り切るくらいの設定にしています。プロツールスのハードインサートでやっていますので、プラグインのようにインサートしてます。ばっちり濃い音源に変貌しましたね、ニーがきつくて破綻するようなことはありません。LIMITモードでも試してみましたが、COMPモードの方が自然でした。TIME CONSTANTは3にセットしました。 ドラムに掛けてみましょう。kickです。インプットを7目盛にしてます。当然ですがスレッシュホールドはかなり掛かった状態です。音源のアウトプットはベースと同じように、VUメーターでちょうど赤目盛+3でちょっと振り切るくらいの設定にしています。compを掛けていない時はちょっと短めだった余韻が伸びて良い感じになります。TIME CONSTANTは5にセットしています。 ただこれは、ベースとの音の倍音にもかかわりがあるので、リリース短め、アタックが強めに出るセットTIME CONSTANT 1でも試します。ベースと混ぜた時はこのセットの方がうまくグルーブしますね。 次はスネアです。インプットを7目盛にしてます。TIME CONSTANT 4で良い感じになりました。スネアのザーというリリース音が心地よく伸びています。アタックもパツパツにならず、自然な音でリリースが長くなってスネアらしい音になりました。いやーいいね。
青野光政:RS660、Fairchild 660の良さと、アルテック436の合わせ技、どちらかと言えばFairchild 660の比重が多いのですがアルテックの良さが垣間見える所があって素晴らしいハードウエアーになっています。プラグインではできないなー、こういう音は。 TIME CONSTANTがFairchild660より一つ多く有るのでこれも嬉しいですね。TIME CONSTANTとインプット(マイクHAの出力、DAWで録ったオーディオ出力)をうまくコントロールしてスレッシュホールド一決めるのが楽しいです。これ失敗すると全てパー(笑)
https://umbrella-company.jp/chandlerlimited-rs660.html
RS660 はデモ機をご用意しております。 ご興味のある方は、お近くの販売店、または弊社までお問い合わせください。 https://umbrella-company.jp/sales.html https://umbrella-company.jp/demonstration.html