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今回、GRACE design、Golden Age Project、FMR AUDIOの3ブランドから、自宅で制作作業を行うプロのミュージシャンに評価が高く、音楽制作をこれから始める方にもおすすめの10万円以下のマイクプリアンプやコンプレッサーの実力機をそろえて、ボーカル、ギター、ベースなど4種類の素材を実際に収録し、比較試聴できるようにいたしました。
今回はまずマイクプリアンプの比較試聴素材を紹介いたします。
マイクロホンにはコンデンサーマイクのNeumann U87Aiを使用し、男性ボーカル、女性ボーカル、アコースティックギター、そしてベースはDI入力を使用して、機種と本体のゲイン等の各設定以外は同じ条件で、演奏を繰りかえしながら収録しました。比較対象として、敢えて30~40万円クラスのVintech Audio X73を用意しました。NEVE1073のオリジナル回路を再現し、オリジナル同等の各パーツによって最良の状態でレプリカされたハイエンドマイクプリアンプです。
今回の収録作業はレコーディングエンジニアの岡野崇史さんのスタジオ「Cradle Studio」にて行われ、アコースティックギターとボーカルの岡本晃弦さん、ボーカルの青柳静佳さん、そしてベースに人時さんに協力していただき、収録中、簡単に各機種の印象なども伺いました。
岡本晃弦(僕はハーレム) 使用ギター:ヤイリギター DY95C okamotoakira.com
青柳静佳(僕はハーレム) aoyagishizuka.com 人時 hitoki.info・Vintech Audio X73
http://www.umbrella-company.jp/vintech-audio-x73.html
★Golden Age Project PRE-73DLXの素材について Golden Age Project PRE-73DLXは、600オームの出力ターミネーションの設定が行えます。 この設定を有効(600ohm ON)/無効(600ohm OFF)にした素材を収録してします。 600オームの出力ターミネーションを有効にすることで、出力トランスのドライブ感をより引き出し、倍音や周波数特性に変化が現れオーガニックなトーンになります。
Golden Age Project PRE-73DLXは、DI入力をカスタマイズできるように設計されています。 詳細については、以下のページをご参照ください。 http://umbrella-company.jp/buzz/gap-pre73-manual-manual.html 設定方法については、取扱説明書をご参照ください。 ・03_PRE-73DLX Bass(Default) 初期設定(アクティブタイプのDI入力、1.5Mオーム、マイク入力トランスを経由) ・04_PRE-73DLX Bass(100k ohm) アクティブタイプのDI入力のインピーダンスを100kオームに設定 ・05_PRE-73DLX Bass(Passive Input) パッシブタイプのDI入力 ・06_PRE-73DLX Bass(Mic Trance Off) DI入力の信号がマイク入力トランスを経由させずにゲインステージに送る設定
弊社技術部コメント:GRACE design m101は計装増幅器の技術を応用しており広帯域・低雑音・低歪を実現しています。2.5Hzから195kHzの範囲でフラットレスポンスを実現しています。m101のようなトランスレス設計のプリアンプの方が広帯域でフラットレスポンスは実現しやすい。NEVE系と比べて中域を抑えたように感じたというのは当然です、NEVE系は入出力のトランスにより周波数帯域が制限されています。むしろNEVE系のアンプの帯域が狭いと言うのが実のところでしょう。
弊社技術部コメント:RNP8380はクラスAバイアスのかかったディスクリートトランジスタの入力ステージに精密なオペアンプによる増幅を組み合わせたハイブリッド構成のマイクプリアンプです。キャラクターが濃すぎる事もなくマイクや音源を問わず守備範囲が広い。スイッチング式の電源アダプターを使用するが、内部電源回路で生成し直すため、オーディオ回路は+/-15Vという広い電源電圧で動作している。小さいけど侮れない。
岡野さん:中域の作り方が良いですね。中域から低域のパンチ感はRNP8380よりも優れていて、全体的に張りが感じられます。出力ターミネーションスイッチはONにすると低域がしっかり作られた印象になって、音楽的で個人的には今回の機種の中で一番好きな音です。
岡本さん:(出力ターミネーションスイッチONの状態は)いつもの音(AMEK Channel in A Box)に近い印象ですね。弊社技術部コメント:PRE-73DLXはトランスバランス、クラスAディスクリートマイクプリアンプ。NEVEのプリアンプを低コストで再現したモデル。カップリングコンデンサにタンタルコンデンサを採用するなどNEVEサウンドをよく研究している。コストパフォーマンス向上のためにバランスを見ながらパーツの選択が行われている。入出力のトランスは有名トランスメーカーの物ではない。トランスはトランスなのでトランス特有のカラーは良く出ている、かえって本家NEVEよりも倍音感は多く感じる?中低域のパンチやハリにつながる要素は本家のトランス以上なのかもしれない。
青柳さん:歌っていてモニターの自分の声の聴こえ方が違うのに気が付きました。この機材は前の機材と違って歌わされるように感じたり、歌い始めた瞬間に「あれ、さっきと同じ発声してる?」と感じるほど聴こえ方が違いました。歌い始めの立ち上がりが遅く聴こえたり、止めた時のニュアンスも違うように感じました。機材など周りの環境に影響されないように、ボーカリストはちゃんと自分のイメージ通りに歌わないといけないんだと思いました。貴重な経験でした。
人時さん:今回のベースの単音で聴いた限りで言うと、印象が良かったのはPRE-73DLXですね。m101はレンジが他の機種よりも広そうですね。m101はミッドが他と比べて少し薄く感じましたが、他の楽器と混じった時にはピッキングのアタック感が出やすいように感じました。(トランスレス・マイクプリ回路であることを聞いて)なるほどね。確かに前には出てこない感じですよね。PRE-73DLXはベースの前に出て欲しい帯域がちゃんと出てくるので、ロックには向いているように感じました。