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GRACE design m908モニターコントローラーの魅力に迫る『クローズアップ:m908』の第22回は、m908のシステムプリセットである「ワークフロー」について詳しく解説していきます。
m908のセットアップメニューは、大きく分けてワークフロー設定とシステム設定の2つあります。
ワークフローとは、m908を構成する全てのシステム設定をひとつにまとめた「システムプリセット」です。以下の項目がワークフローに含まれており、1つのファイルに保存されます。
・DSPチャンネルの割り当て(スピーカー構成、CUEシステム、ステレオヘッドホンモニター、トークバックシステム) ・システム設定(ルーティングやディレイ、ルームEQなど、設定可能な全てのメニュー)
ワークフロー設定のメイン画面
ワークフロー設定を開くと、上記の画面が表示されます。
< edit > ワークフローを編集します。 < load > ワークフローをシステムワークフローとして読み込みます。 < copy > 現在あるワークフローのコピーを作成します。 < new > ワークフローテンプレートから新しいワークフローを作成します。 < import > 保存されたワークフローを読み込みます。 < export > ワークフローを保存します。 < delete > ワークフローを削除します。
ワークフローの編集画面
DSP チャンネルの割り当ては < edit > からワークフローファイルを選択すると表示される < channel setup > (チャンネル設定)から行います。スピーカー、CUE、トークバックマイク、ヘッドホンをワークフローに追加または削除できます。
RCUの画面には、選択可能なすべてのスピーカーポジションが表示されます。現在のワークフローで有効になっているポジションは白く表示されます。無効な場合は灰色になります。このスピーカーの配置は割り当て可能なDSPチャンネル数の範囲内で自由に選択できます。(Webブラウザから設定を行う場合、スピーカーのアイコンをクリックすると、ワークフローにスピーカーを追加・削除できます。)
また、ウィンドウの下にはステレオCUE系統、トークバックマイク、ヘッドホンのステータスが表示されています。
m908は24チャンネルのDSPを搭載し、このDSPによりスピーカーシステム、CUEシステム、ステレオヘッドホンモニター、及びトークバックシステムの信号処理を実現します。
m908のDSPの詳細は、以下の「DSPチャンネル」についての解説記事をご参照ください。 https://umbrella-company.jp/contents/close_up_m908_5/
例えば、Dolby Atmos 7.1.4のスピーカーシステムを組む場合、ワークフロー設定の編集画面で以下のように割り当てることができます。
・スピーカーシステム:7.1.4(合計12チャンネル) ・CUE:ステレオ2系統(CUEシステム1系統、SLS 1系統、合計4チャンネル) ・トークバック:2チャンネル(RCU内蔵マイクと外部マイク入力) ・ヘッドホン:2チャンネル(LRで2チャンネル) ---------------------------------------------- 合計20チャンネル
上記の構成の場合は、合計で20チャンネルを使用します。 残り4チャンネルは未使用ですが、さらにCUEを2系統追加するなど、柔軟な構成が可能です。
9.2.6 のワークフロー例
システム設定では、これまでの記事でご紹介しました、以下の設定やキャリブレーションなどを行うことができます。
・入出力のコネクターとDSPチャンネルのルーティング ・スピーカーシステムのルームEQやタイムアライメントディレイなどのキャリブレーション ・ベースマネジメントといったモニタリングの設定 ・CUEやトークバックなどの詳細の設定、クロックの設定など
システム設定の各ページ
システム設定を含めたワークフローは m908 本体に複数保存できるほか、Webブラウザコントロールを使いPC/Mac にファイルとして保存することが可能です。
もし設定に意図しない変更をした場合でも、バックアップとして用意しておいたワークフローをインポートする事で簡単に復元させることが可能です。また、通常業務用としてDolby Atmos 7.1.4 のミックスから CUE、トークバックを使用したレコーディングまで対応するワークフローを作成して、別にDolby Atmos とは異なるイマーシブフォーマット向けのミックス用ワークフローを作成しておくことや、オペレーターごとにカスタマイズしたワークフローを作成したり、Dolby Atmos ターゲットカーブ EQ の有無といった異なるキャリブレーションを作成しておくことも可能です。
このように、作業内容や目的に応じたさまざまなバリエーションをあらかじめ作成しておくことで、その日の業務に最適なワークフローをすぐに呼び出して活用することができます。
m908本体内に複数のワークフローのテンプレートが用意されています。商品の出荷時には、実装されたオプションカードに適したワークフローがあらかじめ設定されていますので、必要に応じて編集を行うことで、セットアップの時間と労力を大幅に節約できます。
ワークフローは m908や、PC/Mac にファイルとして複数保存したり読み込むことが可能
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