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Interview column インタビュー&コラム

チェコのクリエイティブ・シンセサイザー・ブランド "BASTL INSTRUMENTS "の魅力とそのヒストリー。

約1年ほど前に"Meeting of Modular"イベントのBASTL INSTRUMENTS特集で呼んでいただいた際に、BASTL INSTRUMENTSの歴史についてプレゼンした際のスライドとトーク用の下書きを発見したので、少し加筆して公開しようと思いました。 チェコ共和国で極めて個性的でクリエイティブなシンセサイザーを開発し続ける謎の集団の歴史と現在に迫ります! その時のスライド用のPDFデータはこちらです。 資料とあわせてご覧ください!

★ チェコ共和国のシンセサイザーメーカー。

チェコ共和国のシンセサイザーメーカー「BASTL INSTRUMENTS」。 そのユニークなサウンド、コンセプトとアプローチは今や世界中から注目されています。 チェコスロヴァキアの民主化運動に、ルー・リードやジョン・ケイルが在籍したあのヴェルヴェット・アンダーグラウンドの静かな影響があったことは、1989年の「ビロード革命 /Velvet Revolution」の後にハヴェル大統領が語っています(「Between Thought and Expression」というルー・リードの詩集にルーとハヴェル大統領の対談を交えた記事が掲載されています。とても興味深い内容なのでぜひご一読ください)。 文化や音楽が検閲されていた時代に、BASTL INSTRUMENTSのVáclav(ヴァーツラフ)がヒーローとして紹介している"Standa Filip(スタンダ・フィリップ)"は自作のシンセやドラムマシン、エレクトリックギターなどを独自の発想で開発していました。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲を演奏しただけで逮捕されたり、自由にレコードや電子楽器を購入する事もできなかった時代ですから、レントゲンフィルムに音溝を掘ったブートレッグのレコードや、自作のDIY電子楽器が生まれる背景が十分に存在していたということです。後にBASTL INSTRUMENTSの前身となった「STANDUINO」は、このStanda Filipの名前と、Arduinoを合成したネーミングでした。

↓この動画の人物がBASTL INSTRUMENTSのヒーロー Standa Filip!

Standa Filip plays Prkno guitar with his drum machine from standuino on Vimeo.

BASTL INSTRUMENTSのどこか異質な世界観と固有のサウンドアプローチは、いわゆる一般的なシンセサイザーのアプローチとは異なる源流を感じさせます。Standa Filipの多くのアイデアはBASTL INSTRUMENTSの製品にも引き継がれており(例えばSKISのVCA CRUNCHはStanda Filip氏が開発したMOSFETを使ったLo-Fi VCA回路にインスパイアされています)、何かのコピーではないチェコのローカルシーンから芽生えたトーンや回路設計がそれを特別ユニークなものにしています。 BASTL INSTRUMENTSはチェコ共和国のプラハに次ぐ都市である「Brno(ブルノ)」から、世界に向けて彼らの活動を伝えています。

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★ STANDUINO時代(2011年~2013年)

アートスクールの同級生でバンド仲間でもあったVáclav(ヴァーツラフ)と Ondrej(オンドジェイ/オンドレイ)は、2011年にアートプロジェクトとして「STANDUINO」を立ち上げます。メイカームーブメントに影響を受けた新しい時代のDIY精神を基盤に、Arduinoの登場によるオープンソースハードウェア、3Dプリンタやレーザーカッター、CNCルーターのようなデジタル工作機械を駆使したアプローチが活かされました。

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ワークショップやアートインスタレーションのために様々なサウンド・デバイスが開発され、STANDUINOのウェブサイトに掲載されました。私はその当時メイカームーブメントの中から毎日のように誕生するインディペンデントなDIY楽器インディペンデントブランドに注目していたので、彼らのホームページをたまたま発見して、その魅力的なデバイスにみるみるうちに惹かれていきました。私もそうでしたが、その「作品」を実際に入手したい/購入したいとメールが増えるようになったようで、少しずつ製品としての販売がスタートしていったように記憶しています。

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最初期の「発明品」(彼らは自分たちの事を”Inventor”と呼んでいる)は、一点物のアート作品がほとんどでしたが、確か一番初めに正式に価格が掲載されて販売された製品は「FraAngelico」という手のひらサイズのシンセサイザーだったと思います。このFraAngelicoは日本でも50台ほど販売しましたが、とにかく生産量は少なく、毎回限られた台数だけ分けてもらっていたように記憶しています。日本でも一部から熱狂的な反響があり第二弾の「FrauAngelico」というドラムシンセサイザーも好評でした。Standuinoファンの一人だったAZUMA HITOMIさんのアルバムのジャケットにもFraAngelicoが登場していたのも今となっては懐かしいです。 アートのバックグラウンド、アート作品としての楽器というアプローチには大変に惹かれるものがありました。

その後のハイライト的な製品としては、現在のmicroGranny2.5やモジュラーGrandPAの原型となったグラニュラーサンプラー(microGranny1.0)も登場しています。ソフトウェアの安定性が試行錯誤の段階でしたが少しずつ良くなっていったと思います。このように小さくて面白いものは製品として市場にあまりなかったと思うのでなかなか好評でした。

microGranny - pocket-sized handmade granular sampler from standuino on Vimeo.

そして最も印象に残っている製品(というか作品)は「PI」(φ=PI=円周率のファイです)です。 毎回50台限定生産だったと思いますが、そのうちの結構な量を日本に分けてもらったように思います。 PIは全部で3バージョン時期をずらして発売されたのですが、最初が灰色のカバーのPI、次が白い2PI(whitenoise edition)、最後に基板がレインボーカラーの3PI(Miami Limited Edition)が発売されました。

■ PI(Original)

Standuino π [pi] synced with frauAngelico + microGranny from standuino on Vimeo.

■ 2PI (White Noise Edition)

2π [pi] - whiteNoise edition TEASER from standuino on Vimeo.

■ 3PI (Miami Limited Edition)

このPIシリーズは何が最高だったかというと、まず取説として一枚ずつ円周率がびっしりとタイピングされた(コピーではなくて本当に1枚ずつタイプしてある)ノートの切れ端、銀紙に包まれた謎の石ころ、手作りのピンバッジ、謎の木彫りキャラクター、スプレーペイントされたマイアミサンセットを思わせる製品箱、布が一体化した不気味な基板、そして正体不明の釘とクリップ・・・もう全てがミステリアス満載で、実際のサウンドも予測一切不可能、不規則に変化する謎のコントロールといった具合で製品というよりは、よりアート作品を思わせるものでした。 この作品を最後にSTANDUINOは本格的な商品としてのシンセサイザー「Trinityシリーズ」の開発に集中していきます。ちょうど3PIはBASTL INSTRUMENTSになってから、STANDUINO名義で発売された狭間の作品だった(?)と記憶しています。

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彼らも自分たちのアイデアで最初は興味本位で製作した電子楽器に、世界中から注文が来ることに最初は驚いていたのが、新作を出すごとに即完売となる状況に可能性を見出していったのだと思います。

★ BASTL INSTRUMENTSの誕生(2013年~)

2013年彼らはハンドメイドの電子楽器を本格的に製造するために「Bastl Instruments」となりました。まだこの頃は創立メンバーの2人と何人かのパートタイマーで運営していたと思われますが、デザインやビジュアルを全面的に「Anymade Studio」が担当するようになったことは彼らの躍進に大いに役立ちました。

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最初に「Trinity」ラインが発表されました。このシリーズはコンパクトな手のひらサイズの4種類の製品で(MONO、POLY、DRUM、SQNCR)それらをサイドコネクターで合体させてリズミックでクリエイティブなパターンを演奏できるものでした。MIDI入出力を追加できるMIDI BASTLや、単体のシンセサイザーXORも加わり、熱烈なファンも多かった製品です。この製品もGitHubでソースコードが公開され新しい機能がユーザーやメーカーによって追加されていきました。

2014年には最初のヒット楽器「microGranny 2.0」が発表されビジネスが急速に成長し始めます。またこの頃にドイツのフランクフルトで開催されている世界最大の機材展示会 Musik Messeに出展。このような小さなインディペンデントのメーカーが出展する例は少なく、彼らのチェコ訛りの英語も愛嬌がありかなり注目を集めました。さらに同時期にはメイカームーブメントを代表するチェコの電子機器メーカーとして有名なファッション誌ELLEにも掲載され話題になったようです。

microGranny 2.0は当初全ての箱に「鉛筆の手書き」でデザインが書いてあるというクレイジーなものでした。何十台と注文すれば全部白い箱に手書きで鉛筆書き!世界中から注文が殺到していたと思われますから、箱に1個ずつハンドライティングなんて気が遠くなる作業だと思いますが・・・弊社で注文したものが大量に届いたときには感動したというか「この人たちは本物のオタク集団だ!」と思いました(笑)。その入荷した時の写真を発掘したので掲載しておきますね。

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この頃からその後のBASTL INSTRUMENTSの基盤となる「生産体制」が整いはじめます。 あくまでもハンドメイド生産にこだわっていた彼らは、地元のミュージシャンたちとクリエイティブなコラボレーションをスタートさせていきます。出入りする人たちが自由なマインドで遊んで行ったり、手伝っていったりするコミュニティが形成され、そのうち自然と半田付けや組み立てをした人がその分だけ賃金を得るようなシステムが出来上がっていったようです。このような体制は今でも続いており、創立メンバーのOndrerj(オンドレイ)は、"Community driven company"と自分たちの事を評しています。

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★ BASTL ユーロラックモジュラーの発売!

2015年にBASTL INSTRUMENTSは自分たちのストア「noise.kitchen」をオープンさせ、同時期にたいへんユニークな「木製ユーロラックモジュール」の製品ラインを発表しました。彼らがユーロラックモジュラー向けの製品を開発していることは数年前から知られていましたが、その発表時には基本的なモジュールが全て揃っており、彼らがフラッグシップのシステムとして発表したRUMBURAKを始め、じわじわとBASTLの熱狂的ファンが増えていきました。 ちなみに、Václavの卒業論文は「モジュラーシンセサイザーやセンサーのシステムを使って生態系の再構築を実証する」というものでした。この時のアイデアは後にBASTLのDC MOTORやSERVO、SENSEといった駆動系モジュラーとして製品化されました。その片鱗はこの動画でも見ることができます。

BASTL INSTRUMENTSのモジュラーシンセは、天才的な回路デザイナーでありプログラマーでもあるVáclavが設計を担当、近年ではBASTL INSTRUMENTSの自由な活動に感化されてアメリカのニューヨーク・ブルックリンから移住してきたCasper ElectronicsのPeter Edwardsも設計に関わり最強のタッグで製品開発されています。

当初Václavはモジュラーを買いそろえるお金がなかったため全てを自分で設計したと語っています。その際、多くのモジュラーのサイズは大きすぎて持ち運びに不便だと思い、ポータブルで求めやすい価格で、さらに音楽性に優れ、DIYフレンドリーなモジュールを設計する事を心掛けたそうです(Small but Big Sound)。その結果BASTL INSTRUMENTSのモジュラーは多くの機能を持ちながらも5~7HPにサイズを抑えているものが多いのです。 BASTLモジュラーの大きな特徴は、イマジネーションを刺激するクリエイティブなサウンドメイク、そしてアイデアに溢れた機能性です。どのモジュールもBASTLならではの個性が詰め込まれていて、そのモジュールにしかない価値を手にすることができます。 現時点ではモジュールの新作も増え、様々なモジュラー製品がBASTLから発売されています。現在ではCasper Electronicsとのコラボレーション製品(ブラックパネルのシリーズ)や、木製パネルに加えてアルミニウムのパネルシリーズも発売されるようになり、ますます魅力的なBASTLモジュラーの世界が展開されています。

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★ BASTLコミュニティーの魅力

Bastlは人々が集まってあらゆる種類のクールなものを一緒にやっていこうという「コミュニティー」です。コミュニティーにはミュージシャン、ハッカー、芸術家、デザイナー、DJ、エンジニアなど様々な職業の人々が集まってきているようです。電子楽器の開発と製造に主眼を置き、音楽関連のイベントの企画、コーヒーの焙煎、レコードレーベル、教育コンテンツ、ワークショップ、さらにはアパレル販売まで、あらゆる種類のコミュニティプロジェクトを行っています。

BASTL INSTRUMENTSが発売する自家焙煎のコーヒー豆!

NONAレコードレーベル

この魅惑的なコミュニティーはチェコ共和国のブルノに拠点を置き、その全てがファクトリーでハンドメイド製造されるため自由度が極めて高く、常に刺激的な行動をすることができます。すでに彼らのファクトリーはSMT、CNC、レザーカッター、プリントやパッケージング、テストラインなどの設備を持ちそのハンドリングを全て彼ら自身が行うことができます。木のカスタムノブやプリント技術などは木製モジュラー(オークウッド/ナラ材)の価値を高めました。その全ての原材料は地元の企業や販売店から供給され、完全なチェコ共和国ブルノメイドの製品が完成します。最近ではSnazzy FX、Bubblesound、XOR Electronicsなどの他のブランドの製造プロセスもこのファクトリーで行われるようになりました。 BASTLはコミュニティなので技術を持ったミュージシャンなどがモジュールを組み立てに自然に集まってきて出来高でお金を受け取っているようです。犬も3匹もいるらしいです(名前はKOKO,SUNKA,DEJNA)。

オープンなイベントスペース"HERNA"

コミュニティー内では電子音楽に関する新しい手法に関して常にディスカッションや勉強会が行われており、様々なアイデアが日々生まれています。コンサートやイベント、ワークショップなども行われていて、小さなミュージックシーンが出来上がっており、その作品をリリースするレコードレーベル(NONA RECORDS)も設立されました。多くのアイデアはコミュニティ内のミュージシャンのニーズから来ており、観客の前で楽器を演奏することによってテストされています。音楽を作ることと演奏することが開発の原動力です。さらにCasper Electronics、Bubble Sound、Whimsical Rapsなどのブランドが刺激的な完成度の高い製品に貢献しています。

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また「一緒にDIYでワークショップすることは何よりも楽しく、安い価格でモジュールを入手する事ができるので大きな意味がある!」とモジュラーキットの販売にも積極的で、この「DIY」というキーワードがコミュニティー作っていく事に大きな役割を果たしているとBASTLチームは考えています。世界各国でワークショップを行うのもコミュニティーを大切にする彼らのアティチュードです。 ボスのオンドレイが語っている「Comuunity rather than company」、「Community driven company」といった思想により、常に20人ほどの仲間が集いアクティビティーを行うスペースを提供している。パーティーやワークショップが行われ、モジュラーを作っている人も、コーヒーを作っている人もいる、カセットテープレーベルやレコードレーベルもある、更に志せばコミュニティー内のメンバーが新たにモジュラーブランドを立ち上げ(BIZMUTH、Bubblesoundなど)そのディストリビューションも販売もみんなで手伝うという徹底ぶり!!

「このコミュニティーを持続させることが大切で金儲けは優先ではない。自分たちがインスパイアされる独立したクリエイティブな環境を作ろうと試みている。」というBASTL INSTRUMENTSの思想は、よりクリエイティブなものを作っていこうという純粋な動機を生み出しています。

上の動画は、かの有名なシンセサイザーのユーチューバー Cockooが撮影したドキュメント映像で、BASTLコミュニティーの全貌を良く伝えています。 ボスのオンドレイは「私は実際にBASTL INSTRUMENTSに何人の人がいるのかは知らないのです。毎月何台のユニットが売れているのかさえも知りません。私はそれを知るべきなのでしょうけど本当に知らないのです。数について気にかけることはしません。私は同じビジョン、同じ興味、同じモチベーション、同じ笑いを共有できる人々を気にかけます。それがダイナミックな動きをクリエイトしていくのです!」と語っています。

BASTLが過去に制作した3つのカタログや小冊子が私はすごく好きなので少し紹介させてください。デザインやコンセプトは全てBASTLおかかえのデザイン集団Anymadeが行っています。 まず最初にMusik Messeでモジュラーシステムを発表した際に配布されたニュースペーパースタイルのカタログです。イラストで統一されたモノクロの新聞スタイルが話題になりました。

次に2017年に作られた豪華な雑誌スタイルの冊子です。全ページにAnymadeのクールなモノクロデザイン統一されており、紙質や写真にもこだわった112ページの雑誌です。内容はBASTLメンバーのインタビューや製品紹介、具体的なパッチング例のインストラクションなど、様々なコンテンツが掲載されています。BRNO(ブルノ)の街については地元Brnoのピザ屋の紹介やカフェやバー、ジム、床屋、公園などを紹介しているし、ボスのオンドレイは何と7ページ(!)にもわたってチェコの家庭料理でジャガイモとキャベツとひき肉の餃子みたいな食べ物のクッキングレシピについて説明している(笑)。ユーモアあふれる彼のキャラクターはBASTL INSTRUMENTSのひとつの象徴にもなっています。

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そして豪華な雑誌スタイルのカタログの後、2018年には一転してホッチキス止め&白黒コピーの昔ながらのアナログスタイル/ZINスタイルの本を発行しました。生写真がホチキスで止められていたり(!)、1980年代後半から90年代初頭のあのZINの感じが懐かしいインディーズマインド溢れる冊子でした。内容はTimberや1983、DARM MATTERなどの新製品についてや、スケートボード、新装オープンしたBASTL運営のクラブ「HERNA」について、「BASTL JAM 」、「引っ越しやブルノの街」について、「電子カリンバ」について、「RELLOコーヒー」の焙煎について、女子モジュラーコミュニティー「PINK NOISE」、「シンセライブラリー・プラハ」、BASTL内のレーベル「NONA RECORDS」についてなど盛りだくさんな内容でBASTLコミュニティーで今何が起こっているのかを中心に書かれています。本当にコピーと手作業で作られているので実際の発行部数は少ないようで弊社には貴重な1冊だけを保管しています。

その他BASTL発行ではありませんが、最も詳しく豪華なモジュラーシンセ本「Patch & Tweak」の188ページから4ページにわたってBASTL INSTRUMENTSの素晴らしいインタビューが掲載されていますので是非ご覧ください!

★ BASTL INSTRUMENTS テーブルトップ・インストゥルメンツの再躍進!

2016年にBASTL INSTRUMENTSは、Casper Electronicsと力を合わせ、bitRangersoftPopに命を吹き込み、BrooklynにDetective Squadというシンセストアをオープンしました。このコラボレーションはKastleDudeの開発のアイデアを呼び起こしました。 そしてThymeは、3年半の開発期間を経て、ついに2018年に完成しました。そして、もっともっとエキサイティングなことが起こるようです! Peter Edwardsとの刺激的なコラボレーションによって、”シーケンス可能なロボットオペレーションできるデジタルテープマシン(ディレイ)” THYMEが登場し、その突き抜けた個性は世界中で最も難解なエフェクターとして、多くのコアなファンを獲得しています。アメリカ・ニューヨーク州のブルックリンで活動していたCasper Electronicsのピーターエドワーズは、2000年初頭のDIYサーキットベンディングのパイオニア的存在ですが、チェコでのBASTLの活動に大きな影響を受けて何と実際にチェコに移住してしまいBASTLチームに加わりました。 同じ情熱とエナジーを持つBASTLコミュニティーの中で彼が持つ膨大な知識が共有されたことで、BASTL INSTRUMENTSの技術力やアイデアは飛躍的に高まり、現在様々な新作インストゥルメントが開発中です! モジュラーとは異なり、「個」でも完結する単体楽器の今後の躍進にもますます期待が高まります!

★ BASTL INSTRUMENTSの近況

正に理想的な形で急成長を遂げたBASTL INSTRUMENTSが最近どんな活動をしているのか?新製品などの情報については他の記事に詳しいので、製品以外のアクティビティを伝えてみたいと思います。

♥ Patchení s Nikol

BASTLメンバーの奥さんのNikol Strobachova(ニコル)さんは、Patchení s Nikolというモジュラー初心者向けの動画シリーズで有名です。Synth Library Pragueに参加したり、Pink Noiseという女性のモジュラーシンセグループも主宰しています。特に動画シリーズ Patchení s Nikol は必見ですのでぜひご覧ください!

♥ Noise Kitchen

小さなモジュラーショップ Niose Kitchen(フィジカルストア)(2015–now)

♥ Rello II

We started a coffee roastery Rello II Torrefattore(2016–now)RELLOIL コーヒーエキスパート アムステルダムでコーヒーを学んだクルーの一員がローストしている。彼自身もモジュラーミュージシャンであり「サードウェーブのコーヒーカルチャー」を提唱している。

♥ e-Kalimba

伝説のエレクトリックカリンバ "e-Kalimba"の復刻に貢献しました!

♥ Koffein

2017年よりブルノのカフェスペース"Koffein"を共同経営

♥ Herna

HERNA 24時間営業のカジノがあった朽ち果てたスペースを改造して、ライブやワークショップができるコミュニティースペースをオープン。

♥ Nona records

カセットレーベル Bukko TapesやNona Recordsなどのインディペンデントレーベルをスタート!

♥ BASTL JAM

BASTLコミュニティーから生まれている音楽をパフォーマンスするBASTL JAMを定期的に開催。 BASTL JAMはコミュニティー周辺のモジュラーミュージシャンが30分の時間で音楽や新しい何かをプレイするイベントで、すでに4年以上続いている。このような場でBASTL INSTRUMENTSの製品は様々なミュージシャンによって演奏され、開発者のVáclavやPeter Edwardsも毎回プレイして、自身のインストゥルメンツを試しながら高めていく。ThymeはVáclavのアーティスト名"TOYOTA VANGELIS"にとってトレードマークとも呼べる楽器である!

♥ スケートボード

Václavはスケートボードを再び始めた!!!

 

★BASTL INSTRUMENTS 日本語公式ページはこちら! https://umbrella-company.jp/bastl-instruments.html

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