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AKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売

 

代理店のヒビノさんからAKGヘッドホン試聴の機会をいただきましたので、AKG K812、AKG K712 Pro、AKG 612 Proの3機種を1週間にわたり徹底的に聴いてみました。

AKGといえば私たちのプロオーディオのお仕事では「マイクロホン」。数々の名機、傑作、定番のマイクロホンがステージやレコーディングの現場で使用されています。今回の試聴で感じたのは「メーカーの音ってやっぱりあるんだなぁ」という事です。AKGのマイクロホンは個人的には明るい高域の質感が特徴的だと思いますが、今回試聴したAKGのヘッドホン全般にも同じ特徴が感じられました。AKGブランドが目指すサウンドカラーのようなものがあって、そうなるようにチューニングされているのでしょうか?興味深いです。

 
AKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売
 

最近はかなりMDR-CD900STにのめりこんでいる「わが社」なのはBUZZを読んでいただいている方々には有名かもしれませんが、とにかく最近はMDR-CD900STを聴く機会が多いです(私たちがMDR-CD900STでどんな事をしているのかはこちらをご覧ください)。また弊社オリジナルのリファレンスヘッドホンアンプBTL-900は900STに最適化すべくサウンドを追い込んで開発されました。しかしながら目指した所は原音忠実なモニターサウンドですので、実際にはどんなヘッドホンであってもその個性を最大限に引き出しことが可能です。実際の音決め作業の際にはゼンハイザーのハイエンド・ヘッドホンがかなり相性良く鳴っていたので「900ST最適化」の謳い文句を付けるか否か悩んだほどでした。
 
今回の試聴ではGRACE designのモニタリングデバイス(m903やm905)と、BTL-900ヘッドホンアンプでAKGヘッドホンを試聴しました。その他社内にあったHD650やMDR-Z1000、フル改造のMDR-CD900ST(BTL仕様)なども一緒に比較しながら聴いてみました。

 
AKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売
 
先述したとおり、最近ではすっかり「リファレンスモニタリング耳」になってしまっているので、今回聴いたAKG3機種の中ではAKG K812にしか触手が動きませんでした・・・K712 PROはAKGらしい特徴的な高域(少しエンハンス気味)と元気なサウンドでコストパフォーマンスが高いと感じました。しかしAKG K812のサウンドは全く別次元の鳴り方で、十分にリファレンスモニターヘッドホンとして使えるサウンドを持っています。このヘッドホンがヒビノさん扱いのプロフェッショナル・ラインの製品であることはすぐに理解できました。AKG K712 Pro、AKG 612 Pについても書こうとは思っていたのですが、実際のレビューはAKG K812だけになってしまいました・・・申し訳ありません。

 

 

AKG K812の素晴らしい空間表現!

AKG K812の一番の特徴は「空間表現の素晴らしさ」ではないでしょうか。まるでヘッドホンをしている事を忘れるような広大な空間のサウンドステージ、サウンドステージが広いことで得られる、通常のヘッドホンでは感じられないほどの克明な「音の位置の表現力」が凄いと思いました。例えばドラムスのフィルインのサウンドでL/Rのオーバーヘッドマイクで録音された音源では、ハイタムとミッドタムの打点の位置が他のヘッドホンではほぼ近い位置関係で聴こえるのに対し、AKG K812ではL~Rの空間が広大なため、微妙な左サイドから絶妙な右ポジションに移動するのが見えるように伝わってきます。ステレオイメージの中にある各々の楽器のちょとした動きや、感情・表現性といったものがより明確に伝わってくるようです。ウッドベースのフィンガリングやフレットを移動する様子もリアルに伝わってきます。キックドラムもその打点からふわっと空間に低い響きが広がってくる様子がリアルで鮮烈です。音場はあくまで自然で安定感もあり、個人的にはHD800などで聴いた高級さとはまた異なる、リアルな空間表現がとても気にいってしまいました。
 
AKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売
 
高域の少し際立った感が少し作られた音にも聴こえますが、かなり質の高い作られ方なのでほとんど気になることはありませんでした。音源によってですがハットの音が少しきつすぎる(エッジ感)かなと感じたり、スネアのアタック感が多少強めにも感じましたが、かなり音量をあげていたのでそのせいかもしれません。高域をもう少し自然にならすために(音は変わる方向ですが)真空管タイプのヘッドホンアンプと組合わせてみても面白そうに感じました。

最近聴きまくっていた弊社フル改造のMDR-CD900STをBTL駆動で、ヘッドホンアンプはBTL-900で聴いて比べてみると、同じようにすべてがリアルで楽器の一つ一つが見えるように存在しているのが判りました。これだけのハイエンド機種に負けない空間表現性があることには正直驚きました。特にホール録音のような空間を活かした録音作品では残響の音が落ちていく位置までしっかり見きることができました。しかしながら空間の圧倒的広さや気持ちよさはもちろん、いくら改造型とはいえ密閉型の900STと比較すべきではなく、オープン型のAKG K812ならではの優秀さがあります。ただし当たり前のことではありますが、外への音漏れは相当なものです。隣の部屋でも演奏内容が聞き取れるほどのちょっとしたミニスピーカーくらいの音量はあります。ロックで気持ちいいと感じるところまで音量をあげてヘッドホンを外してみると、目の前であればちょっとうるさいほどです。ご家族や同居人がいる場合の深夜の大音量リスニングはもしかしたら家庭内苦情になるかもしれませんね(笑)。また大音量で聴いていても外音はかなり普通に聞こえますので、その辺がこの自然な音場表現に貢献しているものと思います。スピーカーでもこれだけフラットで一切の濁りの無い自然な音場を作り出すことは相当な金額を投じたシステムで、さらにセッティングを十分に追い込まないと出せないと思いますので、15万円くらいでこの音が聴けるのは正直凄いことです。
 
AKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売
 
ヘッドホンアンプの組合わせですが、CD音源の再生ではGRACE design m903との組み合わせが気に入りました。GRACEの一切色付けしない原音忠実再生とスピード感が、AKG K812の切れの良い明瞭なサウンドに最適に感じました。とても生々しい質感で空間の響きごと鮮明に描ききってくれている印象です。キース・ジャレット・トリオのライブ盤をCDでm903との組み合わせで聴いてみると「とにかく空間描写が最高に気持ちいい!」。演奏に自然に引き込まれ実際の会場で聞いているように感じます。またピアノの鍵盤を強く叩いたときに音のつまりが一切ない。スコーン!と頭上に抜けていくような瑞々しい響きを体感することができました。CD音源でのAKG K812とBTL-900の組み合わせは、m903よりも少しオーガニックな力強さと瑞々しいスピード感があり、音楽の楽しさがより響きをもって伝わってくる印象でしたが、m903の端正で飾らない響きがジャズにはよく似合うように思いました。
 
 

アナログレコードの生々しい音を伝えたK812!

今回AKG K812とBTL-900で個人的にノックアウトされたのはアナログレコードの再生時でした。日々密かに研究しているアナログレコード再生は、オリジナルのフォノイコライザーを弊社の技術が製作してくれてから、かなり理想の形でプレイバックできるようになってきました。とあるオーディオの展示会で私たちの隣のブースで出展されAKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売ていた大ベテランの先輩に聞かせていただいたThe BeatlesのLet It BeアルバムのB面一曲目「I’ve got a feeling」の凄くリアルなロックサウンドに衝撃を受けて以来、あのときのサウンドを再現しようと試行錯誤やってきましたがなかなか同じようには鳴らない。確かヘッドホンはSHURE製のオープン型だったと思ったが、やはり格の違うレコードプレーヤーに、30万円以上するフォノイコライザー・・・適うはずがないのか?HD650はもう少し落ち着いた上品な音でなかなか凄みのあるロックサウンドを聴きたい場合には適さない。そこで今回同じ「I’ve got a feeling」を弊社オリジナルのフォノイコ→BTL-900→AKG K812で聴いてみると・・・!「キました」。あの展示会で聞かせていただいたあの音に近いサウンドを聴くことができました(実際はまだまだですが・・かなり近い印象のサウンドが始めて聴けた!)。リンゴのドラムのフィルインでは風を切るような、突き抜けたトップエンドにずっしりとした量感、そして前記したような打点の位置のリアルさも伴ってかなり格好いい!ぐいぐい切れ込んでくるギターやベースの一体感も一層生々しく感じられました。それも空間にたっぷりとした余裕があるためゆったりと雄大なサウンドを聴くことができます。「Get Back」も良かったです。「Get Back」の演奏があんなに疾走感のあるロックフィーリングを持っているとは!中学生の頃から聴き続けているのにこんなにリアルに感じたにははじめてです・・・。ライブ演奏ならではのバンド感がダイレクトに伝わってきてこのアルバムが本来意図したかった事が、改めて確認できて感動しました。
 
AKG K812 サウンドレビュー、音質評価、販売

 

CD再生では味わえないアナログならではの心に響くようなリアルなサウンドと、オリジナル・フォノイコライザーの表現力、BTL-900のスピード感と全周波数にわたるフラットなレスポンス、そしてやはりその全ての高い要求を全て受け入れ、余裕をもって再生できるAKG K812の実力の高さは並大抵のものではありません。またこの再生環境でヘッドホンアンプをGRACE design m903に変えてみると少しすっきりとしたサウンドになってしまい、感情が盛り上がるような鮮烈なサウンドが影を潜めてしまいました。CD音源ではm903のほうが好みだったのに・・・。オーディオ再生は本当に組み合わせや追い込み方が様々で気が遠くなるようですが、自分の聴きたいと思っているサウンドが聴けたときにはやはりとても楽しい。最近の一連のMDR-CD900STのチューニングなどでは、より原音再生の極みに挑戦していた感じですが、アナログレコード再生のほうは「楽しみの追及」というか、音を好む方向にどんどん変えてしまって構わないところが面白いです(とはいいつつも原音重視が個人的な好みなので・・だからこそ今回のAKG K812のようなリファレンス系のサウンドが気に入ってしまうのですが・・・)。

また大音量でも耳に痛くなく気持ちよく聴けるのがよかったです(しかし盛大な音漏れ!)。

 

 

空間表現こそAKG K812最大の魅力

総評としてはAKG K812の最大の魅力は「思わず引き込まれるような圧倒的に自然な空間表現」にあるように思います。余裕のあるサウンドステージ上に正確に位置する個々の楽器の微妙な動きや存在感は克明に精密に耳に伝えられるため、音楽制作(演奏時のモニタリングにはオープンエアーなので基本的には使えませんが)のモニタリングにも最適だと思います。もちろん音楽鑑賞用のヘッドホンとしても、より精密な原音再生や空間の再現性にこだわったリアルな質感を求める方には最高のヘッドホンだと思います。

 

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