クリエイティブな音楽機材の
メディアサイト
世界中で発売されているステレオ・バス・コンプレッサーの中でも、コストパフォーマンスの高さが売りの「Wes Audio _DIONE」は主にミックスの最終段などに使われていますが、先日発売した「ngBusComp」は、この_DIONEの機能と扱いやすさを大幅に強化し、またステレオ/デュアル・モノ/MSに対応し1台で幅広い使い方ができます。今回はこのngBusCompの便利でおすすめの機能を技術的に解説します。 ★WesAudio ngBusComp 製品ページ https://umbrella-company.jp/wesaudio-ngBusComp.html
Bus Compなので基本はあのバスコンプの再現モデルではありますが、デジタルリコール&プラグインコントロールにフル対応しとても使いすやくなっています。サウンド面ではVCA素子を贅沢にも4基パラレルで使用し歪率、残留ノイズの低減を図り、コンプレッサーの基本サウンドの質をしっかりと固め、底上げしています。 コンプレッサー動作については、基本を忠実に再現されていると思います。ですので、今回はそれ以外のところ、ngBus Compのオリジナルな部分を取り上げたいと思います。
1、サイドチェインフィルター 2、セレクタブル出力(IRONモード) 3、THDコントロール
サイドチェインに関しては、以前以下のURL詳しくにまとめまていますので、こちらをご覧ください。 https://umbrella-company.jp/contents/sidechain/
ngBusCompは出力回路をトランスレス電子バランス方式、またはトランスバランス出力(IRON)の2つのモードから選択できます。トランスレス電子バランス方式は低歪、クリアでナチュラルな透明感が特徴。IRONモードはトランスの磁気回路による歪が加わります。この歪は3倍、5倍、7倍と続く奇数次倍音で構成され、音に存在感を持ちつつも馴染みの良い質感となるのでお試しください。テープレコーダーへの録音は磁気を利用したアナログ信号の記録ですので、レベルオーバー気味の飽和感は奇数次倍音が主体ですので似たニュアンスを出しやすいと思います。
IRON MODE : OFF
IRON MODE : ON
さらに、トランスに与えるシグナルレベルを大きくする事で磁気歪をより多く引き出し、さらにはアンプ回路の歪による倍音も加わります。アンプ回路では偶数次倍音も含みますのでMAKE UP GAINの設定で倍音の構成が変化してきます。IRON PADというコントロールで大きくなりすぎた出力レベルを適正値まで下げることができますので、次の機器で不用意にクリップしてしまう事もありません。
THDはトータル ハーモニック ディストーション の事、日本語では全高調波となり、もっと音楽的な言い方では 倍音 です。この倍音を好きなように追加できる、けっこう神がかりなコントロールです。IRONモードによる倍音は奇数次倍音でしたが、THDモードでは2倍、4倍、6倍と続く偶数次倍音です。付加する量によっては目立ちすぎて不自然にもなりがちですので注意が必要ですが、うまく使えば太さや温かみ、音の抜け感などをコントロールでき、何とも言えない癖になる魅惑的な音色が得られます。真空管、12AX7などの三極管の増幅回路、バイアス方式にもよりますが倍音は2次倍音が主体となりますので、偶数次倍音が得られるTHDコントロールは真空管の倍音感を狙うのにも有効と言えます。
THDコントロール THD=約1%付加時の倍音構成、偶数次倍音が多くをしめる
THDコントロール & IRONモード 様々な倍音が含まれる
IRONモードとTHDでは、発生プロセスが違いますので、倍音としての性質も異なります。ベクトルが違う、作用が違う倍音、これらを組み合わせて使用することもぜひ試していただきたい。 THRESHOLDを右回りに回し切れば、+20dBuとなりますのでコンプがほとんどかかりません。 また、SIDECHAINをEXT(ダミープラグ使用)にすればコンプレッション動作を完全にOFFできますので、THDコントロール、IRONモードの倍音による音色変化のみを利用する事ができますので、アナログ回路による質感コントロールオプティマイザーとして、サチュレーションの負荷、倍音コントロールといった使いかたにも応用できます。
ngBusCompはデモ機をご用意しております。 ご興味のある方は、お近くの販売店、または弊社までお問い合わせください。 https://umbrella-company.jp/sales.html https://umbrella-company.jp/demonstration.html