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サイドチェイン,サイドチェーン,エフェクター,ギターペダル,サイドチェインコンプレッサー

 サイドチェインとは?

サイドチェインとは、ダイナミクス系エフェクターにおけるシグナルパスではないルートの事。音声信号が通過する音声信号の本線に対しての、側道・脇道の事を指します。

コンプレッサー、リミッター、ノイズゲート、エクスパンダーといったダイナミクスプロセッサーは、音声信号が通過するメインの経路 “シグナルパス”とは別に、信号を解析し動作を決めるセクションを持っています。具体的には入力信号レベルを検出するディテクター回路、作用する閾値を決めるスレッショルド、圧縮比/伸張比を決めるレシオ、効果の時間的定数をプロセスするアタック、リリース、ディケイなどのコントロール系、フィルター/EQなど解析シグナルの加工セクション、外部機器を利用するためのサイドチェイン端子やキー・イン端子、ステレオリンク回路などがそれにあたります、これら全てひっくるめてサイドチェインです。

しかし、サイドチェインを利用した付加機能だけを指しサイドチェインと呼ぶ事も多く、適宜切り替えて解釈する必要があります。

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サイドチェインの使われ方は主に2つ

1.自身の音声信号を処理するタイプ

ディテクターセクションへ送るシグナルを加工し、エフェクトの反応の仕方を変化させます。この中には機器自体にその機能を内蔵したものと、サイドチェイン端子を設け外部機器を使用するものが含まれます。コンプレッサーやリミッターの付加機能として利用されます。

もう一つは

2.別の音声信号を外部から入力するタイプ 

ゲーティング や ダッキング といった、外部からキー・シグナルを受け動作させるエフェクトを作ります。

この2つのタイプについて詳しく解説してみます。

 

1.自身の音声信号を処理するタイプ 

「自身の音声信号を処理するタイプ」は、いわば普通の使い方です。ディテクターセクションへ送るシグナルを加工し、エフェクトの反応の仕方を変化させます。反応の仕方に変化を付けることでエフェクトの効きをより自然なものにしたり、逆にエフェクティブにしたり、ダイナミクスプロセッサーの可能性を広げます。例えば、ドラムにコンプレッサーを使いたい。しっかり音圧を稼ごうと深めにコンプレッションすると、キックに過剰に反応してしまい不自然なかかりになってしまいます。そこでサイドチェインの経路にハイパスフィルターを通し低域を削った音でコンプのかかりを決める事になるので、意図しないポンピングは解消し自然な仕上がりに、アクセントとなるスネアにフォーカスしたコンプレッションなんかも作りやすくなります。この時、シグナルパスの音声にはフィルターが掛かっていないので周波数特性に変化はありません。あくまで、解析する経路のみに適用されるので音質を犠牲にすることはありません。音質はそのままに使い勝手の幅を広げます。

サイドチェインというと周波数特性を加工するフィルター機能がほとんどです。機器の機能としてサイドチェイン・フィルターが搭載されているコンプレッサーも最近では少なくないです。単にON/OFFだけでもサウンドメイクの幅は広がります。きめ細かく何段か切り替え可能な機種もあります。

サイドチェイン端子があればもっと自由度は広がります。HPFで削るシェルビングEQで削るピーキングEQで削る、どれも過剰な反応を抑える働きになりますが、効き方はどれも異なります。EQでブーストすれば特定の帯域に反応しやすく動作させることもできます。思いきってファズやディレイ、絶対に実用的ではないですがつないだって構いません。こだわりのフィルター/EQ機器を使うのも良いのですが、その機器の音質的なメリットの恩恵は受けることはありません。解析に用いる信号をいじるだけなのでサイドチェイン端子に使う機器は音質が良い必要がない事は知っておいて損はないです。

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2.別の音声信号を外部から入力するタイプ 

サイドチェインの使い方の その2は、外部からの音声信号(キー・シグナル)によってシグナルパスの音声信号をコントロールします。これはゲーティングやダッキングとしての応用になります。

ゲーティングは、外部の音声のレベルにリンクして本線のボリュームをコントロールします。例えば、シグナルパスにベース、キー・シグナルにはキックドラムを入力します。キックのアタックを検知してベースを鳴らします。そしてキックの音の減衰に伴いゲートを閉じベース音を絞ります。するとキックにびったり追従した一体感のあるベーストラックを作る事ができます。打ち込みのドラムにリンクさせ、人が演奏するベースにあえて無機質な要素を与えるなど、曲のグルーブを操作するような使い方ができます。シグナルパスに持続音や同期をとった打ち込み音源を入力しておけば、ギターを弾いたタイミングでノイズを鳴らす、シンセ音源を鳴らすなどちょっと変わったシンセサイズなサウンドメイクも可能です。


ダッキング
は外部からのシグナルが入った時に本線のシグナルの音量を下げる動作を行います。例えば本線にはエレキギター、キー・シグナルにはキックドラムを入力すると、ギターをふつうに弾いていてもキックが入ったタイミングで、音量が絞られ逆再生サウンドのような特殊な効果をもたらします。また、放送設備などでは本線にBGMを、キー・シグナルにはアナウンスマイクを入力、何か話すとBGMの音量が下がりアナウンスの内容が聞きやすくなる。 といった使い道にも応用されています。

ゲーティングは、キー・シグナルの「 小 → 大 」によってシグナルパスの音量を『 小 → 大 』とコントロールします。

対してダッキングは、キー・シグナルの「 小 → 大 」によりシグナルパスの音量を『 大 → 小 』とコントロールします。

このように、ゲーティング / ダッキング は他の楽器のノリやビートを自身の演奏に取り入れ融合するという、よりクリエイティブな次元のアプローチが可能、使いこなせば強力なサウンドツールとして使う事ができます。

  

 DIY サイドチェインプラグを作ろう!

サイドチェイン機能を活用すればより効果的なダイナミクスのコントロールができる事がお分かりいただけたと思います。さっそく何か試してみたいところですが、機器を用意して、インサートケーブルを揃えたり、ちょっと面倒な部分もありますよね。そこで、こちらをご紹介したいと思います。

かつて、FMR AUDIO RNC1773の販促品として【パッシブフィルター内蔵のサイドチェインプラグ】をご用意していた事がありました。なかなか使い勝手が良いとの感想もたくさんいただきました。プラグだけ売ってほしいなどというお問い合わせもいただきましたが、特別なキャンペーン用でしたので非売品扱いとなっております。折角サイドチェインについて説明しているこんな機会なので作り方を紹介しても良いかなと思い、今回はなんとRNC1773用サイドチェインプラグのDIYレシピを公開したいと思います。RNCと同様にTIP=SEND、RING=RETURNとなっている機器であれば他の機器でも使用可能です。

※本記事で公開したサイドチェインプラグは個人でお楽しみいただくためにご活用ください、本記事のレシピ同等の製品を販売するなどの商用利用はNGとさせてください。

 
 

★ サイドチェインプラグの概要

コイルとコンデンサを組み合わせたパッシブのHPFです。コンデンサと抵抗のフィルターだとSend/Returnのインピーダンスの影響で通過帯域でもロスが生じてしまい使い勝手が良くありません。ですので、通過帯域のロスを最小限に抑える事ができるLCフィルター方式を採用しました。

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回路図にするほどの物ではありませんが、一応。
TIP / RING / SLEEVE は NP3Xの各端子
C1はコンデンサ 10uF ※値については文中をご確認ください。
L1はインダクター 100mH
です。

★ 材料

・NEUTRIK NP3X
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/56275/

・100mH インダクター
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-03423/

・10uF 積層セラミックコンデンサ
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-05103/

部材はたったの3点。ひとつのお店で揃えうところがあれば良かったのですが、2箇所から集めていただく必要がありそうです。後半でアレンジ方法もご紹介しています。試してみたい人は、材料を買う時に4.7uFや10uFなど近い値のコンデンサもついでに何個か購入しておく事をお薦めします。

★ 作り方

まずは材料、こんな感じです。あと、プラグ内に固定するためのホットボンドが必要です。カチッと固まるタイプの2液式の接着剤などでも代用できるかと思います。

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1. プラグにコンデンサをハンダ付け

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コンデンサのリードは短く切っておきます。Tipに片側をハンダ付けできたら、もう片端をRing端子にハンダ付けします。片方ずつ着けていけば簡単です。ハンダを多く盛りすぎると端子間がハンダでショートしてしまいますので注意してください。

2. プラグにインダクターをハンダ付け

インダクターのリードを少し広げておきます、はんだ付けを確実に行うための予備はんだも忘れずに。Sleeve端子にハンダを盛って、溶かしながら取り付け位置を探ります。Sleeve端子にハンダ付けしつつ、片端はRing端子に接触する位置で固定します。位置が決まればその後のハンダ付けは簡単です。Ring端子とハンダ付けができたら、ここで動作を確認してみましょう。

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プラグを挿すことで低域へのコンプのかかり具合が抑えられるのが確認できればOKです。

余裕があれば、ぜひアレンジにも挑戦してみてください。次の工程に進んでしまうとできなくなってしまいます。アレンジ方法については少し後に詳しく記載しています。

3. プラグにホットボンドまたは接着剤を充填

動作確認と値のアレンジなど、仕様が決まったらプラグのボディ部分に収め外れないようにホットボンドで固定します。固定というか封印です。後戻りできないので必ず動作確認しておきましょう。
中に収めたらホットボンドを流し入れ、冷めて固まる前にキャップをしっかりと締めます。ホットボンドが冷えて固まるまで動かさないのがポイントです。

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★ 特性グラフ

基準となる定数 C=10uF での特性を示します。

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青いラインがフィルターの特性のグラフです。-3dBのポイントがだいたい150Hzといったところです。150Hz以下の周波数の感度を弱める用に働きます。

赤いラインが、そのフィルターを用いた時のコンプレッション特性になります。1kHzでだいたい10dBゲインリダクションが得られる設定ですが、低域に行くにつれ、0dBに近づく、つまりゲインリダクションが軽くなっているのが分かります。おおよそ、フィルターのカーブをひっくり返したような周波数特性になっています。このようにサイドチェインフィルターを使う事で、中高域はしっかり狙いどおりのコンプレッションを得ながらも、低域はかかりすぎないようにコントロールできています。

★ アレンジ方法

フィルターの特性はインダクターとコンデンサの値で決まります。入手しやすいインダクターの中では値に自由度がないので、コンデンサの値や数で変更しアレンジしてみます。パッシブフィルターなので前後の回路に条件により誤差が生じますので、それらの要素も組み込み計算でズバリ算出するなんてことはめんどうなので、どうすると基準からどう変化するか、その傾向だけ分かれば実際に試してみるときのヒントになりますのでご参考にしてください。

・値を小さく、例えば 約半分の 4.7uF

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カットオフ周波数は高い方に移動します。だいたい180Hz、コンプの効きもより高い方から反応を弱め、50Hz以下では反応しないくらいの効果になります。サイドチェインフィルターの効果をより効かせたい、つまりコンプがかかりにくい帯域を広げる場合は、コンデンサの値を小さくする方向にアレンジしてみてください。

・値を大きく、例えば 10uFに4.7uFを追加 14.7uF

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などに変更するとカットオフ周波数は低い方へ動きます。-3dB のポイントはあまり動いていませんが、カーブが緩やかになります。サイドチェインフィルターの効果を薄く、より低い方にもコンプを効かせる変化となります。サイドチェインフィルターがないコンプに近くなる訳ですが、それでもあるのとないのではコンプの仕上がりが違います。

他の値のインダクターが入手できるならこっちを替えても効果が変わります。(プラグ内に収まる大きさである必要がありますが…)インダクタンスの値が大きければカットオフは低い方へシフトします。

余裕があれば何種類か作っておいて、楽器や欲しい音に応じて使い分けるのも良いと思います。

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