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ナッシュビルで行われたVintech-AudioとビンテージNeveのブラインド比較試聴や、実際の測定データーなどによってVintech-AudioのNEVEサウンドがいかに、最良のビンテージNEVEを再現しているかを検証してみます。
音楽のレコーディングにおいて、決して色褪せない永遠のNEVEサウンドは常に憧れのサウンドであり、絹のように美しく繊細な高域と、雄大でビッグなボトムエンドは何にも代えられないサウンドと言えるでしょう。
ナッシュビルで行われたVintechとNeveのブラインド比較試聴の様子をレポート。
2006年の1月16日にビンテージNeveの1073とVintechAudio X73の比較試聴が"Seventeen Grand"スタジオで行われた。すべてのトラッキング/レコーディング/プレイバックはよく知られたレコーディングエンジニアChuck Ainlayによって行われた。その他著名なエンジニアやプロデューサーが参加した。Gary Paczosa (Alison Krauss, Linda Rondstat, Dixie Chics), Kyle Lehning ( Randy Travis, Waylon Jennings, Restless Heart, etc.), Pete Sheridan, Dan Spomerなどが参加した。
全レコーディングはNuendo 3で24 bit/192kサンプリングレートで行われ、Steve Lamm はカスタムビルドのクワッド AMD 64 bitプロセッサーのPCでオペレートを行った。 A/DコンバーターにはLynx Aurora 16とUniversal Audio 2192というマスタリンググレードの品質が保たれた。
テストに使われたNeve 1073はナッシュビルのGear for Days から2台をレンタルした。また更に2台をニューヨークのDreamhire rentalsから調達した。Vintechからは2台のmodel X73と1台のX73iがテストのために持ち込まれた。マイクロホンにはRoyerのステレオリボンマイクロホンと、カスタムメイドされたナッシュビルの BIG MICROPHONEによるラージダイヤフラムのマイクロホンが使用された。
Chuck Ainlayがレコーディングした素材は女性ボーカル、アコースティックギター、エレクトリックギター、ドラム、そしてアコースティックピアノだ。それぞ れのマイクロホンはビンテージNEVEとVintech X73 /X73iへ分割され同時にフィードされた。またマイクシグナルは600 ohm ロードが厳守された。これらによりビンテージニーブとビンテックオーディオの両方に完璧な同条件でのサウンドが送り込まれた。
ChuckとSteve LammはLynx Aurora 16のADCを通過したダイレクトサウンドをNuendo 3 に続々とレコーディングしていった。
Steve Lammがレコーディングされた素材をまとめあげ、6つのリスニングテスト用素材に編集した。各々のテストにはたとえば、1つのテストでは3つの素材がビ ンテージNEVEでのレコーディング、そして1つだけがVintechのニーブサウンド。また他のテストでは3つがVintech Audioのニーブサウンド、そして残り1つだけがヴィンテージニーヴサウンドといった具合に完全にランダムなものに編集されたのだ。リスナーはどのク リップが他の3つのクリップと違うプリアンプを使ったのかを当てなければならないのだ。
6つのリスニングテストを含んだテストシートは12人のリスナーであるエンジニア達に配られた。その正解率は23.6パーセントであった。以下が実際の正解データーである。
・正解数が0だった人 = 1人 ・正解数が1だった人 = 6人 ・正解数が2だった人 = 4人 ・正解数が3だった人 = 1人
6問中で最高に正解した人で3問正解であった。
合計72問の総正解数のうち17問正解があったという計算になります。また素材別の正解数は以下である。
・Drum overheads: 正解数 = 4 ・female vox one: 正解数 = 3 ・female vox two: 正解数 = 3 ・acoustic piano: 正解数 = 3 ・electric guitar: 正解数 = 4 ・acoustic guitar: 正解数 = 2
“私はテープオペレーター、アシスタントエンジニアとして今回のテストに参加しました。すべての技術的な見解から今回のテストは完全にフェアーなテストになったと思います。私が発見したのは、“ビンテージNEVE1073モジュールとVintech 1073の差をはっきり認識できる人は完璧にいなかったということです。”
“私自身このテストを再度自分のスタジオでリプレイしてみました。すでに時間が経っていましたからすっかりどの素材が何番目で・・・などという事は忘れ去っていました。結果実際のテストに参加した誰よりも正解できなかったのです・・・。”
Vintech vs Neve 1073テストの詳細をリポートします。私はテープオペレートとアシスタントエンジニアを担当、Chuck Ainlayがオーディオエンジニアを担当しました。
ドラマー、シンガー、ギタリストそしてピアニストがレコーディングを行いました。 ドラムには Royer SF12 ステレオリボンマイクがオーバーヘッドに使用されました。マイク信号はプリアンプに600 ohmsで統一されました。 マイクプリアンプの出力はLynx Aurora 16でADCされダイレクトに Nuendo /RME AES-32に入力/レコーディングされました。bit/sample rateは 24bit/192kHzです。残りの楽器と声はすべて BIG microphones のラージダイヤフラムマイクです。この場合にもシグナルは完全な同条件でスプリットされ 1073 とVintech X73に入力されました。
リターン信号はNEVE VRコンソールを経由してモニタリングされました。ChuckがPhaseをフリップしながら音が完全にキャンセルされるまで調整し、完璧なレベルマッチ ングが行われました。その後わたしたちは各パフォーマンスのクリップを15から20秒にまとめ、ランダムなテストパターンを作成しました。リスナーは4つ のパターンから1つだけ違うプリアンプを聞き取り、そのプリアンプがVIntechなのかNEVEなのかを当てます。
Chuckの提案でテストの精度をあげるために必ず各プリアンプのシグナルは同じNuendoのアウトプットに送られ、同じチャンネルでテストされました。
今度は実際に収録されたトラックを聴いてVintechのNEVEサウンドと、ビンテージNEVEのサウンドを比較してみます。各ファイルは楽器別に4つ のトラックが収録されており、そのうち3トラックがビンテージNEVE1073モジュール、1トラックがVintech Audio X73のサウンドです。あなたにはそれを見抜けるでしょうか?!
一通り聞いていただき、何番目がVintech X73のサウンドだと思うかをメモしてみてください。
Acoustic Guitar (sorry, cheap miniatrue acoustic)
正解は以下のとおりです!
・Electric Guitar......... Vintech X73 is #4 ・Acoustic Bass .........X73 is #2 ・Drums.....................X73 is #3 ・Female vocal...........X73 is #1 ・Acoustic Piano.........X73 is #2 ・Acoustic Guitar (sorry, cheap miniature acoustic) .... X73 is #3 ・Ensemble Recording ........... X73 group is #2
X73 mic pre/eqのEQカーブや周波数特性がいかに本物のビンテージNEVEそのものかということをAUDIO PRECISIONで測定しています。
↓ Vintech X73とビンテージ Neve 1073 モジュールのEQカーブを比較しています。X73が赤い線、1073が緑の線です。
↓ Vintech X73とビンテージ Neve 1073 モジュールの周波数特性を比較しています。
↓ Vintech X73とビンテージ Neve 1073 モジュールのTHDを比較しています。
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