GRACE designの高い技術力は、世界中のプロスタジオやサウンドエンジニアから絶大な信頼を得ています。そしてコンシュマーオーディオの世界においても、GRACE designのUSB DACを搭載したヘッドホンアンプ(モニターコントローラー)が高い評価を得ています。
モニタリング製品としての初代モデルであるMODEL901から、最新モデルであるm920までの歴史を振り返るとともに、彼らの技術の結晶とも呼べるm920に関するテクノロジーの全て、そしてグレースデザインの設計プロセスにまで迫る「日本独占ロング・インタビュー」の全訳をお届けいたします!
開発者であるマイケル・グレース氏と、その弟でグレースデザインの共同経営者であるイーベン・グレース氏の両氏に話を伺いました。

GRACE designヘッドホンアンプ&DACの歴史
GRACE DESIGNのヘッドホンアンプは最初のモデルであるModel901から、PCオーディオ黎明期の銘機 m902、そして最新機種のm920へと進化を遂げてきました。そのm920に至るまでの歴史について簡単に説明してください。最初のモデルはModel 901ですね。

Model 901: 2001-2003

1989年に最初のヘッドホンアンプをGRADO社のジョー・グラドの為にカスタムメイドしました。私は 当時、Grado HP-1000ヘッドホンをレコーディングのモニタリング用に使用していましたので、50オームのドライバーをより良く駆動できるよう、ディスクリートFET設計を採用しました。ジョー・グラドはそのヘッドホンアンプを製品開発の為のリファレンスとして使用しました。
2000年には
ポール・サイモンからの依頼を受け、彼の為にヘッドホンアンプをカスタム製作しました。この時に初めて現在のm920と同じ、カレントフィードバック方式の回路設計を採用したのです。ポール・サイモンにはこのヘッドホンアンプを複数台納品し、この時のアイデアが、私たちの最初の製品としてのヘッドホンアンプ Model 901につながっていったのです。
GRACE DESIGNの最初のヘッドホンアンプである Model 901は2001年から2003年にかけて販売されました。そして最初のDACを搭載したヘッドホンアンプでもありました。このモデルは完全にプロオーディオ市場を想定して設計され、ロケーション・レコーディングやマスタリング・スタジオでのリファレンス・モニタリング機器として好評を得ました。有名なGateway Masteringのエンジニアである ボブ・ラドウィックは、マスタリングスタジオのクオリティ・コントロールの為にModel 901をすべての作業に採用しました。
Model 901 Featured
・カレントフィードバック・アンプ設計
・DCサーボ・コントロール出力
・24ポジションのElma製ロータリー・スイッチ(ボリュームコントロール)
・バランス&アンバランスのアナログ入力
・AES、TOSLINK、SPDIFデジタル入力
・CS43122 DAC、96kHz/24bit対応
・アルミ削りだしのフェイスプレート
次に発売されたのがUSB DAC/ヘッドホンアンプとして不動の人気を誇ったm902ですね

m902は2004年から2011年にかけて長年に渡り支持を得たモデルでした。Model 901を完全に再設

m902: 2004-2011
計し直し、新設計のデジタル・セクションとライン出力を搭載しました。m902はDAC搭載のヘッドホンアンプとしてだけではなく、モニターコントローラーとしても機能するようになり、多くの音楽制作スタジオに導入されました。
また、USB接続が可能な複合型DAC内蔵ヘッドホンアンプとして、先進的なオーディオファンからも大きな支持を得ました。プロダクト・デザインは洗練されていて、とてもモダンに仕上がっていると思います。
m902 Featured
・高精度な0.5dBのデジタル制御アッテネータ採用。ヘッドホンの感度に対してワイドレンジに、正確なボリュームコントロールを実現
・Burr Brown PCM1730 DACとカレントフィードバック方式のI/V変換回路。192kHz/24bit対応
・超低ジッターを実現した初代 s-Lock PLL
・USBクラス1対応のオーディオ・ストリーミング(48kHz/16bit)
・赤外線リモートコントローラーに対応
・バランス&アンバランスのアナログ入力
・アンバランスの可変アナログ出力
・ AES、TOSLINK、SPDIF、USBデジタル入力
m903からはUSBクラス2に対応しましたね。

m903は2011年から2014年まで発売されたモデルです。m903はUSBクラス2 DACを採用したモデルで、アシンクロナス方式のデータ転送が採用され、USB DACとしての音質を格段に高めました。
また、m903はUSBセクションを他の回路のグラウンドから完全にアイソレートしています。グラウンドループを徹底排除した事でPC電源のノイズや悪影響をいっさい受けない、さらにピュアな伝送を実現しています。

m903: 2011-2014
m903 Featured
・USBクラス2 アシンクロナス
・オーディオ・ストリーミング
・バランス&アンバランスのライン出力装備
・MONOモード搭載
・クロスフィード回路のアップグレード
・Cirrus Logic社の高品位ボリュームコントロール
・Burr Brown PCM1796 DAC採用
・新設計のパワーサプライ回路
そして今、最新のDACテクノロジーやDSD再生を実現したm920が発売されました。今までの歴代モデルとはどこが違いますか?そしてなぜ今最新のバージョンを発表したのでしょうか?

m920の最大の進化はDSD64/128対応のDSDプレイバックに対応した事です。DSDフォーマットは長い間日の目を見る事がありませんでしたが、最新のインターネット配信やPC自体の性能アップが、その優れたフォーマットを手軽に楽しめる土台を作りました。誰もがハイレゾのPCMファイルや、DSDでアーカイブされたファイルを楽しむ事ができる時代になったのです。
m920はDACチップに最新のESS Sabre DACを採用しました。このDACは極めてハイパフォーマンスな32bit/384kHzのDACチップであり、この心臓部はm920の音質を飛躍的に高めています。m920では3種類のDACフィルターレスポンスを設定できるので、高精細で精巧な音質から、とても音楽的なサウンドまで、好みに合わせてサウンドをチューンすることも可能になりました。

m920: 2014 -
また、私たちのDACパフォーマンスを高めている s-Lock技術においては、デジタル信号に含まれるクロック信号を、極めて正確なジッターフリーな信号としてリクロックできます。高品位なマスタークロックが、更なる高音質プレイバックを可能にするのです。
さらに、m902から搭載されているクロスフィード回路(XFEED、ヘッドホンながらスピーカーで聴いているような空間を作り出せる)を設計し直しました。より優れたイメージングとトーン・レスポンスが得られるようになりました。さらに素晴らしいサウンドを持つ、実用性のある機能に生まれかわっていると思います。
当初はDSDプレイバックを実現し、最新のDACを搭載する事がm920の開発目標でしたが、結果的には様々な再設計が随所に組み込まれて、前代のモデルに比較しても相当な音質的・機能的アップグレードが実現されています。
最初のヘッドホンアンプである Model 901 をなぜ開発しようと決めたのですか?

最初のアイデアはロケーション・レコーディングを行う際に(リファレンスとなるモニタリングを実現するには)ヘッドホンでのモニタリングが最適だと考えました。当時のDATレコーダーやミキシングデスクに付属するヘッドホン出力の音質にはがっかりさせられるものが多く、特にローインピーダンスのヘッドホンではそれが顕著です。
Model 901があればレコーディング・セッションの現場で、いつでも正確で均一なモニタリングを行う事ができると考えたのです。
m902/m903 はPCオーディオのマーケットでとても高い評価を得ていますね。そして今回発売されたm920にも注目が集まっています。m902を開発した当初、GRACE DESIGNはPC・USBオーディオのコンシュマー・マーケットを意識していましたか?

実際にはプロフェッショナルな業務用途に向けてm902は開発されました。USB入力のアイデアもレコーディング・エンジニアが、iTunesをはじめとする一般的なPC用のオーディオ・プレーヤーで(エンドユーザーのリスニング環境で)ミックスの最終確認をする事を想定してアイデアをだしたものです。mp3やAACコーデックされたサウンドの影響を細かくチェックするという意味でも、高品位なDACが必要とされていたのです。
当時、想像以上にm902がコンシュマーオーディオからリスニング用として注目されましたが、それを想定していましたか?

Stereophile Magazineがおすすめのコンポーネントとしてm902をセレクトしていたのを見たときまで、そのような意識がなかったというのが正直なところです。多くのオーディオファンの皆様がその記事を見て、プロオーディオのブランドから面白そうな製品が発売されたのだな、と思ってくれたのだと思います。
当初これだけ一般的にハイレゾの音楽ファイルが流通・配信される事を想像していましたか?

m902の頃にはハイレゾの音声ファイルはプロスタジオの現場でしかやり取りされていませんでした。一般にはまだ圧縮されたファイルしか配信もされていなかった。m902の頃には、まだ高速インターネット回線でハイレゾ音源が家庭でも楽しめるようになるということは考えていなかったですね。あくまでもプロオーディオの制作現場でのモニタリングを重視していました。
音質、機能共に大幅にアップグレードされたm920
m920で一番気に入っている所はどこですか?

やはり最新のESS Sabre DACを搭載した事によって得られたパフォーマンスは大きいですね。私たちの過去のデザインから見ても、最も大きな進化であったと断言できます。もちろんそれはDACチップだけの事ではありません。その周辺の回路設計についても、多くがアップグレードされているのです。
やはり前モデルのm903と比較しても、かなり大きな音質のアップグレードになりましたか?

その通りです。DACチップの比較だけしたとしても、サウンドの大幅な向上、パワフルさの増大が明らかです。また選択可能なDACフィルターのレスポンスにより、オーディオシステムをより素晴らしい音質にチューニングする事も可能です。さらに機能的な部分の向上も顕著です。
前モデルのm903のアナログ回路設計は、最新のm920と同じものですか?

m903とm920のヘッドホンアンプのアナログ回路は、基本設計は似ていますが異なるものです。大きく異なるのはクロスフィード回路です。Meier式のクロスフィード回路から、Ohman式の回路に変更しました。その結果、パーフェクトなステレオイメージ、どんなジャンルの音楽においても原音を余すことなく忠実に再生可能です。
m920のアナログ回路設計について詳しく教えてください

最大の特徴は3つあります。カレントフィードバック方式のアンプ回路、ボリュームコントロール、そしてパワーサプライですね。
m920のヘッドホンアンプの基本設計は、最初のモデルModel 901から継承されているものです。Analog Devices社のAD815は最も精巧でありながら、優れた音楽性を持ったアンプです。AD815AYSはすでに生産されていませんが、私たちはそれを大量に確保しているので、この恩恵をユーザーに還元する事ができるのです。
カレントフィードバック方式で設計されたアンプは、ボルテージフィードバック方式のアンプより、複雑な音楽の波形を余す事なく再現することに優れています。デリケートな倍音成分や、音楽が持つダイナミクスを繊細に捕え、実に美しく再現できます。
AD815の出力抵抗は極めて低く、高い駆動力を持っていますので、m920のダンピングファクターは低い周波数までとても優れています。

またm920のボリュームコントローラーは、デジタル制御のアナログ・アッテネータを採用しており、96dBの減衰量を、精密な0.5dBのステップでコントロールできます。この手法によりいくつかの大きなアドバンテージが得られます。
まずコンタクトがない為に、セッティング値を変更してもキャパシタンスの変化が一切ありません。もちろん音声信号に色付けする配線材やコネクターもありません。さらにデジタル制御のアッテネータは大変広いボリュームレンジを持っているので、例えばShure E5のようなハイセンシティビティ・タイプのヘッドホンから、Sennheiser HD650やAKG K1000のようなローセンシティビティなタイプにまで幅広く対応できます。しかも、L/R間のレベル誤差は0.05dB以内の高精度を保ったままです。0.5dBのステップの細やかなレベル可変は、リスニングに最適なボリューム・コントロールを、極めて低いノイズや歪率で実行する事ができるのです。
電源の設計においては、デジタル回路とは完全にセパレートされた大型のパワートランスを搭載しています。デジタルノイズがアナログの電源回路に混入することは一切ありません。
また、4層のレイヤーの基板は低インピーダンスなグラウンドプレーンと、低インダクタンスのパワーサプライ経路を実現しています。
アナログアンプ、ボリュームアンプ、ヘッドホンアンプ、デジタルレシーバーPLL、DACデジタルサプライ、そしてDACアナログサプライは、それぞれ独立したパワーサプライ・レギュレーターで設計されています。m920には何と13基のボルテージ・レギュレーターを搭載しているのです!

ESS Sabre DACの性能を全て引き出すための設計
m920のアップグレードされたDAC回路について教えてください。

m920のDAコンバーターは大きく分けて3つのアップグレードを実現しています。DAコンバーターのIC(ESS Sabre DAC)、パワーサプライ、そしてクロックです。ESS DACは高いパフォーマンスを誇っていますが、ICの性能が高いがゆえに、パワーサプライとクロックによって性能が大きく左右されます。私たちはパワーサプライのレギュレーターを超ローノイズなデザインに再設計しました。クロックについての詳細は別記します。
アシンクロナス伝送について教えてください

アシンクロナス(完全非同期トランスファーモード)という言葉は、主に2つのパートで使われています。
まずはUSBについて、コンピューターからのアシンクロナス伝送はm920が伝送のクロックマスターになることを意味します。コンピューターに同期するのにPLLを必要としません。これは音質に対して大きなアドバンテージとなります。
またESS Sabre DACは、ASRC(Asynchronous Sample Rate Converter)と呼ばれる機能を備えていますが、私たちはこのサンプルレートコンバーターのクロックに満足せず、私たちが自己開発したs-Lock PLLサーキットを使用して、よりクリーンなクロックを作りだしています。よってESS DACのASRCをオフに設定してシンクロナスモードでオペレートさせています。この事によってm920のDACはデジタルオーディオを一切変化させずアナログに変換することができるようになりました。
s-Lock PLL回路について教えてください。どんな効果が期待できますか?

m920では新世代のs-Lock PLL回路が採用されています。この回路は私たちのスタジオ用リファレンス・モニターコントローラm905の為に開発されたものです。
新しいs-Lock回路はジッターを驚異的な数値まで低く押さえ込み、外部ジッターを排除します。
私たちはさらに低い位相雑音のVCXOオシレーターを採用しました。PLLのコーナーフリーケンシーはm903の4Hzから0.5Hzにまで改善されています。より低いコーナーフリーケンシーを持った事でロックアップする時間が長くなるので、2スピードのフィルターを使ってPLLが素早くロックでき、さらに遅めのフィルターが最高のジッター・リジェクションを実現できるようになっています。このように細部にわたり配慮された設計となっています。
s-Lockによるこのようなジッターからの解放は、音質に多大な利点を与えます。ジッターは様々な形でオーディオに影響を与えます。とても低い周波数のジッターがあると、まるでアナログテープレコーダーのワウ&フラッターのようにサウンドに悪影響を及ぼします。より高い周波数のジッターがある場合には音に歪みを与えます。このような悪影響はサウンドをナチュラルとは言いがたい状態に劣化させてしまいます。
最新デザインのs-Lock回路においては、これらのクロックの問題を完全に除去することができるのです。
M-series 32bit Sabre DACを採用した理由を教えてください。

ESSのDACの中でもMシリーズは最新のテクノロジーが投入されているものです。過去のデザインに比較しても、明らかなパフォーマンスの向上が認められます。デジタルフィルターには32ビットのプロセッシングが使用され、フィルター演算のエラーも極めて低いのが特徴です。
歪み率は-120dB、ダイナミックレンジは127dBとクラス最高峰の性能を誇ります。素晴らしい事ばかりですが、その高性能ゆえにパワーサプライとクロックデザインに左右されやすいという事実もあります。私たちは適切なDACパワーサプライ設計、さらに独自のs-Lock PLLクロック技術を組み合わせ、Sabre DACの実力をさらに引き出せるモディファイを施しています。
ES9018K2Mは64bitアキュムレータと32bit処理を使用したデジタルフィルタを持っています。また3タイプのフィルターのキャラクター(fast, slow, minimum phase)を内蔵していて、ユーザーは異なるフィルターの種類を楽しむことができ、自分好みの音質を選択する事ができます。
m903で採用したBurr Brown DACと同じく、ESS DACは電流出力になっているので、私たちは独自のI/V変換回路を設計しました。これはDACの設計において最も難しいパートだと言えるでしょう。私たちはハイスピードのカレントフィードバック方式のアンプを設計しました。
DACチップの出力にある高速のパルスは、ボルテージフィードバック・アンプの入力では瞬間的にリニアリティーを失います。カレントフィードバック・アンプはスルーレートの制限を受ける事なく、これらのパルスのリニアリティーを保つ事ができます。よって、私たちは通常のI/V変換回路より、カレントフィードバック・アンプの音質が優れていると考えています。
アナログ入力が選択されている場合は、m920はデジタル回路をシャットダウンする設計になっていると聞きましたが?

その通りです。m920はアナログ入力が選択されている場合は、ピュアなオーディオ・パフォーマンスの為に、DAC回路とs-Lock PLLをシャットダウンする設計になっています。その場合でもUSBコントローラはパワーオンのままでコンピューターとの接続を保っています。USBセクションはオーディオ・グラウンドとパワーサプライから完全に切り離された設計になっているので、一切の干渉はありません。
ヘッドホンアンプの設計において最も重要、または設計が難しいパートはどこでしょうか?

高出力電流のカレントフィードバック方式のアンプ設計は常に難しいものです。静電放電への対策、容量付加に対しても安定していなくてはならない。そして万が一の際、アンプはヘッドホンとケーブルのショートから回路を保護しなくてはなりません。これらをクリアしながらも、最高のサウンドパフォーマンスを実現する事が、最大のチャレンジになります。
DAコンバートの回路の設計についてはいかがですか?設計において大切な事、大変だったことはありますか?

プロフェッショナルなDACを設計する場合にはクリアしなくてはならない厳しいハードルがたくさんあります。ノイズや歪み率について、-100dB以下のプロ品質を達成したいのであれば、全てが仔細に設計されなければなりません。電源、信号経路、グラウンド、クロックなど、これら全ての要素がパーフェクトにデザインされ、見事にかみ合ったときにしか、最高のDAC設計は実現できないと考えています。

筐体やインターフェースのデザインについてはどうですか?

近年ではたくさんの製品がm920の筐体のデザインをフォローしています。m902から始まった私たちのデザインは、市場でも象徴的な存在になりました。
プロダクト・デザインは常に簡単にはいかないものです。シンプルで効果的でありながら,
尚且つ美しいデザインに達するには、何を捨てて、何を強調するのか?という事を究極まで考えぬかなくてはなりません。
私たちの製品は聴く事と同じくらいに、ルックスや触り心地が申し分なく、それを所有することに喜びがあるような、満足感のあるデザインであるべきだと考えています。

そして製品は永遠に使用する事ができて、真の品質を発揮できるものでなくてはなりません。
私たちは製品が使いやすく、美しいプロダクトとして完成するためには、一切妥協はしません。何度でもデザインを蒸留して抽出して高めていきます。それらに費やされる膨大な時間は、製品が本物のクラシックな製品となるために必要であると考えています。
ユーザー・インターフェースのデザインについてはまた別の話です。m920はとても基本的なインターフェースを持った製品です。m920ではほとんどの操作を、スイッチを直接押す、またはロータリー・エンコーダーを操作するだけで完了できるよう設計されています。
またm920は、7セグメントのLEDディスプレイを使用した「ワンレベル」のメニュー構成にこだわりました。
もし大型の明るいカラーディスプレイを使用すれば、ディスプレイ制御のためのプロセッシングやソフトウェアが必要となるため、m920のエッセンスは薄れてしまいます。私たちは全てがパーフェクトな感覚で操作できるように配慮しながらも、最高にシンプルなメニュー構成を考え抜きました。
近年では毎年のようにスマートフォンやタブレットを買い替えるような風潮ですが、私たちのコンセプトは全く異なります。m920はこれからもずっと、永きにわたって美しさを保てるように、完璧にデザインされているのです。
GRACE DESIGN m920のUSBモジュールにはどのようなアドバンテージがありますか?

旧モデルのm903ではWavelength Audioのテクノロジーを応用しましたが、今回のm920では全てがGRACE DESIGN社のオリジナル設計となっています。プロスタジオ向けのモニターコントローラーm905でも採用された信頼感のある設計を引き継ぎました。
m920の充実のセットアップメニューを全て解説!
m920 のコントロール機能はとても使いやすくシンプルですね。さらにm920のセットアップメニューではプロ機ならでは細やかなキャリブレーションが行えます。これらのセットアップメニューについてメニューごとに解説をお願いします。
1) パワーアップレベルについて

セットアップメニューで一度レベルを設定すれば、毎回m920が起動するたびにその設定されたレベルで立ち上がります。毎回起動するたびに、いつも使用するレベルになるまで ロータリーエンコーダーをぐるぐると回す必要はありません。一度おおよそのボリュームレベルで起動してしまえば、後は聴く音楽やムードにあわせて多少の調整をするだけで良いのです。
2) アウトプット・トグルモードについて

この機能はDave Matthews Bandのツアーで、ドラマーがm903をヘッドホンモニタリングに使用していた時のリクエストに応じてデザインしました。m920のボリュームエンコーダーは3つの出力(ヘッドホン、ライン1、ライン2)を切り替える事が可能です。しかしライブステージや録音の現場では、誤ってエンコーダーを動かしてしまうと大変です。このモードは3つの出力がエンコーダーを操作しても切り替わらないようにする保護モードです。
3) ディマーモードについて

深夜に音楽を楽しむことは至上の喜びです。Dimmer設定では、m920の全てのライトを消すように設定ができます。もちろん何か操作を加えた時には即座にライトが戻ります。その場合でもしばらくすると自動でm920のライトをシャットダウンします。とても気の利いた機能です。
4) レベル・オフセット・モードについて

それぞれのアウトプットごとにレベル・オフセット値を微調整することが可能です。この機能により様々なアンプやスピーカー、ヘッドホンの間でレベルを正確にマッチさせることが可能です。例えばm920を大型と小型の2セットのスピーカーのボリューム・コントローラーとして使用する場合に、それぞれのスピーカーセットのラウドネスが異なる場合には、そのマッチングを細かく調整する事ができます。プロフェッショナルな現場では不可欠な機能です。ホームオーディオにおいても様々な利点があると思います。
5) s-Lock OFF モードについて

第三世代へと進化したs-Lockは、GRACE DESIGN独自のPLL(Phase Lock Loop)回路です。この新しいs-Lockはm905とm920に搭載されています。TOSLINK、S/PDIF、AES3のデジタル信号に含まれるクロックには、実に様々なジッター成分が含まれています。s-Lockではこの信号のクロックを、極めて精度が高く安定した、超低ジッターのクロックに再生成します。このことで格段に音質は良くなります。
ごく稀にですが、入力される機器の状態でAES3、S/PDIFまたはTOSLINKデジタル信号がs-Lockのロックレンジから外れてしまう事があるかもしれません。そんな時にもm920はs-Lockをオフにすることでデジタル信号にロックすることが可能です。
s-Lockをオフにした場合でもデジタル・オーディオ・レシーバーCS8416の機能により低ジッターのクロックが得られます。
m920でアップグレードされた X-Feed(クロスフィード回路)について教えてください。

X-Feed(クロスフィード回路)はパッシブのアナログ・プロセッシング(DSPではありません)ですが、絶大な効果があります。この機能では実際のスピーカーリスニングで生じるアコースティックをシミュレートしています。実際に部屋でスピーカーを聴く場合、右側にパンニングされた音声は(右側の耳にダイレクトに到達するだけでなく)、頭を回り込んで左側の耳にも多少遅れて到達します、また頭の形で音声がフィルタリングされます。リスナーの脳はわずかな音の回り込みから音場空間を認識します。ヘッドホンにおいてはこのような現象は起こらないため、クロスフィード機能を有効にすることで、前途したようなアコースティックの状態を再現できます。結果、ヘッドホン・リスニングでありながらも、本物のステレオ・スピーカーで音楽を再生しているような自然なサウンドイメージを再現できます。またヘッドホンで聴き疲れするという方にもぜひこのモードを試していただけたらと思います。

m920ではリモートコントローラーとしてAPPLE社製のリモートコントローラ(Apple Remote)が使用できると聞きました。

そうです。$20ほどで購入できるApple純正のApple Remoteをm920のリモートコントローラーとして使用する事ができます。m920の取扱い説明書にはApple Remoteのどのボタンがm920の各コントロールをリモート制御できるかが詳しく解説されています。
MONOモードはビートルズの初期のレコードを聴くには最適ですね!

その通りです!さらにプロフェッショナルな録音、ミックス、マスタリングなどの現場では、モノラルとのコンパチビリティのチェックが行われますので、その用途に最適です。
DSDはたいへん滑らかでフレンドリーなサウンド
DSDの音質やアドバンテージについてどうお考えですか?

技術的にはハイビットレートのPCMでもまだまだ高周波のノイズが大きく、アナログ回路の下流では歪みを大きくしてしまいますが、DSDはたいへん滑らかでフレンドリーなサウンドです。DSDフォーマットで音楽を聴く事は素晴らしい体験だと思います。m920ではDSD 64x, DSD 128x, そして DXD (384kHz PCM)にまで幅広く対応するため、あらゆる高音質ファイルの再生を楽しむ事ができます。
m920のヘッドホンアンプの設計に良く使用したヘッドホンは何ですか?

たくさんのヘッドホンで試聴してサウンドを追い込んでいきますが、良く使用したのは Sennheiser HD-600、HD-800、GradoやAudio Technicaも使用しました。また STAX SR Lamda PRO とSRM-1/MK-2の組み合わせも比較に使用したりしていますね。
m905ではTPA6120を使用していますが、m920ではAD815AYSを採用していますね。なぜですか?

AD815AYSは既に長い間廃盤になっているのですがそのサウンドは素晴らしいものがあります。私たちはラッキーな事に新品の AD815AYS を大量に入手することができ、m920で使用しています。
THAT1606がバランス出力に使用されていますね。なぜこれを選択したのでしょうか?

THAT1606はm102、m103、m502などのマイクプリアンプにも使用しているのですが、そのサウンドにはいつも感心させられます。このアンプは出力のコモンモードリジェクションにとても優れていて、ノイジーな環境でも素晴らしいパフォーマンスが発揮できます。
ES9018K2M DACをデジタルオーディオのインタフェースに使用していますね。

ES9018K2M はサンプルレート・コンバーターとして採用されています。m920は ES9018K2M をシンクロナスモードで動作させていて、3ステージの個別のPLLでクロックジッターを排除しています。
3つのクリスタルオシレーターはどのように使用されていますか?

45.1584MHzと49.152MHzのオシレーターは44.1kHzと48kHzサンプルレートの為に、 24.0MHzはメインのPCBにあってCS2100 PLLのタイミング・リファレンスの為に用意されています。そして 24MHzオシレーターはUSB PCBでXMOS プロセッサーで使用されます。

m920はスタジオのモニターコントローラーとして最適
m920を音楽制作のスタジオで使用するアドバンテージを教えてください。

m920はスタジオのモニターコントローラーとして最適です。業務マスタリング品質のDACを持ちつつ、2式の異なるスピーカーのセレクタ、またはボリュームコントローラーとして機能し、さらにインプット・セレクタとしての機能も持ち合わせます。さらにコンパクトな筐体はデスクトップ上でも邪魔になりません。
商業スタジオではまだコンソールが使用されることも多いと思いますが、トークバックシステムを必要としない場合、高品位なステレオDACと、DAWのステレオバスに対するリファレンス品質のレベルコントロールだけが必要という事も少なくありません。
私たちがデザインしたm902、m903、m920は世界中の音楽制作スタジオでモニタリング・コントローラーとして使用されています。またよりシビアなモニタリング環境を必要とするマスタリング・スタジオでも多く採用されています。有名なGateway Masteringでは、全てのマスタリングされた音源のクオリティチェックをm920で行っています。
DAWソフトウェアとインターフェースの接続について教えてください

音楽プロダクションにおいて、Pro ToolsなどのDAWシステムとm920を組み合わせる事は作品のクオリティをより細かく追い込んでいけるのでおすすめです。
アシンクロナス(ビットパーフェクト)によるUSBプレイバックでは、DAWからのサウンドの全てをモニタリングできるので素晴らしい結果を残せるでしょう。しかし実際には、他のUSBオーディオ機器が別途PCに接続されている事もあるので、ソフトウェアからの操作が必要な場合があるでしょう。アシンクロナスでUSB接続するという事はm920がコンピューターのUSBオーディオバスのクロックマスターになる事ですから、レコーディング用のオーディオインターフェースが他に接続されている場合には、オーディオインターフェースのAESやS/PDIF、Toslinkなどのデジタル出力をm920に接続し、ミックスやマスタリング作業の際にはUSBでアシンクロナス接続するのがお薦めです。
m920はどんなハイエンド・オーディオ・システムの中でも、優秀なシステムプリアンプとして機能する
m920をホームオーディオのデバイスと使用する場合について教えてください。

私たちはm920を「ハイレゾリューション・モニタリング・システム」と位置づけています。オーディオ的に言えばプリアンプという事でもあります。m920には多彩な入力が装備され、そのソースを切り替えて楽しむことができます。光端子やコアキシャル端子、またはAESデジタ経由でCDプレーヤーを接続し、業務用DACの揺るぎない音質でCDリスニングを楽しむ事ができます。
DVDやBDなどの他のデジタル機器を接続しておき入力セレクトして使用する事もできます。さらにアナログのターンテーブルや、カセットテープ(!)などの機器は、アナログ入力に接続する事ができます。
さらに2系統のライン出力に2ペアのスピーカーセットを接続できるので、ラージとスモールモニターを切り替えて使用したり、キッチンとベッドルームなど別の場所にある再生装置をコントロールする事もできます。またはレベルキャリブレーションしたラインアウトをサブウーハー用に使用する事も可能でしょう。
業務用途のための細やかなキャリブレーション機能が充実しているので、m920はどんなハイエンド・オーディオ・システムの中でもレベルマッチングをとる事ができ、優秀なシステムプリアンプとして機能する事ができるのです。

m920のプリアンプとしての性能はいかがですか?

m920はどんな音源やジャンルに対しても、精巧でかつ音楽的なサウンドでモニタリングできるようデザインされています。例えば、もしあなたが最高の音質を持ったターンテーブルとレコードを持っているのなら、あなたのパワーアンプやアクティブスピーカー、ヘッドホンなどの再生装置はそれに正直にピュアなまま再生されるでしょう。
m920のファームウェアー・アップデートの予定はありますか?

正に今新しいファームウェアーのリリースを控えています。新しいファームウェアではMACやWINDOWSのUSB3ポートとのより安定した動作が約束されます。ファームウェアの更新は誰もがUSB経由で簡単に行う事が可能であり、常にm920を最新の状態にしておくことができるようになります。
多くのユーザーがm920を$5,000レンジのハイエンドな機器と比較している
PCオーディオのマーケットはここ日本でも数年で急成長しています。またよりハイエンドなDSDオーディオについても同様です。アメリカや他国の状況はいかがでしょうか?

ここアメリカやヨーロッパでもPCオーディオは盛り上がりを見せています。私たちから見ると日本はこのような気鋭のテクノロジーをリードする力があると思います。
またm902の時代からGRACE DESIGN製品をPCオーディオの中で多く採用いただき、日本の方々の品質を見極める力にも感心しています。ヨーロッパでは特にドイツで多くのユーザーがm920をPCオーディオ用のデバイスとして使用されていますね。

2014年はGRACE DESIGNとして初めてロスアンゼルスで行われたHead-Fi Meetに参加されたそうですが感想はいかがでしたか?

Head-Fi Meetに参加できてとても素晴らしい経験でした。会場にいるお客様はみんな良い音への情熱が強く、その精神を感じる事ができました。
旧モデルのm902は当時は数少ないオリジナルのUSB DAC機器であった為、多くのユーザーがそれを所有しています。そのm902の第三世代の製品としてこのm920を発表できた事を多くの方が絶賛してくれました。
また会場には本当にたくさんのUSB DACを装備したヘッドホンアンプが展示されていましたが、m920はとても評判が良かったようです。Esotericなどの超ハイエンド機に比較すれば、まだm920は十分に手に届く製品でありながらも、そのパフォーマンスは同レベルにあるという評価もありました。
そこで展示されていた美しいヘッドホンスタンドは何ですか?

この展示会の為に特別に製作したヘッドホンスタンドです。今は様々な新製品の準備で、この製品を量産することはできませんが、多くのリクエストをいただきましたので、2015年にはこのようなアクセサリーを本格的に検討してみるのも楽しいと考えています。

現在のDAC/ヘッドホンアンプの市場では新たに多くの新製品が投入されています。多くの製品がある中でGRACE DESIGN m920を選択する理由は何でしょうか?

これは重要なトピックですね。$1000レンジのUSB DAC製品が多く登場する中で、弊社のm920は揺るぎない製品としての価値を持っています。多くのユーザーがm920を$5,000レンジのハイエンドな機器と比較しています。よりエリートなハイエンド機器のオーディオ・パフォーマンスを体験したとき、m920が持つコストパフォーマンスの高さや、物としての価値に気づいていただけると思います。
m920は14年以上にわたる私たちのヘッドホンアンプ・DACデザインの頂点ともいえる製品
m905モニターコントローラーのためのビデオを拝見しました。あなた方の会社はとても親密で温かい雰囲気がありますね。まるで大きな家族のようです。このような社風はあなた方のもの作りにも影響していますか?

確かに私たちの会社は大きな家族のようです!製品を開発するにはそれをデザインして作り上げるまでの膨大な時間とスキルが必要になります。そこに毎日やってきて情熱を傾けられるワークスペースはとても大切であると私たちは考えています。ここで一緒に働いている全員はファミリーであると常に考えています。実際に家にいる本当の家族よりも多くの時間を一緒に過ごしているのですからね!
社員の子供たちや、ペット達も皆私たちの仲間です。
仕事の時間が終われば、いつも仕事仲間同士で音楽を演奏したり、レコーディングをしたりしているんですよ。私たちの会社の周りには多くの自然があって、木樹や鳥達のさえずりも美しい夏の季節には、皆で外へ出てBBQランチを楽しんだりもします。会社の外にはピンポンテーブルも設置してあるんですよ!
このような私たちのマインドや社風は、きっと私たちの仕事にも反映されていると思っています。私たちはこれからも美しく、そして良くできた製品を作り続けたいと考えています。
Creating the m905 from
grace design on
Vimeo.
あなた達の製品はいつも設計やデザインが研ぎすまされていてパーフェクトですね。どのようにして製品を集中して開発していくのでしょうか?

開発のプロセスにはたくさんの流れがあります。大抵の場合、私たちは2、3の製品開発を同時に行っています。その中でもやはり優先的に開発期間を定め、世界にそれを発表する準備を進めていく製品があります。今回のm920については正にこの例が当てはまります。
多くの日本のカスタマーがGRACE DESIGNのUSB DACのDSD再生を望んでいるというリクエストを聞き、m920は優先的に開発を進めたという訳です。
いくつかの製品はその開発にかなりの年月がかかる場合があります。例えばスタジオ用のリファレンス・モニター・コントローラであるm905は開発に約2年間を費やしました。なぜならとても多くの新しいテクノロジーを投入したからです。

m920をはじめとするGRACE DESIGN社のモニターコントローラーを使用する著名なユーザーを教えてください。またその評価はいかがでしょうか?

例えば、グラミー賞受賞のサウンドエンジニアNoah Scott SnyderはGRACE DESIGNのモニタリング製品の熱狂的なファンです。彼は世界で一番有名なフィルム・コンポーザーであるDanny Elfman(ティム・バートンの「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」の音楽をはじめとして数々のヒット映画の音楽を担当している作曲家)と仕事をしていて、彼のスタジオにもm906 がインストールされています。彼から最近もらったコメントを引用します。
「私はロスアンゼルスの最高のスタジオで録音やミックスを行ってきました。そしてロンドンの最高のスコアリング・ステージで、世界でも最高峰のミキシングルームでも仕事をしてきました。世界でも最も優れていると言われているモニタリング環境のサウンドを全て聴いてきたのです。

私は映画音楽の仕事の場合にはGenexかPrism SoundのDAC、Antelope Isochrone 10M と Trinityクロックシステムを使用していました。最高のDAコンバートを用意していたのです。 しかし、GRACE DESIGNのm906モニターコントローラーを使用してからというもの、その価値観は完全に塗り替えられました!GRACE DESIGN社のDACの品質は間違いなく私が聴いてきたものの中でベスト、シグナルパスの切り替え、ルーティングのオプションなど、全てが申し分なくクリーン、さらに驚くほどフレキシブルだったのです。
また、レコーディングされた音楽の複雑な細かな表現までモニタリングできるようになったので、私は今までにはできなかったアプローチを試せるようにもなりました。これはすごい事です。
GRACE DESIGNのモニタリング製品はとてもエレガントで機能的です。素晴らしいとしか言いようのないキャリブレーション機能をはじめ、その完成度の高さには目を見張るものがあります。
最近ではm920をスコアリングステージのデジタルレコーディングで使用しています。さらにGRACE DESIGNのマイクプリアンプは数多くのレコーディングで以前から使用しています。本当に多くのGRACE製品を使用している事に気づかされますが、やはり最も驚いたのは、m906モニタリングコントローラーの秀でたクオリティであったと思います。
私はGRACE DESIGN製品の鮮烈なオーディオ製品、そしてプロオーディオ業界の中でもトップクラスの高い品質にとても感謝しています。自分のスタジオでGRACE DESIGNの製品でモニタリングする事が楽しくて仕方ありません!」
何がGRACE DESIGNの製品を個性的にしているのでしょうか?

私たち自身がとてもユニークな個性を持っているのだと思います。私たちのデザインに対するインスピレーションの源は、エンターテイメントや作品のために必要とされる、または欲されている何かを創り出す事です。それは可能な限り未だ存在していないものです。
私たちは多分市場が欲しがるだろうという考えだけで製品の開発を行いません。私たちは、私たち自身が本当に良いと思えるもの、心から正直に良いレシピだと思えるものしか作りません。そしてそれが最高の品質を実現できるよう努力するのです。

m920に興味のある日本のカスタマーに一言お願いいたします。

こんにちは。私たちの製品にいつも興味を持っていただきありがとうございます。
m920は14年以上にわたる私たちのヘッドホンアンプ・DACデザインの頂点とも言える製品です。現在は同類の製品の選択肢や価格帯も広がりましたが、m920は$5000クラスのハイエンド製品と比較されるべき製品だと考えています。この価格帯でm920ほどのハイクラスな価値を与えてくれる製品は見つけることができないと自負しています.
日本の方々の大きなサポートにいつも感謝しています!そして日本の文化について本当に深く尊敬しています。あなた方の人間性や言葉、そして食べ物(!)、誠実さは素晴らしく、愛すべきものだと思います。
↑マイケル・グレース(写真右)はあのジェフ・ローランドのもとでキャリアを積んだ後、1990年にプロ・オーディオ機器を開発するためアメリカ合衆国コロラド州ボルダーでGRACE DESIGNを設立。丁寧で完璧な設計は評価が高い
イーベン・グレース(写真左)は1996年にGRACE DESIGNの共同経営者となった。素晴らしいギタリストでもあり、音楽的感性に優れた人物である。またウェブサイトや広告などの美しいイメージは全て彼の手によるものだ。
