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アコースティックギターやバイオリン、チェロ、コントラバスなどを始めとする弦楽器をライブで演奏する際のアンプリファイ(拡声・増幅)には頭を悩ますものです。もともとアコースティック楽器としては、狭いスペースの中で楽器全体が鳴り、響くことを前提にトーンが完成しているものですから、その響きや鳴りをそのまま電気信号に変えて伝送する事はとても難しいものです。
プロフェッショナルなレコーディングの現場では、音響特性の整ったレコーディング・ブースで、プロフェッショナルなマイクロホンをベストポジションにセットし(複数のマイクロホンを使用する場合もあります)、さらにレコーディング品位のマイクロホン・プリアンプでラインレベルまで増幅して、録音されます。場合によってはマイクの音に加えて、楽器に組み込まれたピックアップの音をブレンドする事もあります。ある有名なフィンガー・ピッキングのアコースティックギタリストの方はピックアップのサウンドだけにLexiconのリバーブをかけて、マイクの音とブレンドするのが一番良いと言われていました。 アコースティックギターを例にとれば、一般的に「ピエゾ・ピックアップ」や「マグネティック・ピックアップ」をギターに仕込み、何らかのプリアンプを介して、PAシステム(や録音機材)に送るのが多いと思います。 しかしながら、このサウンドが自分がいつも聴いている生楽器の音質や立体的な響きと違い、エレキギターのような平面的なサウンドになってしまったり、薄っぺらい音になってしまったりと、なかなかうまくいかないものです。個人的な意見を書かせていただくと、弦楽器の響きや鳴りをとらえたい場合には、やはりマイクロホンでの収音が一番良いと思います。空気感や臨場感を一番伝えられると思います。しかし、どんなマイクでもいいのかといえばそれは全然違います。満足のいくサウンドで収音するのであれば、適切なコンデンサー・マイクロホンが必要になると思います。またアコースティックの弦楽器の繊細な表現力を捕えるには、やはり価格も高価なスタジオ用のマイクが欲しくなるでしょう。またマイクロホンの微弱信号をラインレベルまで増幅する「プリアンプ」の性能は極めて重要です。市場にはあらゆる「プリアンプ」が存在します。それはミキサーに内蔵のプリアンプであったり、オーディオインターフェースに内蔵されたプリアンプであったり、さらに単体機の「マイクプリアンプ」は安い物で一万円のものから、何十万円もするものまで各種あります。アコースティックギターなどでは専用設計されたアコギ専用プリアンプもあり、マイク入力が装備されているものもあるでしょう。
プロの録音スタジオでは、欲しいサウンドに応じてマイクプリアンプを選択しています。マイクロホンが変わればまったく違うサウンドになるのと同じく、マイクプリアンプが変わればサウンドの印象は全然違うものになります。増幅のプロセスや、トランスを使うか使わないか、真空管が使用されている、などなど得られるサウンドは千差万別です。この記事で紹介するGRACE designは「色付けのないクリアー」なトランスレス方式のスタジオ用マイクプリアンプを発売しています。その対極としてはNEVE(ニーブ)系のマイクプリアンプがあります。NEVE系は入出力にトランスを配した設計で、音楽的な倍音質感が加わります。「マイク」と「プリアンプ」によって、楽器が変わった位のサウンドの変化がある事を覚えておいてください。正直どのシステムでも「音はでます」。最近の機器は安い物でも良くできていると思いますので、嫌なノイズがするとか、極端に音が悪いなどということはないと思います。しかし、どんなプレーヤーでも自分が再現したい、観客に聴かせたいサウンドがあるのではないかと思います。それはその楽器自体がもっている本当の響きを、PAなどの電気を介した後でも、できるだけ、ありのままに再現したいという事ではないでしょうか?その部分を追求しはじめると、機材のもっているポテンシャルが問われ始めます。
マイクを変えてみる、ピエゾ・ピックアップにイコライジングなど外部エフェクトを使用してみる、マグネティック・ピックアップとサウンドをブレンドしてみる・・などなど、自分の愛用する生楽器の音質を再現できる方法を模索し始めることになります。 私も色々な方法を試してみましたが、ピエゾ・ピックアップ、コンタクトマイク、マグネティック・ピックアップ、アコースティックギターの中に設置するグースネックのマイクロホンなど、でも最終的な結論は良いマイクとプリアンプと適切なセッティング(と、もちろん演奏のうまさ!)が必要という事でした。もちろんライブとなると、録音用のマイクをステージにセットして・・ということはあまりやらないと思います。動きの制限がでたり、何よりマイクに他の音がカブったり、ハウリングの問題もあります。
そこで数年前から私が注目して、お客さまにも必ず勧めているのがDPAのd:vote VO4099シリーズのコンデンサーマイクロホンです。このマイクはコンパクトながら、録音用のマイクに比較しても劣らない性能を持っています。またアタッチメントが充実しており、アコギはもちろん、バイオリオン、チェロ、ダブルベースなどに最適なクリップを使用して、楽器に穴をあけたり、傷をつけたりせずに、しっかりとマイクを固定することができるのです。DPAというブランドはプロの録音の世界では「生楽器を録らせたらナンバーワン」のマイクブランドであり、クラシックなどのシビアなステレオマイク収音では必ずと言っていいほど使われるハイエンド・マイクメーカーです。アコースティック弦楽器には最も信頼のおけるブランドです。もちろんこのd:vote 4099シリーズは、ライブでの使用を前提に設計されていて、ハウリングの起きにくい超単一指向性になっています。レスポンスはとにかく誇張なくフラット、楽器の持つ本来の響きをそのままに伝えてくれる印象です。それではDPA d:vote VO4099シリーズのラインナップを紹介していきたいと思います。実際にはピアノ用やサックスなどの管楽器用、ドラム用など色々な種類があるのですが、今回は弦楽器のギター、チェロ、バイオリン、コントラバス用のラインナップを紹介してみたいと思います。
以上のようにアコースティックの弦楽器には4つのDPA4099マイクロホンのパッケージ商品が用意されています。もちろん管楽器やドラムスのためのパッケージが他にもあるのですが今回は取り上げていません。
さて、最初に書いたように、良いマイクロホンのサウンドを最大限に引き出すためには「マイクプリアンプ」の存在が極めて重要です。マイクプリアンプを変えるだけで、楽器が変わる位のサウンドの変化があります。好みもいろいろあるとは思いますが、やはりアコースティックギターやバイオリンなどの生の弦楽器の複雑な倍音構成や、木のふくよかな響きを再現したい場合は、実際のアコースティックの音に「色付けしない」、クリアーで透明なサウンドのプリアンプが最適です。音の立ち上がりを伝える「スピード感」、音の消え際まで明瞭に伝えられる「S/Nの良さ」なども重要な要素です。
そこで紹介したいのが、DPAマイクロホンに最適な GRACE Designのマイクプリアンプです。クラシックの録音では2~4本のステレオマイクを使用して、音楽ホールの響きを含む、会場で聴いているサウンドを再現できるような収音が行われます。オーケストラなどの生楽器とホールの響きを一番良く再現できるのがDPAマイクロホンの代表作4006であり、多くのバランス・エンジニアがDPAマイクとGRACE Designのマイクプリアンプ(m201やm801など)の組合せを使用しています。 アコースティック弦楽器にDPA4099マイクだけを使用する場合には、GRACE designの1chマイクプリアンプ m101や、EQやコンプレッサーを包括した m103がお薦めです。しかし、より立体的なアコースティック楽器の響きを表現したい場合は、様々なピックアップとのコンビネーションがとても有効です。アコースティックギターなどではピエゾピックアップやマグネティックピックアップなどの既存のピックアップシステムに、マイクのリアルな響きや空気感をプラスすることで、より豊かで繊細な表現のアコースティック・サウンドの表現が可能になります。
そうなると、単体のマイクプリアンプにハイエンドなミキサーを組みわせるような大規模なシステムになりますが、GRACE design社のFelixを使えば、コンパクトに、必要な機能の全てを、それもGRACEならではの高品位なプリアンプサウンドで使用することができます。DPAのマイクの最大の特徴は色付けしない透明なサウンド、そしてGRACE designも同じく透明で繊細なサウンド表現を得意とします。GRACE design FelixにはGRACE design社ならではのスタジオ品位のマイクプリアンプが搭載されており、さらには楽器用ピックアップを接続できる2チャンネル構成。チャンネルごとに異なるEQ設定を施すことができ、最終段でそのミックスを調整して出力できます!一般的なミキサーについているプリアンプのサウンドと是非聴き比べてみてください。もちろんピックアップシステムに内蔵されているプリアンプも同じですが、極めて小さなスペースに実装基板で組み込まれた簡易的なプリアンプと、GRACEのように専用設計されたプリアンプの表現力はここまで違うものなのか!と驚かれると思います。既にギターに組み込まれたピックアップやマイクのブレンドシステムを使用されている方も、まずはGRACE design Felixをでゲインを稼いだサウンドと、今までのサウンドを聴き比べてみてください。圧倒的にレンジが広く、サウンドのアタック感、繊細な表現力、静かさ、ダイナミックさなどなど・・・専用設計のプリアンプの実力が実感できると思います。
GRACE designのFelixは、生楽器の複数の(ピックアップやマイク)入力のサウンドに特化されていますので、これ一台で完結できる便利な機能が数々搭載されています。フィードバックをエリミネイトするノッチフィルターや、周波数帯域を様々な弦楽器に最適化できる(ベースからバンジョーまで!)考え抜かれたイコライザー・セクション(設定で周波数のシフトも可能)、ブースター機能、サイレントチューニング機能、リバーブやコンプレッサーの為のエフェクト・ループ、MIXモードの他に2台の楽器使用時に便利なABモードなど、コンパクトなペダルタイプの筺体に「最高のプリアンプ」と「マスタリング品位のイコライザー」、「ミキシング機能」などが組み込まれています。
もちろん、マイクを使用しない、ピエゾピックアップ+マグネティックピックアップなどのシステムにおいても、入力インピーダンスの最適化なども行えるため、従来のシステムに比較しても圧倒的な表現力を持つサウンドが楽しめると思います。ここでもGRACE designが長年培ってきた「空気感まで再現する」プリアンプ設計が大きなアドバンテージとなります。ぜひDPAマイクロホンとGRACE design Felixプリアンプ/ブレンダーの最強の組合せをお試しください。デモ機のお貸出し、展示販売店の御案内などはお気軽にお申し付けください。
DPA 4099シリーズとGRACE design Felixのセット販売はGIZMO-MUSICでも行っております。 詳細はこちらでご覧ください。 http://www.gizmo-music.com/?mode=cate&cbid=1314706&csid=45&sort=n