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GRACE design m908モニターコントローラーの魅力に迫る『クローズアップ:m908』。 今回は「ルームEQ」について解説いたします。
m908のスピーカー出力の各チャンネルには、コントロールルーム内のわずかな周波数特性の収差を補正するためのルーム・レスポンス補正用のパラメトリックEQが搭載されています。
総数288バンド用意されており、チャンネルあたり最大12チャンネルまで増設可能です。(ファームウェアバージョン2.0.1以降)
RCUの画面には、最大で12バンドまでのイコライザーバンドが表示できる
それぞれのEQは、ローパス(low pass)、ハイパス(high pass)、ローシェルフ(low shelf)、ハイシェルフ(high shefl)、ピーク(peak)を選択できます。
Room Correction EQ 画面には、選択したスピーカーの最大で12バンドまでのパラメトリック・イコライザーバンドが表示されます。
ルームEQのWEBブラウザ画面
キャリブレーション機能を備えたスピーカーシステムやプロセッサーをお使いの環境でも、例えばDolby Atmos MusicのターゲットカーブのEQを適用することもできます。その場合、m908のワークフローでEQをバイパスしたワークフローとEQでDolby Atmos MusicのターゲットカーブのEQを適用したワークフローを作成し、プロジェクトに合わせて選択してご利用いただくこともできます。(スピーカーシステムをDolby AtmosとDolby Atmos Musicの2つ作成し、CRスイッチで作業に合わせて切り替えて使う方法もあります)
Dolby Atmos Music のターゲットカーブについて、詳しくは以下のDolbyのページ(英文)をご参照ください。 https://dolby.my.salesforce.com/sfc/p/#700000009YuG/a/4u000000lFIV/YHgXgrJVKAcelcXkD.DnlRUBZU1CqEMGDKweLRpuu98
Dolby Atmos MusicターゲットカーブEQを適用するには、以下のバンドを追加する(上)。追加したターゲットカーブの周波数特性。Dolby指定のカーブからの最大誤差は±0.5dBに収まっている(下)
これまでのm908では、キャリブレーション機能を備えたスピーカーシステムや、高精度なルームコレクション機能を搭載したプロセッサーを使用することで、再生環境の音響的な問題を改善し、理想的なモニタリングを実現していましたが、結果的にモニターシステム全体のコストが膨らんでいました。
今回、m908(ファームウェアVer.2.2.2以降)がモニター環境補正システム「Sonarworks SoundID Reference」と統合されたことにより、キャリブレーションのプロセッサーを備えていない環境でも、低コストかつ簡単なセットアップで、最大9.1.6chのイマーシブオーディオ・モニターシステムにおける正確な音響補正が可能になりました。
Sonarworks SoundID Referenceで音量差や、周波数特性、位相特性を計測しプロファイルを作成
これまでもSoundID Referenceとm908を組み合わせて使うことはできましたが、フィルタリングやタイムアライメントの処理をSoundID Referenceで行うため、PC/Mac上で専用ソフトウェアを実行する必要がありました。今回の統合によって、測定したプロファイルをすべてm908に読み込ませてキャリブレーションを適用させるため、ソフトウェアを使う必要が無く、低レイテンシーでシームレスにモニタリングできるようになります。
また、Dolby Atmos Musicのターゲットカーブやフラットな周波数特性など、複数のカスタムプロファイルを作成できるため、用途に応じてm908のワークフローを柔軟に切り替えて使用することもできます。
Sonarworks SoundID Referenceについて、詳しくは以下のページをご参照ください。
● SoundID Reference 製品ページ https://www.minet.jp/brand/sonarworks/soundid-reference-for-speakers-headphones-with-measurement-microphone/
● SoundID Reference for Multichannel https://www.minet.jp/brand/sonarworks/soundid-reference-for-multichannel/
● Seamless integration with Grace Design m908(英文) https://www.sonarworks.com/soundid-reference/integrations/grace-design-m908
SoundID Referenceで作成したプロファイルをm908にインポートすることで、リスニング環境を最適化