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GRACE design m908モニターコントローラーの魅力に迫る『クローズアップ:m908』。 今回はm908のスピーカーセットを自在に切り替えられる便利な「CUE・トークバックシステム」について解説いたします。
m908は、DSPチャンネルに余裕がある場合、最大8系統までのステレオCUEパスを構成できます。
CUEパスには、任意の入出力を割り当てることが可能です(ただし、UNBAL、BAL、ADC1 1-2 in、CR1、CR2、CR3 outは除く)。CUEミックスをブースのCUEボックスやSLS(スタジオラウドスピーカー)に送信したり、ミュージシャンやナレーターとのコミュニケーションのためにトークバックをミックスした信号を送信することができます。
CUEパスの出力先は以下の通りです
CUE setupページ(WEBブラウザコントロール画面)
CUEの入出力コネクタのルーティングは、CUE setupから設定できます。CUE出力は通常、各CUE系統ごとに設定した入力ソース[source]の信号を出力します。(CUE入力にデジタル信号が割り当てられている場合、入力信号はシステムクロックソースと同じサンプルレートで同期している必要があります。)
RCUの MON > CUE(Monitor to CUE) スイッチを押すことで、現在選択しているモニターソースをCUE出力にルーティングできます。MON > CUEの出力は「left/right」「downmix」「disable」から選択可能です。
downmixを選択した場合は、ダウンミキサーのタイプを選択できます。(使用可能なダウンミックスのテンプレートは、コントロールルーム出力のものと同じですが、ステレオ出力のみとなります。)
m908のヘッドホン出力には、CUE出力のいずれか1つを割り当てることができます。これは、外部のヘッドホンアンプが使用できない場合に便利です。(ヘッドホンアンプへの信号はDAC 2の7-8チャンネルに配線されており、同時にCUE/CR EXT出力にも配線されています。ワークフローでヘッドホンがアクティブになっている場合、ルーティングの競合を避けるためにCUE / CR EXT出力のチャンネル7-8には信号を割り当てることができません。)
m908には、2つのヘッドホン出力(ACU本体およびRCU)を搭載しており、どちらのヘッドホン端子にもCUEミックスをルーティングできます。
m908のヘッドホン出力のフローチャート
m908は、さまざまな用途に対応するトークバックシステムを搭載しています。
RCUにはSPLメーターの測定も兼ねた内蔵マイクロホンを備え、本体にはファンタム電源対応のトークバック用マイク入力とマイクアンプを搭載しています。さらに、トークバック専用のXLR出力も装備しています。(内蔵マイクと外部マイクは同時に使用できません。)
RCU背面の内蔵マイクはSPLメーター兼用のトークバックマイク
トークバックマイクは、さまざまなトリガーソースからコントロールでき、複数のCUE系統へ個別にルーティングすることが可能です。 (トリガーソースには、RCUのTALKBACKスイッチ、ACUの外部トークバックスイッチジャック、A/B/Cのユーザースイッチ、GPIO入力ピンなどがあります。)
例えば、RCUのメインTALKBACKスイッチですべてのCUE系統にトークバック信号を送信し、Aのユーザースイッチで特定のCUE出力のみにトークバック信号を送信するよう設定できます。
各トークバックスイッチには、以下の3つの動作モードを設定可能です。
TALKBACK setup ページ(WEBブラウザコントロール画面)
また、トークバックスイッチに連動してタリーランプが点灯するなど、GPIOピンからロジックレベル・タリーを出力するようにプログラムすることもできます。
m908 トークバックのフローチャート
NAMMの会場でm908についてデモンストレーションするMichael Grace氏。彼を中心としたチームのプロフェッショナルな回路設計と、製品を次世代までずっと使い続けてほしいと願って丁寧に行われるサポート体制がグレースの魅力にもなっている。