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MDR-CD900STのモディファイが進化!「ワッシャー Mod」の改造方法を公開します!

Perfect Symmetry Mod &ドライバーチューニング で完結かと思っていたMDR-CD900ST Mod に新しいModが追加されました。簡単な作業でけっこう感動的な効果があり、採用しないわけにはいかないモディファイなのでご紹介いたします。

*過去の900ST改造の記事はこちらにまとめてあります!
https://umbrella-company.jp/contents/tag/900st/

ドライバーユニットは前面板のへこみに収まり、ドライバー止めで挟んで固定される。固定に関しては、挟んで留める ただそれだけの事。で、それが思いのほか ゆるい。古いのはもっとフィットしていた気がします、現行品とくらべてドライバーが大きいのか、収まる部分が小さいのかは分かりません。

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ドライバーユニット の直径 40.07mm

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前面板ドライバーユニットが収まる所 内径 40.36mm

ドライバーユニット の直径 40.07mm 前面板ドライバーユニットが収まる所 内径 40.36mm 0.29mm の差がある。そこに収めなければいけないので構造上必要な差。同じ寸法では入らないので当然だ。差があると言う事は隙間が生じカタカタする。必要以上に差があればカタカタも大きくなる。ドライバー止めで押さえるにしてもこのカタカタは良い方向には作用していないはず。

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固定してみる。方法を考える、接着剤か?パテか?光硬化レジン?これらを採用した場合、確実な固定はできるものの将来ドライバーユニット交換となったときには、前面板ごと交換になる。まあ、そんなに高い部品ではないので割り切ってそれでもいいけど。それより、混ぜ具合とか着ける量などで個体差が出やすい事が懸案、モディファイのメニューにするためには再現性の良さも重要と考えている。 両面テープ!細ーく切って・・・、ドライバーユニットに一周貼り付け・・・、前面板に入れ!・・・入った!カタカタしない、ピタッと固定。固定はひとまず両面テープに決まりかな?基材で隙間が均一にきれいに埋まるし、乾燥・硬化の待ち時間もない!接着剤みたいに作業ミスの心配もない。扱いも簡単、両面テープ素晴らしい!でも細く切るのが誤差の素ではあるのだけど・・・、幅の細い両面テープが・・・あった!さすがAmazonなんでもある。3mm幅 10m巻 176円 安い!さっそく購入!このレシピなら正確に再現できる。

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組み上げて試聴してみると・・・。 驚きました!解像度・分解能がかなりの歩幅で向上しています。セパレート配線やPerfectSymmetry Modに次ぐ強烈な効きめ!興奮します!カタカタを抑え不要な振動を取り去ることで物理的な歪や雑音が低減できていると考える。周波数レンジやダイナミクス、L/Rの定位も音場も、これはやばい。今までのモディファイで打ち止めかと思っていたけど、まだこんなに伸びしろがあったか! しかし、高域の広がりというか、周波数レスポンスではないところ、時間的な伸びというか分解能に限っては少し控えめになる印象も受けた。カタカタを止めるために両面テープを一周巻いたと言うことは、ドライバーユニットはクッション性のある両面テープによって前面板からフローティングした状態になる。電気信号を入れて振動するのは振動板。その振動板を支えるドライバーユニットの外側の金属は動作の基準点ともなる部分、振動板が動けばわずかながらに反作用を受ける、振動が殺されているのか? 一方、オリジナルの状態ではカタカタはするものの、ドライバーの外側は挟まれて前面板と一体化し振動の基準点を作る。質量も大きくなり基準点としての条件も良い方向に作用していると考えられる。ここはガチっと微動だにしないことが望ましいと仮説を立てる。カタカタは止めたい、前面板ともきちっと一体化させたい、ならば両面テープを一方に集中させ、厚みですきまを突っ張り前面板とガチっとする、これで振動系は一体化できる。さっそく検証、テープ1枚分の厚さではゆるゆるだ。増やしてみる、2枚でも物足りない、3枚重ね 少々きついが きついくらいが良い?テープを潰すように力を入れ嵌め込む「ヌコっ」ってな感じで気持ちよく収まる。これでどうだ!カタカタは止めた、ドライバーの外側は前面板にガッチリ固定できた。分解能はすごく良い!しかし気になっていた高域が伸びない感じはねらったようには改善されていない。両面テープのようなクッション性のある柔らかい素材は適していないのか? それなら 硬い素材だ、ホームセンターでアルミ板を購入、3mm幅に切って両面テープの代わりに使ってみる。切る長さで入れる時の抵抗感が変わる、調整しながら良い長さを探す。

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さて、音は?・・・キター!拡張した分解能はさっきの感じを保っている、いやそれ以上か?気になっていた高域もスコーーーんと気持ちよく伸びる、良い傾向へ動いた。両面テープ方式では必要な振動も抑えてしまっていたと実証できたといえるだろう。しかし、ローエンドの出方が若干、極わずかにおとなしくなってしまったか?そんな気もしないでもない。従来のPerfect Symmetry Modと聴き比べると確かに何者かに制限されているかのような、試しに検証のためアルミ板を外してみる。これか!わずかな低域のレスポンスの違い、カタカタを抑える事で得られる この高い分解能は、モディファイに取り入れ活かしたい要素。分解能・解像度の向上の手法としては間違っていないようだ。ただし、押さえすぎると、もしくは押さえ方によって副作用がある事もわかりました。構造的に部品にストレスかかる事は否定できない、わずかに変形などが起こっているのか?ミクロな視点で見た場合、妨げになっているのか? ドライバーユニットのホールド方法を三度検証。これまでは円周の隙間を埋めることでの制振を試みてきました。それを一旦やめて、違うアプローチを試します。ドライバー止めのロックを強化し前後方向での挟む力を強化てみることに。どういう事かといいますと、ドライバー止めは前面板にはめ込むと4か所あるツメが前面板に引っかかりドライバーをロックしている。モディファイの時は意識してみているが、分解前は前面板とドライバー止めの相性なのか 1、2か所は気持ちよく固定できていなかったりもする。このツメ部分の引っかかりが弱い部分がある事は前々から気になっていた事でもありますが、今回これを確実に均一にロック、前後ではさむ力を強化する方法を試してみたいと思います。ツメの後ろの隙間に何かが入ればツメは動けなくなるので確実なロックができる、”楔”の原理。ここに何かを詰める事でドライバーユニットのロック具合に効いてくる。さっきのアルミ板を曲げて楔にしてみる。

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挟み込む力が大きくなり、3つのパーツが強固に密着した、くるっとしようとしてもしっかり固定されている。円周方向ではない前後方向での固定。ホールドする方向が良くなかったのなら改善が期待できる。しかし音は良い傾向だがまだ抑えすぎ感がある気がします。アルミ板は摩擦が少ないのでしっかり入れておかないと外れてしまう、きつめに挿入しなくてはならない。ホールドする力の方向が変わろうとも、この傾向は変わらなかった。低域のレスポンスの低下はホールドの強さで決まる。強く詰めたので押さえすぎとなったと考える。ローエンドはもっと出るはずです、次!

硬くて摩擦が少ない楔で都合悪ければ柔らかい素材で軽く突っ込める物を検証します。改造の際にケーブルのシースがゴミ箱行きですがこれがちょうど良い厚さ、軽く止めるにはいい感じです。PVCなので摩擦係数高め、使っていて外れてしまうことは考えにくいです。 ピンセット2本を駆使して隙間を広げ円筒形のクセが付いたクニュクニュ材料を挿入する、結構イライラします。音はこれまでの傾向から予想できる音、つまり低域のレスポンスが大きく改善、かつ これまでにない高解像度を保っている、つまり追い求めてきたサウンドにだいぶ近付いた、9合目!

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音は良いけど作業性がすごく悪い。外れにくいってことは入れにくいってことだ、アレをアノすきまに入れ込むのはイライラが最高潮、やりたくない作業・・・。もっと適した材料費がないものか、うーーーん。 あっ!!これが良いかもしれない!

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スポンジ!Perfect Symmetry Modに含まれるドライバーユニット・チューニング、これを施す際に取り外したスポンジ、ドライバーのベントホールに入っているやつです。通常これはゴミ箱行き。これを半分、さらに半分で4分割。これを隙間に詰める、2本のピンセットを駆使しての作業には変わりませんが形が変化するのでやりやすいです。全部詰め込んでしまうと外すときに苦戦しますので、つまめるように残しておきます。片側4か所 計8カ所に施します。スポンジなので簡単にへこみ、すきまに入れば程よくホールド、機能面も作業性も一番です。

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さて、肝心のサウンドはというと、低域のレスポンスはこれまでのPerfect Symmetry Modと同等、ばっちりです!かつ、解像度は今回のモディファイの効果が現れていて、2つの課題をみごと両立できている!すごく鮮明で明確でダイナミックです。やばい。 もう少し、スポンジの詰め方を研究してみる。しっかり詰めるとダメだ、この隙間空気の行き来があるのか?通り道を塞いでしまっている?表側から見ると相当する所に孔など無い、違うか?でも念のため、隙間を広げる感じでスポンジは端に寄せ詰めてみる。が、これはやはり効果なし、そうだろね。 優しく詰める。4等分したスポンジを半分くらい詰める、優しく。実質あの小さなスポンジ1/8個分。これで効くのか?ってくらいの大きさだけど効く!確実に効く!低域の副作用も少ない。 さらに試しに片方だけにこの処理を施し聴いてみる、センターを境に音の分解能の違いがはっきり出るこれは面白い! うそ〜ん ってくらい違う。しっかり詰めるとやはり低域を抑制してしまう。スポンジも軽く詰めないと抑えすぎてしまうようだ。しかし、軽く詰めるだけで解像度の向上効果は確実に効いている!スポンジは楔としてではなく、振動を整理するために機能すると言う事か?しっかり詰めてしまうと副作用が出る。と言うことは、ドライバーが前面板と一体化する事が音質改善に作用しているという仮説は違う事になる。 ドライバー止めのツメが共振し振動を逃がしていた?あんなに軽〜く詰めるだけで効果が出るなんて、どういうメカニズムなのか?しっかりホールドすると低域のレスポンスが低下する件も合わせて、引き続き課題に挑む。技術的な謎解き・裏付けにはまだまだ時間がかかりそうだ。 スポンジを入れると低域が落ちる、しっかり詰めれば詰めるほど低下する傾向。スポンジを詰める事で構造にゆがみが生じるのか。ゆがみが生じることで低域のレスポンスが低下し、その事により高域が明瞭に聴こえていただけだったのか?明瞭になる高域、低域のレスポンスの低下、作用と同時に副作用も出ていた事になる。そのバランスで良いポイントを探っていたという事に。副作用が出るという事は根本的な解決には至っていない。頭痛に効く薬で胃が荒れる、効果と副作用を理解しバランスをとって使っている。でも、そもそも頭痛が起こらなければ薬を飲まないので副作用で胃が荒れる事もない。この“そもそも”を解決するには副作用が現れるスポンジMODではダメだという事だ。

またもや、振り出しに戻った訳だが、今ならこれまでに多くの実験・検証してきたデータがある、俄然面白くなってきた!ゆがみが生じる要因としてスポンジ以外に心当たりがある。これまでのPerfect Symmetry Modではハウジングと前面板の間に隙間を設け振動板背面の動的な空気圧を調整する方法を採用した。振動板の動作を妨げる空気のブレーキ作用を軽減する事で、低域の量感が増す事が確認できており、前面板をハウジングに固定するネジの部分の1ヶ所にワッシャーを挟み隙間を作った。1ヶ所だけの適用なのでねじを締めることで前面板はごく僅かに反りを生じる、この事がドライバーユニット固定の際のゆがみとなっていると考えられれる。 当時のモディファイでは低域のレスポンスの改善に十分な効果があり音質も満足する内容でした。しかし今、この事が低域のレスポンス低下の要因として扱われている。これはどういう事か、次のように考えられる。低域のレスポンスの改善効果が低域のレスポンス低下の要因より大きいため、トータルで低域レスポンスの改善の方向に効果が現れたから、レスポンス改善に効果があると判断していた。これが今の僕によって、2つの要因が相関し合っている事が明らかにされた。完成されたと言いつつも900STいぢりは止められるはずもなく、相も変わらず毎日のように触ってしまうので、どうしたって新しい発見をしてしまう。さらには、密かに企むモニタリング・デバイスの新モデル検証用に用意した評価機のサウンドがすごい事になっていて、これによっても発見がある訳で、当然900TS MODも更なる伸び代が生れてしまう。ゆがみによる望ましくない変化もそのヘッドホンアンプによって確認する事ができた。ヘッドホンとヘッドホンアンプそれぞれの進化がお互いをブラッシュアップし合ってきたと言っても良いだろう。 「固定の際のゆがみをとる」この方法を考える。試しにワッシャーを外してみる。ゆがみは無くなるが、音は思った通りの変化、重心が上がり、気持ちよく鳴りません。やはり隙間を作る事は重要なプロセスである事が再確認できました。隙間は必要、ワッシャーによって反りが生じている事は分かっている、と言う事は「反りを生じることなく隙間を設ける」これが今回のポイントとなりそうです。固定ねじは4カ所、4カ所全部にワッシャーを入れることで同じ高さがキープでき、反りを生じることなく隙間を作る事が可能になります。4個のワッシャーを気にしながらの組み込みはお釈迦様でもキーーー!!ってなるレベル、予め接着しておきます。 するとこんな感じです、ツメのロックも確認しておきます。

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あとはねじを締めて組み上げます、これだけ。高さが揃い、前面板は反りを生じなくなる、と同時に隙間が確保できる。これで音を聴いてみると、低域の伸びがえげつない、空気振動というか"空気の移動"くらいの極低周波成分も感じる事ができる。解像度も格別、スポンジ詰めた時くらい、それ以上か!?響きが長い!最後までちゃんと聴こえてくる。機構的なゆがみをとった事が、色んな事を良い方に動かした。そしてなにより副作用が出ていないのが素晴らしい。この事からも正しい方法であると確信できる。 色々聴いてみる。いつものリファレンスShelby Lynne - Just A little oLovin' キックのアタックは素早く追従し、その後についてくる 鳴りの密度感、深さと重さをきちんと再生しています。リムショットはスコーン!と気持ちよく立ち上がり、リバーブ成分がめいっぱい拡がるのが分かる。ハイハットもシンバルの音だけでなくスタンドの鳴りも捉えているのが分かる。エレピはこんなに艶っぽかったか? ”Air on the G String”では、ド頭のロングトーンの緊張感がゾクゾクします、余裕たっぷり量感たっぷりのベースラインとの対比が明確で面白い。部屋の響きの成分が明瞭、演奏された空間の広さがよく分かります。チェロに埋もれていたチェンバロの中低域、マスキングから解放 一音一音が強い存在感を持つ。EDMのキックに含まれる数Hzの低周波が脳を揺さぶる、クセになりそう。ランダムにパンするパーカッシブな超高域の音色もその現れるポイントが明確で、低域成分に負けることなくブレずに真っ直ぐ飛び交う様子が空間に描かれる。Xのライブテイクはオーディエンスの歓声がリアル、「YOSHIKI--!」とコールが発せられた方向と距離が分かる。フラメンコギターの超速アルペジオ、こんなにも丁寧なピッキングだったか、そして指じゃなく爪だ!何を聴いても新たな発見がある、聴いていて楽しい!

今回はなんかいろいろ手を出しかなり遠回りしましたが、結局のところ新たに採用に至ったのは "ワッシャーをかまして隙間を作る" これだけ。でも効果の程はビックリです、驚きました。もちろん、これまでのドライバーチューニングなどを含むperfect symmetry Modがあるからこそ、ワッシャーMODが効果を発揮できる。モニタリングデバイスのテスト機による新たな発見も多く、すごいサウンドを与えてくれた。 モディファイ作業のついでなら手間は変わらない、材料の追加もない。アンブレラカンパニーのModにも追加しない理由はない。Perfect Symmetry Modのマイナーアップグレード版「Perfect Symmetry Mod 2018」完成!

【リンク】

■ 過去のMDR-CD900STの改造・モディファイに関する記事はこちらにまとめてあります。 https://umbrella-company.jp/contents/tag/900st/

 

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