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まずはCaroline Guitar CompanyのKilobyteディレイの個性的なサウンドを象徴している【Attack】コントロールについて説明します。この【インベーダーのマーク】のノブと、その横の【Level】コントロールでディレイサウンドをコントロールするのですが、とてもユニークな設計になっています。
KilobyteディレイはアナログのドライパスとPT2399経由のディレイパスをミックスしています。【Level】ノブを絞りきった時にはアナログのドライ信号が出力され、【Level】ノブを上げていくとディレイ音が付加されていきます。 【Attack】コントロールは今までに誰も考え付かなかった凄いコントロールで、+21dBのブースト・プリアンプ回路になっています。このゲインでPT2399チップを叩くことでファットで倍音の強いリピート音を演出しています。簡単に言えば「ディレイ音が歪む」ということです。 下のビデオを見てみてください。最初のサウンドは【Attack】を下げた状態の、つまりクリーンなリピート音です。ビデオでは徐々に【Attack】を上げていき、そのたびにディレイ音に歪が加わっていくのが判ると思います。【Attack】を上げると(プリアンプがゲインを持ち上げるので)ディレイ音の音量も上がります。ビデオでは【Attack】を上げるたびに【Level】ノブを絞ってディレイ音の音量を下げて調整しています。 このビデオのほうがわかりやすいかも知れません。ビデオの撮影の仕方が悪く、ノブの位置が見えないですね(笑)ごめんなさい・・・。 最初のフレーズはアナログのドライシグナルだけの音です。次にフットスイッチを踏んでエフェクトをオンにしてLEVELノブを上げています。ATTACKは上げていないので、クリーンなディレイ音ですね。 その次はATTACKをグッとあげて、ディレイ音が大きくなりすぎるのでLevelを少し絞っています。聴こえるとおりディレイ音に美しい倍音が加わって、太くリッチなサウンドになっています。アナログのテープエコーのような心地よいサウンドになりました。更にATTACKを上げていくとディレイサウンドがどんどん歪みを増していくのが良くわかります。
ちなみに下の2つのノブはBINARY CLOCK(つまりディレイタイム、最大約600msec位)と、SUMMATION(フィードバック)です。
上や下のビデオを見ればすぐに効果が確認できると思いますが、すごくアナログ的で有機的な「揺らぎ」をディレイ音にプラスすることができます。正確に言えばピッチシフトとディチューンをディレイのリピート音に加える効果です。どこか切ないような、とても印象に残る独特の質感はKilobyteでしか味わえない響き。下の動画のようにAttackコントロールで得られる「歪み」とTACOSコントロールの「揺らぎ」は絶妙のコンビネーションで音楽に浮遊感のある表情をつけてくれます。
Havocフットスイッチでは、ディレイ音をフィードバックさせながら、ハイパスフィルターをかけることで美しく特有のサウンドを達成できます。Havocスイッチを踏んでいる間はフィードバックが最大になり、持続するディレイ音のフィードバックにはハイパスフィルターが適応された独創的な夢のようなサウンドになります。Havocスイッチから足を離すと徐々にディレイフィードバックは減衰します。
ディレイタイムの長さによるHavocスイッチの効果は以下のビデオの通りです。特にダブリングぽくなるくらい短いタイムでHavocを踏むと、すぐに発振してとても面白い効果になります。
リアルタイムでディレイタイムやHAVOCスイッチをコントロールしたノイズ的パフォーマンスもかなり楽しくてはまります。HAVOCスイッチをカチャカチャと何度もランダムに踏むと「ぶっ壊れた感」が増して狂ったサウンドになります。
正直こんなに個性的なディレイペダルに出会ったのはOohLaLa manufactuaring(BLACKBOX)のQuickSilver以来、というかQuickSilverの何倍も個性的で、表現幅が極めて広い。「歪」「揺」「フィードバック」の3要素を組合わせて演出する唯一無二のディレイサウンド。誰の真似でもないオリジナルのCarolineサウンドに脱帽。個人的にも絶対に手放せないペダルの一つになりました。傑作だと思います。