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Delay ディレイ

アナログディレイとは?

アナログディレイとは、アナログ信号のまま、出力信号に時間差(遅延)を得る方式のディレイエフェクトです。デジタルディレイのように音声シグナルのデジタル変換を必要とせず、音質面で有利・・・と言いたいところですが、オーディオ特性に関しては正直デジタルディレイのほうが有利です。

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では、なぜアナログディレイが選ばれるのか。それはアナログディレイの音色だと思います。動作原理上、仕方なく付帯してしまう音色変化、帯域は狭くなり、リピートするたびに変化するディレイ音こそアナログディレイであり、デジタルディレイとは似て非なるもの、別のエフェクトと理解するべきかもしれません。

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アナログディレイの動作原理はBBD(Bucket Brigade Device)という物を用いて遅延を作っています。Bucket Brigade Deviceを直訳すると、バケツ 橋渡し 素子、バケツリレー素子と解釈できます。(よく見るBBD素子という表記はバケツリレー素子素子となり、変だと言う事に気が付きました。) BBDの中身はコンデンサ(バケツ)と電子スイッチ(リレー)で構成された1ステージ、これが500ステージとか1000ステージとか品種によっては4000ステージとか 多くの段数を1つのパッケージに収めています、なので本当はバケツリレー素子群と呼ぶべきかもしれません。このリレー素子群を使って入力信号をアナログ電圧の情報のままバケツリレーを行い出力端子まで渡していきます。リレーするタイミングはクロックという号令で統率されて動きます。クロックの合図によって1ステージ目のリレー素子は入力端子から電圧を受け取ります。そして次のクロックの時に1ステージ目の入り口を閉じ、出口(2ステージ目の入り口)を開け、その電圧情報を渡します。これを繰り返し、クロックの回数と素子のステージ数とで算出される時間だけ遅らせることができるようになります。クロックの1周期でリレー素子を2ステージ進むことができますので、100kHzのクロックなら20.48msの遅れが得られます。クロックを半分の50kHzに変更すれば遅れは40.96msとなります。クロック周波数をもっと下げると例えば20kHzなら 102.4msの遅れを作ることができます。 この時得られる出力は1合図分の時間で区切られた瞬間の値でしかありませんので、これを繰り返し現れた電圧を滑らかにつなぎ、音声信号に戻してあげる処理が必要になります。出口に到達した電圧情報はその瞬間の値であり、単純につなぎ合わせるとギザギザして入力信号とはかけ離れた形状になります。このギザギザ成分は切替えの号令であるクロックによるものであり、クロックの周波数を取り除くことが必要です。通常は音声帯域20Hz~20kHzに対して、十分に高い周波数50kHzとか100kHzといった周波数をクロックとして与えます。互いに周波数帯域が違うためフィルターが使えます。LPF(ロー・パス・フィルター)を使用し、設定した周波数から低い周波数だけを通過させ、高い周波数のクロック成分が除去できます。

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長い遅延を得ようとクロック周波数を下げていくと、音声信号の周波数にかぶってきてしまいます。出力信号からクロック成分を除去するためにはLPFの設定周波数をクロック周波数の半分以下にする必要があります。例えば、102.4msの遅れを得るためにクロック周波数を20kHzに設定します。20kHzのクロックを除去するためにLPFを半分の7kHzあたりで設計しなければなりません。7kHzのLPFとなると音声帯域も無事でありませんので、ディレイ音は高域が削れた音になります。動作原理上、音声帯域も削る必要があり、オーディオ特性的には良くない変化を伴ってしまう訳ですが、これがアナログディレイの音がやわらかい/温かみがあるなどとかえって高評価を得る、アナログディレイが今も愛される理由の一つです。 フィードバックを上げると、ディレイ音が再びBBDの入力に戻され、出口でまたLPFをかけられる、さらにそれが三度BBDを通過しLPF・・・とリピートを繰り返すたびに高域が削れていきます。

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アナログディレイではもう一つ特徴的な事を行っております。BBDはS/N比が悪くダイナミックレンジは60dB程度しかない。この酷い性能のBBDでS/Nを有効に使うためにコンパンダーという回路が必要不可欠。コンパンダーはコンプレッサーとエキスパンダーを組み合わせた回路で、ダイナミックレンジの狭いBBDに入力する信号を圧縮し、BBDを出た信号をエキスパンダーで引き延ばして元に戻す。これを行うと、BBDで付帯するノイズを抑え込むノイズリダクション効果が得られダイナミックレンジを拡大する事ができる。同じ特性で戻しているとは言え、一度コンプで潰されるのでBBDを通過するディレイ音はコンプ感・飽和感をまとう。濃縮され密度が高まり深みが出る。LPFでの音色変化と相まってとても良い色を出している。 デジタルディレイでディレイ音にLPFをかけただけではこの濃さは生まれない。コーヒーにスチームミルクを入れるだけではない、エスプレッソショットも追加しているのだ。まろやかでコクも深い、少し複雑だけど心地よい、これがアナログディレイの魅力ではないでしょうか。

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Bondi EffectsのArt Van Delayは、アナログ回路をデジタル・コントロールすることで、アナログ音質を保ちつつ多くのアドバンテージが得られる注目のモデル。

★ Bondi Effects Art Van Delay製品ページ http://www.umbrella-company.jp/bondi-effects-art-van-delay.html

    

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