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Interview column インタビュー&コラム

adaptrookインタビュー ~トラックメイクとエフェクター~

エフェクターをトラックメイクに組み込む

Chase Blissを筆頭に、今までにないサウンドや創造性を備えたエフェクターが増えてきた昨今。その音楽性を取り入れようと、シンセサイザーやリズムマシン、生楽器などギター以外の音源にペダルエフェクターを使うプレイヤーが増えてきています。最近では『FINAL FANTASY VII REBIRTH』の楽曲でカリンバやパーカッションにChase Bliss MOODが使用されるなど、様々な制作の現場でエフェクターがインスピレーションを生み出しています。

今回インタビューしたのは、DAWを中心としたトラックメイクにエフェクターを組み込み、制作を行っているadaptrookさん。彼がどのようにクリエイティブなペダルと出会い、どのようにデジタルの制作環境に組み込んでいるのかについて迫ります。

(adaptrookさんがオーナーを務めるmusic bar & studio Apt.にて、トラックメイカーのためのペダル試奏イベントが2024/10/13(日)に開催!詳しくはこちらから。)

adaptrook

音楽性は幅広く、ヒップホップやジャズ、ラテン音楽、電子音楽の影響を受けており心地よいグルーヴ、特異なビートに描かれるサウンドスケープはディープで革新的で国内外アーティストのRemixや楽曲提供、作品のリリースを行っている。ドイツ機材メーカーNATIVE INSTRUMENTSのサンプルキットEXPANSION"CONCRETE SUN"にサウンドクリエーターとして参加している。(Instagram:@adaptrook/ Spotify/ Apple Music

参加楽曲

"自分の作る楽曲たちに統一感とキャラクターが欲しいと思っていて"

最初にこれまでのご活動や、使用してきた機材に関してお聞かせください。

幼少期にHipHopに触れレコードを集めるようになり、まずはDJとしてキャリアをスタートすることになりました。なので最初に買った機材といえばTechnicsのSL-1200MK3と、TechnicsのDJミキサーです。その後クラブで様々なラッパーに出会いトラックを制作するようになったというのが楽曲制作の始まりで、その時に最初に買ったのがAKAIのMPC2000XLです。最初はサンプリングメインの制作方法でDAWに流し込んだ曲をEDITって感じで。

その後は時代の流れもあってAbleton Liveでの制作がメインになり、実機のサンプラーやシンセを所持しているものの、プラグインやソフトシンセが中心になっていきました。この頃はスピード感や便利ってのが理由として強かったです。ただ、もっと実験的に楽曲作りをしたいと思うのと同時に、自分の作る楽曲たちに統一感とキャラクターが欲しいと思っていて。

そこでエフェクターに出会ったと?

そうですね。楽曲提供やRemixワーク以外の自身の作品の殆どがインストゥルメンタルで、フィールドレコーディングなどの音を取り込んでサンプルすることが多く、細かい音の変化が欲しい時に出会ったのがMOODでした。それからはChase Blissにハマって、今はMOOD MKII、Onward、Generation Loss MKIIを使っています。

adaptrookさんの個人スタジオ。こだわりの機材が並んでいる。

"なんでそうなったのかわかっていなくても、それも出会いかなと思っています。"

実際にエフェクターをトラックメイクに組み込む際は、どのような環境で、どのようにエフェクターを使用しているのでしょうか?

環境については、ハードをソフトのように簡単に呼び出して使うやり方をしています。デスクに座って制作モードに入ったら、ケーブル繋ぎ変えるのとかが面倒で…。ハードのシンセやエフェクター持ってるのに使ってないって人が僕のスタジオに遊びに来る人にも結構居るんですけど、このやり方はそういう人にもおすすめです。

具体的には、まずインターフェイスの入出力にエフェクターを繋ぎっぱなしにしておいて、Ableton LiveのExternal Audio Effectでその入出力先を設定して、手持ちのエフェクターの名前にリネームして保存しておくだけ。僕だと”Chase Bliss”とか”microcosm_Zoia”とか。Ableton Liveのユーザーライブラリに一回保存しちゃえば、もう次回からはソフトのエフェクターのようにすぐに呼び出せます。

オーディオインターフェースにはそれなりの入出力が必要にはなるのですが、僕はUnivarsal AudioのApollo 8にカスケード接続でArturiaのAudioFuse 8Preを繋いで入出力数を増やしています。

Prismatic Wallを操作するadaptrook氏。

あとはシンセやサンプル音をコレらのペダルに通して、実験的につまみをグリグリして自分好みの音が来たらすぐ録音。その取り込んだ音をAbleton Push 3で音階つけて演奏したりと、ペダルのエフェクターとしては独自な使い方をしていると思います。

ハードのエフェクターって難しそうでなかなか手を出しづらいってのもあると思うのですが、触ってたら段々わかってくるし、ループ再生させながらだったら両手空いているのでツマミグリグリさせて。なんでそうなったのかわかっていなくても、それも出会いかなと思っています。

adaptrook流ペダルセットアップ!

①Chase Bliss Generation Loss MKII ②Chase Bliss Onward ③Chase Bliss MOOD MKII ④Hologram Electronics Microcosm ⑤Old Blood Noise Endeavors BL-44 ⑥Empress Effects ZOIA ⑦Electronic Audio Experiments Prismatic Wall

adaptrookさんのペダルセットアップはChase Blissの3機種(①~③)、④Microcosmと⑥ZOIA、⑤BL-44と⑦Prismatic Wallの3系統に分かれています。MicrocosmとZOIAのセットはサウンドをテクスチャ感のある背景へと加工したい時に、BL-44とPrismatic Wallのセットは実験的に使用して、偶発的に出てきたものをアイデアの種としてトラックに組み込んでいくのだそうです。

Ableton Live上ではそれぞれの系統ごとにExternal Audio Effectのプリセットが組まれており、プラグインエフェクトと同様に、エフェクターを掛けたいトラックにドロップダウンするだけでエフェクトをかけることが可能になっています。

adaptrookさんのAbleton Live画面。左の「Chase Bliss.adv」をトラック「T1」にドロップしただけで入出力が設定され、13 Audioにエフェクトをかけた音をトラッキングできる。

トラックメイカーのためのペダル試奏イベント開催!

10/13(日)に東急東横線 祐天寺駅からすぐ、adaptrook氏がオーナーを務めるmusic bar & studio Apt.にて、トラックメイカーのためのペダル試奏イベント、"Pedals on the Beats!"が開催されます! イベントではエフェクターを、Roland SP-404やYAMAHA reface CPなどで試奏することが可能。またイベント内ではadaptrookさんと、ソウルピアニストのSWING-Oさんによるデモンストレーションも!詳しくはこちらから。

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