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Interview column インタビュー&コラム

Chandler Limited REDD.47 Pre Amp, Grace Design m303導入インタビュー! | 西田修大 様

Chandler Limited REDD.47 Pre Amp, Grace Design m303導入インタビュー! | 西田修大 様

現代のミュージックシーンを代表するギタリストである西田修大氏。最近はギタリストとしての活動に加えて、作曲やアレンジ、プロデューサーとしても目覚ましく活躍しています。それに合わせて自宅での制作作業も大幅に増えたとのことで、マイクプリアンプとしてChandler REDD.47 Preamp、DIとしてGrece Design m303を導入いただきました。

2機種のインプレッションに加えて、西田氏のレコーディング哲学、作業場へのこだわりに、機材選定などあれこれ語っていただいた貴重なインタビューです

西田修大/ニシダ・シュウタ

1988年生まれ、広島県出身。君島大空 合奏形態、Shun Ishiwaka Songbook Trio、KID FRESINO、アイナ・ジ・エンド、UA、ハナレグミ、菅田将暉、絢香、Ortanceといったさまざまなアーティストのライブやレコーディングで活躍。現代の音楽シーンに欠かすことのできない気鋭のギタリスト。
https://twitter.com/nsd_st
https://www.instagram.com/shuta_nishida/

西田氏自宅のプライベートスタジオ。

Grace Design m303

この度はありがとうございます!Grace m303はどういった目的で導入されたんですか?

これまで自宅でギターを録るときは、Universal Audio OXを使うか、マイクを立てるかの2択がほとんどで、DIを使ったライン録りはスタジオでの保険的な意味合いが多かったんです。でも最近良くやる手法が、基本となるアンプの音に加えてラインの音に派手なビブラートをかけたり、オクターブ上や5度ピッチシフトさせて左右に配置するようなやり方。いわゆるストレートなギターらしい質感はOXとかマイクで、それとは違うもっとエフェクティブな音や、そもそもの質感をガラッと変えたい場合はラインを録っておいて使うと面白いことが多い。アンプと同時に録れるように、その目的でm303を導入しました。

実際導入してみて違いはありましたか?

俺はよくある「色づけ無い」とか「ピュアな」って売り文句に懐疑的なところもあるんですが笑。m303は自分がイメージする「すっぴん」なサウンドを想像以上に体現してくれました。アンプを通さない自分のギターそのものは、きっとこうだろうな、こうなら嬉しいなっていう音。それは情報が少ないという意味ではなくて、全体的に締まってるけどローもあって、ミドルの太さとハイの解像度もちゃんとある。Graceの絶妙なチューニングのおかげだと思うんですが、結果「素材そのままのいい音」を感じさせてくれました。

昔はライン直の音ってスカスカで、使いづらくてしょうがないと思ってました。最近自分で録音やミックスもやるようになって気づいたのは、ラインの音にも質があって、その特性が後々の加工で大きく反映されてくること。m303にして本当にラインの音が扱いやすくなって、前よりシミュレーターを使うことも増えました。なにかと使い出のある音にしてくれるので、エフェクトやシミュレーターもどんどん試したくなります。

m303は主にギターのライン録り用で使用。

どんなユーザーにオススメでしょうか?

最近って高品位なプラグインやペダル型のシミュレーターもかなり選択肢が増えて、自宅で使われてる方も多いですよね。そういう目的で、まずラインの音をアップグレードするのはすごく意味があると思います。その後の加工のために、まずバッチリ下ごしらえをするイメージ。シミュレーターでなんとなくダイレクトも一緒に録ってるけどいまいちであまり使わないって人も、m303を挟むとかなり変わるはず。改めてラインも良い音で録ることの重要さを、実感してもらえると思います。

Chandler Limited REDD.47 Preamp

ありがとうございます!次はChandler REDD.47について聞かせてください。デモ機じっくり試してらって、導入を決めていただきましたよね。

俺はApolloユーザーなのでUnisonを使ったマイクプリも色々試していたけど、ずっと実機への憧れもあって。どこかでしっかりと向き合ってみたいと思ってたんですよね。

それで色々試している中で、REDD.47を貸してもらってその日のボーカルやベースの録音で使ったら、いきなり最高にカッコいい音が出てきちゃったんです。「絶対これがほしい!」って思っちゃった笑。自分の中で想像してた理想の音と、ドンピシャだったんですよね。高域は痛くないのに存在感があって、中域は上質なチューブマイクのような心地よい太さ。ローはぐんとあるけど、いらないところは出ないイメージ。そこらへんのバランスが凄く良いと思いました。

キャラクターは濃いほうだと思うんですが、組み合わせるマイクの特性を活かして更に良さを引き出してくれるような雰囲気を感じました。ギタリスト的に例えるなら、「すごく良いアンプ」。良いアンプってそいつの個性もあるけど、ギターやエフェクターや弾き手の表現もしっかり出してくれて、結果抜群にいい音にしてくれるじゃないですか。みんなが想像する、仮想の最高のアンプと言ってもいいんじゃないかな。

REDD.47のおかげで気づけたことも多かったとか。

コイツを手に入れる前までは、俺は自分の好きなマイクプリの質感をちゃんとイメージできてなかったと思います。REDD.47でようやく好みが整理されて、言語化されてきた感覚があります。

これってエフェクターでもそうで、例えば自分の中に「Tube Screamerを使った最高の音」のイメージが明確にあれば、それのシミュレーターや近しい機材でも良いところまで持っていけるはず。でもイメージがなければうまく作れないだろうし、「これでいいのかな?」って迷い続けることになる。そういう意味だと、ハードウェアの機器っては一つの「正解」を出してくれるもの。実機の挙動がわかることで、ちゃんと自分の中で手応えとして残っていく感覚ですね。今ならプラグインでも好みの質感に持っていける自信があるくらい、REDD.47は自分の中での一つの「正解」であり、今後の自分の核となる機材だって確信してます。

制作にはどんな影響がありましたか?

俺が録るソースは主にアコギ、ベース、ボーカルで、そのほぼ全てに使っています。ボーカルを録るときは「歌いやすくなった」と言われるし、自分でベースやアコギを演奏するときも、テンションが上がってプレイが良くなったと実感してます。

最近の俺の趣向なんですが、プラグインで加工を重ねていくと仮に音質や帯域がイメージに近づいていっても、「画素数」みたいなものが下がっていくような感覚もあって。なので最近は、できるだけ最初から自分好みの音で録るっていうことを重視してます。REDD.47なら最初の音から「最高!」って思えるし、こいつを柱にしてミックスで解像度を落とさずに済む。最近はアコギ、べース、ボーカルは本当に録ったそのまま、DAW上のデジタル加工はほぼ無いケースも増えてきたくらいです。

ボーカル、ベース、アコギがバチッと決まってくれるから、他の楽器もいるべき場所が断然決めやすくなった。それだけですごく作りやすくなりました。こいつがこれくらい出してくれるなら、もうあとは全部OKだって任せられる。存在感があるから無数のトラックの中から抜きん出させるのも可能だし、逆にコイツが締めてくれるからトラック数少なくても自信持てる。そういう意味で自由になれましたね。

機能面も洗練されていて、必要なものしか無い雰囲気もハマりました。最小の構成で、悩まずにすぐ決まる。そして見た目も最高ですよね、ノブがデカくてカッコいい笑。早くも俺の必需品です!

REDD.47に加えてRetro Sta-Levelも愛用とのこと。

REDD.47は導入にある程度の気合がいる機材と思いますが、プラグインも含めた無数の選択肢がある中で、今ハードウェアの機器を選ぶ意義ってなんでしょう?

ギタリストであれば、アコギやガットの音は圧倒的に変わるのでぜひハードウェアを試してみて欲しい。多くの人にとって、弾きながら聴いている音と録音された音が心地よく一致することはかなりレアケースだと思うんです。もちろんマイク本体や録り方のテクニックとか色々要素はあるけど、そこに向き合う上でハードのマイクプリアンプは一つの柱になってくれます。ただ57で録るだけでもぜんぜん変わりますね。良いギターアンプを弾いたときの感動と同じものが、マイクプリでもあるってREDD.47が教えてくれました。その価値観が入ったことでまた新しい悩みが出ることもあるけど笑、それもまた幸せですね。

自宅でのレコーディングについて

最近はここでの作業も増えてきているんですか?

そうですね、最近は自分がアレンジしたり、そもそも曲から一緒に作りましょうっていう機会も増えてきて。なので曲の初期段階はほとんどここで作ってます。ドラムやピアノを録る時はスタジオに行くけど、ギターやシンセ、ベース、そしてボーカルはここで録ったものがそのままミックスまで行くことも多いですね。それもあって、自宅の制作環境がすごく重要になってきたんです。

デスクの上にはCXM1978がありますね。

CXMは以前からボードに入れているくらい気に入っていて、今回デスクにも導入しました。インターフェースのアウト-インに繋いで、センドエフェクトとして使ってます。ボーカルやギターなど、ミックスの中で存在感を出したいトラックによく使いますね。

俺はリバーブがすごく好きでギタリストとしてこだわりも強くあるので、、一回のライブセットで5-6種類くらいのプリセットを使うこともあります。その割にあんまりミックスやアレンジでは使ってこなかったんですよね。かけると少し引っ込んじゃう気がするし、じゃあ薄くかけるとそもそも聞こえないっていう笑。だからドライ気味か、かけるなら思い切って露骨にっていうアプローチになってた。それで思い立って、CXMをミックスでも試してみようと思ったんです。

CXMは薄くても強くても、気持ちよくまとめてくれるんですよね。派手なリバーブ効果のかっこよさはもちろんですが、はっきりリバーブとして認識できないような部屋残響的な設定でも、オケ中で聴くとすごく馴染みが良くなる。それがいろいろ試したプラグインなどと最も違うところですね。

ボードのCXMは特殊な効果も多いけど、デスクのこっちは7割位はベーシックな設定。でもあるとないとでは全然違うんですよね。他にいくつかモードが切り替えられるようなペダルタイプのリバーブを試したけど、CXMは別格だと感じています。自分が知っているものの中ではずば抜けて好みでした。

やはりハードウェアならではの魅力があるのでしょうか?

ハードウェアの利点って、ツマミがあるとか直感的とか色々あるけど、俺が思うのはもうちょっと感覚的なところなんです。

プラグインは自分の頭の中のチャンネルを増やすイメージだけど、ハードウェアはもう少し物質的に距離があるというか。もう一人プレイヤーが入ってくる感覚ですね。例えば自分が作曲した物に友達がベースを弾いてくれたら、想定してなかったニュアンスが入ることで曲が立体的になることってありますよね。自分ならそういうアプローチは選ばなかったり、思いつかないけど、別の人がやってくれることで発見できるみたいな。そういうちょっと異なる世界観を求めて使う側面が自分にとっては重要です。

ここで録音や作業するときの流れについて教えて下さい。

まずギターは、一番多いのはOXでアンプ、同時にラインも録る。マイク録りの質感がほしいときは小音量でもマイクを立てます。

ここは常識的な範囲なら音量は出せるんですが、そもそも宅録で大きい音を出す必要はあまりないとも思ってて。デカい音でキャビネットが震えてる質感まで欲しければ、スタジオに行くべきだなと。ここではm303で良いラインを録って、シミュレーターとか工夫して、トラックの中で気持ちよく配置していくってところに楽しみを見出してます。

アコギはNeumann U87にREDD.47とRetro Sta-Level。ベースは同じくREDDとRetro。ボーカルにもREDDと、導入してからホント大活躍してくれてます笑。

シンセサイザーやドラムマシンはあまりソフト音源を使わず、ハードウェアを鳴らします。各ハードは音源として用意してあって、それがPC前のMIDIキーボードで操作できるようになってます。全部の楽器からオーディオとしてアウトされて、それがSSLのマイクプリに集まってくる構成。

MIDIで打ち込むことはほぼなくて、オーディオを直接グリッドに配置したり貼っていくのがほとんどです。ドラムループも、MIDIで鳴らしたドラムマシンのオーディオを貼って組み立てていきます。リバースしたりチョップしたり、それだけにエフェクトをかけたりできてるので、オーディオとして扱うこのワークフローがしっくりきてるんですよね。

作業場の構築で意識していることは?

思いついたアイディアを、ストレスなく形にしやすい配置にする。たとえば、今録音中にMOODを使いたくなっても、棚から取り出して、ケーブルをつないで、電源を確保して、DAWのルーティングを設定して…ってやってたら、だんだん面倒になってやらなくなっちゃうと思うんですよ。とにかくなにかやろう、試してみよう!ってとこに手順をなるべく減らして済むようにしてます。そういう実験こそが家でやるメリットの一つだから、そこを面倒だと思わないようにしたいんです。

手元に置くギターペダルは、意識的に入れ替えたりしています。前はChase Blissは全部平置きで並べてたんですが、それだとよく使うものは固定されがちで。二段にするだけでも手に取りやすさが変わってくるから、制作のマインドにも影響してきますね。同じ理由で、アンプ前のペダルボードも定期的に中身を入れ替えてます。

これからいろいろ揃えて、自宅で録音したい!というユーザーへアドバイスがあれば。

俺はずっとバンドでやってきて録音もスタジオがほとんど、曲を作ったりもしていなかったので、自宅で録音は全然やってなかったし、あんまり興味も無かったんです。5年前くらいは小さなインターフェースとスピーカーとPCだけで、録るのもデモにギターを重ねる程度みたいな。

でも5,6年前くらいにボン・イヴェールの来日公演を観てすごく感動して、ステージにProphetがずらっと並んでるのを観て「かっこいい!欲しい!」って思っちゃって。使う機会全然ないし、鍵盤も弾けないのにいきなりProphetとMachine Drumを買ってしまった笑。ちょっと変則的だけど今では間違ってなかったと思ってるので、どんなきっかけでもいいから「欲しい!」と思える楽器がでてきたら、まずそれを手に入れるために頑張るってのも良いと思います。それで好きな楽器を見たり触っているうちに、「録音したい!」って思ってそれが楽しくなってきたりする。「ちゃんとしたものを作るならこれが必要だ!」みたいな印象を与えてくるハードやソフトはたくさんありますが、必ずしもそれを順番に揃える必要は無くて、自分の興味を大事に、触りたいものからゲットするのが俺はおすすめです。

一方で、録り音の品質を上げたいと悩んだ時は費用対効果がデカいやり方も確かにあって。それはある程度以上のクオリティのインターフェースとマイクです。この2つは導入したとき明確に変わった実感が大きかった。「高品位な音=かっこいい音」では決してないことが音楽の面白さですが、それでも高品位な音を求めたい場面は必ずやってくるし、その実現には質の良い音の入り口が不可欠だと感じます。その上でしばらく使い込んで、さらに一歩進みたくなったらマイクプリアンプ。そうすると今の俺みたいにまた感動して、新しい世界が広がっていくはずです。

西田さんが機材を選ぶときに重視していることは?

作業中にずっと目に入るものなので、まず見た目のテンションが上がること。REDD.47もSta-Levelもとにかくルックスがカッコよくて、眺めているだけでやる気が湧いてきます。

次は個人的なところなんですが、繋いだ瞬間直感的にグッと来るもの。設定を追い込んだり、使い方を理解してなくても、最初から「なんかいいぞ!」って思わせてくれるハードウェアは、大体長い付き合いになります。これはプロオーディオもエフェクターも絶対そうだと思います。

最初は使い方やテクニックはわからないことだらけなので、「とにかく音がワクワクするか」で選ぶようにしてます。エフェクターの話になっちゃいますが、最初BlooperやTensorを試したときも、正直本当にわからなかったけど笑、とにかく音にときめいたんです。その気持ちで使い続けて、段々理解できるようなって、いまでもずっと使えてます。

m303やREDD.47にも、同じようなときめきを感じたので、これからも長く付き合っていけると確信しています!

ありがとうございました!末永く使っていただけたら嬉しいです。

★Grace Design m303
https://umbrella-company.jp/products/m303/

★Chandler Limited REDD.47 Pre Amp
https://umbrella-company.jp/products/redd-47-pre-amp/

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