「時間」は、面白い。ハハハと声を上げて笑うような面白さではなくて、いや、もしかしたらそうかもしれないけど。例えば海を見ながら、「これは一方通行なんだ。一度前に向かって泳ぎだしたら、二度と後ろへは泳げないだろう?」って誰かが言うのさ。僕たちはコメディアンじゃない。
でも確かに、時間とは皆が奇妙だと感じるものだ。どうしようもなく進んでいくのに、僕らは引き返そうとする。戻るのに唯一確かなのは、ストーリーを語ること。彼らが共感するような話をすること。向こう岸へ泳ぎ着いたとき、そこに住む陸上の支配者が、あなたがどこから来たのかわかるように、うまく語ること。もちろん、ストーリーが十分に語られることは、ない。
「時間」という実存的な概念と積極的に闘い続けるOld Blood Noise Endeavorsからリリースされる”BL-44 Reverse”は、エフェクトペダルにおける「逆再生」を再定義するような意欲作。同社のMINIMに搭載されたリバース要素を拡張し、ペダル全体の処理速度を可変させるクロックコントロールを搭載することで、逆再生エフェクトの新境地を切り開きます。
BL-44はシミュレートされたリバースリバーブや逆再生の再現ではなく、プレイされるものを常に読み取り、逆向きにプレイバックするという意味で真のリバースエフェクトと言えます。プレイを逆向きに再生するまでには少しディレイが発生しますが、その遅れこそがリバースエフェクトの印象的な雰囲気を決定づけます。
BL-44の魔法は、ペダルの処理速度を可変させるクロックコントロールから始まります。キャラクター、音質、雰囲気などあらゆる要素が多角的に変化し、まるで異なるペダルを手に入れたように錯覚するはずです。
クロックは特にシグナルの解像度へ影響を与えます。フェーダーを右いっぱいで最もハイファイなトーン、タイトでチャーミングな雰囲気に。左に動かすに連れてノイズ、スローかつ低い解像度、シグナルに印象的な滲みや掠れが混ざっていきます。演奏中にフェーダーを動かせば、記憶が遠のき色あせていくような、今まで体験のしたこと無いアトモスフェリックな効果を体感できます。
Speedノブはリバースエフェクトの読み出し速度を決定します。シグナルを加速または減速してプレイバックすることで、美しいハーモニーを奏でます。
読み出し速度は無段階の変化ではなく、オクターブダウン、5thダウン、4thダウン、ユニゾン、4thアップ、5thアップ、オクターブアップでクオンタイズされた変化幅となっています。そのためどんな設定でも現在のプレイと心地よくハーモナイズしたプレイとなります。
設定によってはプレイバックと現在のプレイに速度の差がでるため、シグナルへ予期せぬリピートや欠落が発生します。それさえもBL-44の印象的な音世界を形成する、重要な要素の一つです。
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