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Recording プロオーディオ

Umbrella Company BTL-ADAPTER 導入事例 | レコーディングエンジニア 渡辺省二郎様

レコーディングやミックスにおいて、リスニング環境はエンジニアの作業の効率や作品のクオリティを大きく左右します。スピーカーはもちろん、近年ではヘッドホンによるモニタリングの重要性も高まってきていますが、ヘッドホンのポテンシャルを最大限に引き出し正確な判断をするには、適切な機材の選定が不可欠です。

今回、長年にわたり数々の作品を手がけてきたレコーディングエンジニアの渡辺省二郎さんに、モニタリング環境の変遷からBTL-ADAPTERを導入した経緯と実際の制作現場での活用について、詳しく話を伺いました。

渡辺 省二郎

1980年代から国内の音楽シーンで長いキャリアを築き、多くのアーティストからその技術とセンスに信頼を寄せられてきたレコーディングエンジニア。佐野元春、東京スカパラダイスオーケストラ、星野源、BRAHMAN、sumika、ビッケブランカ、YUKI、the Peggies、TOMOO、TRI4THなど、ジャンルを超えて幅広いアーティストの制作に携わっている。
https://watanabe-shojiro.com/

ITB(In The Box)ミックスへの移行とモニタリング環境

省二郎さんは、これまでアナログコンソールとアウトボードを使ってミックスされていましたが、最近は DAW のみでミックスされるようになったと伺いました。いつ頃からでしょうか?

1年以上前ですね。アウトボードを使ったミックスでは、ちょっとした修正でもスタジオを再度押さえる必要がありましたが、DAW でミックス作業できると修正の対応がしやすいので。アナログ機材を使っていた頃の音作りを再現しながら、ミックスの細かい作業など自宅でできる範囲まで進めて、最終的な仕上げをスタジオで行っています。

都内のレコーディングスタジオ(左下・右上)と、ロンドン・アビーロードスタジオ(左上・右下)。(写真は省二郎さんの Instagram より)

モニター環境の変化とMonolith M1570 Tuned + Monotorの導入

ご自宅とスタジオ、それぞれのモニター環境を教えてください。

自宅では YAMAHA NS-10M、AURATONE 5C Super Sound Cube、 SONY のラジカセに加えて、ヘッドホン(Monolith M1570 Tuned、Little Labs Monotor、BTL-ADAPTER)を使用しています。スタジオでは、これらに MANLEY ML10 を加えて最終的なミックスを仕上げています。

省二郎さんが長年にわたり愛用しているモニタースピーカー。TANNOY の同軸ユニットが使われている MANLEY ML10 と YAMAHA NS-10M STUDIO

ヘッドホンモニターについて、今回の3点セット(Monolith M1570 Tuned、Little Labs Monotor、BTL-ADAPTER)を導入する前はどのように使っていましたか?

以前も複数のヘッドホンを所有していましたが、主にミックス時のローエンドのチェック用として補助的に使う程度でした。

Monolith M1570 Tuned を導入された理由を教えてください。

スタジオイクイプメントさんに紹介されました。最初は標準仕様の Monolith M1570 を試聴したのですが、特に良い印象はなかったんです。その後チューニングした Monolith M1570 Tuned を聴かせてもらったところ、まるで別物のように良く感じました。リファレンスとして使っている MANLEY ML10 と近い音の聴こえ方で、周波数バランスも非常に優れていました。

※ Monolith M1570 Tuned:M1570 のモディファイモデル。省二郎さんが使用しているのは、BTL-ADAPTER との接続に対応した4ピンXLRコネクタ仕様。

ヘッドホンアンプには Little Labs Monotor をお使いですね。選定の経緯を教えてください。

海外のレコーディングエンジニアがどのヘッドホンアンプを使用しているか調べていた際、A&Mレコードのレコーディングスタジオやマスタリングルームのテックだった方が設計した Monotor を使うエンジニアが多いことを知りました。

実際に聴いてみると「何も足さず、何も引かない」、まさにモニターに必要な「そのままの音」が聴こえる印象でした。

Monolith M1570(左) と Little Labs Monotor(中央)、Umbrella Company BTL-ADAPTER(右)

BTL-ADAPTERの導入とその効果

Monotor と Monolith の組み合わせで満足されている印象を受けますが、そこに機材のサポートをされていた MAGNET の稲田さんが BTL-ADAPTER を勧められたのですね。

MAGNET 稲田氏:シングルエンド駆動とバランス駆動(BTL駆動)の違いは私自身よく理解していたので、省二郎さんにも Monolith をバランス駆動で聴いていただきたいと思いました。 Monotor と組み合わせるなら BTL-ADAPTER しかないと考えて、ご提案しました。

実際に試された際の印象はいかがでしたか?

正直、試す前は BTL-ADAPTER の効果について半信半疑でしたが、一度聴いてしまったら BTL-ADAPTER なしでは仕事にならなくなりましたね。

もともと Monotor と Monolith の組み合わせだけでも、従来のヘッドホンアンプ環境とは段違いに良かったんです。例えば、スタジオの CUE ボックスを通すと音が潰れてしまい細部がわかりにくいのですが、 Monotor は音がクリアで分離が良い。さらに、そこに BTL-ADAPTER を挟むことでトランジェントが向上して、音の立ち上がりがより明確になりました。

M1570 Tuned を Monotor と BTL-ADAPTER の組み合わせて聴くことで、モニタースピーカーだけでは判断できない細かな問題点も確認しやすくなる(写真は省二郎さんの instagram より)

ヘッドホンモニターの使い方の変化

3点セットを導入後、ヘッドホンモニターの使い方は変わりましたか?

以前は主にローエンドのチェックや、イヤホンやヘッドホンリスニング環境を想定した最終確認に使っていましたが、このセットを導入してからは、ヘッドホンでも音作りができると感じるようになりました。

特に、自宅作業の効率が向上しましたね。スピーカーほど頼れるわけではありませんが、ヘッドホンだけでも十分に音を作れる環境になりました。

「ヘッドホンでのローエンドのチェック」について、もう少し詳しく教えてください。

ローエンドの確認はヘッドホンが最も適していて、現在の自分の環境では20Hz程度までは確認することができます。

ラージスピーカーのウーファーは、口径が大きくなる分、物理的に反応が遅くなり、低音が実際よりも長く聴こえてしまうことがあります。そのため、EQ やコンプレッサーをかける際には、その特性を踏まえた処理が必要になります。

一方でヘッドホンはドライバーユニットが小さくレスポンスが速いため、低域の音の長さを正確に把握できて、低域の確認や処理をより適切に行えるようになります。

複数のモニタースピーカーとヘッドホンを併用し、それぞれの特性を補完しながら、最適なモニター環境でミックスを仕上げている

TANNOY、YAMAHA、AURATONE、ラジカセ、ヘッドホンと、5種類のモニターをどのように使い分けていますか?

どの環境でも同じ印象のミックスになるように作っています。

以前は 3種類のスピーカーとラジカセを基準にしていましたが、そこにヘッドホンも加えたことで、より精度の高いミックスが可能になりました。それぞれのモニターが異なる特性を持つため、補完しながら細かい調整を行えます。

特に、ヘッドホンでもミックスの細かい部分を正確に確認できるようになったのは大きな変化ですね。モニターを複数使うことで、より完成度の高いミックスを作ることができます。

モニター環境の改善が制作に与える影響についてご紹介いただき、大変興味深い内容でした。省二郎さんの今後のさらなるご活躍を楽しみにしております。本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

リンク集

Umbrella Company BTL-ADAPTER 製品ページ:
https://umbrella-company.jp/products/btl-adapter/

Umbrella Company ブランドページ:
https://umbrella-company.jp/brand/umbrella-company/

Umbrella Company 製品はデモ機をご用意しております。ご興味のある方は、お近くの販売店、または弊社までお問い合わせください。
デモ機のお貸出詳細:https://umbrella-company.jp/demonstration/

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