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DEMETER AMPLIFICATIONのTremulator TRM-1 はLED & CDSタイプのフォトカプラ素子を採用したオプティカルタイプのトレモロペダルです。コントロールはDepthとSpeed のみシンプルな設計です。30年以上前から一貫したスタイルで発売されており、『最も重要な50のペダル』にも選ばれたロングセラー&定番のトレモロ・ペダルです。
サウンドのベーシックはICを使用したスタイルで、入力アンプで信号をマネージメントしてフォトカプラに送っています。オーディオ信号が通過する部分はこれだけ、最短のシグナルパスで実現されています。 後は変調波形を生成するLFOセクションがあり、制御信号を作りフォトカプラをコントロールしています。カスタム・シリーズの2016年アップグレード版となるTremulator plusは、基本のDepthとSpeedに加え、トップパネルにWave / Bias / Gain が追加され、よりマニアックなトレモロサウンドを追求することができます。
Waveは変調波形のウェーブフォームをコントロールします。TRM-1と同じオリジナルの波形を中心にTriangleからSquareまで連続可変ができます。
NormalポジションではTRM-1のエフェクトを再現可能です、スムースで滑らかな音量変化ながらメリハリのあるTRM-1トレモロ効果です。NORMAL ポジション
Triangleは三角波です。聴感上はけっこう緩やかな おとなしいトレモロ効果となります。このモードでは全体的に音量が下がりますのでGainの設定と上手く組み合わせてエディットすると良いと思います。
Triangle側に設定
Squareは四角い波形の矩形波です。急峻な音量変化が得られ俗にいうマシンガンサウンドのトレモロ効果が得られます。
Square側に設定
これらの間を連続可変できますので、それぞれの中間的な効果を作り出す事が可能です。
Cooder(Bias)は、オプト素子のバイアスを調整し、動作の中心に偏りを与える事で変調波形の時間軸の幅を調整しトレモロ効果のキャラクターを決定付けます。Cooderはもちろんライ・クーダーの「クーダー」です。
半時計回りでは動作範囲が深くなり、音量が大きい部分の幅が狭くなります。アクの強いトレモロ効果はこちらの方向で見つかると思います。Biasノブの特性変化
時計回りでは、音量が大きい部分の幅が大きくなり、トレモロ効果の深さも緩んできます。ライトな効果はこちらの方向になります。
注目は、DEMETERのトレモロを決定づけるNormalポジションの波形!一般的なサイン波でもビンテージ系を意識した台形波でもない、サイン波ベースで変形させた感じ、名付けるとしたら『非対称サイン波』でしょうか。スムースで滑らかな音量変化であり、音量が小さくなる割合を大きくとっているのでトレモロの効果が大きく感じられ、自然だけどメリハリのあるトレモロエフェクトを演出してくれます。クリーントーンでも歪で使っても相性も良い。Biasを組み合わせて設定することで、表情が変わりますので、さらにマニアックな領域を見る事ができます。深いバイアスに合わせた時は、ブツ切れ感が強くなりますが、矩形波でのスイッチ的なブツ切れ感とは違い、滑らかな変化の中に感じる強い圧縮感が少々不快な、ブツ切れと言うよりは引きちぎられるようなトレモロ。浅いバイアスにしている時は少々ルーズでマイルドな効果。真ん中のCOODERポジションはさすがです!スムースな音量変化は時に緊張感を与え、強いインパクトを残す、存在感は十分。結局ここに落ち着くんじゃないかってくらい、何とも絶妙なポジションです。それくらいこのCOODERポジションの絶妙さを実感できました。
Gainは全体の音量をコントロールします。Triangle波形を選んだ時や深いバイアスで使用した時、設定によっては音量が低下して聞こえますので、音量を上げそれを補正します。
なるほど、今回Tremulator plus を宣伝するために検証してきた訳ですが、Tremulator plus をいじってみて、TRM-1の良さが刺さった。効果のバリエーションは少ないが納得のTRM-1サウンド、TRM-1が30年以上にわたって売れ続けている理由を痛感しました。
いやいや、TRM-1では満足できない、もっとバリエーションが欲しい、より深いマニアックなトレムワールドに浸りたいトレモロ遣いの人はTremulator plusの楽しさがハマると思います。アンブレラカンパニー 技術部