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人気急上昇中!ヨーロッパの個性派ペダルメーカー「REUSS(ロイス)」、日本独占インタビュー(完全版)。

 

ヨーロッパを中心にアンテナの高いクリエイターを中心に話題になり、ここ日本やアメリカでもファンを拡大している「REUSS(ロイス)」のギターペダル。 デンマークでハンドメイドされる製品はどれも個性的な視点とアプローチを持ち、アンダース・ロイス氏と交友のある多くのプロフェッショナル・ギタリスト達にも絶賛されています。多くのギタリスト達が特別なアーティストモデルの製作を依頼している事もREUSSペダルのカルトな人気の証です。 本記事は、REUSSを主宰するアンダース・ロイス氏への日本独占インタビューの完全版です。 ロイス氏のこだわりやデザインへのアプローチ、そして何と言っても「音楽」に対する、個性的でセンスあふれるアプローチがREUSS MUSICAL INSTRUMENTSの世界観を形成している事が伺える内容の濃いインタビューです。 ぜひじっくり読んで、お楽しみください。

 

《REUSSブランド全般について》

Q):自己紹介をお願いします。

A):こんにちは私の名前はアンダース・ロイスです。REUSSのブランド・コンセプトから回路設計、グラフィック・デザインまでほぼ全ての業務に携わっています。もちろん販売マーケティングにも関わり、REUSSのペダルビジネスが成長できるよう力を注いでいます。

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Q):アンダース・ロイス氏は、もともとは「レコード・レーベルとコラボをしていた」ということです。その当時は具体的にどのような業務に携わっていたのでしょうか? そこから転じて、エフェクター製作を始めたきっかけは何でしょうか? 

A):私のキャリアは最初デンマークの国営放送で90年代のインディペンデント・ミュージック・シーンを紹介するラジオホストやレポーターの仕事からスタートしています。その経験から私はコペンハーゲンでMute Records、4AD、Domino、City Slangなどのインディー系レコード会社のプレス関連の仕事をするようになりました。その後はユニバーサル・ミュージックやSONYと、Sonic Youth、The Cure、Bjork、Beck、Queens of The Stone Age などのプロモート業務に携わりました。いわゆるインディー系音楽のスペシャリストのような存在でしたね。 その後、私はGood Guy's Media & Musicという自身のレコード・レーベルをスタートさせ、Bon Joviのスタジアム・ツアーで前座を務めたThe Breakersなどのガレージロック系の作品をリリースし成功をおさめました。Good Guy's Media & Musicでは、私がレコード会社や出版物から得るロイヤリティや、ジャーナリストとしての仕事、そしてREUSSブランドのギターペダル・ビジネスの管理をすべて行っています。

Q):「REUSS」としてエフェクター・ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

A):ギターペダルのビジネスについては予想していなかった出来事から始まって今に続いているわけです。最初からギターペダル・メーカーを立ち上げようと思ってスタートしたわけではありませんでした。最初のきっかけは、個人的にDIYで製作したRSH-01でした。伝説のギタリストであるローランド・S・ハワードのサウンドを再現したこのペダルは、インターネット上の掲示板などでみるみる話題になり、それを見た人が直接製作の依頼をくれるようになったのです。すると次にRowland S. Howard Estateがコンタクトをくれて、正式なエンドーズメントに協力をしてくれました。私は5人も子供がいますし、様々な仕事に携わっているため、RSH-01を購入したいという人たちの全て要求に応えきれなかったので、外部の協力を得る形で信頼できる生産体制を整え、RSH-02を2013年に発売開始しました。それが全てのスタート地点でした。

最初期のRSH-01。入力にjaguar、出力にtwin reverbの表記がかっこいい!

Q):エフェクター製作を始めて、苦労したことはありますか?(あれば、どのような点に苦労し、どう克服したかを教えてください) また、エフェクター設計に必要な電気的な知識はどのように学んだのでしょうか?

A):私は科学の教師であった父から電子工学を学びました。12歳の頃からたくさんのサウンド・デバイスを製作しはじめました。1980年代初頭の頃で、シンセサイザーは高価でとても買えるものではなかったので、似たようなものを作ろうとそれに没頭していたのです。それらの知識はのちに多くのギターやギターアンプの修理や改造に役に立ちました。自身のバンド活動を止めてからも音楽機材に対する想いが強かったので、約6年ほど前からギターペダルの製作をはじめたのです。

Q):どんな音楽を好んで聴きますか?あなた自身はミュージシャンですか?

A):私は音楽に対して常にオープンマインドで居られるよう心がけていますが、特に好きなジャンルは1970年代後期から1980年代初期のポスト・パンク・シーンの音楽ですね。もちろん1990年代のインディー系のノイズ、ローファイ、シューゲイザー的な音楽にも大きな影響を受けました。エレクトロニック・ミュージックも好きですね。 私自身は1990年代のコペンハーゲンのミュージックシーンでギタリスト、ベースプレーヤーとして長年にわたり活動してきました。愛器は改造されたFender JazzmasterとJaguarです。

Q):REUSSのターゲットユーザーについて教えて下さい。

A):REUSSのギターペダルはインディー/パンク/オルタナティブ系のより実験的なエッジを持ったプレーヤーに最適だと思っています。もちろんそれに限らず幅広いスタイルの音楽に適合できるでしょう。オーバードライブのHH-01 Old Black Shoeなどは、誰にでも愛されるトーンを持っていると思います。

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Q):REUSSブランドは、個性的なアーティスト・モデル、ユニークなヴィンテージ・エフェクターを復刻したモデルをラインナップしています。REUSSのペダル製作についてのポリシーを教えてください。

A):私は自身が作りたいと思うようなギターペダルしか作りません。またビルド・クオリティに関しては一切の妥協をせず、レアパーツを徹底的に探し回り選別したり、何度も回路設計をやり直したりします。ビンテージ・パーツはそのどれもが異なるサウンドを持っていますから、REUSSペダルの回路や部品のすべてには「悪魔」が宿っていると思いますよ(笑) 私はギターペダルはあくまで音を「操作」するためのデバイスであり、「複製」するためのものではないと考えています。必ずしもハイファイなアプローチが正しいとは限らず、時にはより安価なパーツから最高のギターサウンドが生み出されることもあります。特にノイジーなサウンドへのアプローチではその傾向が強いと思います。 また、ビンテージ系のREUSSペダルでは、その回路設計からインスピレーションを得ていきます。例えば47年前のShin-Ei FY6 Superfuzzを今鳴らして得られるサウンドは、その経年劣化から当時のサウンドとは異なるわけです。REUSSのSF-02 Goo Goo Fuzzでは1969年に戻ってFY6 Superfuzzを新品で購入した場合のサウンド、オリジナル機が持っていたサウンドを再現できるようチューニングされています。

Q):現在、世界中でエフェクター・ブランドが次々と誕生しています。その中で、REUSSならではの強みはどこにあると考えていますか?

A):REUSSのギターペダルは極めて個性的です。時にはノイジーで斬新なサウンドをクリエイトできます。そして品質や設計についても、とてもこだわって生産されています。 多くのブティックペダルメーカーは簡単なアッセンブリーができるよう設計されていると思います。半田付けもロボットで行えば簡単に一瞬で完成させられるからです。手間のかかる配線 でのアッセンブリーを避けるために、ジャックやフットスイッチまで基板に直付けされているものもあります。でも実際にはメカニカルなストレスが機材自体の寿命を短くしているわけです。REUSSの製品では考えられる最上級の頑丈なジャックやスイッチを採用し、昔ながらの確実なハンド・ワイヤリングで組み上げています。時間をかけて熟成されるハンドメイドのDIYペダルだからこそ、細部に最新の注意を払い、事細かなサウンドのチューニングにもこだわることができるのです。また、オリジナル製品の回路設計において、求められるベストなサウンドに最適なパーツや配置を決定するためには、優れたの耳の判断力が重要な役割を果たしています。

Q):個人的にヴィンテージ・エフェクターをコレクションしていたりするのでしょうか? それに限らず、お気に入りのモデルなどがあれば、教えてください。

A):私はコレクターではないのでそれほどでもありませんが、BOSS HF-02フランジャーと、110VのROSSのフランジャーは大好きな機材です。フランジャーはなかなか音楽のスタイルになじませる事の難しい機材ですが、私はなぜかそれが大好きなのです。

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Q):デンマークには優れたエフェクター・メーカーが多いように感じています。そこには何か理由があるのでしょうか? 音楽産業が非常に盛んであったり、楽器への思い入れが強い人が多くいるなど、文化的な背景があったりするのでしょうか?

A):確かにそうですね。デンマークは昔からオーディオ産業が盛んで、B&O Hi-Fiや Brüel & Kjær (DPAマイクロホン)など有名な会社がたくさんあります。そのようなバックグラウンドがまた多くの優秀なギターペダル・メーカーを生み出しているのではないでしょうか。

Q):スタッフの人数や工房の規模など、現在の製作体制を教えてください。

A):REUSSではデンマークをベースにする私の他に、ブルガリアに技術と組み立てを担当するチームがあります。またエンクロージャーや塗装などはデンマークで行っています。穴あけ、パウダーコーディング塗装、シルクスクリーン印刷などはすべてプロフェッショナルな専門職の職人が一台ずつ丁寧に仕上げているのです。その工程はすべてハンドメイドで行われています。

Q):サウンド・チェックで使っているギター、アンプ、ケーブルなど、製品開発の環境について教えてください。

A):自分で作ったパーツで改造を施したFender Jaguarと1964年製のビンテージFender Deluxeアンプ、または1961年製のFender Bandmasterがファクトリーの標準セットアップです。開発の際やクオリティ・チェックにはFender製のアンプを使う事が多いです。1951年製のModel 600、1963年製のPriceton、1968年製のDual Showman、ブラウンフェイスのDeluxeクローンも置いてありますよ。

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《RSH-03 Rowland S. Howard Modelについて》

Q):Rowland S.Howardモデルを開発したきっかけは?

A):ローランド S. ハワードは2009年に50歳で亡くなってしまいましたので、私は彼の兄で同じくミュージシャンのハリー・ハワードと共にRSH-02を開発しました。またローランドの晩年の活動で共演していたギタリストJP Shiloも協力をしてくれました。 ローランド S. ハワードは私のギターヒーローです。彼ほどクールな演奏をするギタリストはいません。 アグレッシブでメランコリーなサウンドは悲しげで美しく、時に泣き叫ぶような目を見張るサウンドに満ち溢れています。

Q):MXRの“Blue Box”と“Distortion+”という組み合わせは、実際にRowland S.Howardが使っていた組み合わせなのでしょうか?

A):彼は MXR Blue Box と Distortion+の組み合わせを生涯使い続けていました。彼はペダルボードを組んでいなかったので、ペダルを何度も盗まれてしまい、その度に新しいものを用意していたようです。兄のハリー・ハワードによれば彼は新しいバージョンのMXRのサウンドには全く満足しておらず、オリジナル・バージョンを常に気に入っていたようです。 機材の組み合わせはFender Jaguar -> MXR Blue Box -> MXR Distortion+ -> リバーブをたっぷりとかけたFender Twin Reverb Amp で、基本サウンドはDistortin+です。Blue Boxのオクターブ・ダウン・エフェクトはそれほど加えていなかったようです。伝説のノイジーなシグネーチャー・トーンです。

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Q):本機を使用する上で、オススメのセッティングを教えてください。

A):PlusとBlueノブを両方をオンにして、それぞれのノブを2〜3時くらいに設定し、Blendは完全に下げるか、少し上げ気味に設定すると良いと思います。

Q):インプットの“jaguar”、アウトプットの“twin reverb”という表記(*初期バージョン)は、彼の愛機を表していると想像します。本ペダルを効果的に使うために、REUSSとしてもそれらの機材を繋げることを推奨しているという意味もあるのでしょうか?

A):もしローランド S. ハワードのギターサウンドを正確に再現したい場合は Jaguar と Twin Reverb が最適ですが、このペダルはどんなギターでも最高のサウンドが楽しめますよ。実はこの表記は次のバージョンでは、通常のINとOUT表記にするつもりでいます。

Q):“BLUE”単体で使用した時の多少不安定なかかり具合も、あえてヴィンテージ“Blue Box”再現したものですか?

MXR Blue Box ファズ A):“BLUE”単体のサウンドはとても不安定でノイジーです。これは1970年代の初期MXR Blue Boxの回路を全く再現したものです。 MXR Blue Boxは時代ごとにかなり設計が変わっています。ゲートやトラッキングは時代ごとに改善されていき、チャームポイントだったノイジーなサウンドや音質もモデルチェンジごとに損なわれていったように思えます。あまり制御されていなかったとも言えるオリジナルの回路の方がサウンド的にはベターに感じられるのです。ワイルドでクレイジーなオリジナルBlue Boxのサウンドを、RSH-03のBlueセクションに再現しています。予測のつかないローファイでノイジー・サウンドです。 またBlue Boxの基本的なサウンドは(Blendノブを上げなければ)とても音楽的な響きのファズペダルです。ファズフェイスやトーンベンダーなどのトラディショナルなファズより、複雑なコードトーンを再現できます。そこにグリッチな2オクターブ・ダウンのエフェクトを加えることで、まるでモノフォニックのアナログシンセのような不思議でクレイジーなサウンドが生み出せるのが最大の魅力です。ソニックユースのサーストン・ムーアのようなノイジーなギタリストに好んで使用されています。

Q):実際に試したところ、まさしく“Blue Box”と“Distortion+”そのものといった音色に感じました。オリジナルの回路から変更した点など、REUSSならではの工夫があれば教えてください。

A):RSH-03では完全に等しく、同じ回路とパーツ構成で1970年代のオリジナルMXR Distortion+ と Blue Box を再現することにこだわっています。また次期モデルではMXR Blue Boxのオクターブファズのサウンドを少しブライトなサウンドにモディファイする有名な”C11 Mod” 改造を、DIPスイッチの変更で楽しめるよう改良を加える予定です。

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Q):本機にはヴィンテージのNOSパーツが使用されていると聞いています。そうしたコンポーネンツはデンマークにおいて比較的入手しやすいのですか? また、このモデルはNOSを使っている関係で限定生産となるのでしょうか?

A):RSH-03にはビンテージNOSのゲルマニウム・ダイオードとトランジスタが使用されています。私はそれらの部品を入手できるソースを持っているので、良いパーツを入手することができます。しかしながら、ゲルマニウム・ダイオードに関しては年々大量のロットで入手することがここユーロッパでも難しくなってきていますね。 今のところRSH-03を生産し続けることのできる多くのパーツは確保されていますし、しばらくの間はまだまだそれを探し当てられることができそうです。可能な限りこのモデルをユーザーに提供し続けたいと考えています。  

MXR Blue Box

サーストン・ムーアの足元にもMXR Blue Boxは欠かせない。

 

《HH-01 Old Black Shoeについて》

Q):“HH-01”は、“Distortion+”の忠実なクローンではなく、その発展形となっています。回路やパーツに関して、工夫した点を教えてください。また、“RSH-03”に搭載されている“Distortion+”の回路とは異なるものなのでしょうか?

A):HH-01 Old Black Shoeは、Distortion+に似ている部分もありますが全く別の回路と設計です。

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黒いShinny Leather Bootsがアンダーグラウンド感満載のHH-01のグラフィック。

Q):本機はHarry Howard氏のアーティスト・モデルと位置づけられています。設計するにあたって、Harry Howard氏からは具体的にどのようなオーダーがあったのでしょうか?

A):ハリー・ハワードとは1988年にコペンハーゲンで初めて会いました。彼はローランド S.ハワードのThese Immortal Soulsでプレイしていたのです。 Old Black Shoeはローランド S.ハワードの兄で同じくミュージシャンのハリー・ハワードが、RSH-03のディストーション部分をスタンドアローンのペダルにできないかと相談してきたことから開発が始まりました。また低域のレスポンスを高めたいという要望もあったため、トーンコントロールも検討されました。私は新たなトーンキャラクターを確立するために、高域ロールオフさせるトーンコントロール回路を設計しました。トーンを一切曇らせることなく低域を際立たせることができます。シリコンとゲルマニウムのハイブリッド回路設計の採用によって大音量時のヘッドルームを改善し、オリジナルのLM741CNオペアンプは、ビンテージRATで有名なLM308Hメタルカン・タイプに換装されています。とにかく素晴らしいテクスチュアーを再現できる歪みサウンドが特長です。

Q):内部のディップ・スイッチ2は、特にハムバッカー搭載機のユーザーに喜ばれそうです。一方で、全く機能しないディップ・スイッチ1をあえて付けている理由を教えてください。

A):DIPスイッチの切り替えによって低域成分を少しカットして、よりオリジナルの Distrotion+のようなトーンに変化させることができます。もう片方のDIPスイッチに役割が与えられていない理由は、単純にシングルDIPスイッチの手ごろなパーツが見つからなかっただけの理由です(笑)。

ビンテージRATで有名なLM308Hメタルカン・タイプ。

Q):クリーン・ブーストからハードなドライヴまで、汎用性が広いモデルに感じました。オススメのセッティングについて教えてください。

A):そう言っていただけると嬉しいです。私自身もこのサウンドを高く評価しています。素晴らしい表現力を持った歪みサウンドであり、ドライブ(TOE)をフルテン近くにセットし、使用するギターによって少し高域を削ったセッティングが私のお勧めです。SOLEコントロールは2時くらいが私の好みです。また真空管アンプをプッシュするためのブースターとしても優秀でHEEL(ボリューム)コントロールで自在に調整が可能です。  

 

《RF-02 Repeater Fuzzについて》

Q):本機は“Tone Bender Mk2”と1960年代のVOX製“Repeat Percussion”という非常に個性的な組み合わせになっています。このモデルを作ろうとしたきっかけは?

A):私は英国のバンドSpacement 3やSpiritualizedの大ファンで、ローランド S.ハワードのモデルを作った後には、Spaceman3のペダルを製作したいと考えていました。Spaceman3のSonic Boom(ピーター・ケンバー)はエフェクターが内蔵された古いVox製のStarstreamギターを使用していたので、私はその構成を再現しようと試みたのです。

Q):VOX製“Repeat Percussion”を復刻する上で、苦労した点や工夫した点はありますか?

A):VOX Repeat Percussionの回路自体はとてもシンプルなものですからそれほど難しくはなかったのですが、ワイドレンジなRATEコントロールを得るためには多くの努力が必要でした。より多くのコントロールを追加するという選択肢もありましたが、ビンテージ回路を忠実に再現することに集中しました。

Q):ファズ部は、単体でも非常に良い音に感じました。“Tone Bender”に関して深く研究したことが窺われます。数ある“Tone Bender”に関して、特に好みの回路やパーツがあれば教えてください。

A):英国のファズサウンドを代表するトーンベンダー回路の中でもVOX社がビルトイン・エフェクトとしてギターに内蔵させたエフェクトはシリコン・トランジスタによるファズサウンドでした。mk2の回路に近い回路ですが、レベルコントロールなどに違いがあります。 私のトーンベンダーに関する知識は多くの書物と長年の実験によって得たものです。Repeater Fuzzにはマスターボリューム回路が追加されています。これだけはオリジナルビンテージと違う部分ですが、ここはやはり使いやすさを優先しています。 トーンベンダーmk2の力強くブライトなトーンやアタックは素晴らしいです。でも個人的にはトーンコントロールを配したmk3がフェイバリットですね。REUSSのDB-01 Double Benderというペダルでは、1つの筐体に2式のトーンベンダーmk3回路を配し、ゲルマニウムとシリコン・トランジスタの2つのサウンドを切り替えて楽しめるようにしているんですよ。

Vox Repeater, トーンベンダーファズ

VOX Repeat PercussionとTone Bender mk2 を合体。サイケデリック!

Q):オススメのセッティングや、オススメの他のエフェクターとの組み合わせなどがあれば教えてください(個人的には、ディレイやリヴァーブと組み合わせたときの相性はとても良いように感じました)。

A):Fuzzを3時くらいまで上げて、Repeaterをビートに対して三連符を刻むよう速めのスピードに設定するとSpiritualizedの楽曲”Run”のような感じになります。またディレイのテンポに同期させて使用すると最高にサイケデリックなエフェクトが得られます。いくつかのディレイペダルで入力信号に応じてディレイタイムを自動設定できるモデルもあるので、そのようなディレイを使用すると同期が簡単にできます。

Q):RF-02 Repeater Fuzzとのコンビネーションを想定して作られたTB-01についても教えてください。

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Sonic Boom本人の要望で製作されたTB-01。

 

《WE-01 Warren Ellis Modelについて》

Q):WE-01 Warren Ellis Modelはどのような経緯で開発に至ったのですか?

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Q):ウォーレン・エリスからのリクエストはどんなものだったのでしょうか?

A):ウォーレンは最初、MUZZと呼ばれているその病的なオクタビア系のエフェクトに、オーバードライブとブースターを組み合わせたいと言ってきました。プロトタイプでは大きい筐体の3フットスイッチのペダルでした。しかしその後の試作では、オーバードライブには様々な好みがあるだろうから、製品化するのであればそれはカットしようということになり、現在の形に落ち着いたのです。 ウォーレンはこのペダルの開発にたいへん情熱的で、何度も長い電話やメールをエンドレスに繰り返しました。本当に一緒に何かを作り上げるには素晴らしすぎる人物です。爆弾の描かれたグラフィック・デザインも彼のアイデアです。このグラフィックは私の古い知人であるアーティストのMorten Voigt氏の作品です。彼はデンマークの朝刊に漫画を掲載している有名な漫画家でもあるんですよ。

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Q):WE-01 Warren Ellis Modelはかなり個性的なモデルですが使いこなすコツなどあれば教えてください。

A):Muzzbombは最初に試すよりも、使い込むほどに幅広い使い方が見つかっていくギターペダルです。まずギターの手元ボリュームに驚くほど追従できます。手元ボリュームを低くすれば、MUZZセクションのオクターブアップとリングモジュレーションは増加します。逆に‘Intensity’ ノブも、ギターのボリュームもフルにすれば聴いたことのないような病的かつナスティーなファズサウンドが飛び出します!さらにブースターをオンにすれば、暴力的、狂ったような強烈にラウドなサウンドを体感できます。アンプが震えだすほどです。チューブアンプでは素晴らしい倍音とナチュラルなコンプレッションを引き出すことも可能です。 Muzzbombは沢山の可能性を解き放つことのできるモデルです。どうぞ実験にじっくりと時間をかけて、その価値を見出してみてください。  

 

《DB-01 Double Benderについて》

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Q):DB-01 Double Benderのシリコンとゲルマニウム・トランジスタを切り替えて使用できるアイデアは素晴らしいですね。これを実現するのは難しいことでしたか?

A):DB-01 Double Benderは単純にシリコンとゲルマニウム・トランジスタを切り替えているわけではなく、完全に独立した2系統の回路自体を切り替えています。ステレオ仕様のポットを採用することで両方の回路に共通でノブを利用できるように工夫しています。また内部のトリムポットによって、2つの回路の出力レベルをキャリブレーションしてマッチングさせることができます。

 

《 SF-02 Goo Goo Fuzzについて》

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Q):なぜShin-Eiのレアな日本製ファズをREUSSのラインナップに加えようと思ったのでしょうか?

A):Shin-Eiファズは私がThe Crampsのファンであることから興味を持ったファズです。The Crampsのオリジナル・ギタープレーヤーであるBryan Gregoryのアルバム ‘Songs The Lord Taught Us’のギターサウンドが、Shin-Ei Superfuzzの歪みであることは有名ですからね。そのファズはその後もPoison Ivyに引き継がれて、バンドの歴史を通じて象徴的なファズサウンドを形成しています SF-02 Goo Goo FuzzはREUSSの人気ペダルの一つで、信じられないほどマッシブな壁のようなファズサウンドが得られるとユーザーからも大好評なんです。  

 

《 FZ-01'Kleiner Scheisskerl'について》

Q):このファズは現在モデルチェンジの準備中とお聞きしました。次期モデルが発売されるのですか? (注意(*):すでに発売中→FZ-01 Vintage Three Volt Fuzz

A):FZ-01'Kleiner Scheisskerl’はかなりマニアックでニッチな市場を狙ったペダルだと思っていたのですが、思った以上にオーダーが多く、現状の生産方法では製造しきれなくなってきました。ですから基板設計とプロダクションを見直し、製造を見直すことにしたのです。 新しいモデルにはこれから取り組む予定ですが、名称はFZ-01 ‘Vintage 3 Volt Fuzz’とする予定です。もちろんオリジナル1962年の Gibson Maestro FZ-1 回路が基本となります。たいへん慎重にマッチングされた2N270ゲルマニウム・トランジスタ、2本の単三電池での駆動(ACアダプターには非対応)も変わりません。予定では懐古的なブラウンカラーでより小さい筐体で製品を仕上げる予定でいます (*)注意→ すでにFZ-01 Vintage Three Volt Fuzzとして発売中。

新しいバージョンのFZ-01 3Vファズ。

 

《 REUSS Silver Balloon Wah について》

Q):DeArmond Thunderboltはとてもレアなワウペダルですが、なぜこのエフェクターに興味を持ったのですか?

A):1990年代の初期に私は実験的なノイズバンドでベースを弾いていた時期があります。まるでResidentsとButthole Surfers が合体したような変わったバンドでした。その時のギタープレーヤーが 1979年製の DeArmond Thunderboltワウペダルを使用していたのです。そのサウンドはCryBabyなどに比較してもパワフルで低域のうなりにおいても素晴らしく、明らかに他のワウペダルとは異なるサウンドだったので印象に残っていたのです。 何年か後に私はDeArmond Thunderboltワウペダルを友人から入手して、エンジニアと共に完璧なトレースと計測を行い、パーフェクトなクローンを作成するためのリバース・エンジニアリングを行いました。Thunderboltの設計図や回路図は一切出回っていないので、私たちのREUSS Silver Balloonは世界でも唯一のDeArmond Thunderboltワウペダルのクローンであると言えます。

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Q):具体的には他のワウペダルとは何が異なるのでしょうか?

A):実際にはこのペダルはワウの概念から外れた回路設計です。どちらかといえばフェイザーに近いのですが、もちろんフェイザーそのものというわけでもありません。とにかく完全にオリジナルで個性的な設計であり、そのサウンドは個性的でワンアンドオンリーなものです。

オリジナルの特注パーツを開発し、DeArmond Thunderboltワウペダルを忠実に再現。

  

《REUSSの今後について》

Q):今後、新製品の予定があれば、可能な範囲で教えてください。製作体制や規模の拡大については考えていますか?

A):そうですね。現在のところ数え切れないほどの製品化のアイデアがあります。具体的な製品についてはまだ内緒ですが、年内中にはいくつかのペダルを発表したいと考えています。また嬉しいことに、新しいエンジニアが仲間に加わり、いくつかの具体的なアイデアや、新しいコンセプト商品の実現化に向けて動き出しています。今後はREUSSのペダルビジネスを拡大していけることを願っています。

Q):REUSSというブランドが思い描くゴールは、どのようなものですか?

A):私たちの目標は今までに誰も見聞きしたことのないような「何か」を作り出すことでもあります。何よりもこのギターペダルのビジネスでの今の成功を長く続けていきたいと考えています。

Q)日本のペダル・ファンに、メッセージをお願いします。

A):REUSSのギターペダルに興味を持っていただき、この記事を読んでいただきありがとうございます。 I wish to rock you well ☺

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*本インタビュー時には未発売であった「Germanium Dirt」もお勧めです!

   

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