クリエイティブな音楽機材の
メディアサイト
弊社で取り扱っているEmpress Effects、Chase Bliss Audioなどの製品は、MIDIで様々なコントロールを行うことが可能です。
Empress EffectsからはMidibox2、Chase Bliss Audioからはmidiboxという標準的な5ピンMIDIケーブルをシンプルなギターパッチケーブルで使用するためのユーティリティペダルが発売されています。
ギタリストにとってはMIDI接続は少し難しい場合もあり、MIDI変換ボックスには互換性がある場合も多く、弊社取扱い製品に関してはユーザー様から良くご質問もいただきますので、Empress Effects、Chase Bliss AudioのMIDIコントロールのための接続について以下のようにまとめてみました。
どうぞご参考になさってください。
MIDI機器→empress midibox2またはCBA midibox→TSケーブル(またはTRSケーブル)→empressペダル
Chase Bliss Audio midiboxを使用する場合は、ペダル内部のジャンパをRからTへ変更してください。
ZOIA、Echosystem、Reverbは、MIDIメッセージの送信機能も備えています。
送受信を行う場合はmidibox2の一番右のポートにTRSケーブルで接続してください。
あわせて、内部のdipスイッチを「MIDI return on jack1 ring」に設定してください。
MIDI機器→CBA midibox またはempress midibox(要改造)→TRSケーブル→CBAペダル
Chase Bliss midibox
・empress, CBA製品のmidiコントロールで使用。
・内部のジャンパでtipとringを反転させて、CBAとempressでの使用を切り替えられます。
・ペダルとの接続にはTRSケーブルを使用します。
・内部のジャンパを切り替えることで Alexander Pedals製品, Meris製品, Bondi Art Van Delayでも使用可能です。
empress midibox2
・empress製品(またはCBA製品)のmidiコントロールで使用します。
・ペダルとの接続にはTSケーブル(またはTRSケーブル)を使用します。
・CBA製品で使用する場合はtipとringを反転させる改造が必要です。
・4つのcontrol portのうち、右端のportはEmpress製品のMIDIメッセージを受信して他の出力へ送信することができます。その場合内部のdipスイッチを「MIDI return on jack1 ring」に設定します。
・Alexander Pedals製品, Meris製品, Bondi Art Van Delayでも使用可能です。
一般的なMIDI規格と違い、CBAとEmpressのmidi信号は電圧ベースで動作をしています、これは正式なMIDIの規格に則ったものではありません。本来MIDI規格ではフォトカプラによりアイソレーションされた電流ループ伝送が規定されており、それらの間を取り持つ役割をmidiboxが担います。midiboxを使用する事により正規のMIDIとのシグナルフォーマットを正しく変換し安定動作を保障します。変換ケーブルでの接続でもまれに動作することもあるようですが、これはたまたまに過ぎません。誤動作はもちろんのこと、グラウンドループによるノイズのリスクも大きいためお薦めいたしません。
5pin DIN端子から直接TRSに変換して良いのは、2018年に規定されたSpecification for use of TRS Connectors with MIDI Devices として発表された方式に限ります。機器の小型化を図るためにDINコネクターではなく3.5mm TRS コネクターでMIDIの送受信を行う方式が規格化されています。コネクターの形状以外は変わりありませんので、フォトカプラによりアイソレーションされた電流ループ伝送を行います。従来通りのパフォーマンスで運用する事が可能です。
Specification for use of TRS Connectors with MIDI Devicesとの事ですが、長い。通称ってあるのかな? あればそれを使いたいと思いますが、とりあえず今は『TRS MIDI端子』とするのが適当でしょうかね?
その TRS MIDI端子 を採用している製品、empress effects ZOIA 、Critter & Guitari Organelle M 、KORG SQ-1 、BOSS EQ-200などの“200 Series” など、他にもたくさんあるでしょう、そして今後も『TRS MIDI端子』を搭載した機器増えてくると思います。
コラム:TSケーブル/TRSケーブルの違い ギタリスト/ベーシストにとってはTSとかTRSといった呼び方はしっくりこないと思いますがTSやTRSはフォンコネクターの極数を表しています。楽器用として見かけるのは、6.3mmと3.5mmです。極数も4極や5極の物もありますがスマホやポータブルオーディオで使われているのもですので、ここでは触れない事にします。
フォンコネクターの大きさは現在3種類、6.3mm(標準)、3.5mm(ミニ)、2.5mm(マイクロ/ミニミニ)が存在します。大きさが違ってもTS、TRSの呼び方は共通です。
TSはTipとSleeve2つの電極を持ったフォンコネクターで、2極や2Pフォンなどとも呼ばれます。いわゆるギターシールドやパッチコードです。
対して、TRSは、TipとRingとSleeveの3つの電極のフォンコネクターを表します。3極や3Pなどとも呼ばれます。電極が3つあるので様々な用途で使用されており、使用目的もたくさんあるので注意が必要です。
ヘッドホンのように L / R / Ground と割り当てるTRSステレオ、ステレオフォンとも呼ばれます。3.5mmステレオミニも同じピン配です。
DTMやスタジオで目にするTRSバランス、XLRコネクターのバランス接続と信号の形態は同じです。この場合、Hot / Cold / Groundと割り当てられます。ギタリストに馴染みのあるところではエクスプレッションペダルもTRSが使われています、基準電圧 / 可変端子 / グラウンド として使用されています。2つのスイッチを持つフットスイッチもTRSが使われている事が多いです、SW1 / SW2 / グラウンドと割り当てられます。エレアコのデュアルPUシステムなんかにもTRSが使用されています、ピエゾPU / マグネティックPU / グラウンド として使われています。
そして、ここで紹介した特殊なMIDIコントロールや、TRS MIDI端子といった規格にも利用されています。
empressのmidibox2は、
Tip = MIDI Send
Ring = MIDI Receive
Sleeve = Ground
それを接続するempressのペダルは
Tip = MIDI Receive
Ring = MIDI Send
Sleeve = Ground
で作られています。
CBA midiboxは
Tip = No connect
Ring = MIDI Send
Sleeve = Ground
それを接続するCBAのペダルは
Tip = No connect
Ring = MIDI Receive
Sleeve = Ground
となっています。
CBA midiboxは内部のジャンパで Ring = MIDI Send(デフォルト)を Tip = MIDI Send に変更が可能です。という事は、empressのペダルにも対応する事が分かります。出力ごとに設定できますのでCBAのペダルとempressのペダルを混在して使う事も可能です。
TRS MIDI端子は似ているように見えますが全然違います。上のmidiboxではMIDI OUTの信号を受けますが、TRS MIDIは従来のMIDIと同様に IN / OUT の区別があり、必ずINからOUTに接続します。そして、その中の結線は
Tip = current sink
Ring = current source
Sleeve = Ground
となっており、TRS MIDI端子ではTip とRingを使って一つのシグナルを伝送しています。信号の内容も形態も別物である事が分かります。これがMIDIの安定動作の秘密でもあるのです。
実にポピュラーで用途の多いTRSフォンコネクション、接続先を間違えると機器を壊してしまう可能性もありますので注意が必要です。全部覚える必要はありませんが“種類がたくさんある”くらい心構えはあった方が良いと思います。
★Empress Effects
https://umbrella-company.jp/empress-effects.html
★Chase Bliss Audio
https://umbrella-company.jp/chase-bliss-audio.html