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mid-fi electronicsの新作Electric Yggdrasil(エレクトリック・ユグドラシル)来ました!『フェイズ・キャンセル』を利用した画期的なアイデアのビブラート、トレモロ。という事でデモ動画を見て、その不思議な効果に大きな期待、さっそく使ってみました!
トレモロだけど、レズリーのような回転感が付いたりもする。UNI-VIBEほどエグくなく、独特な不安定さと気持ち良さを併せ持つ。音量の揺れ、ピッチの揺れ、トーンの揺れ、複雑な揺れ感が逆に自然で有機的、なんだか八代亜紀のビブラートに通ずるところを感じる。 パッと回路をチェックしたところ、予想どおり移相回路の応用だ。2段用いてトータルで180°ずらす、位相がずれた音にドライシグナルを混ぜる事で逆相により打ち消しが生じ、音量変化を生む。『フェイズ・キャンセル』とはこの事だ!また、その中心周波数をモジュレーションすると波形の一部で波の間隔は詰まったり広がったり、これがピッチの揺れに聞こえる。打ち消しが起こる帯域は中心周波数によって変化するので、音色変化を生む。単純に音量をコントロールして作り出すトレモロとはまるで仕組みが違う、効果も似て非なるもの。
ところで Yggdrasil ってなんだ?調べてみたところ 世界を包括する巨大な樹 というのが出てきた。なるほどElectric Yggdrasilは様々な揺れの要素を包括したモジュレーションと言う事でこの名を授けたのかと、ネーミングセンスにも感銘。→ユグドラシルをwikiで見る
ボーカルのビブラートはピッチを変化させるための声帯のコントロールだけでなく、口の形の変化で共鳴の仕方が変わり音色変化が加わり、息の加減で音量変化も伴う。楽器もそうだ。それぞれの相関性が強く、音量だけピッチだけというのは不可能なことに気づく。同時に今までの、音量だけ変化するトレモロ、ピッチだけ変化するビブラート、単一の変化による効果が何とも不自然なことだと気づかされた。気づいたと言うだけです。自然だから良いという訳でもないし、エフェクトなので不自然でも良いと思う、むしろそれがエフェクト。Electric Yggdrasilだけが特別でもないし、これもエフェクトに変わりない。ただ、Electric Yggdrasilが興味深いエフェクトであることは正解のようだ。