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GRACE designのm903は、近年のヘッドホンブームもあり、メディアや雑誌などでは「ヘッドホンアンプ」として紹介されることが多いのですが、本来はもちろんスタジオ用のモニタリングコントローラです。

リファレンス音質のDAコンバーターとs-Lockクロック技術、USB DAC、ヘッドホンアンプ、モニターコントローラーと多くの機能をコンパクトにまとめあげています。

特に自宅スタジオでの音質重視のモニターコントローラー&DACとして、ヘッドホンはもちろん、2系統のスピーカーコントロール、そして入力のモニターセレクターとして、スタジオの中心的役割を担います。

 

モニターコントローラーとしてのM903

M903はアナログ2系統、デジタル4系統の多様な入力端子、3系統の出力端子を持っています。その活用範囲をDAコンバーター&ヘッドホンアン プとしてとどめておくのはもったいない、この正確で正直なリファレンスサウンドはヘッドホンだけのものではありません。そこで高品質モニターアンプとして のM903をご紹介したいと思います。大きさも幅216mm 高さ43mm(付属のインシュレーター装着時は55mm)奥行き210mmのハーフラック相 当の手頃なサイズ、ステンレスシャーシに黒いアルマイトメッキ処理の天底板の落ち着いたたたずまい、デスクトップに置いてもしっくりきます。

入力端子(背面)

アナログ入力端子 バランス(XLR)/アンバランス(RCA)

バランス入力は+4dBu基準 最大22dBuの信号を受けられます、オーディオインターフェイスのXLRバランス出力に対応したレベルです。アンバランス入力は-10dBVコンシュマー機基準レベルで最大+16dBuまで対応します。

デジタル入力端子  AES/EBU(XLR)/S/PDIF(RCA) / TOS-LINK(光角型コネクター)/USB (TYPE B MINI)

オーディオインターフェイスにデジタル出力がある場合はデジタル接続をお薦めいたします。M903のパーフェク トなDAコンバーターを利用できます。また、外部スタジオで録音という時もいつもと同じDAコンバーターであれば安心です。ヘッドホンであれば部屋の状態 も関係なくなりますので、音の出口まで含めたいつものモニター環境を持ち出す事が可能です。スピーカーでの作業であってもヘッドホンという基準がある事 で、いつもと同じDAコンバーター、いつもと同じヘッドホンアンプ、いつもと同じヘッドホン、いつもと同じ音量で確認する事ができれば迷いがなく作業でき るとおもいます。常に同じである事が本当のリファレンスだと考えます。

デジタル入力は最大192kHz/24bitに対応、USBもUSBオーディオクラス2.0に対応192kHz/24bitのハイサンプル/ハイレゾリューションデータに対応、Pro ToolsやDAWシステムでUSB接続によるモニタリングが可能です。

USB接続はU2モード(サブメニューで設定)でのご使用をお薦めいたします。U2モードではM903のクリス タルクロックがマスターとなりPCからのデータの転送指示からDA変換までのプロセスを行います。PCの汚れた動作クロックに同期することがないのでクリ アでリニアなDA変換が可能です。再生ソフトやその設定にもよりますがカーネルミキサーなど余計なプロセスをパスしたダイレクトなデータ転送を設定できれ ばオリジナルのオーディオデータを完璧に保ったままDA変換を可能にするビットパーフェクトUSB再生を実現します。

出力端子(前面)

ヘッドホン出力端子(6.3mm標準ステレオジャック)

とても低いインピーダンスでヘッドホンを駆動しています。駆動力も申し分なく、2台のヘッドホンを使用した時も 音質を変える事はありません。M903の音の特徴としては波形に追従するスピードがとても速く、どんなに複雑で大きな振幅の波形も忠実に描きヘッドホンに 信号電流を供給します。軟弱なヘッドホンアンプであれば波形が求めるスピードに追い付かず周波数特性の悪化、歪の増加につながります。この事は高域特性ば かりか低域にもとても重要です。ヘッドホンの駆動には大きなパワーが必要で特に低域は波形のサイクルが長いため連続した電流供給能力が求められます。オー ディオ回路部分の性能だけでなく、電源回路も深くかかわる部分です。M903はちょっとしたパワーアンプ並みの電源トランス&電源回路を持っており十分な 余裕を持ってヘッドホンの振動板をコントロールすることができます。可聴限界以下(一般的には20Hz以下)の周波数成分も、この十分な余裕がある事で制 御された振動板は正確に圧を生じます、20Hz~20,000Hzの“音”だけではなく“エネルギー”も忠実に再現できるヘッドホンアンプです。


出力端子(背面)

ライン出力端子 LINE 1 - アンバランス(RCA)/LINE 2 - バランス(TRS)

アンバランス出力は +21.5dBuまでバランス出力は27dBuまで無歪でドライブできる十分な余裕を持っています。キャリブレーションにて適正なシステムレベルに調整してお使いください。

操作部

前面左側のつまみは入力切り替え、入力ソースを選択します。

前面右側のつまみは回せばボリューム、押せば出力切り替えとして動作するエンコーダーです。このエンコーダーは長押しする事で各サブメニューに入りキャリブレーション機能にアクセスできるようになります。

ディスプレー

7セグメントLEDを採用した視認性の良いディスプレーです。通常は音量レベルを表示します。音量レベルが数字 で把握できる事はモニターコントローラにとって大きなメリットです。2桁の数字を覚えておけば同じ音量が再現できる、同じ音量で確認ができる。同じくらい のボリュームでは制作作業を行う上で支障が出る事もあります。リファレンスは同じでなければならないのです、同じボリュームを数字で確認できる安心感はご使用いただく度に実感していただけると思います。

音量はデジタルコントロールされたアナログボリューム、ややこしい言い方をしましたが要するに電子ボリュームで す。0.5dBステップでのコントロールができ、左右のチャンネルのレベル差は0.05dB以内に保ちます。これがアナログボリュームではできそうででき ないのです。どんなに精巧にトリミングされたボリュームポットでもこの精度は実現できないと言ってもいいでしょう。経年変化もありますし、いつの間にかバ ランスが崩れていて気付かず作業していたってことになれば大変です。それにアナログボリュームはボリューム位置によって回路インピーダンスが変化し、それ により音質が変わってしまいます。つまり、小音量の時と大音量の時で音質が異なるのです。これはリファレンスモニターコントローラーとしては致命的な事だ と思います。M903はいかなる音量でも回路インピーダンスが変化しない専用ボリュームICにより音質変化のない完璧なボリュームコントロールを実現して います。

サブモードメニュー

サブメニューモードではユーザー好みの使い勝手に合わせカスタマイズが可能です。
Balance Mode

L/Rのバランスを調整します。ヘッドホン、ラインアウト1、ラインアウト2それぞれ個別に設定可能です。が、 基本的にはいじらない方が良いでしょう。0.5dBステップでの変化ですのであまり有効ではないと思いますのでラインアウトであればパワーアンプでレベル を合わせる方がベストです。
Power Up Level

通常は電源投入時にはボリュームレベルは0ですが、この設定をしておけばミュート状態を経て設定した音量までフェードインします。ヘッドホンであれば通常使うと想定されてるレベルは「80」付近となると思いますので、いちいち回すのは面倒だという方はお試しください。

Output Toggle Lock Out Mode

アウトプット切替の機能をロックして予期せぬ設定の変化を防ぐことが可能です。例えばラインアウトにモニタース ピーカーを接続している場合、エンコーダーに誤って触れてしまって突然の大音量、これはびっくりしてしまいます。このような事を防止するためにこのモード が用意されています。

Selecting USB Class 1 or USB Class2

m903 をUSB Class1 または Class2 のどちらのオーディオデバイスとして使用するかを決定します。USB Class1 はサンプルレート96kHz までのオーディオ再生をサポートしています。96kHz 以上192kHz までのファイルを再生する場合にはUSB Class2 に設定します。

Enabling infrared remote control

赤外線リモートコントローラーのコントロールを使用不可に変更可能です。もし他社のリモートコントローラーなどとリモート操作が重複してしまう場合などに機能をオフにできます。m903 RCU をご利用になる場合には必ずこの機能をオンにしてください。

Display Dimmer Mode

4 秒間の間に何の操作も無い場合に自動的にディスプレイをシャットオフします。ステージでのヘッドホンモニターにでも使用しない限りこの機能を使用する事はないでしょう。

Level Offset Adjust

m903 のヘッドホン、ラインアウト1、ラインアウト2 の各々の出力のオフセットを+/-9.5dB(0.5dB ステップ)間で微調整可能です。出力を切り替えた時に同じ音量値で同じ音量になるようにモニター環境のシステムレベルの調整用に想定されている機能です。 モニタースピーカーとヘッドホンを切り替えた時に同じ音量で聞こえるように合わせておけば頭の整理もつきやすく作業の進行にストレスを回避できます。

Mono Mode

L/Rの信号をミックスしてモノラルにします。ミックスの際の位相のチェックに利用できます。

Cross Feed Mode(Xfeed)

このサーキットは実際にラウドスピーカーで聴いているアコースティック環境をヘッドホンでシミュレートします。 シンプルなパッシブサーキットで構成されておりサウンド的にとてもニュートラルな演出を行います。Xfeedは部屋で実際にスピーカーを鳴らした時のア コースティックをヘッドホンモニター上で再現できる画期的な技術です。ヘッドホンを使ってモニターを行う場合、それぞれの耳は1つのトランスデューサーか らのサウンドだけを聴く事になります(スピーカーで聴く場合のように両耳間のミックスされた信号は存在しません)。この場合人間の脳は心理的な音響に影響 を受けず、シンプルに正しく、誤差のないサウンドイメージを形成できます。しかしながらこの事は(実際のアコースティック空間で)スピーカーでミックスを 行う場合に比較して、余りにも正しい位置にサウンドが定位される為、稀にサウンドプロセスに迷いが生じてしまう場合もあるでしょう。また同じ様な理由で長 時間リスニングにおける<聴き疲れ>を生じさせる場合もあるかも知れません。

この技術はスピーカーから発せられた音がどのように耳に辿り着くかを電気的にシミュレートしています。これによ り自然なリスニングとなり長時間のリスニングでも聴き疲れすることがありません。X-Feedはとても微かなエフェクトですが長時間のリスニングのあと に、それをOFFにしたときなどはヘッドホンの左右のバランスが全く変わったように感じられるでしょう」。

Line Output Mode

ロータリーエンコーダーは通常3 つの出力(ヘッドホン、ラインアウト1 ラインアウト2)のボリュームコントロールを個別に行います。この設定の変更により、このライン1、ライン2 の2 系統の出力をグルーピングして使用する事も可能です。

Exclusive output Mode

m903 のエクスクルーシブ・アウトプットモードでは常に現在セレクトされていない側のアウトプット(LINE またはPHONE)をMUTEします。例えばスピーカーからライン出力の音を聞いているときに、ヘッドホンに出力を切り替えると自動的にスピーカー側の出 力をMUTE します。このモードはm902 の電源をオフにするとリセットされます。次にパワーをオンにした場合には再度設定する必要があります。

Factory Preset Reset

m903 を工場出荷時の状態にリセットする事ができます。

OPTIONAL REMOTE CONTROL(別売)

別売の赤外線ワイヤレスリモートコントローラーを使用するとm903 に快適な操作性をプラスすることができます。

MUTE

プッシュするたびにMUTE とUNMUTE が切り替わります。m903 本体のディスプレイに数字で表示されているレベルの状態が点滅します。もう一度プッシュするとMUTE が解除されます。

MUTE(長押し)

Mute を長く押した場合にはエクスクルーシブアウトプット(EO)モードの切替を行います。現在のエクスクルーシブアウトプット設定のステータスが数秒ディスプレイに表示されます。

X-FEED

プッシュするたびにXfeed のオン/オフが切り替わります。

PHONE/LINE

プッシュするたびに出力をヘッドホンとライン1、ライン2 でトグル切り替えいたします。新しく選択された出力がm903 本体のLEDに反映されます。またレベルのディスプレイの値が選ばれた出力側のものに変更されます。

PHONE/LINE(長押し)

PHONE/LINE を長く押した場合はm903 のセットアップメニューに入る事ができます。セットアップメニューに入るとVolume↑とvolume↓のボタンでメニューのスクロールが行えます。 PHONE/LINE はEnter スイッチの役割となり、プッシュするとそのセットアップに入る事ができます。セットアップの詳細については前項をご参照ください。セットアップ終了後にPHONE/LINE を再度長押しすると設定を保存し、セットアップメニューから出ます。

BALANCE

プッシュするとサブメニュー内のバランスモードに直接入ることができます。もう一度プッシュするとサブメニュー のバランスモードから出ます。バランスモードに入って、バランスのオフセットを調整したい場合にはVolume Up / Volume Down ボタンを使用します。

BALANCE(長押し)

BALANCE ノーマルオペレーション時に長押した場合はm903 のモードをMONO モードに切り替えられます。MONO モードが有効になるとディスプレイのレベル表記の数字が表記されなくなりMONO モードのシンボルが表示されます。再度長押しすると再度通常のステレオオペレーションに戻ります。

VOLUME UP / VOLUME DOWN

ノーマルオペレーション時にはm903 のレベルコントローラーとして機能します。ボタンを長押しするとレベル値を早送りする事ができます。m903 がMUTE されている状態でこのボタンをプッシュすると自動的にMUTE を解除します。

「ぜひ、自宅のスタジオ環境や、スモールスタジオにm903の導入をご検討ください。
どんなモニター音質向上のグッズや製品よりも、m903の導入が音質大幅アップグレードの近道です。マスタークロックよりも、電源よりも、どんなアクセサリーよりも、全体のサウンドを向上させることができます。そしてさらに便利なインプットモニターセレクターとしての機能性も同時に追加できます。細かなキャリブレーションに対応した完全プロフェッショナル仕様で、隙のないパーフェクトな製品に仕上がっています。」

 

 

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