クリエイティブな音楽機材の
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株式会社 共立映像 技術 後平 淳一様、三ツ井 千尋様
共立グループ: https://www.kyoritz.co.jp/
放送番組や舞台公演などの収録の現場では、機材が音質や作業効率に大きく影響します。そんな中、GRACE design m108 は、リモート対応8チャンネル・ADコンバーター内蔵マイクプリアンプとして世界中の数多くの現場で活用されています。
このインタビューでは、舞台公演の収録や配信業務を手がける株式会社 共立映像の三ツ井千尋さま、後平淳一さまにお話を伺い、m108を導入した背景から、どのようにm108が活用されているのか、現場での使用感やそのメリットについて伺いました。
株式会社共立映像の収録現場。GRACE design m108を中核としたシステムが、効率的かつ高品位な音声収録を支えている。
三ツ井千尋様(以下三ツ井):主に舞台公演のマルチチャンネルの収録業務や、近年需要が高まっている生配信用のミックスなどの業務を手がけています。
三ツ井:これまでは48チャンネルのアナログ入力に対応したレコーダーを使用していましたが、舞台公演ではチャンネル数が不足してきまして、64チャンネルの収録に対応したレコーダーのTASCAM DA-6400を中核に据えて、機材を更新することにしました。それに伴い、マルチチャンネル対応のマイクプリアンプも新たに導入することになりました。
以前は他社製の8チャンネルマイクプリを使用して、アナログのパラアウトをレコーダーとミキサーへ送っていたのですが、機材更新にあたって「Dante出力が可能で、かつアナログ出力も同時に行える」という条件が必要になりました。生配信用途では特にその仕様が重要で、これらの要件を満たす製品としてm108が候補に挙がりました。
後平淳一様(以下後平):現場に64チャンネル分のマイクプリを持ち込む必要があるため、機材のコンパクトさも重要でした。デジタルとアナログの同時出力に対応し、8チャンネルで1Uサイズという仕様を満たす製品はほとんどなく、m108は理想的な選択肢でしたね。
三ツ井:信頼している某テレビ局の音声担当者が、国内のコンサートホールでm108を使っていて「音がとても良い」と高く評価していたことも後押しとなりました。
三ツ井:同一のマイクでも個体差により出力レベルにバラつきがあるため、ゲインを細かく調整できることは非常に重要でした。また、現場の音響チームからラインレベルで信号を受け取るケースもあるため、その際にも柔軟にレベル調整できるかどうかが選定の鍵でしたが、m108はその点もクリアしていましたね。
後平:はい。たとえば現場の音響担当の方が用意するワイヤレスマイクの受信機から信号を受け取る際、-10dBや-20dBといったマイクとラインの中間的なレベルで渡されることがよくあります。m108では、そのような信号に対しても20~30dBほどゲインを加えて使用することが多く、ラインとマイクをシームレスに切り替えられる設計でなければ、現場での迅速な対応が困難です。
また、XLR入力1系統でマイクレベルとラインレベルの両方に対応できる点も、接続の自由度を高めてくれます。仮に、ライン用はD-SUB、マイク用はXLRと端子が分かれていると、それぞれにケーブルを接続する物量と手間が増えますが、m108は効率的な配線が可能で、非常に実用的です。
m108はラインレベル入力にも対応したXLRマイク入力端子を備えているため、現場ごとに各チャンネルのレベルが異なっていても柔軟に設定が行える。
三ツ井:たとえばパッケージ商品の収録では、音響担当から提供されるワイヤレスマイクの信号や音楽・SEに加えて、空いているチャンネルにオーディエンス用にコンデンサーマイクを8本くらい立てて、会場の雰囲気を収録しています。
後平:以前使っていたマイクプリではS/Nの悪さが気になる場面もありましたが、m108に変えてからはそのようなストレスは一切ありません。非常にクリアで解像度の高い音質です。
ゲイン調整もエンコーダー式で、ガリノイズの心配がなく安心です。クリップインジケーターも視認性がよく、クリップしても音が歪まずにしっかりと“踏ん張って”くれている印象があります。
三ツ井:セッティングをメモリーできる点は非常に便利です。たとえば同じ演目の収録で初日と千秋楽でm108を使用し、その間に別現場が入るような場合、以前はゲインなどの設定をメモしていましたが、m108なら設定を保存し呼び出せて、準備時間を大幅に短縮できるので助かっています。
後平:アプリを使っています。2台以上をコントロールする場合はスクロールが必要ですが、メーターとゲイン値を16チャンネルずつ確認することができて、グループを組んでのゲイン調整もできるので、使い勝手が良いです。
↑ラックマウントされている複数台のm108は、専用のソフトウェアによって一括でリモートコントロールしている。
三ツ井:内蔵のヘッドホンアンプは非常に重宝しています。たとえば信号にノイズが混入している場合、チャンネルごとにヘッドホンでモニターできるので、m108に入力される前に問題があるのか、すぐ確認できます。ディスプレイも視認性に優れ、設定状況が一目で把握できるため、現場での確認がスムーズですね。
また、グループモードでステレオ素材のゲインをリンクできる点や、LANケーブルで接続することで64チャンネルをリモートコントロールできる点も実用的です。加えて、この規模のチャンネル数を従来よりもコンパクトなサイズで実現できようになったことは、可搬性の面でも大きなメリットです。
後平:まず物量が抑えられました。現在、収録のみの現場では、m108を搭載したラックとマイク、マイクスタンド、ケーブル類を持ち込むだけで済みます。ミックスも行う場合は、これにデジタルミキサーが加わります。アナログで運用していた頃はケーブルなど機材の物量がかなり多かったのですが、m108の導入とDanteの活用により、荷物も減り、現場作業の効率が格段に向上しました。
現在はDanteでの収録がメインとなり、m108以降のレコーダーやミキサーまでDanteで接続しているので、アナログ接続時の煩雑な配線やノイズのリスクが大幅に軽減されました。音質はもちろん、現場での利便性も飛躍的に向上しており、非常に満足しています。
協力:トモカ電気株式会社
m108には、Dante用とリモートコントロール用の2系統のLAN回線が接続されており、それぞれを活用することで現場作業の効率が格段に向上したとのこと。
GRACE design m108 製品ページ: https://umbrella-company.jp/products/m108/
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