Blog

★ ZOIAについて

音のアイデアを描くためのオープンキャンバス。モジュラー・ペダル・システム Empress Effects “ZOIA“は、普通に使えば柔軟なカスタマイズが可能なマルチエフェクター(世界最小?)ですが、80種類以上のモジュールを組み合わせればオリジナルのエフェクターを作ったり、モジュラーシンセサイザーとして利用する事ができます。もちろん「オリジナル」の領域に行かなくても、定期的に追加される本家メーカーのファームウェアアップデートや、ネット上で無限に見つけられるシェアパッチをダウンロードすれば、その度に新しいエフェクターを追加できるので、それだけでもマックスに楽しいのですが、やっぱりモジュールの使い方を覚えると、よりクリエイティブな使い方ができるので超お勧めです。

でも実際には、ギタリストや、シンセ初心者の方で「モジュラー」とか「CV」とか「ボルテージコントロールド~」とか書かれると拒否反応が・・・という方も多いかもしれませんね。

Empress EffectsのZOIAには、モジュラーシンセの基本~応用まで全てのモジュールが備わっており、それを理解して組み合わせると、様々なエフェクターをデザイン出来たり、シンセサイザーを構築したり、シーケンスとギターの同時演奏なども可能になります。モジュールを理解する事でマルチエフェクターとして使用する場合にも、フットスイッチを踏み込んでいる間だけ特定の要素が変化するとか、徐々に切り替わるとか、自分のサウンドの為に実現したいことが自由自在にできるようになり夢が広がります。

このコーナーでは、ZOIAの『CV加工系のモジュール』について、応用技も絡めながら、なるべく簡潔に分かりやすくシリーズで説明していきたいと思います。もちろんZOIAだけの話ではなく、モジュラーシンセ全般に共通のモジュールについての解説ですので、シンセサイザー初心者の方にも参考にしていただけると嬉しいです!


ZOIA大学 モジュラー専修
第6回:Flip Flop & Comparator編

★動画をまずはチェック!

★Flip Flop(フリップフロップ)

フリップフロップは、超原始的なメモリー動作をします。入力されたCVに上昇する変化があると 1 を出力し次の上昇の変化があるまで値を保持します。そして再び上昇する変化があったら 、出力を 0 に書き換えます。CVの上昇を検知するたびに出力を反転(0なら1に、1なら0に)するとも言い換える事ができます。

フリップフロップにモーメンタリー動作のスイッチのCVを通せばラッチング動作に置き換え出力できます。

クロックCVを通せば半分の速さに変換します、2段使えばさらに半分 1/4に、Clock Divider モジュールよりも動作が軽いので単純な処理であればDSPパワーの節約にもなります。

 

★Comparator(コンパレーター)

コンパレーターはCV値の大小の比較を行うモジュールです。CV値の大小によって処理を変えたい場合に使用します。
positive input に入力したCVが negative input に入力したCVより大きいと 1 を出力します。逆にnegative inputのCVが大きい、または同じ場合は 0 を出力します。
それぞれのインプットは何もつながない場合はバイアス値により固定の閾値を設定できます。

動画では分かりやすいように外部のフェーダーでpositive input へ与えるCV値を可変しています。negative input のCVバイアスを変化させると出力が 0 / 1 の境目になるポイントがシフトしています。

negative input LFOで三角波を与えてみます。すると出力には矩形波が現れます。positive input のCV値を横切るところで 0 / 1 がスイッチされるためです。フェーダーでpositive input へのCV値を動かすと矩形波の幅(デューティーサイクル)が変化します。この時、周波数は変化していないことに注目です。つまり、これを応用すればシャッフルが表現可能なクロックCVを作る事ができます。

アナリシスモジュールのエンベロープフォロワと組み合わせれば「入力信号がこのレベルを超えたら」みたいに動作にレベル的な条件を与える応用技が可能になります。

 


★応用編:デュアルファンクション・スイッチの作り方

今日のモジュールは出力が 0 か 1 しかなく、単品だとあまりにも地味なので面白くない、動画で説明するまでもないのですが、他のモジュールと組み合わせると色んな事ができちゃいます。他に説明する事もないので、今回はその応用技を紹介したいと思います。

すごく便利、覚えておいて損はない。とっても実用的なデュアルファンクション・スイッチを作ってみたいと思います。

踏み方で動作が変わるスイッチです。ポンと踏めば、機能を切り替えるのに適したラッチング動作、踏みっぱなしにすると踏んでいる間だけ機能を有効にするモーメンタリー動作になる便利なスイッチです。「AメロはフェイザーをON」では通常のON/OFFスイッチのようにラッチング動作、「サビの頭2拍だけフェイザーをON」といった場合はモーメンタリーー動作が使いやすい。これら2つの動作モードを一つのストンプスイッチで操ることができてしまいます。

*別記事でペダルエフェクターの「フットスイッチ」の仕様についての解説も以前書きましたので、スイッチについて詳しく勉強したい方はこちらもご参照ください!
https://umbrella-company.jp/contents/guitar-pedal-footswitch/

★動画資料

作り方は様々あるでしょう、機能を満たせばどれも正解です。色んな正解を見つけてください、そのヒントとしてもお役に立てると思いますので、一例としてご紹介いたします。

STOMP SW が 2基、Slew Limiter、Comparator、Out switch、そしてCV Flip Flop で構成されています。

黄色のモジュールは1つ目のSTOMP SWです。モジュールオプションの設定はデフォルト設定。
stompswitch : left
action : momentary
normally : zero

黄緑色のモジュールは2つ目のSTOMP SW。モジュールオプションの設定は
stompswitch : left
action : momentary
normally : one

としています。

これら2つののスイッチはどちらも左のストンプスイッチで操作する設定です。これらのモジュールの出力で緑のモジュール CV Flip Flop をコントロールするのがこのスイッチの基本の動作です。

ZOIAのCV Flip Flop はCVの立ち上がりを検出することで出力の 0 / 1 を反転させます。STOMP SW1 はスイッチを踏んだ時に立ち上がりのCVを出力しFlip Flopを反転します。STOMP SW2だけなら踏むたびに 0 / 1 を切り替えるラッチング動作に置き換えになります。目的の一つ、ラッチング動作はこれで作れました。

Dual Function SWを実現するには、もう一つのSTOMP SW2の使い方がカギになってきます。STOMP SW2はフットスイッチから足を離したタイミングで立ち上がりのCVを出力します。そのままFlip Flopに入力すると、スイッチを踏む → STOMP SW①でFlip Flop出力を1に → スイッチを離す → STOMP SW2でFlip Flop出力を0に という動作に、踏んだら 1 、離したら 0 、これはモーメンタリー動作です。

ラッチング動作とモーメンタリー動作の違いを確認します、スイッチを離した時に立ち上がりのCVがFlip Flopに入力されるかどうかです。ポンと踏んだらSTOMP SW2の出力をカットし、長く踏んでいたらSTOMP SW2のCVをFlip Flopに与える。踏んでいる長さによって処理を切り替える仕組みを作っていきます。

スイッチを踏むとSTOMP SW2の出力は 1から0へ瞬時に変化します。これを水色のモジュール slew limiter で変化するスピードを調整します。1から0の変化ですので falling lag を調整します。この時間でポンなのか長押しなのかを判別します。色々試して0.30secに設定しました。slew limiter の出力は comparator に送られます。

赤のモジュールの comparator ではSTOMP SW1のCVをpositive inputに、slew limiter の出力をnegative inputに入れ比較します。negative input は CVバイアスを 1.0000にしています。これによりslew limiter の出力は2.0000から1.0000 の範囲で変化する事になります。negative inputの値が変化し両インプットの値が同じになったとき、出力が 1 に変わります。しかしディスプレーは1.0000以上は表示できないので動作を確認する事ができません。1.0000でも狙い通りに動作しているのですが、CVバイアスを少しだけ戻して0.9998にしておきますとスイッチを踏んで0.3秒後に0.9998と表示が変わるので動作が実感できます。

スイッチを踏んだ瞬間は、positive input には 1.0000 が入力され、negative inputは 2.0000 となっています。negative input の方が大きいので comparator の出力は 0 です。そして、negative input は値が下がります。0.3秒後に0.9998となり positive input の1.0000 を下回り positive input の方が大きくなり、comparator の出力は 1 に変わります。

こうして作られた 0.3秒後に 1 になるCV を使って STOMP SW2の出力をカットするか、CV Flip Flop に与えるかを切り替えます。

濃い青のモジュールは CV out switch です。デフォルトでは1系統のCVの ON/OFF をコントロールします。STOMP SW②の出力をCV out switch の入力に、CV out switch の出力を CV Flip Flop のインプットにつなぎます。そして、 comparator の出力で CV out switch の ON/OFF をコントロールします。

すると、ストンプスイッチを踏んで0.3秒以内に足を離せば STOMP SW2 の立ち上がりCVはFlip Flopには送られず CV Flip Flop の出力はラッチング動作で 0 / 1 が切り替わります。ストンプスイッチを踏んで0.3秒以上経過すれば足を離した時のSTOMP SW2 の立ち上がりCVはFlip Flopに与えられCV Flip Flopの出力を反転、モーメンタリー動作となります。 CV Flip Flopの出力が 0 の状態でスイッチを踏めば、踏んでいる間は出力を 1 に、スイッチを離した時は 0 に戻ります。 1の状態で踏めば、踏んでいる間は 0 、離して 1に戻ります。

この CV Flip Flopの出力でエフェクトのON/OFFをコントロールすると、ポンで切り替え、踏み続けるとその間だけON、離すとOFF といった事が可能になります。

このスイッチはなかなか便利なので、ぜひ覚えてオリジナルのパッチに取り入れて活用してみてください。

 


★オリジナル「FF and COMPARE DELAY」を作ってみた!

今度はフリップフロップとコンパレーターをディレイに応用した例をご紹介します。
今回解説に用いたパッチは以下からダウンロードできますので是非遊んだり、研究したりしてみてください!

https://umbrella-company.jp/images/EmpressEffects/zoia/patch/063_zoia_FF_and_COMPARE.bin

FF and COMPARE というパッチです。
コンパレーターをフリップフロップとコンパレーターを応用したディレイエフェクトを、このパッチの5ページ目に用意しています。このZOIAパッチの1~4ページは本講義で実際に使われた資料となっております(ダウンロードしたパッチのディレイで遊んだり研究したりする場合は5ページ目だけを参照してください)。

★動画資料(FF and COMPARE DELAY)

このディレイは、入力レベルに応じてディレイのパラメーターをコントロールしています。この“応じて”の部分をコンパレーターを使って実現しています。

入力信号はエンベロープフォロワに送られ信号レベルを検出し、コンパレーターに送ります。
コンパレーターは入力レベルと固定の閾値を比較し、入力レベルがある事を検出し処理を変えています。

入力がある時はディレイ音とドライ音が 1:1 でミックスされています。フィードバックもかなり深めのディープなディレイになっています。入力がなくなるとディレイ音をカット、フィードバックも0にしますので残響がスパッと無くなります。演奏を区切る、つまり休符があると、それまで潤沢に響いていたのに急にドライになり、そのギャップがなかなか違和感があって面白い効果です。

もう一つコンパレーターを仕込んであり、こちらのコンパレーターでは音を延ばした事を検出しています。
エンベロープフォロアからの信号を一旦スルーリミッターに入力します。
スルーリミッターでギターを弾いてもすぐに反応しないようにタイムラグを設定します。すると細かいフレーズでは設定した数値まで届かないので通常の効き方となります。強く音を延ばすような弾き方をするとスルーリミッターの出力CVが徐々に増加し閾値に達したところでコンパレーターの出力が 0.0000 から 1.0000 に変わります。この 1.0000 のCVでディレイタイムを最大値まで急変させています。音を出しながらディレイタイムを変更するとピッチの変化を伴います、急激にディレイタイムを大きくしているので派手にアームダウンしたような大きなピッチの変化が得られます。そしてこれは、フリップフロップによって保持され、音が切れたタイミングで解除される仕組みを追加しています。

ふつうに弾くと深いディレイを応用したフレーズに使えて、休符を入れるとピタッとドライに、そして音を延ばすとアームダウンというように弾き方によって処理を変え、ディレイの効果を使い分ける事を可能にしました。

弾き方による反応の仕方を設定で追い込むのが乗りこなすコツ、使いこなせばかなり面白いはず!
ぜひお試しください!

 

 

★その他のZOIAのチュートリアル動画は以下のタグでまとめてありますのでリンクをご参照ください!
https://umbrella-company.jp/contents/tag/zoia-tutorial/

Related Article

  1. コメントはありません。

  1. トラックバックはありません。

CAPTCHA