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Empress Effectsのモジュラー・ペダル・システム "ZOIA"には、すでに高品位な完成されたエフェクターが多数内蔵されています。これらのエフェクターを並べたり、ユーザーコミュニティでシェアされている無限のパッチをダウンロードするだけでも十二分に楽しめますが、ZOIAでは自分のアイデアでエフェクター自体を設計することも可能です!エフェクターを構成している各モジュールをパッチ接続することで、自分の思い描くエフェクターをデザインできるのです。 このコーナーでは、ZOIAの豊富なモジュールから、自分だけのエフェクターをデザインする方法を解説していきます。 前回はスタンダードなディレイをモジュールから設計しましたが、今回は続いてテープディレイ(テープエコー)的なトーンデザインを行ってみましょう!テープ特有の「揺らぎ」と、録再ヘッドの汚れやずれによる「周波数の劣化」のニュアンスを追加することで、オーガニックでリアルなテープエコー・サウンドを作り出すことができます。 以下の動画でご覧ください!
そもそもテープディレイとは、録音テープに録音したそばから再生する特殊なテープレコーダーともとれる代物です。時間差を作るため録音ヘッドと再生ヘッドは距離を離して配置されていて、テープを回して録音 → 録音された部分が再生ヘッドに向かう → あえて距離をとり時間差をつけ再生する、その時間差でディレイ音が得られる、という仕組みでエコーを作り出しています。 アナログテープに録音して再生するというだけと言ったら失礼かもしれませんが、それ位シンプルで究極のアナログディレイとも言える方式のディレイエフェクトです。 テープディレイはアナログテープに録音、そして再生されるため、テープに由来する音色変化を伴います。使用される録音テープは特別に用意されたループ状のテープで、機器の内部には けっこうダルダルな感じで仕込まれています。テープを回した時の走行系のムラや、テープのヨレなどにより再生ピッチが揺らいでしまうのでレコーダーなら失格ですが、ディレイエフェクトとしては、これにより心地よいゆらぎや広がり感を得る事ができるので、大きな個性や付加価値として評価されています。 このテープの揺れ感を出すためには、ディレイタイムを少しだけ揺らしてあげることで再現できます。 Control module → lfo を置く lfo の outputを delay line のdelay timeに入力
変調が強すぎるので、lfo の output と delay line のdelay time を同時に押して送りのレベルを調整します。 テープディレイの揺れを演出するのには極々小さくていい、0.01%程度で十分です。 送りのレベルでも調整できますが表示される数値が小さすぎて操作しにくいので、 multiplierで使いやすいレンジにシフトしておくと扱いやすい範囲でエディットできます。 lfoの output と delay line のdelay time の接続を解除 Control module → multiplier を置きます lfo の output を multiplier のCV input 1 に入力 送りのレベルを10%に設定 multiplier のCV output を delay lineのdelay time に入力 送りのレベルを1%に設定 CVの送りレベルを 10%、さらに1%としました、10%の1%で0.01%です。 これがCV input 2 の値が100%のときに得られる、つまり最大値になります。 Multiplierを使う事で効果の変化の振れ幅を使いやすい範囲にしぼる事ができます。 この状態でギターを弾いてみると、まだ「ゆらぎ」は追加されていないはずです。 multiplierは掛け算器です、CV input 2 の値が0なので出力は0です。 これを上げていくと徐々にゆらぎが大きくなっていき、テープエコー特有の有機的な揺れ感を得ることができます。
「ゆらぎ」が追加され良い感じになったところで、もう一つ、それっぽくなる色付けを追加してみましょう。
テープディレイでは録再ヘッドの位置ずれやテープの汚れ・へたりなどにより周波数特性が劣化しますので、そのニュアンスを追加します。
delay line のaudio out とaudio inのフィードバックラインの接続を解除します。
Audio module → Multi-Filter を、フィルターのタイプはLPFを選択し、置きます。
でもよーく聴くと、一発目のディレイ音は音色変化のないクリアな音色のままなのが分かります。 少し不自然でしょうか? 一発目のディレイ音からトーンを効かせたい。 もちろん可能です。 いま、delay lineのaudio out から audio balanceのaudio in2に入力されています。 一回目のディレイ音はフィルターを通過しておらず、フィードバックされた2回目からフィルターがかかる状態です。 一発目からフィルターを効かせるには、Multi-Filter のaudio out をディレイ音として使います。 いったん接続を解除し、Multi-Filter のaudio out を audio balanceの audio in2 に接続します。 これで弾いてみると、一発目からトーンが効きイメージ通りの仕上がりです。 処理する順番や、どこから信号を出力するとか、エフェクトのかかり方に違いが出ます。 ピッチの ゆらぎ と、フィルターによる音色変化、テープディレイっぽさを演出できました。 モジュレーションの強さやフィルターの効き具合を調整して遊んでみてください。 そして、想像してみましょう! 例えば、フィルターの代わりに違うモジュールを使ってみると、どうなる? LFOでの周期的な変調ではなく、不規則な変化を与えたら、もっとリアルなヨレ感が出る? などなど・・・・。 そんなかんじの妄想が広がってくると、ますます楽しくなってきます。 そんなあなたは、もうZOIAにハマっています!
さて次回は、お待ちかねの変態系エフェクト!と、行きたいところですが、 色んな事に応用できて、とっても実用的なスイッチモジュールの使い方をご紹介したいと思っています。 最後におまけでディレイラインのモジュールに便利な「タップテンポスイッチ」をZOIAで実現する方法を先にご紹介しておきます。 Delay Lineのモジュール・オプションのエディット画面には、tap tempo inという項目がありますので、それをオンにします。 次にinterface moduleから stomp swをどこかに置きましょう。 次にstop swと、Delay Lineの Tap Tempo Inを接続します。 これでディレイタイムをタップテンポスイッチから入力できるようになりました! フットスイッチとこのパラメーターの間に、clock dividerモジュールを置けば、タップテンポのレシオ設定も行うことが可能です! 次回もお楽しみに!
Empress Effects ZOIAは「モジュラー・ペダル・システム」です。 ZOIAでできることをシンプルに3つあげると、以下のようになります。 1、マルチ・エフェクター 2、モジュラー・シンセサイザー 3、自分だけのエフェクターやインストゥルメンツを「デザイン」1、マルチ・エフェクター
ZOIAにはEmpress Effectsの高品位なサウンドとファンクションが再現された多数の完成されたエフェクターが内蔵されています。歪みからEQ、モジュレーション、リバーブ、ディレイ、キャビネットシミュレーターまで、ほぼ全てのエフェクタータイプが揃っています。
2、モジュラーシンセサイザー
モジュラーシンセサイザーで一般的に使用されるほぼすべてのモジュールタイプが用意されています。ボタングリッド上に配置された、モジュール・パラメーターをパッチ接続していくことで、本格的なモジュラーシンセサイザーを演奏できます。シーケンスによるトラックを制作し、エフェクトをかけたギタープレイをミックスすることも可能です。エンベロープフィルターやピッチデテクターなどの解析モジュールも利用できます。
3、エフェクターや楽器そのものをデザイン
エフェクターを構成しているモジュールを組み合わせて、自分だけのエフェクターをデザインすることも可能です。例えばLFOモジュールでVCAモジュールをコントロールして周期的な音量変化を作り出すことでトレモロが完成します。同様にリズムマシン、シーケンサー、ルーパーなどあらゆる要素を複合したマルチ・インストゥルメントを設計することも可能です。
また、これらのモジュールやエフェクトは、ファームウェアの更新によって増えていきます。 さらに既に賑わっているZOIAのユーザーコミュニティによって、ユーザーが開発したパッチが多くシェアされているので、自分でモジュールを組み合わせてデザインしなくても、インターネットからダウンロードしたパッチを読み込ませるだけで、無限のサウンドスケープを入手することができます。 https://patchstorage.com/platform/ZOIA/