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MIDI/CVインターフェイス Bastl instruments “1983”
★レビュー&解説 by DJ ULU(a.k.a Tateyama)

昨年からアナウンスされており、今年になりやっと発売されたBastl instrumentsの1983ですが、PCやリズムマシン、MIDIキーボードなどのハードウェアとモジュラーシンセの連携や、正確なピッチ/スケールの調整やコード演奏、それに加えMIDI to CVインタフェースとしてできるクリエイティブな表現を可能にする機能たちを7hpのコンパクトサイズに集約した、スペシャルなMIDI to CVインターフェイスモジュールです。

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待ちに待った1983を発売後すぐ私も1つ購入し手にいれたのですが、レコーディングの制作現場やライヴセッションにおいて常時無くてはならないユーティリティモジュールの1つとなっており、いろいろな場面での表現やハードウェアとの連携の橋渡しとして必要不可欠なマストアイテムであります。

最大8chのCCコントロール、ベロシティ、コントロールチェンジ、ピッチベンド、クロック、アフタータッチ、ポルタメントなど、4chで使用できる充実したMIDI to CVインターフェース機能以外にも、4つのCV入力やボイス・アロケーションなど利用して、ポリフォニックやクオンタイザー、1983独自の「アルペジエーター/シーケンサー」までも作り出すことができ、その他、
申し分のないほどの機能を網羅した1983をすべてを紹介したいところですが、ここでは実践的なセッティング例や活用方法の一部を以下ご紹介したいと思います。

まずはBastl instrumentsの1983の動画をご覧下さい。

 

【瞬時に行える自動ピッチチューニング機能】

モジュラーを始めて音楽的なフレーズ作成などで直面するのが、オシレーターなどのピッチチューニング。12音階で正確な音程で鳴らしたい時は、まずはオシレータのチューニングを正確に合わせることから始めなければなりません。
従来では正しいチューニングを得るために別途チューナーを用意し、オシレータのピッチをいちいち調整する必要がありましたが、1983を使えば自動チューニング機能でオシレータのピッチを自動計測し、1983の精密なチューニング・アルゴリズムによりそれぞれのオシレータに合わせたパーフェクトなピッチCVを吐き出してくれるという今までにない画期的な機能であり、非常に面倒なピッチ調整を瞬時に行ってくれるのです。

それに加え、7オクターブ音域のピッチ調整ができるというのも重要なポイント。

特にアナログオシレータなど、中間辺りのノートでチューニングしたとしも高いオクターブや低いオクターブに行くに連れ音程がズレていってしまうことがあり、正確なオクターブ幅調整するには基板側の調整をすることになったり、少し専門的な知識が必要となる場合もあります。ユーロラックモジュールにはガレージものも多く、「音が良くても全体のピッチが合わなくて。。」なんて煩わしさも1983は高低7オクターブ音域のピッチを正確に合わせてくれるので、ピッチについて何も気にせずモジュラーを使うことができます。

少しマニアックな話になりますが、ユーロラックのような1v/octのCV電圧と規格が異なるシンセサイザー(ブックラ、EMSなど)もあり、そのようなシンセ達とも自動チューニングしてユーロラックモジュラーと連携することが可能であったり、また、すべて検証した訳ではないですが自己発振系のフィルターのフリケンシーのチューニングまで出来るものもあり、自動チューニングと一言で言ってもいろいろな面で活用出来るかと思います。

また、μTUNE(マイクロチューン)モードにて、基準となる周波数プリセットの選択や細かいチューンエディットも可能で、デフォルトプリセットには平均律(A=440Hz)、純正律、そして最近巷で話題の周波数「ソルフェジオ周波数」(A=432Hz)まで対応しているという、ユーモア?も忘れてないのがBastlのにくいところですね。

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自動チューニング機能を使うのは、チューニングしたいオシレータなどのシンプルな波形(正弦波、サイン波など)出力から1983の”listen”というチューナーとなる入力につなぎ、それから1983のCV出力からオシレータのV/octに繋ぎます。これでセッティングは完了です。

オシレータの出力が1つしか無い場合は、スタッキングケーブルなどを使い出力を2つに分岐すると良いでしょう。
セッティングが終わったら右上にあるTUNEボタンを長押しすると自動チューニングを開始します。4chすべて繋いでいる場合でも、1chづづ順にチューニングを行ってくれます。

 

【PCやハードウェアとの連携〜多種多様なMIDI to CV〜】

昨今、ABLETONからもモジュラーシンセをPCでコントロールできる「CV tools」も発表され、PCを中心とした音作りのサブマシンとしてモジュラーシンセを活用することが現場でも益々増えてきています。
オシレータでメロディや和音を作ったりするのはもちろん、クロックの同期、アナログフィルターのフリケンシーをコントロールしたり、PCから複雑なLFOやCCのエンベロープを描いてCVコントロールしたりなど、PCとモジュラーシンセ双方の個性を組み合わせて新しいサウンドを作っていくために、多種多様なMIDI to CV機能を持つ1983は表現の可能性の幅を大きく広げてくれます。
様々なレイアウト(4ポリボイス、3ポリ+1モノボイス、2ベロシティボイス、4モノボイス、1モノボイス、8ゲート、8CC、4トリガー+ベロシティ、パフォーマンス・クオンタイザー)があり、これだけの機能があれば十分すぎるくらいです。

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私はよくMIDI CCや1モノボイスのレイアウトを多用するのですが、CCレイアウトの場合、図の様にトラックごとにPCのソフトウェアでエンベロープを書き込み、最大8chのCCでモジュラーシンセの各パラメ―タをCVコントロールできるので、PCからいつでもリアルタイムの動きを呼び出す事も可能になります。

1モノボイスのレイアウトでは、CV/GATE以外にも主にキーボード演奏の表現に必要なアフタータッチやベロシティ、モジュレーションホイールなどをコントロールするためのCC出力も用意されており、1983にはレンジを設定できるピッチベンド機能も搭載してるので、キーボード演奏の表現に必要な部分はすべてカバーできます。

 

【秀逸で使いやすい4chパフォーマンス・クオンタイザー】

MIDIを使わずモジュラーシンセだけで演奏する場合においても、1983はアナログシーケンサーなどのCVを1983を通過させ4chクオンタイザーとしても使用できます。

セッティングは非常に簡単で1983のレイアウトを”q”にあわせて、MIDI in端子の周りにあるQA、QB、QC、QDのCV入力にCVを出力するモジュールと繋げば、あとは任意のモジュールへステールがクオンタイズされたCVが出力されます。

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アナログシーケンサーだけでなく、例えば複雑なLFO波形のCVをクオンタイザーを通してスケールとして変換出力し、オシレータやフィルターなどへ繋いだりしてみると、リアルタイムで即興的なフレーズを作ったりもできるので面白いでしょう。

 

【1983でポリフォニックシンセやアルペジエータを作る】

往年のヴィンテージポリフォニックシンセ、例えばOberheim 4voiceやProphet5などはデジタルやPCM音源を使ったシンセとは格段に違う重厚な音圧のアナログサウンドであり、未だにアナログポリフォニックシンセでしか出せない表現やサウンドを1983のPoly voiceレイアウトで作り出すことができます。

アナログのポリフォニックシンセは1音のノートに対し、1つのモノフォニックVCOを使い、和音を弾いた順に1つずつVCOを交互に鳴らすという構造になっています。このVCOの数が4つあれば4音ポリということになりますが、これと同じようなシステムを1983で再現することが可能です。

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1983のレイアウトでは他のポリフォニックモードもあり、3ポリ+1モノボイスを使って、モノボイスをシーケンスベースにポリボイスをMIDIキーボードにそれぞれMIDIチャンネルを分けて使う、なんて使い方できます。

また、違うメーカーのVCOやいろいろな波形を並べてポリフォニックを作れば、和音を弾いていく度に、1音ごとに違う波形、違うオシレータを交互に鳴らすことが出来、他では出し得ない新しいポリフォニックサウンドもカスタマイズして作り出せるでしょう。それに加え、ボイスアロケーションという交互に鳴らす和音の中での順番の優先順位を設定する機能もあり、これを使った応用で、WINDOW CV、TRANSPOSE CV、UPDATE CVなどにトリガーやCVを入力し、移調やグライド、1983のCV出力の位置を変えたりする動作を加えることにより、設定次第よっては複雑なアルペジエータも作り出すこともできます。

 

まだまだ説明しきれないほどの機能を持つ1983でありますが、それぞれの制作やライヴの現場や場面において便利で強力なMIDI/CVインターフェイスとして、また従来のMIDI/CVコンバータにはない、より進化した1983を使いこなせば、新たな表現力を生み出してくれるマストツールとなることは間違いないでしょう。

 

【裏技】1983エキスパンダーの作り方

7hpに集約したコンパクトなサイズでいろいろな機能と入出力を持つ1983ですが、前面のパネルからだけでなく、裏の基板面からもClock/Reset出力やMIDIのピンを用意してあります。

そのままでもClock/Reset outは前面のパネルから取り出すことができますが(レイアウトごとにコンマ有りか無しで設定できます)、例えばクロックを出しながら4ch分の機能をフルで使いたい場合、4chの出力端子がClock/Reset outに使用されてしまうので、裏面から引き出す必要があります。

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ここはBastlらしく、「エキスパンダーはDIYで自分で作ってね」というハンドメイドライクな姿勢ですが、少しのハンダ付けの知識があれば少ない材料で簡単に作れるので、あくまでも自己責任ですが、配線図や作り方の一例を紹介したいと思います。(製作はあくまでも自己責任でお願いします)

以下、エキスパンダーの配線図です。

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上からClock out、Reset on/off スイッチ、Reset out、MIDI in、 listen thru A〜Dとなっています。
図のように配線していけば良いだけですが、MIDI IN/THRUはMIDI to ステレオミニプラグ を使用します。
KorgやIK multimediaなどに付属しているMIDI to ステレオジャックで対応できますが、市販でも購入できます。図にあるMIDIのピンアサインのものをお使い下さい。

また、ここではLISTENのスルー出力も取り付けてありますが、簡単なサーキットベンディングが必要となります。
ピンヘッダをカットしたものを基板の穴に差し込んで、ピンを立てています。(画像参照)

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材料:

・Bastl Multiple(購入先:GIZMO-MUSIC
・2.54mmピッチソケットケーブル(購入先:秋月電子などの部品屋)
・3.5mmステレオミニジャック2つ(購入先:秋月電子などの部品屋)
・2.54mmピンヘッダ(購入先:秋月電子などの部品屋)
・on/on 3Pミニトグルスイッチ(購入先:秋月電子などの部品屋)

MIDI IN/THRUはKorg MIDI to ステレオミニプラグ を使用します。
Korg SQ-1やIK multimediaノ製品などに付属しているMIDI用ケーブルでも代用できますが、図にあるMIDI配線のものをご使用ください。

クロック出力だけほしいという方は、お好みでクロックだけのマルチプルを作ったりしたりしてもよいでしょう。

ハンダ付けの経験が一度もない、自分でやるのは心配という方は、毎月アンブレラカンパニーにてDIYワークショップを開催していますので、そちらでもハンダのスキルを覚えたりできます。もちろんこのエキスパンダーの作り方も教えますw

 

DJ ULU(a.k.a Tateyama)
1973年生まれ。東京都出身。90年代初頭にアンビエントミュージックとアシッドハウスに影響を受け本格的にDJ/トラック制作を始め、DJに於いてはクラブシーンの黎明期より国内外のクラブ等でプレイ。 93年Planchette名義で「Overdrive01」のアシッドテクノアルバムをリリース。94年「Rolita/Pinkgrapefuits ep」(Natural-Hi Records)等をNYにてリリース。95年DJ TATEYAMA名義でDJミックスアルバム“Plus Alpha”をリリース。96年。即興エレクトリックファンクバンド“AOA”の結成時から参加。シンセサイザー/マニュピレーターとして活躍し、以後2000年までに5枚のアルバムをリリース。 DJは元より、2010年より自作にてモジュラーシンセ製作を始め、各地にて発振活動を行う。CM音楽の作曲、プロデュース、音楽ソフト書籍の執筆、デザインなど活動は多岐に渡る

 

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