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Synthesizer シンセサイザー

【解説】TRS形式のMIDIを備えたデバイスについて

MIDIによるコントロールは元々は大型のセットアップやDAWで主に使用されていましが、最近ではギターペダルでも積極的に取り入れられるようになりました。これによりプリセットリコールやパラメーターの直接コントロールなど、快適で便利な機能を提供するデバイスが増えています。


ギターペダルにおけるMIDIでは、スタンダードな5pin DIN MIDI端子に代わってTRSタイプのMIDI端子が使用される例が増えてきました。5pin MIDIと比べて端子のサイズが小さく基板上で省スペース化が可能なことが、特にペダルサイズにおいて歓迎されているのかもしれません。

Empress - ZOIA背面。3.5mmのTRS MIDIを使用する。

Chase Bliss - MOODは1/4インチ、ローカルな形式のTRS MIDI仕様。

お手元のMIDIコントローラーにTRSタイプのMIDI出力があればこういったデバイスと直接接続することができますが、恐らく無いことがほとんどだと思います。となると5pin MIDIからTRSタイプへ変換をする必要がありますが、TRSタイプのMIDIはまだ歴史が浅く、各社が独自の伝送方式を使用しているのが現状です。単にケーブルで変換をするだけでOKなものもあれば、間に変換用デバイスを挟んで正しく伝送するよう信号を整えなければいけないものもあります。

受信側のデバイスがどのタイプのTRS MIDIを受信するのか、送信側はどのようなタイプの信号を送れるのかしっかりと把握し、信号同士をマッチングさせる必要があります。ここではアンブレラカンパニー扱いのTRSタイプMIDIを搭載する製品を挙げながら、解説します。

5pin MIDI, TRS MIDIの互換性について

現在、MIDIには以下の方式があります。

・5pin DINコネクターで接続するMIDI Manufacturers Association (MMA)が定めた、従来からのMIDI規格
・3.5mm TRSフォンコネクターで接続するMMAが定めた新たな規格、"TRS MIDI"
・Empress Effects, Chase Bliss Audioなどのブランドが採用する、TRSを使用したローカルなMIDI伝送方式。

MMAが定める”TRS MIDI規格”のピン配列。


従来のMIDI規格とTRS MIDIはTip = current sink, Ring = current sourceと信号電流のループによってMIDIメッセージを伝送しています。これらは完全に互換があるため、変換コネクターを使えば接続が可能です。 一方従来のMIDI/TRS MIDI規格と、一番下の"TRSを使用したローカルなMIDI伝送方式"は伝送方式に互換がなく、接続するだけでは正しく動作しません。異なっているのは伝送方式のみで、MIDIメッセージのフォーマットや、それによって出来ることは完全に互換があります。

この方式を使う場合は伝送方式を変換するために"MIDI規格 → ローカルなMIDI伝送方式"への変換器が必要です。 このローカルな方式は、TipとRingをMIDIメッセージの受信と送信で使用しています。そのためTRS端子1つでMIDIメッセージの受信と送信を兼ねることができます。内部で切り替えればMIDI端子だけでなく、CVポート、EXP端子、スイッチ接続端子としても使うことができます。

同じTRSタイプの接続端子を使いMIDIメッセージをやり取りしていますが、伝送方式に大きな違いが有ることを注意して覚えてください。変換ジャックだけでいい場合と、変換用のデバイスも必要になることの違いがおわかりいただけたかと思います。

TRSを使用したMIDIの伝送方式について

・TRS MIDI(Specification for use of TRS Connectors with MIDI Devices)
2018年にMIDI Manufacturers Association (MMA) が定めたSpecification for use of TRS Connectors with MIDI Devicesと呼ばれる規格です。

Tip = current sink, Ring = current source, Sleeve = Groundとなっており、信号電流のループによってシグナルを伝送します。
シンプルにいうと、従来の5pin MIDIを3.5mmミニジャックへそのまま変換した方式です。そのため変換するデバイスをかませる必要がなく、ケーブルでジャックを変換するだけで従来のMIDIと同じように使用できます。 MMAにより定められた標準的な規格であり、大手メーカーのBOSSも採用していることから、今後中心となっていくと予想されます。

アンブレラカンパニー取り扱い製品では、
Empress - ZOIA
Empress - ZOIA EUROBURO
Cooper FX - Outward V2
Cooper FX - Generation Loss V2
Cooper FX - Arcades
Critter & Guitari - Organelle M などで採用。

Critter and Guitari - Organelle Mは3.5mmTRS MIDI規格。変換ドングルでそのまま5pinを接続可能。

・Tip Active (Tip Receive, Ring Send)
TRSを使用したローカルなMIDI伝送方式。MIDI信号をTipで通信します。従来の5pin MIDI DIN端子と接続するには、変換用のデバイスが必要です。

Empress Reverb, Echosystemは変換デバイスが必要。

アンブレラカンパニー取り扱い製品では、
Empress - Echosystem
Empress - Reverb
Empress - Tremolo2
Empress - Phaser
Bondi Effects - Art Van Delay などで採用。

・Ring Active (Ring Receive, Tip Send)
TRSを使用したローカルなMIDI伝送方式。MIDI信号をRingで通信します。従来の5pin MIDI DIN端子と接続するには、変換用のデバイスが必要です。主にChase Bliss Audioで採用されています。

画像のDisaster Area製MIDIコントローラーはChase Blissペダルへ直接接続が可能。

アンブレラカンパニー取り扱い製品では、 コンパクトペダルサイズのChase Bliss製品で採用。

5pin → TRSへの変換デバイス

ローカルな方式のTRSタイプMIDIに接続する際に必要な変換用のデバイスとして、MIDIBOXというデバイスが各社から販売されています。基本的には接続したい機器のブランドのMIDIBOXを使えば間違い有りませんが、一部のMIDIBOXは内部で設定を切り替えて、他の伝送方式に対応しているものもあります。入出力数や細かい仕様が異なるので、目的に合わせて選択してください。 ここではアンブレラカンパニーで取り扱っているMIDIBOXの各仕様を記載いたします。

・Empress - Midibox 2 5pin MIDIをTip Active (Tip Receive, Ring Send)へ変換。 出力は1/4インチ4つ、内一つは送信と受信にも対応し他の3ポートとMIDI OUT/THROUGHへ出力が可能。

・Chase Bliss Audio - MIDIBOX 5pin MIDIをRing Active (Ring Receive, Tip Send)へ変換。内部dipスイッチでTip Active (Tip Receive, Ring Send)方式にも対応、各出力ごとに設定できる。 出力は1/4インチ3つ、送信のみ。

・Morningstar - MIDI BOX
5pin MIDIをRing Active (Ring Receive, Tip Send)、またはTip Active (Tip Receive, Ring Send)へ変換、内部dipスイッチで各出力ごと設定可能。 TRS MIDI規格にも対応。 出力は3.5mmミニジャック8つ、送信のみ。

TRS MIDI規格の場合は通常の5pin MIDIと互換性があるので、ジャックを変換するだけで接続が可能です。いくつかのブランドから変換ケーブルが販売されている他、Morningstarからもシンプルな変換用プラグが用意されています。
https://gizmo-music.com/?pid=163678693

ちなみに…
MorningstarのMIDIコントローラー、MCシリーズには5pin MIDI出力に加えてTRS形式のMIDI出力も搭載されています。内部設定で全ての形式のTRS型MIDIに対応するので、どんなシステムでも変換デバイスなしに直接接続が可能になります!  

Moningstar MC3は3.5 mmTRS形式のMIDI出力を4つ搭載。EXP1も1/4インチTRS MIDI出力として使用可能。

 

MC6はEXP1,2をTRS形式のMIDI出力として使用可能。

 

MC8はEXP/AUXをTRS形式のMIDI出力としても使用可能。

アンブレラカンパニー取り扱いのブランド以外でも、TRSタイプのMIDI端子を備えるデバイスが目立つようになってきました。デバイスのMIDI信号の伝送方式がわかれば、同じように対応が可能です。 上記のMIDIBOXの中ではMorningstarのものが唯一、TRSを使うMIDI形式の全ての方式に対応させることができます。内部のDIPスイッチで各出力の形式を変更でき、一般的なTRSケーブルや変換ジャックを用意するだけでOKです。お手元のデバイスの伝送方式がわからない!という場合は、Morningstar - MIDIBOXでひとまず全てのシチュエーションに対応できます。

ご不明点があれば、アンブレラカンパニーまでお問い合わせください。

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