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kush audio ubk fatso

 

UBK FATSOはアナログ回路によるアナログオプティマイザーです。オプティマイザーとは、アナログ回路特有のカラーや質感をプラスする物で、例えばオーディオトランス、磁気テープ、真空管などで得られる倍音や周波数特性のクセ、レベル変化などがあります。どう言った原理で倍音が生れ、周波数特性やレベルを変化させるかを解析しアナログ回路でシュミレートします。

似た効果を作りだすような「プラグインエフェクト」は数多く存在しています。それならなぜ、わざわざアナログ機器で行うのか?それは【本物の質感を得るためです】。アナログ回路は本来、倍音や周波数特性といった質感を決定する要素を持っています。UBK FATSOは回路定数や動作条件を変化させ、その質感が付きやすい、コントロールしやすい状態を作る事で、アナログ回路特有の質感を作り出します。その中には実際にその素子そのものを使ったり、同等の原理で作り出していたりと、シュミレーションとはいえ本物のアナログ回路から生み出された本物の質感であり、そこがプラグインエフェクトとの大きな違いになっています。

KUSH_Audio_UBK_Fatso

デジタルドメインでの音声処理はコンピューターによる処理、つまり計算によって作り出されますので、予期せぬイレギュラーな信号が与えられた時は計算エラーやその前の段階で起こるAD変換のエラーとなり対策が必要とされます。もしこれらのエラーが起これば量子化されたデジタルデータの値や時間的な順番を変えてしまうため、波形にステップ状段差にしたりパルス性の変化となり、とても不快なサウンドになってしまう事でしょう。しかし、アナログ回路ではレベルオーバーなどのイレギュラーな場合でも、違和感がなく気がつかない事や、逆に音楽的にカッコいい音になったりと歓迎される事が多いです。その理由は「連続したアナログ波形である事」これがポイントではないでしょうか。アナログ回路では信号の電圧が時間的に入れ替わってしまう事はあり得ませんし、デジタルエラーのようなパルス性の電圧変化も機器の故障でない限り起こりません。音声信号の変化は有限の速度で連続的に変化する繋がった波形であるため、デジタルクリップのような不自然さはありません。
UBK FATSOはアナログ回路のアナログならではの利点を上手くコントロールし利用する事で、太く、温かみのある自然なアナログサウンドを作り出します。

 

UBK FATSOの魅惑のアナログサウンドは主に4つのプロセスで構成されています。

・キャラクターコンプレッサー
・ソフトクリッパー
・WARMTHプロセッサー
・TRAFOサーキット

いずれも効果はINPUTレベルで調整が可能で、INPUTを上げていくほど効果は大きくなります。下のLEDメーターでゲインリダクション量(どれくらいコンプレッションしているか)を確認できます。キャラクターコンプレッサーは3つの基本プログラムとそれらの組み合わせで得られる7つのキャラクターのコンプレッサーで、基本設計はあのDISTRESSORを基に簡単な操作でプロセスできるようにレシオやスレッショルドやニーカーブ、アタックタイム、リリースタイム、サイドチェインフィルタが最適なポジションでプリセットされています。キャラクターを設定したら入力ソースに応じてINPUTレベルを可変し、効き方を調整していきます。DISTRESSORの最大の特徴である倍音も同様にゲインリダクション量に応じて付加されていきます。

SPLATはディテクター回路の前にハイパスフィルタがルーティングされるのでキックやベースに過剰に反応してしまう事を抑え低域の量感を残したサウンドです。レシオはきつくないがスレッショルドが低く、強くかかる印象ですが芯がとてもしっかりしているサウンドです。

SMOOTHは高速のアタック/リリース、レシオはきつくリミッター的な設定でピークを的確に抑える、軽いリダクションで使うのが良いと思います。

SPANKは高いレシオ設定ですが、時間変化は緩やかなのでアタック感が強く出てきます。深めにかけた時もとても気持ち良い。オリジナルFATSOの設定を残しているポジションです。

また、それらを組み合わせた時にはさらに違ったキャラクターとなり、特にGLUEはサイドチェインフィルタが効いた高速コンプレション、自然すぎて何にでも使いたくなります、「迷ったらコレ」。このセクションだけでも多彩なキャラクターを演出することができるので驚きです。

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ソフトクリッパーはテープレコーダーの磁気飽和や真空管機材をオーバーロードさせたようなサチュレーション効果を演出します。COMFY LED、TOASTY LEDはソフトクリッパーのかかり具合を表示します。波形のピークを徐々に削り取る動作で、COMFYがたまに反応する程度軽くヒットさせれば、程良く倍音を含んだリッチでシルキーなヴィンテージテイストに。また、コンプレッサーで叩き逃した早く短いピークはこのソフトクリッパーが確実に捉え、時としてリミッターより自然な効果が得られます、積極的に使用すれば自然にピークを潰し、音の密度・音圧を高められます。TOASTYが頻繁に反応すれば太く荒々しいエッジがサウンドに緊張と興奮を与える事でしょう。また、キャラクターコンプレッサーでOFFポジションを選択すればソフトリミッターをより積極的に利用でき、荒々しくも温かな歪サウンドへと変化させます。

 

WARMTHプロセッサーはテープコンプや真空管機器で得られる軽い圧縮感を作り出すセクションです。上部のLEDメーターで効果の度合いを確認できます。おもに高周波数帯に対してコンプレッション効果を与える「ダイナミックEQ的な動作」は、高域のギラつきや刺々しさを抑えます。高速で動作する事で倍音が加わり独特の温かみや艶、ざらつき感を演出します。7段階+OFFで設定された効果の深さをボタンで選択しINPUTレベルで微調整を行います。ボーカルトラックに軽くかければあまりの高速動作にリダクションしている事が分からないくらい自然なトリートメントが行えます。ピークを叩いて出力ゲインを上げれば自然に音圧を稼ぐこともできます。

 

TRAFOサーキットはオーディオトランスの磁気飽和による倍音や、周波数特性変化といったサウンドカラーを演出します。INPUTレベルに応じてカラーの付き方をコントロールできます。このセクションでは「実際のオーディオトランス」を通して効果を作り出しています。あえてカラーの付きやすいオーディオトランスを採用しトランスのカラーを有効に引き出します。低域に極僅かなピークと20Hzのローエンドになだらかなロールオフが付きます。200Hzから低い方にかけて倍音が増加し低域がエンハンスされて、存在感を強めています。30KHz辺りのハイエンドにかすかなピークが見られトランス特有のシルキーなエアー感を加えているのが確認できます。

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インプット・アンプ・セクション
バランス入力信号を内部で扱うシングルエンド信号に変換、アンバランス入力はレベルやインピーダンスを整え次のセクションへ信号を送ります。基本的に全ての効果の効き具合はこのINPUTツマミでコントロールします。INPUTを上げれば効果は深くなります。効果と同時に全体の音量も変わりますのでOUTPUTツマミで仕上がりのレベルを調整します。

ゲインリダクションセクション
ゲインリダクション素子には非常にポピュラーなFETを採用。コンプセクションとWARMTHセクションで独立したゲインリダクション素子を持ちながらも、緻密に連動を図った動作を行っています。UBK FATSOのサウンドの特徴でもある倍音もこのセクションで付加されます。

ソフトクリッパーセクション
ゲインリダクションの後段に位置しており、コンプやで間に合わなかったピークはここで処理されます。テープコンプでピークを潰す効果に加え、滑らかなクリッピングによる倍音も付加されます。

アウトプットセクション
TRAFOサーキットを含めたこのセクションは出力レベルをコントロールし、最終的には電子バランスアウトプットドライバー回路によりバランス出力されます。

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ディテクターとは音声信号を検波、エンベロープを解析しコントロール電圧を作る所で、レシオやニーカーブ、アタックタイム、リリースタイムといったパラメーターはこのセクションで決定されます。UBK FATSOではそれらのパラメーターはキャラクターに合わせて最適値がプログラムされていますので設定は不要です。また、このディテクターセクションへ送る信号をどこから取るのかでコンプレッサーの動作は変わります。ゲインリダクションセクションの前の信号を検出するフィードフォワードタイプでは入力信号のエンベロープを検出する事になりますので素直なゲインリダクション動作となります。もう一つのゲインリダクション回路の出力信号を検出するフィードバックタイプはゲインリダクションがかかった信号に対してエンベロープ解析を行いますので、エンベロープ検出と圧縮動作がループ状態となり拘束力の強い効果となります。コンプレッション動作の複雑化からサウンドのカラーは大きく現れます。UBK FATSOではもちろん後者、キャラクターコンプレッサーもWHARMTHプロセッサーもフィードバックディテクションで機能しますので、互いの動作は常に相関関係にあり、それがUBK FATSOの“濃いアナログサウンド”を作り上げています。

コントロールセクション
INとOUT以外の全てのコントロールは複雑なコントロールを簡単操作で行えるようマイクロコントローラーにより統括された制御を行います。キャラクターを選択するだけで、レシオ、スレッショルド、アタック、リリース、ニーカーブを切り替えて、イメージするキャラクターを演出します。両チャンネルのWARMTHを同時に押せばLRのリンクが可能でゲインリダクション量をリンクしステレオソースの定位や音像を保った動作を行います。

サウンドメイクとメーターの見方
キャラクターコンプレッサー、ソフトクリッパー、WARMTHプロセッサーこの3つのセクションには動作の状態を確認するLEDインジケーターが用意されています。キャラクターコンプレッサーにはゲインリダクションメーター、コンプレッション動作の様子が確認できます。WHARMTHにもゲインリダクションメーターが用意されており高域のダイナミックフィルターの効きが確認できます。COMFY LED、TOASTY LEDはソフトクリッパーの動作を表し、倍音どれくらい付加されているかを示します。COMFY LED が点灯するとUBK FATSO はソフトクリップしはじめ倍音を加え始めます、この程度では大きな音質変化を感じさせずに太さやエッジ感が加わり始めます。TOASTY LED が点灯するとより強くアグレッシブな倍音付加サウンドになっている事を示し、サチュレーション効果が強くなり、熱い暴れたサウンドを演出します。これらのセクションの動作は相関関係があり、例えばコンプで叩き切れなかった速い信号を捉えればソフトクリッパーが効いてきますのでCOMFY LED、TOASTY LEDが点灯し、その後コンプが圧縮動作を始めるとゲインリダクションメーターが点灯しソフトクリッパーをリリースします。それぞれの機能が時間的な変化により複雑にプロセスを変えている事がメーターの様子からも確認できます。

KUSH AUDIO UBK FATSO

なんとなく使ってもカッコイイサウンドになってしまうUBK FATSOですが、実際にはとても複雑な事をいっぺんに行っていています。メーターの反応する様子も観察しながら設定を追い込めばクリティカルなサウンドへと昇華させられますが、このUBK FATSOはそんなに難しくは考えずに、実際に押して、回して、「好みのサウンドに出会う」そんな直感的な使い方が正しい気がします。

 

アンブレラカンパニー 技術部

 

製品レビューはこちらです
https://umbrella-company.jp/contents/kush-audio-ubk-fatso-review02/

 
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