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Mic pre amp マイクプリアンプ

GAP PRE-73 DLX を Carnhill製トランスにアップグレードしてみました。徹底比較試聴&技術検証。

 

PRE-73DLX トランスアップグレード仕様(Carnhill Mod)技術検証(by 宿澤)

  マイクプリ NEVE Carnhill トランス ぱっと聴いたところでは、音がきれいになったという印象を受けました。きれいになったと言ってしまうと倍音が減ったとか太さが無くなったとかそんな感じに解釈されそうですが、決してそうではなく、大人びたというか、経験を積んだというか「最近アイツ輝いてるな!」的な活力を音に感じます。芯がしっかりと通った強さ・重さ、張りがあり前に出る中域、滑らかな高域、きれいに倍音が響いている。第一印象で音がきれいになったと感じたのは、【倍音がきれいに共鳴している】この事がそう感じさせたのだと思います。 オリジナルのトランスとCarnhill のトランスは何が違うのか、当然マテリアルや巻き方なんかも違いがあると予想できますが仕様書がある訳ではありませんので分かりませんが、見て分かる構造の違いはいくつか確認できました。 マイクプリ NEVE Carnhill トランスまず、INPUTトランス。MIC、LINEに共通して、大きさが異なります。中までは見えませんが、おそらくコア材の大きさや材質、そして巻き線の線径が違うのだろうと想像できます。Carnhill の方が太めの導体を巻いてるのだと思われます。他にもシールドケース内に固定するための充填物が違っています。オリジナルのトランスは硬度の高いエポキシ系の樹脂で固定されているのに対し、Carnhillは弾力のあるシリコン系の素材で固定されています。直接マイクスタンドに取り付けるかサスペンション式マイクホルダーを使っているかと例える事ができます。トランスは原理上電磁誘導により電流が流れると振動します。また、外部からの振動も拾ってしまいます。このような振動の影響を弾力性のある充填物で吸収・相殺している事がCarnhill が高評価される秘密なのでしょうか?芯が強く、濁らない、サウンドの基礎に安定感を感じます。 マイクプリ NEVE Carnhill トランス OUTPUTトランスにも同様に違いがあり、オリジナルはコストダウン重視で何も処理がされていないのに対し、Carnhill の方は絶縁強化のために塗られているワニスが各部品の隙間をふさぎ固定し振動を抑える働きをしており、これがやはり音に芯の強さを与えているのだと考えられます。 FFT解析により倍音成分を観察すると、とても興味深い事が分かりました。オリジナルのトランスでは2次より上の偶数次倍音がほとんど確認できないのに対し、Carnhillのトランスにアップグレードした方は偶数次倍音も豊富に含まれている事が分かります。ふつうトランスは偶数次倍音が原理上打ち消され少ない傾向を示しますが、Carnhillのトランスはそうではなく2次倍音の割合も多い上に、4次、6次、8次10次以上の高次でも倍音成分が含まれています。巻き数のバランスをあえて崩して設計されているのでしょうか?真相は分かりませんがオーディオ的には好まれる特性を示しています。ジューシーでリッチな、脂が乗ってるが しつこくない高級ステーキ肉のような食感質感、張りと柔らかさ、そして主張と調和が共存している病みつきにさせる魅力的要素はサウンドからも体感できました。
ノーマル仕様のPRE-73DLX

ノーマル仕様のPRE-73DLXのFFT解析

 
GAP-Pre73DLX-Carnhill-graph-xxxx

Carnhill Mod のPRE-73DLXのFFT解析

  周波数特性を見ると高域から30kHz上の測定範囲外にかけての持ち上がり方に違いが見られます。リアパネルのターミネーションスイッチはOFFですので結構派手に持ち上がっていますが、ターミネーションを有効にするとフラットレスポンスが得られます。そして、全体的にTHDの含まれる割合が高い事が分かります。FFTでも確認できたように偶数次倍音の量が違いますので全体の歪率も高くなっています。低域にかけてTHDが上昇するのはトランスの特徴です。 マイクプリ NEVE Carnhill トランス HPFのインダクターも交換していますのでHPFのサウンドもチェックしてみます。効き方に少し違いがあり、スムースに低域をカットしてくれます、三次のスロープも相まって必要なところだけをそぎ落とし、サウンドがフォーカスされてきます。低域のじゃまなところをカットする代わりに倍音感が高まる印象もあり、すっきりするけどリッチさが残る使い勝手のいいHPFになっていると感じました。 計測器で確認してみるとカットするカーブに違いが見られ、Carnhillのインダクターに換えた方が滑らかに効いている事が確認できます。オリジナルの方はQが高く急峻なカーブでより低域はもっと残りますので同じポジションでも量感があり目的の周波数帯だけをカットするには使いやすいと思います。ですが倍音感を強調する感じはなく、これはCarnhillインダクターだけの魅力のようです。 GAP-Pre73DLX-Carnhill-graph-freq   以下はライン入力と、マイク入力の周波数特性と歪特性を計測した結果です。グラフのNormalが無改造のPRE-73 DLX、Carnhillがモディファイモデルです・
GAP-Pre73DLX-Carnhill-graph-lineinput

ライン入力

GAP-Pre73DLX-Carnhill-graph-thd

マイク入力

  全体としてはいわゆるNEVEらしさというか、ヴィンテージ系の“オイシサ”が加わり経験を積んだオトナサウンド。品の良さ、血統の良さみたいなところを感じます。ただ、供給量が少なく入手に時間がかかる上、部品代が高いのも事実、本体と同じくらい値段の高級パーツです。とはいっても本体価格からすると、中古のヴィンテージ物を探すよりは導入しやすいかと思います。 びっくりするくらいのコストパフォーマンス、5万円台のけっこう使えるヴィンテージ系マイクプリアンプにするか、ただのヴィンテージ系とは違う、“オイシイ”倍音の付き方、“オイシイ”太さ、“オイシイ”パンチ感、“オイシイ”滑らかさ、音抜けの良い前に出るヴィンテージ系の“オイシイ”特徴が強く出ている10万円くらいのすごく使える“オイシイ” ヴィンテージ系マイクプリアンプにするか、悩んでいただく価値は大いにあると思います。    

PRE-73DLX トランスアップグレード仕様(Carnhill Mod)比較試聴 その1(奥野篇)

マイクプリ NEVE Carnhill トランス PRE-73DLX Carnhill Modをライン入力で試聴してみます。 試聴に使った素材はエイプリル・ローズの「It Matters to Me」のプリマスタリングです。ステレオなので本体を2台用意し、入力ゲインは0dBでレベルを突っ込まずにチェックしました。 元の音源と比較して、PRE-73DLX Carnhill Modは平歌ではまずボーカルが艶やかになって、A.ギターのピッキングやストロークのディテールが見えやすく、ベースも量感が増して安定感が出てきました。チェロも輪郭や鳴りも見えてきて存在感が出てきます。 そしてサビから音の違いがより明確になりました。ギターの存在感が増して、コーラスも明瞭になり広がりが出てきます。全ての楽器に明瞭感が出てエネルギッシュになりながら、空間の表現が加わり音場感が増したことで、飽和しマイクプリ NEVE Carnhill トランスて音がぶつかり合うようなこともなく、各楽器の前後左右の配置が明確に聴こえてきます。 特にギターやストリングス、ボーカルなどの倍音成分の多い楽器は明らかな質感の違いを感じて、音楽的に美味しい部分を引き出してくれるように感じました。また低域から高域にかけて安定感と音楽的に心地よく聴こえるような程よい質感が加わったことで、聴いていて気持ち良さが感じられます。 オリジナルのPRE-73DLXも元の音源と比較すると煌びやかさ、全体的に量感が加わり通したことによる良い効果が得られます。ただCarnhill Modと比較すると素直な印象です。こう感じるのもCarnhill Modにインパクトが強すぎるからかもしれません。マイクプリにしても、PRE-73DLXは高価な製品と比較して遜色ない非常にコストパフォーマンスの高い製品だと思います。OLD NEVEの質感を求める方にはPRE-73DLX Carnhill Mod、逆にNEVEのキャラを少し抑えた音が欲しいという方には、もしかしたらオリジナルのPRE-73DLXは嵌ってしまうかもしれません。

PRE-73DLX トランスアップグレード仕様(Carnhill Mod)比較試聴 その2(山本篇)

マイクプリ NEVE Carnhill トランス GAP製PRE-73DLX のオリジナルとトランスアップグレード仕様(Carnhill Mod)の音質を徹底比較してみました。ついでなので20~30万クラスのいわゆるNEVE系マイクプリを集めてそれぞれ比較もしてみました。 マイクはEarthworks、楽器はアコースティックギター、エレクトリックギターとボーカル、DI入力でのエレクトリックベースもチェックしました。 まずはオリジナルのPRE-73 DLX ですが、他の高級機種などと一通り聴いてみてもまったく劣ったところなど微塵もなく、堂々としたサウンドを聴かせてくれます。NEVEっぽさをしっかりと持ちながらも素直なサウンド、張りがある音楽的な質感です。改めてさすがのコストパフォーマンスだと思いました。 次にPRE-73 DLX(Carnhill Mod)に切り替えてみると、そのサウンドの違いに全く驚いてしまいました!「トランスが違うだけでこんなに違うものかー」と改めて感動。楽器ごとの感想は以下に述べますが、簡単にまとめると「質感がワンランク、いや2ランクくらい向上したサウンド」、もっと言えば「より音楽的なサウンド」になります。音の変化については言葉にするのが難しくパっと聴いても分かりにくいものも多いとは思いますが、PRE-73 DLX(Carnhill Mod)とオリジナルPRE-73 DLXのサウンドの違いは明確で「誰が聴いても一発で違いがわかるような変化」だと思いました。 マイクプリ NEVE Carnhill トランスまずはエレクトリック&アコースティックギターで試してみます。マイクは色付けのほとんどないEarthworksを使用しました。PRE-73 DLX(Carnhill Mod)を聴いたあとだと、オリジナルはすっきりしていてコンパクトなサウンドに感じます。一聴してサウンドは全く異なり、PRE-73 DLX(Carnhill Mod)は高域の抜けがあり、サウンドの奥行き感が増しています。コードを弾いてみると響きが安定しているだけでなく、より複雑な倍音構成を持っていて、それが極めて「音楽的なまとまり」を持っているのが分かります。高域はプリージングでより心地よく、明快な響きを持ちます。倍音のつきかたが変わるため、コードの響きがよりゴージャスに聞こえるようになりました。上手に着飾ったゴージャスなサウンドです。それによりサウンドが立体的になり、拡がりも感じられました。 アコースティックギターのマイク録りでは、オリジナルPRE-73DLXはまとまりがあり音楽感も十分な美音ですが、少し高域をEQしたり、中域の質感を整えたい気がします。PRE-73 DLX(Carnhill Mod)のサウンドを聴かなければ、このサウンドは必要十分で全く素晴らしいサウンドだと思ったかもしれません。しかしPRE-73 DLX(Carnhill Mod)のサウンドを聴いてみると、その「すでに完成系に近いサウンド」に驚きます。サウンドに美しいハリがでて、ヌケ感もパーフェクト、コード感もバランスが良く、EQやプラグインでの補正一切なしに、そのままで(サウンドエンジニアが音に魔法をかけた時のような)パーフェクト音質になります。もっと言えばこのサウンドの違いは明らかにサウンドの「アナログ質感」の部分なので、プラグインや補正では補えない独特のものであるとも言えます。 他のプリアンプも聴いてみます。Vintechは低域の迫力があり、高域の(アコースティックギターの)鈴のような鳴りも音楽的にキャプチャーしています。エレキギターではVintechのハイエンドな質感がとても有効です。よく表現に使われる「MUSICAL」なサウンドとは正にこの事だと思います。Focusrite のビンテージISA110はまとまりも明瞭さもあり、少し硬質なサウンドですがアコギを上質な質感で録ることができます。20~30万レンジのプリアンプはさすがに安定感があります。しかし今回のアコギのサウンドはあまり響かないマホガニーのフォークボディでしたので、なんとPRE-73 DLX(Carnhill Mod)のサウンドが一番しっくりきました。ローカットを有効にしていて各々のHAのローカット周波数が違うので、そこに違いがでましたが、全体的にバランスが一番良かったのがPRE-73 DLX(Carnhill Mod)でした。 マイクプリ NEVE Carnhill トランス ボーカルでもPRE-73 DLX(Carnhill Mod)の音質は秀でていました。今回のCarnhill modはローカットフィルターのインダクターも交換しているのですが、まずそのローカットの音質がかなりオリジナルとは異なるので、びっくりしました。Carnhill Modのローカットはオリジナルと比べて、おいしいところを残しながら、サウンドの瑞々しさをしっかり保ったままローカットできる印象です。失われた感じが一切しないまま、低域のモゴモゴをすっきりさせることができています。この点もPRE-73 DLX(Carnhill Mod)の大きな利点です。低域の力強い響き、ハイトーンの美しいオーバートーンがとにかく素晴らしく、自分の声が「高級に聴こえる快感」は特筆すべき点です。ゴージャスな質感を纏い「これ本当に自分の声?」と思ってしまったほどです。。この質感の為にたくさんの人が「NEVE」を求めるのだと改めて再確認できました。Vintechはやはり低域のレスポンスが一回り大きくてとても迫力がありますが、PRE-73 DLX(Carnhill Mod)でも十分に匹敵するサウンドになっている事は注目に値します。 最後にDI入力のエレクトリックベースを試してみます。低音は上の倍音が聴きとりやすいのでオリジナルとの差が一番わかりやすいと宿澤氏に教えて貰いましたが、正直「こんなに違うのか!」と驚きの試聴になりました。オリジナルPRE-73はドライブ感十分、NEVEっぽい音楽的なまとまりが完璧に感じられるサウンドで、他のハイエンドアウトボードに全く引けを取らないサウンドです。しかしPRE-73 DLX(Carnhill Mod)の音質は圧巻でした!このまま何もしないで本チャンの音にできるような完璧なベースサウンド。やはりこのサウンドの肝も「アナログ質感」 の部分なので、なかなかEQやプラグインで再現できるようなものではないと思います。この質感が確実に得られるのがアナログハードウェアの最大の魅力です。弾いていてとても楽しい「グルーブ」を感じさせるサウンドです。 マイクプリ NEVE Carnhill トランスまずベースラインに立体感がでてサウンドの音像が大きくなっています。同時に「迫力」もでてきました。倍音の付方が絶妙でベース弦がピッキングされる瞬間のゴリッとした部分もより明瞭になり、地を這うようなヘビィなグルーブ感が生まれました。PRE-73 DLXオリジナルでは、同じフレーズを同じベースで弾いているにも関らず、ここまでのかっこいいグルーブ感には何度やってもなりませんでした。凄い・・・。サウンドの質感だけでこれだけ表現力が増すのには驚いてしまいました。音抜け、ドライブ感、安定感、全てがアップグレードしています。X73は再度低域の迫力が強く感じられバランスの良いゴージャスなハイエンドサウンドでしたが、PRE-73 DLX(Carnhill Mod)も正直負けていないサウンドで、その価格差を考えると「ちょっと凄い事になっているぞ、Carnhill Mod!!」と思わずにはいられません。 PRE-73 DLX自体が信じられない価格帯であるだけに、Carnhill Modはオリジナルの倍くらいの価格になってしまいそうですが、それでも10万円ほど、他のハイエンドNEVE系はどの機種も20-30万円と考えると、かなり驚異的なコストパフォーマンスと音質になっていると思います。PRE-73 DLX(Carnhill Mod)は見事なまでに化けました!どうぞお問い合わせください! マイクプリ NEVE Carnhill トランス PRE-73 DLX(Carnhill Mod)は¥100,000(税込¥105,000) で定期的に限定数のみ販売していきます。 パーツの入手性にムラがあるためカタログ製品にはできませんので、入手数だけを定期的に本ページで発表して販売していく予定です。 全部で以下の4つの重要パーツを交換して納品いたします(取り外したオリジナルのトランスやインダクターももちろん一緒に納品します)。 1、Carnhill製 マイクロホン・インプット・トランスフォーマー 2、Carnhill製 ライン・インプット・トランスフォーマー 3、Carnhill製 ライン・アウトプット・トランスフォーマー 4、Carnhill製 ハイパス・インダクター  
PRE-73 DLX(Carnhill Mod)最新の入荷状況 はこちら http://www.gizmo-music.com/?pid=64355176 ↑売り切れの場合には<Soldout>表記になっています

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