Manlay Soundの製品はスペインのRomanというミュージシャンが丁寧にハンドメイドで製作しています。その徹底的にこだわったトーンベンダーのレプリカは年代別に発売されており、Ronno Bender(65 Bender MK1)、66 Bender(MK1.5)、Super Bender (MK2)、がラインナップされていました。そして今回発売になったのが「MK3」、つまりTone Bender mk3のレプリカとなります。

まず筺体が一回り大きくなっているのからも想像がつくように、MK1~2までには無かったトーンコントロールが追加されています。このトーンコントロールはベース/トレブルの1ノブコントロールですが、とにかく強烈に効きます。真中がニュートラルだと思いますが、TREBLE側に回しきるとトレブルの強いサイケデリックなシュワシュワサウンドになりますし、BASS側ではブーミィでぶっ飛ばすようなサウンドがカッコいいです。
MK3のサウンドは高域のサイケデリックなモジュレーション(控え目ですがポイント効いています)が特徴的で、滑らかな歪と抜けの良い倍音成分が心地よい。この特徴はトーンコントロールがどのポジションでも基本変わりません。

MK2(Super Bender)と比較すると、MK3の方が音が暴れ過ぎず、倍音も程よく基音の裏側にいてくれるので弾きやすいサウンドです。MK2(Super Bender)は、倍音が前面にでてきてとてもロックっぽいし、ブーミィな倍音が分厚く感じますが、MK3の方が扱いやすいサウンドだと思いました。
まずTREBLEをおもいっきり上げた状態で弾いてみます。極端なセッティングですが自分はかなり気に入りました。モンドなサイケバンドのようなシュワ~っと炭酸水のようなトレブリィ~なサウンドは癖になる。それでいてしっかりとした抜けのよいプリージングなサウンドなので際物ではないです。適度なモジュレーションが加わり、かなり格好いいサウンドです。単音のリフなんか弾くととてもいい感じです。
またこの状態でギターの手元ボリュームを下げると、これがまた格好いい。ゲートっぽくなるのですが、ぶち切れにはならず、コンプ感が強調されたような硬質なサウンド。コードを弾くとサウンドがジワッと響き、単音リフはとてもガレージっぽくてかっこいいサウンドになります。サイケ/ガレージ系の匂いがぷんぷんする古臭さがかなり好きです。手元で下げておいて単音リフがずっと続いて、サビで手元VOLをぐいっ!とあげてコードがぐわ~ん、なんて展開がスリル満点だと思います。

このようにMK3では「効きの良いトーンコントロール」と「ギター自体の手元ボリュームの変化」を駆使して、MK1~2のトーンベンダーに比べて、膨大なサウンドバリエーションを試す事ができます。トーンコントロールも目盛1時間分変わるだけで、かなり違ってくるので自分に合ったトーンを探していく作業はかなり楽しいはずです。
BASS側もかなり得点高いです。通常ですとブーミィ過ぎるかなと一瞬思いますが、逆にフロントピックアップでおもいっきりこもらせてソロを弾くと「親指の巨大なブルースマン」みたいで缶詰のハムが食べたくなります。とてもかっこいいブーミィ・サウンドです。
しかしやはり真中ポジションのトーンコントロール設定は安定感があります。全てがバランス良く最高のトーンベンダートーン。ファズとはこういう音だ!と言わんばかりの濃厚なトーン。最高です。
音作りが楽しくて、全てのポジションで使える音がする、幅広い守備範囲のトーンベンダー。僕は買います。
解説:やまもと