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Overdrive distortion fuzz 歪ペダル

異形のオクターヴ・ファズ。0xEAE Fuzzサウンドレビュー&技術解説。

異形のオクターヴ・ファズ。0xEAE Fuzz最速レビュー&技術解説!

アメリカ・ボストンを拠点とするとペダルブランド、Electronic Audio Experimentsより新作0xEAE Fuzzが発表、日本国内でも発売開始となりました!
前作の0xEAE Boost同様、デザイン集団Obstructuresとのコラボレーションで届けられる本機は、EAEのラインナップ、いやギターペダルの歴史上で最も過激。危うい魅力を孕んだアグレッシヴなゲインデバイスであると言えます。その特異なサウンドデザインに感激してしまったアンブレラカンパニーの技術担当から届いた、大興奮のレポートを公開いたします。

すげえ歪が発売になりました!シンプルな歪回路、歪ませ方をコントロールするプリシェイプフィルター、そしてアッパーオクターブ回路、これらが三位一体となり、音色の振り幅がもの凄い事になっています。しかも、「どっかしらのセッティングがハマるだろう」って感じではなく、アレもコレもどの設定も使いたいサウンドが出てくる事にド肝を抜かれた。

Fuzzとは言っているが、こいつの歪み方は個人的にはファズっぽくはないと感じている。小細工無しの80dBゲインアップによって電源電圧まで振り切っていて、意外と清々しさも感じられる歪です。ゲインを絞ったサウンドも扱いやすい歪み方で抜けの良い絶品クランチサウンドも好きです。

さらにweightスライダーで制御されるプリシェイプフィルターが美味しい味付けをしてくれます。テレのミックスポジションでジャキジャキ弾きたくなる音、リアでガツンとブチかます音、さらには圧縮感を伴う息苦しいサウンドと、この自由度はゲインと組み合わせたらバックスクリーンまでが守備範囲。思わずニヤけます。

で、ヤバいのがアッパーオクターブを追加できるTextureスライダー!OxEAE Fuzzは精密なアクティブ全波整流回路によってアッパーオクターブを生み出しています。この全波整流処理により得られる強烈な個性が僕のハートをえぐりました。
ほんのり混ぜれば、2次倍音が強調され複合的にひしゃげるクラシカルなFuzzの様相が顔を出し、さらに上げていくとゲート感も出てくる。全開ではもう凄い事に、非整数次の倍音がよく分からない法則で絡んでくる。2音鳴らしてチョーキングすれば、それだけでぶっ飛べます。5度のパワーコードを弾くとオクターブ下が付くって原理もすんなり受け入れ難いが、この重厚なサウンドは何かを召喚したかのように空気が変わる感じも味わえる。

と、個人の感想はこんな感じでありまして、ここまで面白い理由はなんなんだ?技術的に探ってみたくなりました。で、探っちゃいました。

OxEAE Fuzzの歪の作り方は、クリッピングダイオードを使わずにひたすらゲインを稼いでアンプの限界を超えた歪を基本にしています。内部昇圧回路で23Vを用意しており、ヘッドルームが広くとられ歪にくいにも関わらず、ここに最大80dBものイカれたゲインをぶつけるためそりゃあ歪ますよ。でも、この電源レンジがあってこそのオープンで芯あるサウンドだと考えます。

ゲインステージのオペアンプだけは電源ラインに少しいたずらしているのを見つけちゃいました。僕が設計した#24でも同じアイデアを採用しているのでちょっと嬉しくなりました。この辺は設計者のJohn Snyderと語り合いたいですね。

ゲインを上げるとキレイな上下対称波形が出てきます。奇数次倍音が主体の歪でゲインを上げるだけだとあまりクセが無く、ふつうに気持ちいい歪。でもWeightコントロールで色がつく、ここで結構自在に操れるのが凄い!
通常、音色を調整する手段としてトーンコントロールが使われます。この場合、歪ませた後にフィルター/EQで調整しますが、OxEAE Fuzzは歪ませる前でフィルター処理を行なっています。歪の前にある事で歪み方をコントロールし、例えば低域の歪を抑えてすっきりとシャープな歪、低域まで強く歪ませて量感のある歪にしたり。GainとWeightの組み合わせで全然違う表情が作れます。ここまで自在に操れるのはフィルターの特性を相当吟味したからだと想像できます。
可変幅についても絶妙で、両端振り切りポジションは少しだけやり過ぎてる感じまでいっちゃうんですが、そこまでカバーすることでトーンの範囲を広く確保している。weightコントロールの振り幅の加減は設計の妙。

Textureの効果はもう強烈すぎて笑えます。
全波整流によるアッパー・オクターブの追加は、ファズでは珍しくもなく、トランスとダイオードを利用した回路が一般的です。これだとダイオードが導通するまでの不感帯により処理できない部分が存在し、強く弾いたアタック部分にだけアッパー・オクターブが現れる。
OxEAE Fuzzで採用されているオペアンプによるアクティブ全波整流回路では、小さい信号も精密に処理されるため効果が安定しており、よりアグレッシブに倍音が乱立する。アクティブ全波整流回路は、ふつうはこれレベルメーターやコンプのディテクター回路に応用するんだけど、音聴いたらこんな面白いなんて。前から知ってただけに、悔しい。でもOxEAE Fuzzの歪回路があってこの回路は輝いているんだと思う。なのでこれを組み込んだセンスに拍手です!

見た目もヤバくて、なにコレ!? アルミ削り出しの筐体は見た目もかっこいい!スライドボリュームを4つ並べたシンプルなデザイン、レーザーで文字を切り抜いたプレートもクール。全体を見ると異様な存在感、色んなこだわりを感じます。

Weightで歪のカラーを決め、Gainで奇数次の歪を作り、Textureでの2次倍音、非整数次倍音を加えていく。コントロールも明確でメインの歪にも、飛び道具にもなり得る歪。ずーっと弾いていたい。今までのEAEとは違ったインパクトがあり興奮しちゃいました。

0xEAE Fuzzは国内でも発売開始!全国の販売店様で試していただけます。 今までの歪デバイスとは全く異なる、新次元の強烈なサウンドをぜひ体感してください。

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