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GRACE design m701は、プロフェッショナルおよび商用スタジオ向けに開発された、マルチチャンネル・オーディオインターフェースです。「オーディオインターフェース」という枠には収まりきらないほど柔軟な構成を備え、シンプルなDAWシステムのスタジオから大規模なレコーディング、ポストプロダクションまで、あらゆる制作に的確に対応できる設計が特徴です。
第4回では、m701の接続を拡張するデジタルインターフェーススロット(INT1・INT2)に実装可能なDante、Ravenna、DigiLink、USBの4種類のオプションと、さらにもう一つのオプションスロットに装着可能なAES3 24chオプションモジュールのそれぞれの特徴やチャンネル数をご紹介します。
m701のリアパネルには、2基(INT1、INT2)のデジタルインターフェーススロットが備わっています。ここに装着するオプションカードによって、DAWやネットワークオーディオ・システムとの接続方式が決まります。
各スロットには1枚のオプションカードを装着でき、2スロット合わせて最大2種類のインターフェースを同時に使用することができます。
| オプション名 | 接続方式 | 主な用途 | 最大ch数(44.1/48kHz) |
|---|---|---|---|
| Dante | ギガビットEthernet(×2ポート) | Danteネットワークオーディオ | 64ch IN / 64ch OUT |
| Ravenna / AES67 / ST2110 | ギガビットEthernet(×2ポート) | Ravenna・AES67ネットワークオーディオ | 64ch IN / 64ch OUT |
| DigiLink | DigiLinkコネクター(×2、PRIMARYのみ使用) | Avid Pro Tools HDX / HD Native | 32ch IN / 32ch OUT |
| USB Audio Class 2 | USB Type-C(USB 2.0 High-Speed) | Mac / Windows DAW直結 | 32ch IN / 32ch OUT |
※重要
デジタルインターフェーススロットのオプションカードは自動認識されません。カードを追加・交換した後は、必ずフロントパネルのSetup→System→Interface Card Setup、またはWebUI Setup→System→Interface Card Setupで手動設定が必要です。(この設定がされない場合はm701がカードを認識できません。)

「Interface Card Setup」ページの画面。デジタルインターフェーススロット用のカードを追加・交換する際は、このページで設定を行います。
Danteオプションモジュールには、Audinate Brooklyn 3モジュールが搭載されており、Dante対応機器との高品質なオーディオネットワークを構築できます。
モジュール背面にはギガビットイーサネットポートが2基あります。Danteネットワークの構成に合わせて接続してください。なお、このイーサネットポートはオーディオデータ専用であり、m701背面の制御用イーサネットポート(RJ45)とは別物です。
| サンプルレート | 入力チャンネル数 | 出力チャンネル数 |
|---|---|---|
| 44.1 / 48kHz | 64ch | 64ch |
| 88.2 / 96kHz | 32ch | 32ch |
| 176.4 / 192kHz | 16ch | 16ch |
※176.4kHz・192kHzのハイサンプルレート時は最大チャンネル数が16chに制限されます。
ハイサンプルレートで多チャンネルが必要な場合はRavennaオプションをご検討ください(176.4kHz・192kHzで32ch対応)。
Danteオプション使用時は、m701のクロックソースを「Dante 1」または「Dante 2」(搭載するスロットによる)に設定するか、Danteネットワーク内の他のクロックマスター機器に同期させます。
Ravennaオプションは、Merging Technologies社のRavennaシステム、AES67・SMPTE ST2110規格に対応したネットワークオーディオインターフェースです。このモジュールにはMerging Audio ZMANモジュールが搭載されており、Merging Ravennaシステムとシームレスに統合できます。
モジュールにはギガビットイーサネットポートが2基(PrimaryとSecondary)あります。AES67に準拠しているため、AES67モードのDanteデバイスとの接続も可能です。
| サンプルレート | 入力チャンネル数 | 出力チャンネル数 |
|---|---|---|
| 44.1 / 48kHz | 64ch | 64ch |
| 88.2 / 96kHz | 64ch | 64ch |
| 176.4 / 192kHz | 32ch | 32ch |
Ravennaオプションは44.1kHz〜96kHzサンプルレートで64ch IN/OUT、176.4 / 192kHzで32ch IN/OUTを維持します。Danteは176.4/192kHz時に16chに制限されるため、ハイサンプルレートで多チャンネルが必要なレコーディング環境ではRavennaが有利です。
DigiLinkオプションは、Avid Pro Tools HDXおよびPro Tools HD Nativeシステムと直接接続するためのインターフェースです。m701はAvid HD I/Oインターフェース2台分をエミュレートし、合計32ch IN/OUT(DigiLink 32×32)を提供します。
モジュール背面にはDigiLinkコネクターがPRIMARYとEXPANSIONの2基ありますが、使用するのはPRIMARYポートのみです。EXPANSIONポートは現時点では使用できません。
| サンプルレート | 入力チャンネル数 | 出力チャンネル数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 44.1 / 48kHz | 32ch | 32ch | HD I/O×2台エミュレート |
| 88.2 / 96kHz | 32ch | 32ch | HD I/O×2台エミュレート |
| 176.4 / 192kHz | 32ch | 32ch | HD I/O×2台エミュレート |
m701をHDXシステムに接続する方法は、単独接続(32ch)とチェーン接続(16ch)の2パターンがあります。
| 接続パターン | 構成 | m701のチャンネル数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 単独接続(32ch) | HDXカードのPORT1またはPORT2に m701のPRIMARYを直接接続 | IN 1〜32 / OUT 1〜32 | Pro Tools上でHD I/O #1・#2として認識される |
| チェーン接続(16ch) | HDXカードのPORTに他のAvid機器(HD I/Oなど)を接続し、その後段にm701のPRIMARYを接続 | IN 17〜32 / OUT 17〜32 | m701はHD I/O #2として認識される。EXPANSIONポートは未使用のため必ず2番目に接続する |
※m701のExpansionポートは現時点では未使用です。他のAvid機器とチェーン接続する場合はm701を必ずチェーンの2番目に配置し、m701のPrimaryポートに前の機器のExpansionポートを接続してください。
DigiLinkオプション使用時のクロック設定はシステム構成によって異なります。以下の表を参考に設定してください。
| 構成 | m701のクロックソース | m701のWordClock出力 | Pro Tools HD I/Oクロックソース |
|---|---|---|---|
| m701がLoop Master 外部クロックなし | DigiLink | Loop Sync | Internal |
| m701がLoop Master 外部クロックあり | Word Clock / AES / SPDIF / ADAT / Internal / Dante / Ravenna のいずれか | Loop Sync | Word Clock(セッションのサンプルレートに合わせる) |
| m701がLoop Masterでない | Loop Sync I1 または Loop Sync I2 | Loop Sync | 他のAvid機器(Loop Master) |
DigiLinkオプション使用時には「Pro Tools Delay Compensation Compatibility」の設定ができます。この機能を有効にすると、ADCとDACのレイテンシーおよび位相特性がAvid HD I/Oインターフェースと同等の値に自動設定されます。これにより、Pro Toolsの自動ディレイ補正(ADC)機能がm701を使用している環境でも正しく機能します。
また「HD I/O Factory Level Calibration Match」ボタンをクリックすると、全ADC・DACの動作レベルが「+22dBu = 0dBFS」(Avid HD I/Oの工場出荷時設定値)に自動設定されます。Pro Tools既存プロジェクトとのレベル互換性を維持したい場合に便利です。
「Pro Tools Delay Compensation Compatibility」を有効にすると、ADCおよびDACのオーバーサンプリングフィルター設定がグレーアウトされ変更できなくなります。フィルターを自由に選択したい場合は、この機能をOFFにしてください。
USBオプションモジュールはUSB Audio Class 2(UAC2)準拠のインターフェースで、最大32ch IN/OUTのUSB接続を提供します。接続コネクターはUSB Type-C(USB 2.0 High-Speed)です。
USB Type-CケーブルでPCと直接接続します。USB 2.0対応であれば、USB 3.0ポートでも使用可能です。
| サンプルレート | 入力チャンネル数 | 出力チャンネル数 |
|---|---|---|
| 44.1 / 48kHz | 32ch | 32ch |
| 88.2 / 96kHz | 32ch | 32ch |
| 176.4 / 192kHz | 16ch | 16ch |
| OS | ドライバー | 備考 |
|---|---|---|
| macOS | 不要(プラグアンドプレイ) | USB Audio Class 2としてOSが自動認識する |
| Windows | ASIOドライバーが必要 | GRACE designの公式サイトからダウンロード |
※macOSユーザーはドライバーのインストール不要でそのまま使用できます。Windowsユーザーは低レイテンシーのASIO動作のためにドライバーが必要ですが、GRACE designのWebサイトにあるSupportページからダウンロードできます。
| 比較項目 | Dante | Ravenna / AES67 | DigiLink HDX | USB |
|---|---|---|---|---|
| 接続方式 | ギガビットEthernet × 2 | ギガビットEthernet × 2 | DigiLink × 2(Primaryのみ使用) | USB Type-C(USB 2.0) |
| 中核モジュール | Audinate Brooklyn 3 | Merging ZMAN | (DigiLink実装) | (USB UAC2実装) |
| 最大ch(44.1/48kHz) | 64×64ch | 64×64ch | 32×32ch | 32×32ch |
| 最大ch(88.2/96kHz) | 32×32ch | 64×64ch | 32×32ch | 32×32ch |
| 最大ch(176.4/192kHz) | 16×16ch | 32×32ch | 32×32ch | 16×16ch |
AES3 24chオプションモジュールは、アナログI/Oスロットやデジタルインターフェーススロットとはまた別のオプションスロットに装着することで、AES3デジタルI/Oを最大24ch(IN/OUT各24ch)まで拡張するモジュールです。ベースボードに標準装備されているAES3 8chに加え、このモジュールを追加することでAES3 I/Oの合計は最大32chになります。
モジュールには3本のDB25コネクターが露出し、それぞれ以下のように割り当てられています。
| コネクター | チャンネル割り当て | 備考 |
|---|---|---|
| AES2(DB25 #1) | AES3 ch 1〜8(IN/OUT) | AES59(Tascam規格)準拠 |
| AES3(DB25 #2) | AES3 ch 9〜16(IN/OUT) | AES59(Tascam規格)準拠 |
| AES4(DB25 #3) | AES3 ch 17〜24(IN/OUT) | AES59(Tascam規格)準拠 |
WebUIおよびフロントパネルの設定メニューから、各コネクターのチャンネルステータスビット(Consumer / Professional)を個別に設定できます。
| 設定項目 | 内容 | 設定値 |
|---|---|---|
| AES2 ch 1-8 Channel Status | AES2出力のチャンネルステータスビットを設定する | Professional / Consumer |
| AES3 ch 9-16 Channel Status | AES3出力のチャンネルステータスビットを設定する | Professional / Consumer |
| AES4 ch 17-24 Channel Status | AES4出力のチャンネルステータスビットを設定する | Professional / Consumer |
※チャンネルステータスの「Professional」はAES3(プロフェッショナル)規格、「Consumer」はS/PDIF(IEC60958)規格に対応します。接続先のデジタル機器の仕様に合わせて設定してください。一般的な業務用機器は、Professionalの設定で問題ありません。
GRACE design m701 製品ページ: https://umbrella-company.jp/products/m701/