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Chandler REDD.47 マガジン・レビュー

excellence1960年代のEMI アビイロード・スタジオ・レコーディング・スタジオでは、Record Engineering Development Department (REDD)と呼ばれる組織が、新しいレコーディングのイノベーションに積極的に関わっていました。REDD.51 真空管ミキシング・コンソールは1964年から1968年まで、まさにザ・ビートルズの名盤のほとんど、例えばRubber Soul、 Revolver、Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band 、‘White Album’などのアルバムのレコーディングに使用されました。

REDD.51は、先代モデルであるREDD.37の後継機種ですが、主な違いはラインアンプの設計です。初期のコンソールにはSiemens V72Sアンプが採用されましたが、REDD.51からはV72Sの設計を引き継ぎながらもアっプグレードされたEMIオリジナルデザインのアンプが採用されました。

chandler redd.47 レビュー

Chandler社はすでに10年以上も前から、EMI/アビイロードと手を結び、オフィシャルでTGコンソールの復刻版(主に1970年代に活躍したコンソール)を発売してきましたが、今回ビートルズ・ファンにも待望だったREDD真空管コンソールの復刻をスタートさせたのです!REDD.47の復刻にデザイナーのWade Goekeは全く同じpentode・triode真空管のミックスされた回路設計を使用しています。

オリジナルのアンプは小さな筐体に納められたモジュールで、簡易的な3ポジションのゲインスイッチ(34, 40、46dBの設定のみ)で、ドライバーでトリムゲインを合わせる設計でした。しかし今回復活したREDD.47では、2UラックマウントサイズでEMIのビンテージルックを大きく意識したパネルデザインや色が採用され、マイクゲインの設定も16, 22, 28, 34, 40, 46、52dBに、ファインゲインの設定はノブで +/- 5dBで1dBステップでの調整が可能になっています。トータルでは十分な57dBのゲイン設定が可能になります。

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真のビンテージスタイルをもったREDD.47ですが、よりモダンなレコーディング機器と同じように使えるようにRAMBLE FILTER、つまりローカットフィルターも装備されています。こちらも30〜180Hzと細かな設定の追い込みが可能です。

またアウトプットのコントロールを持ち、さらにフロントに楽器用のDI入力が追加。ビンテージREDD.47コンソールのサウンドを追求しながらも、現代的な機能の全ても持ち合わせています。

EF86 pentode真空管についてゴーク氏は、それらのサウンドの感覚はビートルズも当時使用したVOX AC30などのアンプにも共通するイメージがあるという。DI入力、20dB PAD、Phase Reverseなども用意されています。またREDD.47 にはハイエンドな電源が本体に内蔵されており、他のChandler製品のように外付パワーサプライを別途購入する必要がありません。

インプレッション

最初のテストでは、CHANDLERのREDD.47が素晴らしい感覚を持った製品であることは明確だった。また本機はただビンテージ機をコピーしただけのものとも違う。しかしフロントパネルのデザインではオリジナルEMI機材と同じ大型のチキンヘッドノブが使用され、スムースな調整が可能になっている

私たちはもちろんオリジナルのREDD.51をを持ってはいないので、そのサウンドを比較することはできないが、その音質からはまさに私たちが認識できる「ビートルズ・サウンド」が飛び出してくる。1969年以前のロックサウンドだ。

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同じくChandler社の TG−500マイクプリと比較すると、TG2-500のスムースで明るいトーナルバランス、強い低域とシルキーな高域に対して、REDD.47がより太く、中域の前に出る、さらにグロッシーな高域を持っていることに気がつく。低域のたっぷりとした量感は、トランジスタ・ドライブのTGシリーズとはかなり違うキャラクターだ。

この違いを最も簡単いにビートルズのレコードで聞き比べることができる。‘White Album’はまさに REDDコンソールの音質。実質上のラストアルバム‘Abbey Road’はソリッドステート回路のTGコンソールの音質だ。両アルバムはコンソールが違うだけで、あとは全く同じスタジオで、同時マイク、同じ3M 8トラックのレコーダーで録音されている。しかし両者のサウンドは全くキャラクターが異なっていることに気がつくだろう。‘White Album’ はよりパンチのある、ミドルに食らいつきのあるサウンドキャラクターだ。対して‘Abbey Road’は、より滑らかなハイファイなサウンドであることが明確だ。

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今回のREDD.47の試聴テストでは、様々なバリエーションのボーカルや楽器を録音した。EMIのエンジニアたちが当時に使用したマイクをセレクションして、Neumann U47などを使用した。プラグインだがFairchild 660も用意し、当時のビートルズの録音環境を再現してみた。またピアノにはU67を使用しまるでサージェント・ペッパーズのアルバムのようなサウンドを得られた。

またREDD.47の優秀なDI入力にも注目すべきだろう。EF86真空管をドライブする事で、素晴らしくゴージャスなサウンドが、Gibson EBベースギターから得られた。ポール・マッカートニーのようなHöfnerのベースギターがあればさらに良かったのだが、それでもあのビートルズ・サウンドを体感するには十分すぎるくらいであった。

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当時のビートルズのを意識したボーカル録音では、 Neumann U47 FET マイクロホンをREDD.47プリアンプに接続した。Voltageゲインを最大に上げて、Fine Gainでは美しいチューブ特有のサチュレーション音質を加えることができる。そのサウンドをプラグインのFairchild 660 リミッターで処理してみると、ボーカルサウンドに実体感が生まれてくる。悲しい事に本物のポール・マッカートニーが歌っているわけではなかったわけですが・・

やはりこのREDD.47をレビューするにあたって、多くのユーザーがザ・ビートルズ・サウンドとのリンクを重視するかもしれない。もちろん当時のEMIはREDD.コンソールであらゆる音楽をレコーディングしてきた。ピンクフロイドの初期の名作2枚はREDD.47で録音されたし、アビィロードでは大量の音楽がここで録音された。REDD.47 をビートルズっぽいサウンドのためだけに使うのではなく、もちろんFenderストラトのサウンドでは、まるでジミ・ヘンドリックスのようにだってコントロールできる。それはパンチがあり、前に出てくる紛れもないビンテージ・トーンであり、1960年代のレコーディングではなじみの音質だ。

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歴史的な視点で見た場合にも、1960年代の後半にNEVEやHELIOSといったソリッド・ステート設計の製品が出現した際に、多くのエンジニアが真空管コンソールが、それら(NEVE等のコンソール)に置きかえられていく事を称賛したわけではなかった。それでも多くのエンジニア達は、8トラック、16トラックと発展した録音環境などの、エキサイティングな進化の方により目を向けていたのでしょう。

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REDD.47は信頼のおけるEMIサウンドであり、この半世紀にわたってレコーディング機器の市場から消えていたサウンドでもあります。数え切れないほど発売されているNEVEのクローンモデルよりもさらに太いサウンドです。

最後にザ・ビートルズの多くのサウンド・エンジニアリングを担当した伝説のGeoff Emerickが、CHANDLER LIMITEDのREDD.47 Pre Ampを絶賛しているコメントを紹介したいと思います。「REDD47.は正に<あの>サウンドを持っている!その事実は疑いようもないね!」

 

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