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発売以来記録的なヒットが続いている、Empress Effects "ZOIA"。「モジュラーペダルシステム」と銘打たれたこのデバイスは、80以上のモジュールをグリッド上に自由に配置、思うままにパッチングしていくことで自分が想像できる様々なミュージックデバイスとしてプレイができる、全く新しいコンセプトのペダルです。 Empressならではの高音質なエフェクトモジュールを使えば「マルチエフェクター」として、VCO/VCF/VCAで自分のためだけの「モジュラーシンセサイザー」として、豊富なコントロールを使った「ユーティリティツール」として。更には1から自分でエフェクトをデザインして、理想のサウンドを徹底的に追求も出来ます。そうして作り込んだパッチはネットコミュニティで配布されており、それらをダウンロードして自分のZOIAでプレイするだけでも眠れなくなってしまいます。想像のできる限りZOIAの持つ可能性は無限に広がっていきます。
ZOIAは発売以来ファームウェアアップデートが継続して行われており、更新の度新しいモジュールや機能の追加、バグフィックスなどが行われております。facebookなどのZOIAコミュニティでは日夜ZOIAマニア達が意見を交わしており、そこでの要望やバグ報告をもとにアップデートが続いています。購入した後もZOIAの世界が広がり続ける楽しみがあるのは素晴らしいことですよね!
今回ファームウェア2.0という大型のアップデートが公開され、新しいモジュールや機能が多数追加されました。クリエイティブなサウンドを更に広げてくれる効果的なアップデートとなっていますので、ぜひZOIAのお持ちの方はアップデートしてみてください!この記事では追加された機能から、主要なものをピックアップして解説していきます。
・ファームウェアのアップデート方法、ver2.0の更新詳細についてはこちら。 https://umbrella-company.jp/contents/empress-effects-zoia-firmware/
・コードの最適化によりCPU使用率が下がりました。実際の低下率はパッチにより異なります。Patch Storage上のポピュラーなパッチで試したところ、平均で24%ほど使用量が削減されました。 → パッチ 0 番 ZOIAのオープニングみたいなあのパッチで実際に比べてみました、Firmware 1.17では 約 93%だったのが Firmware 2.0では約 80%になりました。以前社内で作ったパッチでは、90%以上使っていたのがFirmware 2.0では 67%と25%以上も余裕が生まれました。パッチにより差はありますがかなりの改善ではないでしょうか。
・CV Mixer / Attenuverterモジュールを追加。CVをオーディオミキサーのようにコントールでき、更に楽しいファンクションも追加されています。 → 面白そうなモジュールが登場しました。CVをミックスして全く新しいCVを生成できます。いくつかの波形をミックスするだけでなく、アッテネーターパラメータもCVでコントロールできるのでミックスバランスも変調したり、より複雑で緻密に計算されたCVが、あるいは 偶然が奇跡を起こした神がかった、未知の領域のCVが生まれてくるに違いありません。
各チャンネルのアッテネーターパラメータは、ミックスバランスと極性をコントロールします。1.0は入力されたレベルの100%でミックス、0.5は完全に減衰させ出力は0 なくなります、0.0は極性反転させ、レベルは100% つまり -100% でミックスです。波形の足し算と引き算を自由に行うことが可能です。 追加されたモジュールオプションのmodeで、信号がどの様にミックスされるかを選びます。 Summingモードはすべての信号を単純に合計し、+1/1 CVの範囲外のものはクリップします。コネクションレベルで減衰させておかないとすぐにクリップ、ミックス前のレベルに気をつけないと常に1に張り付いているような出力になってしまいます。 Averageモードは各信号を入力数で割ってから、出力で合計します。「足して2で割って」をチャンネル数に応じてやってくれるのでこのモードで使えばレベルオーバーでクリップすることはありません。よほどのこだわりがない限り average モードでの使用をお薦めします。・sample and holdモジュールにtrack and holdのオプションが追加されました。 → このオプションを有効にすると、トリガーが低い間は入力のCVと同じCV出力します。トリガーに高い値が与えられるとその時点でのCV値を保持します。トリガーCVが低くなるまでその値を出力し続けます。サンプル&ホールド動作では、トリガーCVが低い時、最後CV値をひたすらKEEPしているだけですが、トラック&ホールド動作になるとCV値が低い時には入力されたCV値をそのまま出力しますので、変化するCVをトリガーでフリーズさせるようなイメージになります。これはいろいろ楽しい使い方が創造できそうです。
・Delay Lineモジュール: Delay Timeのコントロールにオプションを追加しました。 → このオプションは変化のカーブを使いやすく置き換えます。MAXディレイタイムの半分のタイムがCV値のどこにマッピングされるかを考えると理解しやすいでしょう。例えば最大が1Secに設定されている場合、半分のタイムの500mSはexponentialではCV値 0.9357 と相当偏ったところにあります。Linearの場合、500mSはCV値0.5000 ですので人間の感覚に近い感じでコントロールでき、とても使いやすくなりました。ただし、ディレイタイムを外部のCVでコントロールする場合に有効で、モジュール内のディレイタイムのバイアスは選択したオプションにかかわらずexponential特性での変化になります。
・SVフィルターで、Frequencyの値が27.5Hzを下回ってコントロールできるようになりました。 → 通常はFrequencyの可変幅は 27.5Hz から 23999.0Hz で27.5Hzがいちばん低い値なのですが、外部からマイナスのCVを与えるとさらに低くまで変化させる事ができます。ValueモジュールからCV値 -1.0000 を入力してみました、その値は、 0.03Hz !! こんなフィルター誰が何に使うのでしょうか? これは裏技的な使い方と言えるでしょう。・ エフェクトモジュールの中の ring modulator、Frequencyの値が27.5Hzを下回ってコントロールできるようになりました。 → これもSVフィルターと同様に、周波数に負のCV入力をするとCVバイアス値の下限を下回り、27.5Hz以下の周波数まで変化します。 そんなに低くするとリングモジュレーターの域を出て、トレモロになっちゃいます。そうです、リングモジュレーターとトレモロは振幅変調を応用したエフェクトであり、変調する周波数帯が異なるだけで、原理上は全く同じ仕組みで実現できてしまいます。 なので、リングモジュレーターをトレモロの代わりに使ってみてはいかがでしょうか?ちなみにエフェクトモジュールの中にある tremolo は変調波形を選ぶことはできますがそれ以上にいじる事はできませんが、 ring modulator は波形を選択し、デューティーサイクル(波形の対象性)を可変できるのでちょっと変わったトレモロも実現できそうです。しかし、せっかくZOIAを使うのであれば VCAとLFOを使ったほうが自由度は高いです。
・CV Filterに上昇時定数と下降時定数を別々に設定できるオプションを追加しました。 → このオプションの追加により、slew limiterのようにCVの上昇時、下降時の変化時間を独立して操作できるようになりました。個人的にもあったらいいなと思っていた機能なので嬉しいです。
・CV Trigger: 出力をシングルパルスに変更。1.3ミリ秒後にゼロに戻る。 → 以前は、ある程度幅を持っていたり、立ち下がりがスロープ状だったりとCVトリガーと言いつつもトリガーとして使いづらい面もあり、個人的にも気になっていました。しかし、今回のCVトリガーは違います。一瞬で立ち上がり、一瞬で立ち下がる、まさにトリガーとしてあるべき波形ではなかろうか。あいまいな変化の波形をビシッと決まったトリガー波形に変換します。
・ADSR、Audio Mixer、CV Mixerの各モジュールに、新たな画面表示を追加しました。 追加のスクリーンスタイルにはshift + viewボタンでアクセスできます。スクリーンスタイルを変更してパッチを保存すると、その情報も保存されます。
ADSRモジュールでは、伝統的なADSRカーブが追加されました。 audio mixerとCV mixerではスクリーンにミキシングコンソールが表示されます。ロータリーエンコーダを押すと、全体のコンソールと単体のチャンネルの表示を切り替えます。 と、いずれも設定をグラフィカルに表示するモードが追加され、より仕上がりをイメージしやすい、視認しやすいモードになっています。ほか、ユーティリティとバグフィックスが行われました。どんどん多彩に、使いやすくパワーアップしています。ZOIAはこれからもさらなる進化を、そして完成度を高めまていきます。
今回、簡単ではありますがファームウェア2.0のアップデート内容を解説いたしました!面白そうな機能も実装されましたので、今後詳しく解説をしていきます。 あなたの想像力で無限の可能性を持つミュージックデバイス、<strong>ZOIA!ぜひお試しください。