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Chandler Limited TG Microphone Cassetteサウンドレビュー
作曲家、編曲家、プロデューサー、キーボーディスト
門倉 聡 氏

TG Microphone Cassetteは、1960年代から1970年代にかけて、ザ・ビートルズをはじめとする、数々の名盤にその音質を刻んだ、EMI/Abbey Road Studioの歴史的なミキシング・コンソール(TG12345)のシングル・チャンネルを、アビィロード・スタジオの監修のもとに当時の設計とサウンドを忠実に再現した製品です。

Chandler Limited TG Microphone Cassette 製品ページ
http://umbrella-company.jp/chandlerlimited-TG-microphone-cassette.html

今回は、作編曲、プロデューサー、キーボーディストとしてご活躍されている門倉聡氏にTG Microphone CassetteのTG2マイクプリアンプと、Curve Benderイコライザー、そしてTG1オプト・リミッターの3セクションをじっくり試していただき、それぞれの評価をしていただきました。

これまでに色んなチャンネルストリップを試しましたが、TG Microphone Cassetteは他のブランドには無かった音で、とても魅力的な製品に感じました。特にTGで使われているオリジナルトランスがNEVEでもなく、Focusrite系のハイファイな感じでもない、TGならではの音が素晴らしくて、TG Microphone Cassetteを聴いてTGコンソールの音ってこんな音なのだろうと感心してしまいました。

チャンネルストリップとして考えると、TG Microphone Cassetteは少し高価に見えそうですが、コンプレッサーは独立しているし、マイクプリ、EQ、コンプレッサーの各セクションのそれぞれが非常に優秀なので、単体で揃えるよりもコストパフォーマンスが高く、まるでTGコンソールにでも通したかのような、全体を通して個性がしっかり感じられる製品です。

現状TGコンソールを容易に手に入れることは出来ないし、Chandlerでもコンソールを作っていないので、これを数台揃えるのが一番容易な方法ですね。


★TG2 (HAセクション)

FINE GAINのコントロールによる音の変化が非常に優秀で、倍音も美しく出てきます。これを知ってしまうと唄でも何でもこれを上げない状態では録りたくなくなってしまいますね。オリジナルのTGコンソールが使われていた当時は卓のモジュールとして使っていたと考えると、完成した曲の音は良いに決まっているでしょう!と思ってしまいました(笑)
DI入力の音も太く質実剛健な音色です。


★TG1 OPTO (コンプレッサー・セクション)

使うまでは設定も難しそうで、使い勝手もあまり良くないイメージを持っていましたが、実際に使ってみると物凄く使いやすいし、想像していたのと全然違って自然に掛かりますね。びっくりしました。

コンプの入力レベルをCurve BenderのOUTPUTで調整しながら、HOLDをコントロールすると、リダクションの設定が詰めやすくなります。

唄録りで何度か試してみましたが、掛けていないかのようにレベルを抑えてくれます。
同じOPTO CompだとLA-2Aのイメージですがだいぶ音色は違います。レベル入れていくと独特のサチュレーションが足されて気持ち良い音になります。

試す前はパコーンと掛かるようなイメージを持っていましたが(もちろん設定の仕方によってそのように掛けることもできますが)深く掛けても出てくる音は柔らかくピークを削ります。唄でも綺麗に掛かるし、波形で見てもナチュラルにコンプレッションしていて、あまり他のコンプでは見たことのない感じでした。

オリジナルのTG1はFairchild 660/670を参考に作られたものだと思いますが、オプティカルタイプのTG1 OPTOになるとまた2UのTG1とも全然違いますね。カッチリかかる感じではないですが、綺麗に掛かります。使えば使うほど好きになります。

国内ではコンプレッサーには1176、プリにはNEVEを使っている方が多いですが、ロックっぽい曲でアコースティックギターのストロークを録った時にTG Microphone Cassetteを使ったら、このコンプも含めてセッティングも自由が効いて色々な音色を作り出せます。


★Curve Bender (EQセクション)

EQセクションのCurve Benderも想像していた以上に良かったです。

唄とアコースティックギターで試してみましたが、本当に自然に掛かります。思っていたよりもソリッドで、倍音感もわざとらしくなく、思い切り掛けても位相が変わって汚くなるような掛かり方はしなくて、チャンネルストリップのEQとしてとても使いやすく感じました。

唄の場合はマイクや声質にも寄りますが、高域を少し上げて低域を少し削るように使いました。シルキーな質感なところがとても良かったです。アコースティックギターには曲によって倍音が出るNEVEのEQの方が合うと感じることもありますが、ソリッドさは圧倒的にCurve Benderに軍配が上がります。

UAD Chandler LimitedのCurve Benderのプラグインとも比較しましたが、実機はプラグインと全然違ってナチュラルで、美味しいポイントが自然なカーブで艶やかに上がって色っぽくて、さすが実機と納得できる音です。

TGシリーズは魔法の音色を持っていて、ブラックボックス内から奏でられているであろうボックストーンは本当に素晴らしく、DAWでステムされた音をただ通すだけで魔法の音色に変わります。
特にこのTG Microphone Cassetteは一台でPre、EQ、Compと八面六臂の活躍してくれるのでTGの音に魅入られたら必須のガジェットと言えるでしょう。

今ではTG Microphone Cassetteは、単体を組み合わせればAPI500でも再現できますが、API500モジュールのフレームから供給される電源よりも、専用電源のPSU-1から安定した電源が供給される TG Microphone Cassetteを使った方がChandler LimitedやAbbey Road Studiosが鳴らそうとしていたものにより近く安定したパフォーマンスが得られると思いました。

 

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