Phaedrus Audio
09/18

英国Phaedrus Audioの製品をテストしています。
PhaedrusのLONDONシリーズはたいへん興味深いラインナップです。設計者であるRichardは自らも著名なミュージシャンであり、これまでに多くのオーディオ・映像機器のデザインを行ってきました。
特にEMIのビンテージコンソールであるREDDコンソールに対する研究への深いこころみは、Phaedrus Audioのヒットシリーズである「LONDON Series」で発表されてています。
ビートルズをはじめとする1960年代のアーティストに使用された、初期のREDD真空 管コンソールをパーツごとに事細かに研究し、個々にラインナップされたLONDONシリーズは、お求めやすい価格でその素晴らしビンテージサウンドに触れ ることのできる貴重なイクイップメントです。
そんなLONDONシリーズの中核を担う真空管マイクプリアンプ「PHAB」をテストしましたので、そのレポートをお届けいたします。
オリジナルのEMI / REDDコンソールを再現
ビートルズなどが1960年代に使用していた真空管タイプのビンテージコン ソール。このコンソールは英国EMIが独自に開発したオリジナルのコンソールでした。このコンソールは今でも著名なアーティストやエンジニアの間で高値で 取引されている希少なものです。とくにやはりビートルズのレコーディング風景などでご覧になったことがある方が多いと思います。
Phaedrus AudioのLONDONシリーズはこの希少なコンソールの研究に真剣に取り組み、良心的な価格帯でデスクトップでも使用できるよう開発されたシリーズです。
V72(S)をベースにしたREDD.47アンプ回路
当時EMIの卓にはドイツ製のV72(S)アンプが使用されていましたが、のちにこの REDD.47アンプに据え置かれます。EMIはV72をベースにこのREDD.47を開発しています。 REDD.47アンプは34dB、40dB、46dBの3ポジションゲインをもち、V72より優れた設計をもっていました。
このREDD.47は1960年代のEMIやアビィロードのサウンドを決定つけたアンプのサウンドだといえます。
今回テストしているのはこのREDD.47を復刻したPHABマイクプリアンプです。
今回チェックできたのは旧デザインのパネルのものですが、サウンドは同じです。
このPhaedrus PHABの音質を様々なマイクアンプと比較してみました。
まずPHABを比較的安めの真空管を搭載したマイクアンプと比較してみました。まずはっきり判るのは低価格のチューブマイクプリアンプとは比較にならない ほどサウンドがハイエンドであることです。正直こんなに違うか!と思うほど。PHABにはサウンドの抜けがあり上から下までしっかり、くっきり描き出す実 力が備わっています。安価なチューブマイクプリは(設計も全然違うので比較するのは酷ですが・・)何かべちゃっとしたサウンドで、サウンドが曖昧です。
また今度はRNP8380(FMR AUDIO)と比較してみます。
サウンドのレンジの広さ、上下の伸びやかさはほぼ同等に感じますが、音楽感、つまり真空管っぽさが確実にPHABの方には存在します。サウンドにしっかり とした粘りと、高域にリッチな倍音が加わっているため、ビンテージっぽさがぐっと増してきます。アコギで試すと高域に感じられるコンプレッション感が、 1960年代中期のビートルズサウンドにも似た響きを持っています。
CHANDLERのGERMANIUM PRE AMPとの比較では、GERMANIUMのほうがもう少しレンジが広く感じました。どちらが良い、悪いという話ではなくどちらにも良さが感じられました。
PHABは密度があり、上下の伸びも素晴らしい、チャンネル単価10万以上のスタジオ品質のサウンドであることが確認できました。ボディ がコンパクトな のでもう少し低価格帯のレンジを想像されるかたもいらっしゃるかも知れませんが、設計やサウンド共に1U/2Uタイプのスタジオ機器を想像した方がよさそ うです。往年のアナログ・ロックサウンドをDAW環境で再現されたいユーザー層にはかなり魅力的な製品となりそうです。
その他のラインナップ
Londonシリーズにはマイクプリ以外にも以下のような製品がラインナップされていま す。標準ではACアダプター仕様ですが、オプションで外部PSUにアップグレードできたり、専用のラックマウントパネルでかっこよくラックに設置できた り、フレキシブルに対応が可能です。
・PHILTER – EQユニットです
・PHAMULUS – バリアブルMUタイプの真空管リミッターサウンドです
その他にもいくつかのモジュールが用意されています。
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